映画:サーミの血

「サーミの血」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

サーミの血の紹介:1930年代のスウェーデンを舞台に、差別的な扱いを受ける少数民族サーミの少女の生き様を描いた作品。サーミ人の血を引くアマンダ・ケンネルがメガホンを取り、主演はサーミ人のレーネ・セシリア・スパルロクが務めている。2016年の東京国際映画祭にて審査委員特別賞、最優秀女優賞をダブル受賞するなど、数々の賞を受賞した。日本公開は2017年。

あらすじ動画

サーミの血の主な出演者

現在のクリスティーナ/エレ・マリャ(マイ=ドリス・リンピ)、少女時代のエレ・マリャ(レーネ・セシリア・スパルロク)、ニェンナ(ミーア・エリカ・スパルロク)、ニクラス(ユリウス・フレイシャンデル)、教師クリスティーナ(ハンナ・アルストロム)、オッレ(オッレ・サッリ)

サーミの血のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- サーミの血のあらすじ1

サーミの血のシーン1 現代のスウェーデン。部屋に一人きりでいる老婦人・クリスティーナは、息子のオッレと孫のサンナからの呼びかけを無視して、タバコに火をつけます。
ようやくノックに応じたクリスティーナは、渋々オッレが運転する車に乗り込みます。そして、いつも自分を気にかけてくれた唯一の親族の葬式へと向かうのでした。
オッレは車内にクリスティーナの生まれ故郷であるサーミの民族音楽を流しますが、彼女は耳障りな音楽だと言い放ちます。
さらに、自分とサーミ人は何の関わりももっていないと言って、彼らのことを嘘つきで物盗りだと罵るのでした。

葬儀場に着くと、サーミの民族衣装に身を包んだ参列者が、一斉にクリスティーナに注目します。
オッレは彼らと挨拶を交わしますが、クリスティーナは押し黙って距離をとります。祭司が「妹のニェンナは最期まであなたのためにトナカイのマーキングをしていた」とサーミ語で話しかけてきますが、クリスティーナは理解した様子で「言葉がわからない」と突き放すのでした。

それから食事会が開かれ、積極的に参加するオッレは、サンナに民族衣装を着せて写真を撮ってあげたりします。
それを目にしたクリスティーナは、血相変えて一人ホテルへ戻ってしまうのでした。
クラブフロアをさまよって落ち着きを取り戻したクリスティーナは、ホテルの窓からトナカイの放牧に出かけるオッレたちをぼんやりと眺めます。
するとヘリコプターに乗り込むサーミ人を見ていた旅行客の女性グループが、クリスティーナに話しかけてきます。クリスティーナは彼女たちの質問に教師をしていたと答えます。
旅行客たちは外の様子を見ながら「あの人たちのバイクの音がうるさい」や「自然保護区を破壊している」などと批難し、クリスティーナはまんざらでもなさそうな顔で頷くのでした。
そして彼女は、少女時代の思い出をよみがえらせます。

1930年代のスウェーデン北部。サーミ人は昔から自然と共存する少数のトナカイ遊牧民として知られていました。
そこで暮らしているのが、クリスティーナことエレ・マリャと、妹のニェンナです。彼女らの父親は亡くなり、母親が代わりに放牧の仕事をしていました。
トナカイはサーミ人にとって財産でした。所有権の証として、自分のトナカイの耳は刻み目を入れることになっています。
聡明でしっかり者のエレ・マリャは、ニェンナにトナカイのマーキングを伝授するのでした。

やがて姉妹は、寄宿学校で勉強する年齢となりました。
舟を漕いで学校へ向かいますが、不安を隠せないニェンナは行くのは嫌だと言ってぐずり出します。そんな妹に、エレ・マリャは伝統音楽のヨイクを歌い聴かせてなだめるのでした。
林の中を歩いている最中、姉妹は自分たちに向けられる奇異の視線を感じ取っていました。

【承】- サーミの血のあらすじ2

サーミの血のシーン2 寄宿学校の周辺に暮らしている若者たちは、サーミの民族衣装を着たエレ・マリャたちを見るなり、「臭い」や「あいつらを仕留めたら賞金が出るぜ」などとバカにし続けます。

また、当時同化政策がとられていたスウェーデンでは、サーミ人の生徒のみの寄宿学校であっても、サーミ語を話すことは禁じられていました。
授業中にサーミ語を使った生徒は、罰として教師から定規で手を叩かれてしまうのでした。

そのような状況下でも、スウェーデン語が堪能で優等生のエレ・マリャは、女教師のクリスティーナに気に入られます。
エレ・マリャはクリスティーナとお茶をしながら、聖書をはじめとする本の貸し借りをおこないます。彼女の話を聞くうちに、エレ・マリャは教師という職業に興味を抱くようになるのでした。
いつしかエレ・マリャは、サーミの生徒たちの中で浮いた存在となります。ニェンナが忠告しても、彼女は意に介しませんでした。

ある日、寄宿学校に研究員たちがやってきます。
エレ・マリャは生徒の代表として挨拶をこなし、彼らから民族衣装の刺繍の美しさをほめられたりします。
その後、集められた生徒たちは研究のための身体検査をさせられることになります。
皆のお手本として、優等生のエレ・マリャが最初に写真を撮るように指名されるのでした。動物のように頭蓋骨や鼻のサイズなどを計測されて、続いて彼女は全裸になることを強要されます。
クリスティーナは拒否しますが、研究員たちは本人の意思を無視して続行します。
さらに、窓の外では若者たちが覗き見しており、エレ・マリャはクリスティーナに助けを求めます。ところが彼女は気にも留めず、研究員と楽しげに雑談をするだけでした。
エレ・マリャは写真を撮られる瞬間、暴力的なシャッター音に身を震わせます。それからほかの生徒たちも全裸で撮影をさせられるのでした。

その後、若者たちの前を横切ったエレ・マリャは、「サーカスの動物」と罵られて、ついに堪忍袋の尾を切ります。
父親の形見であるマーキングナイフを男の一人に突き立てて啖呵を切りますが、複数名に押さえつけられてしまいます。さらに大切なナイフを奪われたエレ・マリャは、左耳にトナカイのように刻み目を入れられて、深く傷つきます。

ある日、エレ・マリャはクリスティーナが干していたワンピースをこっそり着てみます。
すると、通りすがりの男の子たちがサーミ人であることに気づかず「パーティーに来ないか?」と誘ってきたのです。
彼女は野外パーティーに向かうため、川の水で身体を洗って匂いを消します。

生まれて初めて参加するパーティーに、エレ・マリャはすっかり舞い上がってしまいます。
男の子のグループに勇気を出して声をかけてみますが、会話が続かず所在なく会場をうろつく羽目になるのでした。
しかし、先ほどのグループの一人であるハンサムな男の子が、エレ・マリャの手をとってダンスを踊ってくれます。
彼の名はニクラスで、大都市ウプサラに住んでいました。名前を尋ねられたエレ・マリャは、サーミ人であることを隠すためにクリスティーナと名乗るのでした。

2人は踊っているうちに距離がどんどん縮まり、エレ・マリャはニコラスからタバコを勧められて初めて吸いました。そして、物陰でキスをします。
その矢先、パーティー会場が大騒ぎになります。ニェンナと教師がエレ・マリャを探しにやってきたのです。人々の注目を浴びるエレ・マリャは追いかけてくるニェンナを振り払い、「ラップ人(サーミ人の蔑称)」と呼ばわりします。
こうして学校に連れ戻されたエレ・マリャは、クリスティーナたちから鞭打ちの罰を受けるのでした。

【転】- サーミの血のあらすじ3

サーミの血のシーン3 学校で学ぶことの楽しさを覚えたエレ・マリャは、あるときクリスティーナに進学するための推薦状を書いてほしいと頼みます。
ところが、クリスティーナは即座に断ります。彼女はエレ・マリャが優秀であることを認めながら、サーミ人の脳では文明に適応できないと告げたのです。
街に出たら絶滅してしまうと一方的に差別されたエレ・マリャは、進学したいという気持ちをいっそう強くさせるのでした。

パーティーの一件から、エレ・マリャはサーミ人の間で疎外されるようになっていました。
やがてニェンナから「みんな姉さんが嫌い、さっさと消えて」と告げられ、妹のベルトを強奪します。そして、荷物を持って都会に出て行くことを決意したのです。

ウプサラに住んでいるニクラスに頼ることにしたエレ・マリャは、列車に乗り込みます。
サーミの民族衣装を着ている彼女は、当然乗客の好奇の目にさらされて、車内で眠っている女性のカバンを盗んで服を調達します。
列車を降りたエレ・マリャは、民族衣装を脱ぎ捨てて燃やし、調達した衣類に着替えるのでした。

ウプサラの街を一人歩くエレ・マリャは、建造物や庭園の美しさに感動します。
それからニコラスの家を訪ねますが、あいにく彼は留守で代わりに母親が応対します。すると「(ニコラスに)家に泊まってもいいと言われた」と嘘をついて、強引に家に上がり込んだのです。
エレ・マリャはニコラスの両親とぎこちない会話をしながら食卓を囲み、彼の帰りを待つことにしました。その間、ピアノや食器、電話などに触れて心を躍らせるのでした。

ひとまずニクラスの家に泊めてもらえることになったエレ・マリャでしたが、彼の父親は北部で暮らしていたことがあり、すでにサーミ人と見抜いていました。
その夜、帰宅したニクラスは驚きますが、その場の流れでエレ・マリャの寝場所を確保してあげます。そして2人は肉体関係を持つのでした。

翌朝、ニコラスの両親は息子を呼び出し、エレ・マリャが「ラップ人」であることを批難し、妊娠したらどうするつもりなのかと叱りつけます。
ニクラスはエレ・マリャに帰ってもらうように伝えますが、彼女はメイドとして雇ってほしいと引き下がりません。
もちろん聞き入れてもらえず、家から放り出されてしまうのでした。

今度こそ行き場を失ったエレ・マリャは、野宿をして夜を明かします。
翌日、学校の図書館に入ると教師から新入生と間違われます。とっさにクリスティーナ・ライレルと名乗ったエレ・マリャは、そのまま体育の授業に参加することになりました。
しかし、スウェーデン人の女生徒と並ぶと、頭の分だけ背が低い彼女は、嫌でも目立ってしまいます。
もちろん体操もしたことがなく、完璧に揃った動きをする生徒たちの中で一人だけ全くついていけず、教師から注意されるのでした。

授業後、着替えていたエレ・マリャは、メイクをしていた女子生徒に「ドイツ人?」と話しかけられます。
彼女はエレ・マリャが隠し持っていたマーキングナイフを取り上げて冷やかします。怒ったエレ・マリャは女子生徒を突き飛ばしますが、その後2人は仲良くなるのでした。

運よく入学できることになったエレ・マリャは、休憩時間に女友達と楽しくおしゃべりをします。通りすがりの女子生徒のファッションに文句をつけたりして、彼女は大いに盛り上がるのでした。
しかし、学校から呼び出しを受けたエレ・マリャは、授業料の200クローネの催促状を渡されます。到底支払うことはできませんでした。

【結】- サーミの血のあらすじ4

サーミの血のシーン2 エレ・マリャは女友達に誘われて、ニクラスの誕生日パーティーに参加することになります。
彼女がサーミ人であることはすでに知れ渡っており、ニコラスの友人たちから「ラップランドから来たんでしょ?」などと質問攻めに合います。
さらに、人類学を専攻していると語る一人の女性が、伝統音楽のヨイクを歌ってほしいと懇願してきます。エレ・マリャは戸惑いながらも結局歌いますが、周囲は静まり返るのでした。

たまらなくなったエレ・マリャは、家を飛び出してしまいます。
とりあえず追いかけてきたニクラスは、彼女を適当になぐさめます。彼以外に頼るアテがないエレ・マリャは、学費の200クローネを支援してもらいたいと頼み込みます。
学生のニコラスに高額なお金を貸すことなどできるはずもなく、エレ・マリャは再び彼の元を去るのでした。

エレ・マリャは途方に暮れて、故郷に戻る決断をします。
ケーキを手土産に、ワンピース姿で帰ってきたエレ・マリャは、家族から冷たい眼差しを向けられます。
エレ・マリャは母親に授業料の支払いを頼みますが、工面できるわけがないと断固拒否されます。すると彼女は、父親の形見である高価なベルトを売ればいいと提案しますが、母親は怒り出してしまうのでした。

エレ・マリャは大自然の中を一人歩き回りながら、自分のトナカイを殺して売ることを思いつきます。
逃げまどうトナカイを捕まえて殺したエレ・マリャは、そのまま眠りについてしまいました。翌朝、ニェンナと一緒に近づいてきた母親は、何も言わず父親のベルトを手渡すのでした。

現代のスウェーデン。クリスティーナは誰もいなくなった葬儀場にやってきます。
棺のフタを開けて、中で眠っているニェンナの遺骸に寄り添い、「許して」と涙を流しました。

その後、クリスティーナはトナカイの放牧地に向かうため、険しい道を登っていきます。
そこでは昔と同じようにサーミ人のテントが張られていましたが、オートバイが何台も停められていました。
クリスティーナが何かを感じながら遠くを見つめる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

自分の運命を切り開こうとするエル・マリャの力強さに圧倒される作品でした。サーミ人であり続けること、自分が望む生き方を選ぶこと、どちらも正しい選択であり、彼女が間違っているとは思えませんでした。自分の出自を隠し、差別をする側に回る以外に道がなかったエレ・マリャが、おばあさんになってから後悔の念に苛まれる姿は、とても切なかったです。少数民族の生き方や女性の自立など、さまざまなことを考えるきっかけになる作品だと思います。

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