映画:ジュリアン

「ジュリアン」のネタバレあらすじと結末

ジュリアンの紹介:2017年のフランス映画。グザヴィエ・ルグラン監督の初の長編映画作品で、フランスではロングランヒットを記録した。第74回ベネチア国際映画祭にて、最優秀監督賞(銀獅子賞)を受賞。日本公開は2019年。

あらすじ動画

ジュリアンの主な出演者

ジュリアン・ベッソン(トーマス・ジオリア)、ミリアム・ベッソン(レア・ドリュッケール)、アントワーヌ・ベッソン(ドゥニ・メノーシェ)、ジョゼフィーヌ・ベッソン(マティルド・オネヴ)、サミュエル(マチュー・サイカリ)、シルヴィア(フロランス・ジャナス)、裁判官(サディア・ベンタイエブ)、ミリアムの弁護士(ソフィー・パンスマイユ)、アントワーヌの弁護士(エミリー・アンセルティ=フォルメンティニ)

ジュリアンのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ジュリアンのあらすじ1

ジュリアンのシーン1 夫のアントワーヌと妻のミリアムが、11歳の息子ジュリアンの親権を巡って、家庭裁判所で話し合っているところから物語は始まります。
離婚の原因はアントワーヌによるDV(ドメスティック・バイオレンス)で、ジュリアンと18歳の娘ジョゼフィーヌも、父親のことを嫌っていました。

ミリアム側の代理人が、ジュリアンが書いた陳述書を読み上げます。そこには「僕も姉さんもママをいじめるあの男が嫌いです。週末の面会を強制しないでください」と、アントワーヌへの嫌悪感が示されていました。
また、暴力をふるわれていたのはミリアムだけではありませんでした。3年前、彼氏と一緒にいるところを見られたジョゼフィーヌも腕に怪我をさせられて、診断書もありました。
ミリアム側の代理人は慰謝料を請求せず、ジュリアンの単独親権を求めます。そして、月110ユーロの養育費と、5000ユーロの前金を要求するのでした。

一方、アントワーヌ側の代理人は、ジョゼフィーヌの診断書は校医が作成したもので、証拠能力が疑わしいと主張します。
さらに、アントワーヌは同僚からの評判が非常によく、酒も飲まない真面目な人間であるとアピールしました。
アントワーヌは「子どもには父親が必要」と考えを示し、ジュリアンに会うために仕事も変えたのだと説明します。

ミリアムとアントワーヌの食い違う証言を聞き終えた裁判官は、どちらかが嘘をついていると語りかけます。
アントワーヌはミリアムが親権を得たいがために、子どもたちをそそのかしていると主張します。ミリアムはとにかくジュリアンをアントワーヌに近づけたくないと主張しました。

論戦を交わした結果、ミリアムが失業中であることや、DVの証拠が不十分なことが考慮され、裁判官はアントワーヌの言い分を通すのでした。
共同親権を得たアントワーヌは、隔週の週末ごとにジュリアンと過ごすことを要求し、裁判官はそれを許可します。
裁判を終えたミリアムは、待機していた妹のシルヴィアに「何の役にも立たない」と告げました。そして、アントワーヌの両親からの贈り物をひったくるように受け取り、足早に去って行くのでした。

【承】- ジュリアンのあらすじ2

ジュリアンのシーン2 ミリアムもアントワーヌも、別居してから互いの実家で暮らしていました。
最初の面会日、アントワーヌはミリアムの実家にいるジュリアンを迎えにやってきます。アントワーヌは車のクラクションを何度も鳴らしますが、父親に会いたくないジュリアンは、体調が悪いと言って応答しません。
ところが、アントワーヌはミリアムの実家に電話をして、取り決めを守れないのなら訴えると告げます。
強制的に連れ出されたジュリアンは、嫌そうな顔で車に乗り込みます。車内ではシートベルトの警告音が繰り返されて、彼の不安をあおるのでした。

アントワーヌの実家で祖父母から歓迎を受けるジュリアンでしたが、あまり笑顔を見せません。
アントワーヌはジュリアンのバッグをこっそり漁り、通信簿を盗み見ます。そこで母親の名前はあるのに、自分の名前は意図的に消されていることを知るのでした。

ミリアムの実家に帰る車内で、アントワーヌはジュリアンに、ミリアムと話をさせてほしいと頼みます。
しかしジュリアンは、ミリアムは出かけていると答えて、口を閉ざします。
続けてアントワーヌは、ミリアムの連絡先を執拗に尋ねます。ジュリアンは携帯電話を持っていないと嘘をつき、実家の電話番号を教えるのでした。
アントワーヌに威圧されながら、ジュリアンは声を振り絞るようにして「ママを殴らないで」と訴えます。
どうにか逃れられたジュリアンは、自分の電話帳からミリアムの携帯の電話番号を消去しました。

その後、ミリアムと子どもたちは、アントワーヌに内緒で新しいアパートに引っ越しました。

すでに成人しているジョゼフィーヌは、ジュリアンと違ってアントワーヌとの面会を強制されませんでした。
そのため彼女は家族の問題に関心が薄く、遠距離恋愛中の彼氏のサミュエルのことで頭がいっぱいでした。
ジョゼフィーヌは度々学校をサボってサミュエルに会いに行っており、ミリアムの叱責にも耳を傾けようとしませんでした。

【転】- ジュリアンのあらすじ3

ジュリアンのシーン3 次の面会日も、ジュリアンはアントワーヌの実家で過ごしていました。
ジョゼフィーヌの誕生日パーティーを控えており、ジュリアンは面会の日程をずらしてほしいと頼みますが、アントワーヌは聞き入れようとしません。
食事中、アントワーヌの母親は新開発地でジュリアンたちを見かけたと、うっかり話してしまいます。
アントワーヌは態度を豹変させ、新居の場所を問いただしますが、ジュリアンは「友達のところへ行っていた」などと必死にごまかそうとします。
アントワーヌはジュリアンの言葉尻をとらえて詰問しますが、それを見ていたアントワーヌの父親は諌めようとします。
ところが、怒りの沸点が低い2人は口論となり、アントワーヌの父親は「子どもたちがお前に会いたがらないのは当然だ」と怒鳴ります。
激情したアントワーヌは、ジュリアンの腕を引っ張って実家を出て行くのでした。

ジュリアンを車に乗せたアントワーヌは、新居の場所を厳しく追及しますが、返事はありません。
頑なに目を合わせようとしないジュリアンに腹を立てたアントワーヌは、彼の顔を掴んで恫喝します。
ジュリアンは泣き出してしまい、アントワーヌはバッグの中から新居の鍵を奪います。そして、ジュリアンを家まで案内させようとするのでした。

ジュリアンは恐怖のあまり、アントワーヌに新居までの道を教えてしまいます。
アパートに着いたアントワーヌは、鍵でオートロックを開けようとしますが反応しません。実はジュリアンは嘘の道を教えており、隙を突いて猛ダッシュで逃げ出します。
アントワーヌから走って逃げる最中、車道に飛び出したジュリアンは、車に轢かれそうになりました。
アントワーヌは途中で追いかけるのをやめて、行き場のないジュリアンもしばらくすると観念して戻ってきます。
冷静になったアントワーヌは「毎回揉める気はない」と告げて、今度こそジュリアンを家まで送り届けるのでした。

部屋へ向かうエレベーターの中で、アントワーヌはジュリアンに鍵を返します。
出迎えたミリアムは困惑しますが、アントワーヌはずかずかと上がり込み、部屋の様子を見回します。
ミリアムに冷たくあしらわれたアントワーヌは「俺は生まれ変わった」と言って泣き出し、彼女を抱きしめます。ミリアムも恐る恐る抱きしめ返すのでした。

ところが、アントワーヌが実家に戻ると、息子に愛想を尽かした父親が彼の荷物を外に出していました。
母親とも口論になったアントワーヌは、家を出て行くことになるのでした。

その頃、ジョゼフィーヌは学校のトイレで妊娠検査薬を使用しており、結果は陽性でした。

【結】- ジュリアンのあらすじ4

ジュリアンのシーン2 その日の夜、ジョゼフィーヌの誕生日パーティーに参加したジュリアンは、彼女がボーカルを務めるバンドの演奏に大はしゃぎします。
ジョゼフィーヌはCCRのヒット曲「プラウド・メアリー」を歌って、喝采を浴びます。
しかし、ミリアムは会場を回っている最中、アントワーヌの車が停まっていることに気づくのでした。
会場を後にするミリアムを、ジョゼフィーヌはステージ上から目で追いかけます。

ミリアムが何をしているのかと問い詰めに行くと、アントワーヌはジョゼフィーヌにプレゼントを直接渡したいと頼んできます。
ミリアムは自分から渡しておくと言って帰らせようとしますが、アントワーヌは今でも家族のことを愛していると訴えてきます。
ところが、そこへシルヴィアの同僚の男性が現れ、アントワーヌは露骨に嫉妬します。男性が退散すると、アントワーヌはミリアムの首を絞めて「男ができたのか」と尋問します。
ミリアムを心配してやってきたシルヴィアは、アントワーヌに果敢に立ち向かい、彼を追い払います。
アントワーヌは車でシルヴィアを挑発しながら、荒々しく立ち去るのでした。

パーティーが終わり、最後まで残っていたジョゼフィーヌとサミュエルは、ミリアム宛に手紙と鍵を残して、会場を後にしました。

ジュリアンとミリアムは、家に帰って一緒に眠っていました。
そこへ夜中にもかかわらず、インターホンが何度も鳴ります。2人が怯えながら息を殺していると、インターホンは止みました。
ほっとして様子を見に行くと、アントワーヌはオートロックの玄関を通り抜けて、エレベーターで上がってきたのです。
アントワーヌは「話をしよう」と叫びながらドアを叩き続け、挙げ句の果てにはドアを蹴破ろうとしてきます。

異変に気づいた向かいの部屋の老婦人は、猟銃を持っているアントワーヌを見て、即座に警察へ通報します。
ミリアムとジュリアンはドアを必死に押さえますが、アントワーヌはとうとう弾丸を撃ち込み、ジュリアンは負傷してしまうのでした。
ドアを蹴る音と銃声が響く中、ミリアムも警察に電話をして、浴室に鍵をかけてバスタブの中に潜んでおくように指示を受けます。
バスタブで2人が身を寄せ合っていると、ドアを破壊したアントワーヌが侵入して、部屋を物色し始めます。2人はパニックに陥りますが、オペレーターは電話越しに冷静な口調で励まし続けるのでした。

浴室の前までやってきたアントワーヌは、ミリアムの名前を呼びますが、そこへ警官隊が到着して、彼は拘束されました。
アントワーヌは「ミリアム、やめさせてくれ!」と叫びながら連行されていくのでした。
ミリアムは泣きながら「終わった」と繰り返し、2人は駆けつけた女性警官に保護されました。

通報した老婦人は、事件がひと段落してからそっと様子を覗きます。
老婦人はミリアムたちと目が合い、女性警官が穴だらけのドアを閉めました。彼女も部屋のドアを閉める場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

近年日本で発生した虐待事件を想起させる作品でした。最悪のことが起きない限り行政に対処してもらえないのは、世界中どこででも同じなのだと思うと、やるせない気持ちにさせられます。また、本作では本筋とは直接関係がなさそうな姉のジョゼフィーヌのエピソードが長々と描かれています。このシーンは決して意味がないのではなく、ジョゼフィーヌが自分と恋人の行く末に頭がいっぱいで、家族を気にかける余裕がないことが表現されているように思えました。司法や行政が家庭内の問題に介入するのが容易ではないばかりか、家族であっても必ずしも守ってくれるわけではないという、きつい現実が描かれていると捉えました(ジョゼフィーヌを否定するわけではありませんが)。本作最大の被害者といえるジュリアンを演じたトーマス・ジオリア君は、父親への恐怖心や母親を守ろうという使命感などを、天才的に表現していたと思います。

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