映画:エレナの惑い

「エレナの惑い」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

エレナの惑いの紹介:2011年のロシア映画。監督・脚本は「父、帰る」などで高い評価を受けたアンドレイ・ズビャギンツェフ。2011年度のカンヌ国際映画祭のある視点部門で、審査員特別賞を受賞した。日本公開は2014年。

あらすじ動画

エレナの惑いの主な出演者

エレナ(ナジェジダ・マルキナ)、ウラジミル(アンドレイ・スミルノフ)、セルゲイ(アレクセイ・ロズィン)、カテリナ(エレナ・リャドワ)

エレナの惑いのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- エレナの惑いのあらすじ1

エレナの惑いのシーン1 舞台はモスクワ。元看護士のエレナは、2年前に初老の資産家のウラジミルと再婚して、高級マンションで暮らしています。
互いに成人した子どもがおり、エレナの息子のセルゲイは結婚しており、高校生の息子と乳児を抱えています。ウラジミルには一人娘のカテリナがいました。

エレナは朝目覚めると、身支度を整えてウラジミルを起こしに行きます。
2人は別々のメニューで会話もなく食事をとり、夜は別々の寝室で好きなテレビ番組を観て、眠りについています。
ある日、朝食の席で本日の予定を尋ねられたエレナは、セルゲイに金を渡しに行くと答えました。ウラジミルは苦い顔をしながら銀行に送金するように言いますが、エレナはわざわざ会いに行っていました。

エレナは事あるごとに電車を乗り継いで、郊外にある低所得者向けの団地で暮らすセルゲイ一家の元を訪ねています。
無職のセルゲイは昼間から酒を飲み、妻のターニャも働いていません。その息子のサーシャは、いつも不良仲間とつるんでいました。
そんな貧困層の彼らの生活を支えているのがエレナで、団地のベランダから唾を吐いていたセルゲイは、いつものように調子よく金を受け取ります。

さらにセルゲイは、じきに高校を卒業するサーシャを大学に進学させたいので、まとまった金を工面してほしいとエレナに頼むのでした。
サーシャ自身は自分の進路に関心を持っておらず、エレナが訪れても自室でゲームばかりしていました。
ターニャはそんなサーシャを注意するようにセルゲイを促しますが、彼も息子と同じように菓子をつまみ、ゲームに夢中になるだけでした。

その日の夜、エレナは寝ているウラジミルの枕元に、置き手紙を残します。

【承】- エレナの惑いのあらすじ2

エレナの惑いのシーン2 翌朝の朝食の席で、ウラジミルは手紙に書かれたサーシャの大学の件を切り出します。
ウラジミルは「君の息子の家族を養う義理はない」と一刀両断しました。そして、サーシャがろくに勉強していないこと、ただ軍隊に入れさせたくないために大学に行かせようとしていることを指摘します。
さらに、セルゲイが過去に貸した金を一度も返さず、せびってばかりくることを非難します。エレナは職を失って生活が苦しい息子を助けてほしいと頼みますが、ウラジミルはそっけなく対応します。

一方、ウラジミルの娘のカテリナも、父親に金を無心して遊んで暮らしている割に、ろくに顔を見せに来ないのです。
エレナはカテリナには金をあげるくせに、セルゲイには出し惜しむことを怒ります。2人はこの話になると、毎回ケンカになっていました。
結局、一度は断ったウラジミルでしたが、返事を保留にします。
話し合いの後、意気消沈するエレナでしたが、唐突にウラジミルにセックスを求められて応じるのでした。

その後、ウラジミルは行きつけの高級スポーツジムに出かけます。
ところが、ウラジミルはスイミング中に心臓麻痺を起こし、病院に担ぎ込まれます。

緊急入院することになったウラジミルは、駆けつけたエレナに、2人が出会ったときのことを思い出すと笑いかけました。
10年前腹膜炎を患ったウラジミルは、入院中献身的に看護してくれたエレナとの間に愛が生まれ、8年の交際期間を経て結婚したのでした。

その後、エレナがほとんど絶縁状態だったカテリナと連絡を取り、カフェで合流します。
エレナがウラジミルに愛情を示してあげてほしいと頼むと、カテリナはすかさず「あなたは夫を案じる妻を見事に演じている」と嫌味を言います。
彼女はエレナが財産目当てでウラジミルと再婚したことを見抜いていました。しかしエレナは、何を言われても黙って受け流すのでした。

その後エレナは、ウラジミルのために教会でお祈りをします。

ウラジミルの見舞いにやってきたカテリナは、特に病状を心配する素振りも見せず、傍若無人に振る舞います。
そして、ウラジミルが金を何よりも大切にする仕事人間で、家族に見向きもしなかったことを辛辣に指摘するのでした。そんな父親に反発する気持ちから、カテリナは現在も根無し草のような生活を送っていたのです。
一方のウラジミルは、「自慢の娘になれなくて幸せ」や「私たちは人間以下」などと絶えず嫌味を言うカテリナを、「お前の話を聞いていると生きる気力が湧いてくる」と笑います。
ウラジミルはカテリナへの愛情を伝えて、許しを請います。最初は怒っていたカテリナでしたが、ぎこちない握手を交わし、ハグをして和解するのでした。

【転】- エレナの惑いのあらすじ3

エレナの惑いのシーン3 まもなくウラジミルは退院し、エレナは寝たきりになった夫を自宅介護することにします。
こうして2人の静かな日常が戻ってきますが、気弱になったウラジミルは、ある日ベッドで遺言書を書くことにしました。
紙とペンを持ってきたエレナは、ウラジミルから遺産のほとんどをカテリナに渡したいと告げられます。本来なら妻に半分、娘に半分というのが一般的ですが、エレナにはこのマンションと、生活に困らない遺族年金を毎月支払うようにするというのです。
介護をしている自分よりも、今までろくに顔も見せなかったカテリナに多額の遺産を受け取らせようとしているウラジミルに、エレナは激しいショックを受けます。
そしてウラジミルはサーシャの大学の件を持ち出し、セルゲイが責任を持つべきだと言いました。エレナは「弱き者から先にお金を受け取るべき」とウラジミルに泣きつきますが、彼は聖書の話を始めてごまかし、明日弁護士を呼んで遺言書を書くと告げるのでした。

その後、エレナはセルゲイに電話をします。ウラジミルに言われた通り、大学の費用は自分たちでなんとかするべきだと諭しますが、セルゲイは「ケチ!」と機嫌を損ねるだけでした。
電話を切ったエレナの脳裏には、息子一家のことがよぎっていました。

翌日、ウラジミルはテレビを観ながら眠ってしまいます。
エレナは本棚から医学書を取り出して、心臓病の薬と併用すると命にかかわるという、バイアグラの項目に目を留めます。次にエレナはウラジミルが愛用していたバイアグラを見つけて、処方されている薬に混ぜて、朝食と一緒に持って行きます。

朝食を終えて、何も知らないウラジミルが薬を飲み干すと、エレナはコードレスフォンをこっそり持ち出して、部屋を後にします。
そしてセレナは、壁に大量に飾った自分の家族写真を見つめながら、時が経つのを待ちました。
しばらくしてから扉を開けると、ウラジミルは絶命していました。エレナは動揺してその場に座り込みますが、脈をとって死亡を確認します。
そして、書いている途中だった遺言書を台所で燃やしてから、ようやく救急車を呼びます。

やってきた医師は、心臓病を患っている人間にバイアグラが禁止されているのは常識だと言って呆れます。
しかしエレナは、バイアグラはウラジミルが勝手に飲んでいて、自分は気づかなかったと嘆き、しらばっくれるのでした。

【結】- エレナの惑いのあらすじ4

エレナの惑いのシーン2 ウラジミルの葬儀に参列したカテリナは、遺体を見て涙します。
エレナはそのそばで号泣していました。

葬儀を終えると、エレナはウラジミルの部屋をキレイに片づけました。そして、彼の金庫の中にある金を全て持ち出して、弁護士のところへ出かけます。
エレナとカテリナは、遺言書がなかったため、遺産は分割相続になることを弁護士に告げられます。するとカテリナが、父親は金庫に多額の現金を保管していたはずだと口を挟みます。
しかし、エレナが金はなかったと答えると、カテリナは納得できない様子を見せながらも、それ以上追及してくることはありませんでした。

エレナがセルゲイ一家の元へ向かう最中、列車が急停車します。
車窓から外を見ると、馬が列車と接触して倒れていました。

エレナがサーシャの大学の入学資金を渡しに行くと、セルゲイはこれでサーシャが進学できると大喜びします。そして、「ウラジミルもようやく人の役に立ったか」と嫌味を言いました。
ターニャはエレナに3人目の子どもを妊娠していることを報告して、サーシャを呼んで皆で乾杯することにします。
その直後、団地が停電します。サーシャは一人家を飛び出して不良仲間と合流し、林で焚き火をしているホームレスに襲いかかります。
ホームレスに馬乗りになられたサーシャは執拗に殴られ、地面に転がります。そして、仲間の合図で少年たちは逃げていきました。

ウラジミルの大きなベッドの上で、セルゲイの乳児が眠っています。
セルゲイ一家は、エレナが住んでいる高級マンションに居座るためにやってきたのです。
セルゲイはビールを飲みながら、エレナに向かって「ここは天国だ」と笑いかけます。喜びを隠せないターニャは、エレナを気遣う素振りを見せて、いそいそとお茶の準備をします。
サーシャはベランダから近くのコートでスポーツをする少年たちを眺めていました。そして、団地のベランダから唾を吐いていたセルゲイと同じように、下に向かって唾を吐くのでした。
リビングで一家団欒のひとときを過ごしている様子を、目を覚ましてベッドの上で動き回る乳児の視点から映し出される場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

フィクションなのに、ある家族の風景を覗き見しているような感覚になるほど、エピソード一つひとつが現実そのものでした。エレナとウラジミルは、どちらも与えすぎるせいで子どもをダメにしてしまっています。本作では自堕落でどうしようもない子どもたちが登場していますが、それを批判するのではなく、親を搾取する姿を生き生きと描き出しているところが印象的でした。台詞も少なく非常に静かな作品ですが、沈黙が言葉以上の威力を発揮していて、終始えげつなかったです。

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