映画:デッドマン

「デッドマン」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

デッドマンの紹介:ジム・ジャームッシュ監督が手がける、1995年のモノクロのウェスタン映画。主演はジョニー・デップ。劇中で流れるギターは、本編を観ながらニール・ヤングが即興で弾いている。日本公開は1995年。

あらすじ動画

デッドマンの主な出演者

ウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップ)、ノーボディ(ゲイリー・ファーマー)、ジョン・スコフィールド(ジョン・ハート)、ジョン・ディッキンソン(ロバート・ミッチャム)、チャーリー・ディッキンソン(ガブリエル・バーン)、セル・ラッセル(ミリ・アヴィタル)、コール・ウィルソン(ランス・ヘンリクセン)、コンウェイ・トゥイル(マイケル・ウィンコット)、ジョニー・ザ・キッド(ユージン・バード)、女装のサリー(イギー・ポップ)、ビッグ・ジョージ(ビリー・ボブ・ソーントン)、ベンモント・テンチ(ジャレッド・ハリス)、ノーボディのガールフレンド(ミッチェル・スラッシュ)、機関士(クリスピン・グローヴァー)、白人交易所の男(アルフレッド・モリーナ)

デッドマンのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- デッドマンのあらすじ1

「死人とは旅をせぬほうがよい」という、フランスの詩人アンリ・ミショーの言葉から物語が始まります。

会計士の青年ウィリアム・ブレイクは、汽車に揺られていました。
彼はアメリカ東部のクリーヴランドから、職を求めて西部の終点の町マシーンへ向かっています。
ブレイクが居眠りをしているうちに、車内の乗客に眼光鋭い猟師が増えていき、都会人の彼は首をすくめます。
そんなブレイクの前に、ススで顔を真っ黒にした機関士の男が現れます。彼はブレイクに窓の外を見るように言って、「まるで船が止まっているようだ」と不思議なことを語ります。
男に行き先を問われたブレイクは、マシーンにあるディッキンソン金属会社に会計士として雇われたと説明し、採用通知を見せます。
しかし男は、手紙など信用できないと持論を展開し、「行き着く先は墓場だ」と不吉なことを漏らすのでした。
すると、車内に銃声が響き渡ります。猟師たちが一斉に車窓からバッファローを撃ち始めたのです。ブレイクは行く末を案じるのでした。

汽車はマシーンに到着し、ブレイクは下車します。
寂れた空気が充満する町には、いたるところに動物の骨が立てかけられており、路地では男と娼婦が行為に及んでいました。
小ぎれいなスーツに身を固めたブレイクは明らかに浮いており、人相の悪い住民たちに睨まれながら先へと進んでいきます。

やっとの思いで事務所に辿り着いたブレイクは、支配人のジョン・スコフィールドに挨拶をします。ところが、来るのがひと月遅く、すでにほかの会計士を雇ってしまったと告げられます。
ブレイクが社長に直談判すると提案すると、何故かその場にいる全員からあざ笑われてしまいます。身を引けなくなったブレイクは、チャーリー・ディッキンソン社長の部屋へ行きますが、突然彼に銃を向けられます。
ブレイクはディッキンソンに、両親の葬儀を終えて有り金をはたいてやってきたと必死に説明しますが、引き下がるほかありませんでした。

途方に暮れるブレイクは、酒場でウィスキーを購入して外で飲みます。
すると、酒場から出てきた花売りの娘のセル・ラッセルが、大柄の中年男に「淫売に戻れ」と罵られ、突き飛ばされる現場を目撃します。
ブレイクが倒れたセルに駆け寄ると、彼女に家まで送ってほしいと頼まれます。行く当てのない彼は、セルについて行くことにしました。

セルの部屋には大量の造花がありました。彼女はいつか絹で作った造花に高級な香水を振りかけて売ることが夢だと、ブレイクに語ります。
そして2人はお決まりのようにベッドインして、ブレイクはセルの枕元から銃を発見します。彼女は「ここはアメリカだから」と言って取り上げると、突然チャーリーという名の男が現れます。
元恋人だったらしいチャーリーは、セルのことが忘れられないと迫りますが、彼女は何も言いません。
チャーリーはしおらしく部屋を後にするのかと思いきや、ブレイクに向かって銃を向けます。セルがとっさにブレイクをかばった瞬間発砲し、彼女は即死しました。
ブレイクは反射的にセルの銃を手に取って、チャーリーめがけて発砲します。3発目に彼の首に当たり、チャーリーも死亡しました。

ところが、ブレイク自身もセルを撃った銃弾が突き抜け、心臓の脇に打ち込まれて重傷を負っていたのです。
激しく動揺するブレイクは、慌てて2階の窓から逃走を図り、道路に落下して気絶してしまうのでした。

【承】- デッドマンのあらすじ2

目を覚ましたブレイクは、森の中にいました。
傍らにはインディアンの男がおり、ナイフを使ってブレイクの胸から銃弾をほじり出そうとしている最中でした。

その頃、ディッキンソン社長は3人の殺し屋を雇っていました。
呼ばれたのは、伝説の殺し屋と称されるコール・ウィルソン、有能ですがおしゃべりが玉に瑕のコンウェイ・トゥイル、そしてまだ10代前半の黒人の殺し屋ジョニー・ザ・キッドでした。
チャーリーは社長の息子で、彼とその婚約者だったセルを殺害したブレイクを(彼女を実際に殺害したのはチャーリー)、必ず捕らえるよう3人に命じます。
ウィルソンは、自分は一匹狼なので人と組むのが嫌だと意見しますが、ディッキンソン社長は有無を言わせませんでした。

一方森では、インディアンが「白人は嫌いだ」とぼやきながら、ブレイクを介抱していました。
インディアンは「お前を殺した男を殺したか」と不思議な質問をします。ブレイクは訝しそうに「僕はまだ死んでいない」と答えるのでした。
続いてインディアンは、ブレイクの名前を尋ねます。フルネームで答えると、インディアンは取り乱します。インディアンは嘘をついていないかと詰め寄りますが、再度本名だと答えると、「お前はデッド・マン(死んだ男)だ」と告げました。
そしてインディアンは、18世紀のイギリスの詩人であるウィリアム・ブレイクの詩を読み上げます。しかし、詩人の存在を知らないブレイクは話についていけませんでした。
今度はブレイクがインディアンに名前を尋ねます。すると、彼は「ノーボディ」と答えました。誰でもないことを意味する呼び名が気に入っているのだと付け加えます。
ブレイクの名前を知ったノーボディは、心なしか彼への扱いが丁寧になります。
ノーボディは「タバコを持っていないか?」とブレイクに尋ねますが、彼は吸いませんでした。

心臓の脇に銃弾を抱えたままのブレイクは、馬に乗ってノーボディと森の中を進んでいきます。
ブレイクは銃を持つことに抵抗を感じていましたが、ノーボディは「銃はお前の舌だ」と告げて、ウィリアム・ブレイクの詩は血で書かれるのだと語りました。
道中、ブレイクは謎に包まれたノーボディの身の上を尋ねます。
ノーボディによると、2つの部族の混血として生まれた彼は、両方の部族に蔑まれて孤独な少年時代を送ったといいます。
その後イギリスの兵隊に捕らえられたノーボディは、海を渡ってイギリスで見世物にされました。人々の「野蛮人」への関心を薄れさせるために、ノーボディがイギリス人の真似をすると、今度は学校に入れられたのです。
学校で文字を覚えた彼が出会ったのがウィリアム・ブレイクの詩集で、感銘を受けたといいます。
それから故郷に戻りますが、彼の話は誰からも信じてもらえず、以降「ノーボディ」と名乗るようになったというのです。

その頃3人の殺し屋は、ブレイクたちが通り過ぎた森を歩んでいました。
夜、コンウェイはジョニーに、ウィルソンが自分の両親を犯した人物であることをこっそり教えます。
ジョニーが「両親?」と聞き返すと、コンウェイは父親と母親を犯したのちに殺害し、挙げ句の果てに2人を煮て食べたのだと付け加えるのでした。

夜、ブレイクとノーボディは、怪しい風貌の3人の猟師が食事をしているところを、窪地から眺めていました。
ノーボディはブレイクに彼らと接触するよう提案し、ノーボディがついているから心配ないと言葉をかけました。
女装のサリー、ビッグ・ジョージ、ベンモント・テンチは、サリーお手製の野ねずみの煮込みを食べながら、ローマ帝国の話で盛り上がっていました。
空腹のブレイクは恐る恐る近づいて、食事を分けてもらえないかと交渉します。すると3人はブレイクを取り囲んで髪を触り、彼を獲物と称して奪い合いになります。
やがてジョージとベンモントの撃ち合いに発展しますが、助けにやってきたノーボディがジョージの首を背後から切り裂き、ブレイクは銃でベンモントを一発で仕留めます。
そして残されたサリーは、ノーボディが手にしたライフルで撃ち殺されました。
ブレイクは絶品の煮込みを持って、ノーボディとその場を離れるのでした。

【転】- デッドマンのあらすじ3

ディッキンソン社長はブレイクに懸賞金をかけており、森を歩く人間がわかるように、あちこちに手配書を貼っていました。
「チャーリーとセルを殺害した凶悪犯」という文言を見たブレイクは、怒り狂って手配書を破り捨てます。
その夜、衰弱して寝込むブレイクの顔に、ノーボディはインディアンのペイントを施します。ブレイクは自分のメガネをかけてはしゃぐノーボディを見て、「変わった男だな」と微笑みました。
やがてブレイクが眠りにつくと、ノーボディは「霊よ、彼を守りたまえ」と言葉を残して、どこかへ消えてしまうのでした。

翌朝、ブレイクはノーボディを探し回ります。
そこへブレイクを始末するためにやってきた保安官とその助手が近づいてきます。2人は手配書に書かれた情報と照らし合わせながら、ブレイクの動向を警戒します。

その頃、殺し屋3人組も森の中で手配書を見つけていました。
ディッキンソン社長から専属契約と聞かされていた3人は激怒し、ジョニーは苛立ちのあまりウィルソンに悪態をついてしまいます。
するとウィルソンはジョニーを一瞬で射殺し、殺し屋が一人減るのでした。

保安官たちはブレイクに銃を向けて、「ウィリアム・ブレイクか?」と尋ねます。
するとブレイクは銃を構え、「僕の詩を知っているのか?」と聞き返してから、2人を容赦なく撃ち殺すのでした。

ウィルソンとコンウェイは、保安官たちの遺体を発見します。
スキンヘッドの保安官の頭の下には枝が敷かれており、それを見たウィルソンは後光が差しているようだと呟きます。そして、何故か遺体の頭を踏みつけて潰すのでした。
その後もブレイクを追って歩みを進めますが、おしゃべりなコンウェイがウィルソンにドイツ系かと尋ねると、彼は「オーストリアだ」と答えて、銃声がします。
夜、ウィルソンは人間の腕のようなものを焼いて食べ、コンウェイはそれきり姿を見せませんでした。

孤独に森を進むブレイクが、夜眠りにつこうとすると、いつの間にかインディアンの男女に囲まれていました。
慌てて銃を取るブレイクでしたが、インディアンはすぐに姿を消してしまいます。

翌朝、森を歩いていたブレイクは、首筋を撃たれた子鹿の亡骸を発見します。
ブレイクは子鹿の血を眉間に塗り、まだ自分の胸から流れる血と混ぜ合わせて、体にこすりつけます。
さらにブレイクは、子鹿と同じポーズでその場に横たわり、添い寝をするのでした。

再び歩き出したブレイクは、不気味な唸り声を耳にします。近づいてみると、布にくるまった人間らしき生物と遭遇します。
そこから下半身を露出した男が突進してきて、ブレイクは発砲しますが弾切れでした。男と共に倒れたブレイクでしたが、その正体はノーボディで、2人は再会を喜んで抱き合います。
しかし、ノーボディと愛し合っていた女は激怒し、インディアンの言語で彼を責め立て、森の奥へ去って行きました。
ノーボディはブレイクに文句をつけて、彼女の後を追うのでした。

【結】- デッドマンのあらすじ4

ノーボディは空と海の架け橋とされる「水の鏡」に、ブレイクを連れて行くと言います。
そこへ行くためのカヌーを入手するために、白人の宣教師がいる交易所までやってきます。
ここにも手配書が大量に貼られており、その上ブレイクはこれまで森で亡くなった全ての人間の殺害犯に仕立て上げられていました。
銃弾を見つけたブレイクは、さっそく弾を補充します。
宣教師は露骨な人種差別主義者で、ノーボディが煙草を注文しても在庫切れだと言って、ブレイクが頼むとすんなりと出してくれるのでした。
やがてブレイクの正体に気づいた宣教師は、家宝にするので手配書にサインをしてほしいと頼みます。ブレイクがサインをしている隙に宣教師は銃を構えますが、ブレイクは彼の手をペンで刺し、速やかに射殺しました。
続いてドアから入ってきた刺客も一瞬で始末して、ノーボディから賞賛されます。

ブレイクはノーボディを待っている間、背後から現れた刺客に発砲されます。ブレイクは相手を仕留めますが、肩に深手を負ってしまうのでした。
ノーボディはブレイクの傷を見ても何故か手当てをせず、そのまま彼をカヌーに乗せて川を下ります。
ゆっくりと川を進みながら、ノーボディは「ウィリアム・ブレイクは伝説の人、彼は俺の友達」と陽気に歌います。ブレイクは流血が止まらず、次第に意識が薄れていきます。
そしてウィルソンもカヌーに乗って、2人の後を追ってきていました。

ノーボディは水の鏡へ行くためのカヌーを手に入れるために、インディアンの部落に上陸します。
海用のカヌーを作る名人がいるのだとブレイクに説明しますが、とうとう彼は意識を失います。ノーボディはブレイクを抱えて部落に辿り着き、たくさんのインディアンが様子をうかがっていました。
ブレイクは死装束を着せられ、気がつくと葬儀用の立派なカヌーに横たわっていました。ノーボディは「これから全ての魂の故郷に帰る」と微笑みながら語りかけます。
そして衰弱したブレイクを乗せたカヌーを、海へと押し出します。ブレイクはノーボディを不安そうに見つめますが、彼は静かに涙を流しながら手を振っていました。

そこへ追いついたウィルソンが現れ、背後からノーボディに発砲します。
ノーボディも持っていたライフルでウィルソンを撃ち、相撃ちとなった2人はその場に倒れてしまいました。
一部始終を見届けたブレイクは、そのまま目を閉じます。カヌーは大海原を漂い、やがて豆粒ほどの大きさになる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

暗いのかコミカルなのか、情けないのかかっこいいのかよくわからない、不思議なバランスを持った作品でした。「デッドマン(死人)」と「ノーボディ(誰でもない)」という名の登場人物、ウィリアム・ブレイクの詩を引用した会話、作品を引き立てるニール・ヤングのギターなどが見事に合わさって、独特の空気感を生み出しています。また、ひ弱な青年だったブレイクが散々な目に遭ううちに、別人のようにたくましく冷徹で、残酷になっていく姿に衝撃を受けました。その上、不条理な死へと向かっていく彼は透明感と魅力を増していき、最後まで目が離せませんでした。ジョニー・デップの美しさを再確認できます。

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