映画:スプリング春へ

「スプリング春へ」のネタバレあらすじと結末

スプリング-春への紹介:1985年のイラン映画。国際映画祭で輝かしい受賞歴があるアボルファズル・ジャリリ監督の長編2作目。終戦終結への願いを込めて製作された今作では、ファジル国際映画祭審査員特別賞、新人賞を受賞した。イラン・イラク戦争の最中。住んでいた町を軍隊に占拠され森へ逃げて来た少年と、森番をしている老人との交流をカスピ海近くの美しい風景と共に描く。

あらすじ動画

スプリング春への主な出演者

ハメド(メヒディ・アサディ)、シナ(ヘダヤトラ・ナビド)

スプリング春へのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- スプリング春へのあらすじ1

1980年から始まったイラン・イラク戦争の真っ只中。
イラクとの国境付近に位置するイランのクゼスタン州・ボスタンは、敵の爆撃に遭い、多くの死傷者が出ました。そのため国では、ボスタン住民への援助を広く国民に呼びかけます。その最中、カスピ海が近いイラン北部の森へ、1人の少年が激しい真冬の雨の中、逃げ込んできました。
少年ハメドは、両親と幼い弟と共にボスタンで暮らしていました。しかしボスタンは軍に占拠され、父は町を守るために参戦することに。ハメドの母は夫を置いて自分たちだけ逃げることも出来ず、家族は大きく揉めていました。家族が混沌としているうちに、一家は家の目の前でイラク軍の爆撃を受けます。負傷したハメドは入院した後、家族と離れてたった1人での避難を余儀なくされました。ハメドは軍と共に避難民のキャンプ地へ辿り着き、1ヵ月間過ごします。戦争で家を失った人々は、その後イラン北部のカスピ海方面へ送られました。

ハメドを受け入れることになったのは、小屋に1人で暮らしていて、この地域の森番の老人シナです。この辺りには水道も電気も通っておらず、あるのは美しい泉と木々だけ。自然に囲まれた静かな町です。遥か遠くのボスタンからやって来たハメドに、シナは優しく接しました。しかし心に傷を負ったうえ、慣れない人物や環境に馴染めないハメドは簡単に心を開けません。ほぼ会話もしないハメドは、シナに勧められてほんの僅かの食事を、口にするのがやっとでした。
翌朝。辿り着いた森が爆撃される夢にうなされていたハメド。その様子を見たシナは「イラク軍はここまでは来ない」と穏やかに諭し、気分転換させるために、ハメドをボートに乗せて泉を案内しました。シナを信用できる人間だと感じたハメドは、イラク軍に目の前で爆撃された時の悲しみをぽつりと吐露するのでした。

【承】- スプリング春へのあらすじ2

2人の生活は続いていくと、徐々にハメドの口数も増えていきます。しかしハメドが戦争で負った苦しみは深く、考え込むことが多くありました。そのうえ小屋の近くには誰も住んでおらず、真冬のために客も訪れてきません。両親が恋しくなったハメドは、思わず泣き出すことも…。
そんなハメドのためにシナは、彼を森へ連れ出しました。シナは森番らしく、悪質なハンターが木々を勝手に伐採してしまうことをハメドに教えると、彼もまた興味を持ちます。そして海辺へ行くと、春になれば多数の白い鴨が、沖から住んでいる小屋まで飛んでくると聞かせました。その季節とは、シナにとって切ない季節でもありました。鴨にエサやりをしていたシナの妻は、かつてコレラのために命を落としました。小屋の近くには医者がおらず、手遅れになってしまったのです。ハメドはシナにも辛い過去があることをしりました。シナは今年の春は、ハメドと鴨を見に来るのだと宣言します。

明け方。響き渡るチェンソーの音で目が覚めたシナは、森に犯人を探しに行こうとします。物音で起きたハメドも一緒に行くと言い出したので、音のする方角へ2人で向かいました。「どこにいるんだ」とのシナの声が、森中にこだまします。2人は違法に伐採された残骸は見つけたものの、結局犯人には逃げられました。
字の書けないシナは、森林保護係長への請願書をハメドに書かせて提出することに。そのため小屋で留守番をしていたハメドは、外に出るなとのシナの言い付けを破り、泉にボートを出しました。その時ラジオから空襲警報が流れてきます。この辺りが空襲される訳ではありませんが、爆撃の恐怖が蘇ったハメドは怯えて小屋の地下室へ逃げました。帰宅して一旦はハメドを叱ったシナでしたが、彼の恐怖を思いやって、地下室にある箱の中へラジオを仕舞いました。

【転】- スプリング春へのあらすじ3

知人の老人がシナを訪ねて来ます。老人がボスタンの辺りに兵器が運ばれているという情報を知らせてくれたので、シナは寝ているハメドに聞こえないように小声で会話しました。しかし本当は起きていたハメドは、こっそり話を聞いていました。
シナが老人と共に森林保護局まで出掛けたため、ハメドはまたもや1人で森を歩き、ハンターを探すシナの真似をしてみました。ところがその間に、小屋の暖炉でボヤが起きてしまいます。帰ってきたシナは、ハメドにきつく注意しました。それでもシナは、顔を煤だらけにしてしょげたハメドを見ると、樽の風呂を用意し、風呂上がりに風邪を引かないようにと、マフラーを巻いてやりました。シナの優しさに触れたハメドは、森へ行った理由を正直に打ち明けます。以前と同じようなハンターの音がしたからです。音の正体は戦場へ向かう列車によるものでした。シナは叱ることなく「森の男になったな」と、ハメドを褒めるのでした。

シナの用事で一緒に森へ出たハメドは、少し年上のハンターのヤクブと出会います。兵隊でもあるヤクブからボスタンの話を聞いたハメドは、郷愁にかられました。家族と離れて、もう43日も経過していたのです。そこでハメドはシナと共に有識者のもとを訪ねてみますが、ボスタンはまだイラクの領地であり、しばらくは森で過ごした方が安全だと言い渡されてしまいました。
誰も来ない小屋での暮らしが辛くなったハメドは、ヤクブの家に遊びに行きます。奇遇にもヤクブの祖父は、先日シナに会いに来た老人でした。兵役経験のあるヤクブから、ボスタンが取り戻せる日は近いと聞いたハメドは、実家に戻りたくなって、小屋に帰ると荷造りをしました。シナにその旨を申し出ますが、今はまだ危険な状況です。シナは春まで待つよう強く訴えました。シナもまた、いつしかハメドを家族のように思っていて、彼が去る淋しさに耐えられません。シナの説得が効き、ハメドは森に留まることにしました。

【結】- スプリング春へのあらすじ4

程なくしてヤクブが出兵することに。駅で見送ったハメドは、戦地へ向かうヤクブを案じ、シナから貰った大切なマフラーを渡しました。その帰り、突然の大雨に見舞われます。ハメドは雨具もないまま森で迷いました。ハメドを探しに出たシナは、豊富な知識を生かして、広大な森でハメドを導きます。ハメドは谷で足を滑らせて全身ずぶ濡れになりながらも、どうにかシナと合流できました。しかしハメドは、高熱を出して寝込んでしまいます。
妻の死に際がよぎったシナは夜が明けると、小屋から離れた場所にいる医師を迎えに行き、診察を依頼します。診察が終わり、医師を家まで送ろうとするシナに対し「"息子さん“のそばにいてください」と医師。その言葉をシナは否定せず、「息子は治りますか?」と尋ねました。明朝までに治らない場合は町の病院へ行くことを勧められ、シナは医師を1人で帰らせました。しかし夜になってもハメドの咳は止まらず、シナは寝ずに看病します。熱も下がらないハメドの足を温め、「治るから。町の病院へ連れて行くから」と励まし、体をさすってやりました。

シナは寝不足で疲労を抱えながら、朝を迎えました。寝言で「ボスタン…」と呟くハメドに目をやったシナは、医師の家で聞こえて来たラジオが、“勝利は明白”と伝えていたのを思い出します。シナが地下に隠していたラジオのスイッチを急いで入れると、イランの勝利が叫ばれていました。喜んだシナは、慌ててハメドを起こします。「今朝一番で、ボスタンを取り戻した」とのラジオの声に、シナとハメドは涙しながら、きつく抱き合いました。

みんなの感想

ライターの感想

戦時中に作られたとのことで、いかに終戦を願っているかが伝わる内容でした。実際は今作公開から停戦までに3年もかかったんですね(涙)ラストは”勝利”に喜んでいる設定にしていますが、戦に勝つことをよしとしているのではなく、反戦を訴えているのだと感じました。
35年程前の作品でリマスターもされておらず、何かと古臭い印象は否めず、吹替えも本人の音声ではないと思いますが、主演のメヒディ・アサディの演技が素晴らしかったです。大人になってからはジャリリ監督作で助監督をしているそうで。美貌と演技力からして、俳優の道に進んでほしかったなぁ…と思ってしまいました。

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