映画:トラベラー

「トラベラー」のネタバレあらすじと結末

トラベラーの紹介:1974年に制作されたイラン映画で、日本では約20年後に満を持して公開された。巨匠アッバス・キアロスタミ監督の長編処女作で、今作以降の作品同様に出演者は素人を起用している。落ちこぼれで親にも見放されている少年ガッセムは、サッカーに夢中。イラン代表の一戦をどうしても観戦したい彼は、テヘランのスタジアムへ向かう計画を立てる。様々な悪事を働いて金をかき集めるガッセムだったが…。

あらすじ動画

トラベラーの主な出演者

ガッセム(ハッサン・ダラビ)、アクバル(マスード・ザンベグレー)

トラベラーのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- トラベラーのあらすじ1

イラン南部の田舎町。10歳のガッセムはサッカーが大好きな少年です。自身がリーダーを務めるサッカーチームでは、路地裏に手作りした小さなゴールポストを置いてゲームを楽しむ日々。そんなガッセムは学校をさぼりがちで、昨年は落第も経験しました。教師も家族も落ちこぼれのガッセムにあきれ顔。それでも大人たちの反応をものともしないガッセムの頭の中は、常にサッカーのことでいっぱいでした。

ある日のガッセムは、サッカー中にぼんやりとしていて、ゲームで大敗してしまいます。明日テヘランで行われるイラン代表の重大な一戦が気になり、集中できなかったのが原因でした。ガッセムがテヘランに行きたいと言い出すと、友人のアクバルから「お金はどうするの?」と根本的な疑問を投げかけられました。
その夜。ガッセムの母が、息子の教育に協力しない夫を責め立てていました。両親の険悪な雰囲気などガッセムにはどこ吹く風で、彼はテヘランまでの旅費を用意するため、家にある金目の物を探しています。抜け目がないガッセムは、母がお布施用のお札を絨毯の下に隠したのを見逃しませんでした。

【承】- トラベラーのあらすじ2

翌日。お布施用のお金が無くなったことに気付いたガッセムの母は息子の仕業と見込み、学校へ向かいます。校長室に乗り込んだ母は、ガッセムが悪行を働くのは、学校の指導がなってないからだと訴えました。一方の校長は家庭環境こそが原因だと言い、両者は責任を擦り付け合います。さすがのガッセムでも盗みを働くのは初めてのことで、もう手に負えないと感じた母は、息子の始末を校長に任せることに。呼び出されたガッセムは、校長に何度も叩かれました。それでもガッセムはイラン代表選を観戦するために、盗んでいないと白を切り続けます。ガッセムの鳴き声が教室まで響いてくるので、友人のアクバルは気が気でありませんでした。

ガッセムはアクバルを連れてバスの切符売り場へ出掛けて、料金と出発時間を確かめます。試合のチケットを買うためには、朝のうちにスタジアムに到着しなければならず、23時発の夜行バスに乗ることにしました。テヘランへの往復のバス代とスタジアムまでの交通費、チケット代を合わせると300リアル必要です。しかし手持ちの金は、まだ50リアル…。そこでガッセムは費用を稼ぐことを決意。渋るアクバルを誘い、授業を抜け出しました。

【転】- トラベラーのあらすじ3

ガッセムはまず、家から持ち出した万年筆や切手帳を売却しようとしますが、どこの店を当たっても買い取ってもらえません。そこでアクバルが、自宅の倉庫にあった叔父のカメラを提供してくれます。早速ガッセムは売却しようとしますが、店に提示された額では予算にまだまだ足りません。ずる賢いガッセムは、妙案を思いつきました。
ガッセムはアクバルをサクラにし、学校の前で写真撮影するフリをします。集まってきた低学年の子供たちに記念写真を撮ると謳い、1枚あたり5リアルを回収したのです。もちろんカメラには、フィルムなど入っていません。ガッセムは本物の写真家ばりにセリフを決め、50リアル近くを稼ぎました。

学校では明日は試験です。不安そうに勉強を始めるアクバルに対し、ガッセムは稼ぐことしか頭にありません。続いてガッセムは、チーム所有のゴールポストとボールを売ることを思いつきました。ガッセムはライバルチームの知人を言葉巧みに騙し、250リアルで買い取ってもうことに成功します。必要な額を用意できたガッセムは、テヘラン行きのバスの切符を買ってアクバルと別れました。出発を待つガッセムの気がはやります。

21時過ぎ。ガッセムは部屋でこっそりと、旅立ちの準備を始めました。静かに部屋で待機していると、心配したアクバルが窓の外から声を掛けて来ます。親にばれては困るからと、ガッセムは協力してくれたアクバルを追い返しました。その後仮眠したガッセムは、時間ギリギリになって目を覚まします。部屋の窓から家を抜け出すと、バス停へ向かって必死で走りました。遅れて到着したガッセムでしたが、間一髪でバスに乗り込みます。大人だらけの車中で、ガッセムは夜を明かしました。

【結】- トラベラーのあらすじ4

朝早くバスはテヘランに到着し、ガッセムは人に尋ねてスタジアムに向かいますが、すでにチケットを求める長蛇の列が出来ていました。並び続けてようやくチケット売り場まで進んだガッセムでしたが、不運なことに、自分の前の人でチケットが完売してしまいます。ガッセムが「朝から並んだ」と警備員に訴えても、まったく聞き入れてもらえません。諦めきれないガッセムは残金をはたいて、ダフ屋から200リアルでチケットを買い、スタジアムへ入場しました。

席を確保したガッセムは、食費を浮かせるためにちゃっかりと家から持ってきた弁当で腹ごしらえをします。試合開始まで3時間もあると知ったガッセムは、隣の席の男性からスタジアム周辺の名所を教えてもらい、しばらくの間散策することにしました。
テヘランへ来たのが2度目のガッセムは、王立公園や競技場を巡り、ささやかな観光を楽しみます。やがて公園の芝生で昼寝をする人々を見つけたガッセムは、自分もここで一休みすることにしました。しかし移動の疲れも溜まっていたのか、ガッセムは寝入ってしまいます。深く眠り込んだガッセムは、試験中に答えが分からずに戸惑い、テヘランに来るために騙した人々にめった打ちにされる夢で目が覚めます。慌てて会場に向かったガッセムですが、すでに試合は終わっていて、スタジアムはもぬけの殻となっていました。

みんなの感想

ライターの感想

みるみるうちに自分のインナーチャイルドが呼び起こされるようで、気付けばガッセムに幼少期の自分を投影していました。愛情の飢え、それに抗うような爆発的な行動力、そして不安。ワクワクを感じさせる冒険劇でありながら、子供の繊細な心情が見事に描かれた非常に奥深い人間ドラマでした。
本当は淋しさや恐怖心だって抱えているんだよね、ガッセム(涙)時代を超えて共感度マックス。切ないです。

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