映画:ガザの美容室

「ガザの美容室」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

ガザの美容室の紹介:2015年のパレスチナ、フランス、カタールの合作で、日本公開は2018年。第68回カンヌ国際映画祭正式出品作。監督はパレスチナ自治区のガザで生まれで、一卵性双生児のターザン&アラブ・ナザール。ガザにある小さな美容室には、女性客が集まり混雑していた。ところが店の外で銃声が響いた途端に戦闘が始まり、美容室にいた女性たちは監禁状態となってしまう…。

あらすじ動画

ガザの美容室の主な出演者

エフィティカール(ヒアム・アッバス)、クリスティン(ヴィクトリア・バリツカ)、ウィダド(マイサ・アブドゥ・エルハディ)、サフィア(マナル・アワド)、ゼイナブ(ミルナ・サカラ)、サルマ(ダイナ・シバー)、ワファ(レーム・タルハミ)、ファティマ(レーム・タルハミ)

ガザの美容室のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ガザの美容室のあらすじ1

パレスチナ自治区のガザ。紛争が繰り返されてきたこの地区は、多くの難民で人口が急増するものの、隣国から国境封鎖をされたことで輸入が制限。食料や燃料などが常態的に不足し、居住者は極めて厳しい生活を強いられています。人々は再びいつ起きるか分からない紛争に怯えながら暮らしているのです。

小さなガザ地区の一角に、ロシア移民のクリスティンが営む美容室があります。ガザ地区で数少ない美容室は、今日も多くの女性客で賑わっていました。客の噂話ばかりしているのは、戦争で負傷した夫に処方された薬を隠れて服用し、中毒状態のサフィア。サフィアに頼んで初めて美容室に来たゼイナブは、敬虔なムスリム(イスラム教徒)で、一度も髪を切ったことがありません。ゼイナブは女性しかいない店内でもヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)を被り続け、サフィアが発する下品な言葉など御法度そのものです。今夜結婚式を挙げる27歳のサティマと付添いの母ワファ、夫の浮気が原因で離婚調停中で若い男性弁護士に色気を出しているエフィティカール、離婚経験者である中年のソーサンらその他にも客が施術を待つなか、さらに出産間近なファティマが妹に付き添われてやってきました。自由の少ない生活の中で、みな一様にささやかなお洒落を楽しんでいるのです。

現在施術を受けているのは、サティマとエフィティカールです。脱毛のため薄着で待っているエフィティカールですが、なかなか施術が始まらず苛立っています。担当の美容室アシスタントのウィダドが、恋人アハマドとの関係に悩み、仕事も手につかずにいるのでした。マフィアの一員であるアハマドは、ドラッグに手を出すなど危険な行動が多く、ウィダドは交際をためらいながらも別れられずにいます。そのうえアハマドのウィダドへの行動は執拗で、外から彼女を監視しては、はっきりしない態度をとる彼女に嫌がらせをするように、店の前にライオンを置いて脅してきました。店内は一時騒然としますが、ウィダドやクリスティンに叱責され、アハマドはライオンと共に一旦退散します。ライオンはアハマドが支持するハマス(ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織)が、権力を誇示するために密輸したものでした。

【承】- ガザの美容室のあらすじ2

施術の進行が遅いため、待っている客はカリカリとしていました。脱毛中の熱さに耐えられなくなったエフィティカールが1人で扇風機の風を浴びたため、サフィアらがクレームをつけました。しかし携帯電話が鳴る度にウィダドが業務の手を止めるので、なかなか進まないのです。
ようやくエフィティカールの脱毛が終わり、2階のシャワールームで体を洗い流していると、突如停電します。ガザ地区では電力の供給が厳しいため、停電はよくあること。急遽自家発電機で営業することにしますが、燃料も僅かです。それに小さな発電機で動かせるのは、せいぜい扇風機程度。クリスティンが業者に燃料の配達を依頼しますが手に入らず、電力会社にも電話が通じません。クリスティンは実家から燃料をもらうため、夫に連絡します。外の物々しい雲行きを感じ取ったクリスティンは、店にいた娘を家に帰すことにしました。

危険と隣り合わせの店内は窓を開けることも出来ず、蒸し暑さが増していきます。形振り構わずエフィティカールが喫煙するため、喘息持ちのワファが咳き込みました。深刻な喘息を患っているワファですが、政治的な影響で地区外の病院で診て貰うことさえ出来ずにいるのです。その境遇は他の客も同じで、みな口を揃えて共感し合いました。
暑さと煙で息苦しくなったファティマに陣痛が発生します。しかし出産後となれば髪を切る機会など得られません。何とか今日中に施術をしようと、順を待つことにしました。

【転】- ガザの美容室のあらすじ3

少ない燃料でも発電機を稼働させようとしたウィダドは、外でエンジンをかけますがうまくできず、見かねたアハマドが近寄って来ました。ところが危険人物とみなされたアハマドが、警察に連行されかける騒動が起きます。マフィアの仲間に助けられ難を逃れたアハマドですが、彼のピンチを目の当たりにしたウィダドが激しく動揺しました。再び持ち場を離れるウィダドに、いよいよ業を煮やしたクリスティンは「別れなさい」と語気鋭く叱責しました。

やがてクリスティンの夫が店に来たので、娘を帰宅させます。外はすっかり暗くなっていました。次第に客のイライラは強まって言葉は荒くなり、自由な行動をとりだします。サフィアは店の用具を勝手にいじり、ゼイナブは時間だからと、店内で礼拝を始めました。
ファティマの陣痛が強まったため、タクシーを呼びました。彼女と妹が店を出ようとした時、銃声とサイレンが外で鳴り響きます。それと同時に突然戦闘が始まり、美容室にいた女性たちは店外に出られなくなりました。女性たちが不安に包まれる中、安全のために店は外からシャッターを閉められ、電気も止まりました。店は真っ暗闇で、完全な監禁状態に。中に取り残された女性たちは、僅かなランプの明かりでこの状況を乗り越えなければなりません。

【結】- ガザの美容室のあらすじ4

過酷な状況下でもクリスティンは、式を控えたサティマのメイクを続けます。しかし蒸すような暑さに、メイクは汗と涙で流れていきました。外の戦闘は激しくなり、砲弾の爆撃音と怒号が女性たちの耳をつんざきます。気を落ち着かせるためエにフィティカールがマニュキアを塗りますがその手は震え、陣痛のファティマは呼吸が荒くなります。気が気でない女性たちは、客同士で口論も始まりました。結局ハマスだろうがファタハだろうが、どちらも支持している女性たちなどいないのです。既にサティマの結婚式には間に合わない時間になっていましたが、娘の晴れ舞台を諦めきれないワファは、意地でドレスを着せました。
誰もが冷静さを失っているため、ちょっとしたことをきっかけにエフィティカールがサフィアに襲い掛かりました。2人の取っ組み合いで、狭い店内まで大騒ぎに。騒ぎを一蹴したのは「私たちが争ったら、外の男たちと同じじゃない!」とのクリスティンの一言でした。この言葉で騒ぎは落着きましたが、服が乱れたサフィアの背中には大きな傷が…。サフィアが夫に暴力を受けていることを知ったゼイナブは、思わず涙する彼女を抱きしめました。店も混乱し、外の戦闘も終わりは見えません。気力の無くなったクリスティンはサティマの結婚式は無理だと、とうとう諦めました。

その後負傷したアハマドが外から助けを求めてきたので、客の反対を押し切ってウィダドが店内に入れました。銃撃され瀕死のアハマドを見た女性たちの心境は極限状態。泣く者、叫ぶ者、思わず何かを食べる者…。ウィダドだけではなく、みな我を忘れていました。そしてアハマドの追手はすぐに来て、抵抗出来ない彼を連れ出していきました。店の外は戦火と人だかり、救急車やパトカーのサイレンで騒然としています。死んだライオンと共にアハマドがパトカーに積まれました。

みんなの感想

ライターの感想

ガザの現状をよく知らなかったので最初に鑑賞した時は、様々な女性の群像劇との印象が残りました。しかしガザの置かれた過酷な状況を知ってから再鑑賞すると、女性たちの不安や憤り、そしてたくましさが表現された作品だと感じ、イメージがガラリと変わりました。事実、この作品を見た後に、再びガザで内戦が起き、市民が犠牲になりました。今作で描かれた状況が、嘘ではないのだと思い知らされました。
日本人には現地の人名にも馴染みがなくて把握しづらく、ストーリーにすんなりと集中するには難しい作品かもしれません。しかしメイクや髪形を変えることが、不自由な生活を強いられた彼女たちの心の潤滑剤であり、時には恐怖心を抑えるための行為にもなるのだと思うと、胸が締め付けられました。戦争とは、人を苦しめる以外のなにものでも無いと強く感じます。

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