映画:ナビゲーター ある鉄道員の物語

「ナビゲーター ある鉄道員の物語」のネタバレあらすじと結末

ナビゲーター ある鉄道員の物語の紹介:2001年のイギリス・ドイツ・スペインの合作。労働階級や貧困などの社会問題を多く手掛けてきた巨匠ケン・ローチ監督が、英国鉄道に勤務していた脚本家の実際の体験を映像化した。1993年英国鉄道が民営化され、鉄道員は会社員として働くことになった。鉄道員のポールやミックは、過酷な環境下で仕事を続けるか、退職するかの選択を迫られることになり…。

あらすじ動画

ナビゲーター ある鉄道員の物語の主な出演者

ポール(ジョー・ダッティン)、ミック(トム・クレイグ)、ジェリー(ヴェン・トレイシー)、ジム(スティーヴ・ヒューイソン)、ジョン(ディーン・アンドリュース)、ハーピック<ジョンソン>(ショーン・グレン)、レン(アンディ・スワロー)、ジャック(チャーリー・ブラウン)

ナビゲーター ある鉄道員の物語のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ナビゲーター ある鉄道員の物語のあらすじ1

1993年に英国鉄道民営化法が制定され、国営企業だった英国鉄道は分割民営化されることになりました。これまで鉄道員として働いてきた数多くの人々は、会社員となったのです。

1995年、ヨークシャー南部。
鉄道員には列車の運行を陰で支える、保線(線路の点検・修理など)業務を担当する作業員たちが多くいます。定年も近いレンを現場監督とする彼の班は、ベテランのジェリー、ポール、ミック、ジョン、ジムの6人で作業しています。離婚したポールは家を追い出され、ミックの家に居候中。2人の娘にも簡単には会わせて貰えません。みな様々な事情を抱えながらも、鉄道員として誇りを持ちながら仕事をしてきました。

ある日のこと。彼らは英国鉄道の再編によってその日から突然、建設会社の社員となりました。それにより社員は、現場の人間と管理職に分けられたのです。事務主任となったハーピック(“腐れ女”という意味のあだ名)から、ポールたち現場作業員に説明がありました。今後は保線会社との契約で働くこと、契約を取付けるために今まで以上に安全に注意を払うことなど、一方的に会社の要求が伝えられます。そのうえ別の地区から働きに来ている仲間は他社の所属となり、突如ライバルと見なされて、素気無く事務所を追い出されました。ハーピックの話を笑い飛ばしていた作業員たちでしたが、“リストラ”の言葉と共に渡された書類に、表情が固まります。書類には解雇手当と引換えに退職を勧める内容が記されており、多くの作業員たちが「やってられん」と憤慨し、次々と退職を決意したのです。

翌日。40年以上勤続してきたレンも退職を決め、会社を去りました。レンの班は、今後はジョンが監督を務めることに。ジョンをリーダーとして今後の業務計画を進めますが、急に人手が減ったため、肉体労働にも関わらずこれから約3ヶ月の間は、週39時間以上働かなければならないという現状を突き付けられました。理不尽な指令を受けたのは、作業員だけではありません。事務所の清掃番も入札されることになったのです。清掃番のジャックは、掃除道具を自費で用意することや、仕事を続けたければ、半年ごとに自らを入札に掛けなくてはならなくなりました。

【承】- ナビゲーター ある鉄道員の物語のあらすじ2

それから2週間後。またもや会社が変わり、現場社員に報告もなく勤務体系を変えらました。業務量は増えるにも関わらず、新たな契約では残業が認められないので、これでは収入が激減してしまいます。現場を代表して年長のジェリーががハーピックに直訴し、日曜のタイムカードの刻印を免除してもらうという僅かな譲歩にこぎつけます。もちろん誰もこれで納得した訳ではありませんでしたが、これ以上の譲歩は望めませんでした。

レンと同じ時期に働き始めたビルは、信号電信技術があったため管理職となりました。現場出身の彼だけあって、作業員たちが新たな契約に不満があると、新会社の上層部に掛け合います。しかし上層部は「これまでの協定など無意味だ」と撥ねつけたうえに、反対する者をリストラするようビルに命じました。ビルが拒むと、上層部は脅迫のように彼に退職を求めます。更に上層部は、先日譲歩した内容の取消も言い渡しました。
会社の意向を伝える役目であるハーピックは、譲歩取消を作業員たちに発表します。しかしジェリーが簡単に引き下がるはずもなく、会社と現場との板挟み状態のハーピックに我慢の限界が…。感情を抑えきれなくなったハーピックは、いよいよ青筋を立てるのでした。それでもポールやミックたちは、ジャックをからかって盛り上がるなど、この時点ではまだ明るく和気あいあいと過ごしていました。

休日。ポールは娘たちと久々に遊びに出かけました。ところが楽しい時間もつかの間。元妻のリサから告げられたのは、養育費徴収局の調査が入ったことで、今後は給料から養育費を天引きするとの事実でした。

その後も退職者は後を絶たず、残ったのはジョンの班の5人だけ。ある日の作業中に彼らは、古い機材を一斉に撤去するよう命じられます。彼らの手に馴染んだ使いやすい機材でしたが、机上の空論でしかない上層部の命令は絶対でした。仕方なく機材を壊していると、今度は離れた地域の脱線事故にすぐに迎えとの指示が…。勤務表を記入済みのため、この場から動けないと作業員たちが訴えても、受け入れて貰えませんでした。
ジョンの班は事故現場にて、先日まで仲間だったレンたちに遭遇します。どこで情報が知れたのかは謎ですが、熟練した技術者を勧誘する手紙を受け取ったレンは、契約社員として働き始めていました。レンが以前の倍ほどの給料を貰っていると聞いたジョンの班一行は、驚きを隠せません。

【転】- ナビゲーター ある鉄道員の物語のあらすじ3

事務所に戻って給与明細を見たポールは、予想以上に養育費が天引きされていることに愕然とし、レンの高時給について聞いた矢先ということもあって、辞職すると騒ぎ立てます。ジェリーたちが必死に引き留めますが、ポールの意見に乗ったジョンも退職すると言い出し、2人はそのままあっさりと会社を去りました。ポールは会社を去る際に、淋しそうな顔をした女性事務職員と関係を持ち、心の隙間を埋めるのでした。

会社に残った作業員は、ジェリー、ミック、ジム、清掃のジャックの4人です。この人数では効率よく仕事を回すことは出来ず、会社は閉鎖されることになりました。3ヶ月の猶予を与えると会社は言うものの、会社に捨てられた形の作業員たちは、自ら新たな仕事を探さなければならないのです。
ミックとジムは早速派遣会社に登録します。同じような業務はあるものの、福利厚生が整っていない仕事ばかりで、就業に必要な証明書の更新費用も本人負担です。退職していった仲間たちから聞いていたほど、条件のよい労働条件とは到底言えませんでした。

ミックは派遣会社から紹介された現場に行きますが、10人は必要な作業に対し集まったのはたった6人でした。その半分が素人だったり、不法就労者だったり…。更には未経験の現場監督が無謀な業務を指示するので、怒りっぽいミックは激しく反発します。しかしこの勤務態度により、ミックはたった1日で、同じ現場の契約を切られました。
一方のポールは退職金で得た資金で、娘たちを招くための新たな部屋を借り、ミックの家を出て行きました。幸先が順調と思われたポールでしたが、契約会社からはシビアな条件を突き付けられ、現実に失望するばかりです。

しばらく仕事の依頼がないミックは、ずっと家にいました。家事を手伝おうとしてもうまくできず、手を焼かされた妻から、外で働くよう懇願されてしまいます。久々に派遣会社に顔を出したミックは、先日揉めた現場監督から悪い評価を報告されたことで、業務依頼が保留されていたことを知りました。ミックは「もう一度チャンスをくれ」と、担当者に縋るしかありません。

【結】- ナビゲーター ある鉄道員の物語のあらすじ4

会社にたった1人残留していたジェリーは、事務所の女性職員に「辞めたポールとどっちが勝ち?」と、冗談めかして尋ねられます。ジェリーは観念したように、どちらも負けという意味でチェスになぞらえ、“チェックメイト”と答えるのでした。
1人で線路側溝の修理に出向いたジェリーは、派遣会社から来たポール、ミック、ジョン、ジムと合流し、かつての班が再集結します。5人の息はぴったりと合い、作業は捗りました。メンバーは会社に残るジェリーに退職を勧めますが、ジェリーの考えは変わりません。

後日。派遣組の4人が出向いた現場にて、過酷な作業をこなせば、今後も仕事を回すと担当者から持ち掛けられます。4人は厳しい状況と理解しながらも、引き受けました。
しかしやはり人手が足りないため、夜遅くまで作業は続きます。作業中に必須な列車の見張り役も立てられず、列車が来ていることに気付かなかったジムが轢かれました。救急車を呼ぼうと焦るジョンとポールに対し、ミックは「安全規定を無視した自分たちが罰せられる」と2人を止めます。ジョンはとりあえず救急車を呼びに行きましたが、上部の道路で車に轢かれたことにすればよいとミックが提案。しかしポールは「瀕死状態のジムを動かすことは出来ない」と、泣きながら躊躇います。それでもミックが意見を曲げないため、ポールも不本意ながら同意することに。到着した救急隊員に3人は、ジムは車に轢き逃げ逃げされたと虚偽の報告をしました。

結局ジムは助かりませんでした。ジムの葬儀日程を伝えるため、3人揃ってジェリーを訪ねます。事故状況を問うジェリーに3人は嘘を貫き、ジムの遺品を彼の母親に渡すようジェリーに託しました。ジムの母に事故について説明できないジェリーは「お前らが渡した方がいいのでは?」と反応するものの、罪悪感を抱えた3人がジムの母親に顔を合わせることなど、出来そうにありません。腑に落ちない様子のジェリーを残し、3人は足早に立ち去るのでした。

みんなの感想

ライターの感想

ケン・ローチ監督の作品だけあって、出演者の多くは実際の作業員だと思うのですが、現場でのふるまいや事務所での雑然とした会話などがとてもリアルでした。あんな結末を迎えるだろうと鑑賞者も確信してしまうのは、ポールたちに共感するよう、巧みな演出が仕掛けられているからではないでしょうか。“国の敵”とまで言われても、闇とも呼べる真実を伝え続ける監督に敬意を表したいです。
月並みな意見ではありますが、今作のテーマはイギリスだけではなく、世界中のあらゆる地域で、対岸の火事ではないと痛感しました。もちろん、わが国ニッポンも。

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