「ハッシュ!」のネタバレあらすじと結末の感想

ヒューマンドラマ

ハッシュ!の紹介:2002年公開の日本映画。監督・脚本は「ぐるりのこと」などで知られる橋口亮輔。ゲイのカップルと子どもがほしい女性の不思議な人間模様を描く。キネマ旬報ベストテン第2位を受賞した。

予告動画

ハッシュ!の主な出演者

栗田勝裕(田辺誠一)、長谷直也(高橋和也)、藤倉朝子(片岡礼子)、長谷克美(冨士眞奈美)、栗田勝治(光石研)、栗田容子(秋野暢子)、永田エミ(つぐみ)、ユウジ(山中聡)

ハッシュ!のネタバレあらすじ

【起】- ハッシュ!のあらすじ1

土木研究所で働く栗田勝裕は、自身がゲイであることを周囲に隠して生きていました。密かに好意を寄せていた同僚の結婚に落ち込んでいたときに、ペットショップで働く長谷直也と出会い、交際をスタートさせます。
直也はハッテン場に通って、一夜のパートナーを見つけるようなゲイの男性でした。直也は母親や勤務先にもゲイであることをカミングアウトしており、勝裕との交際も周囲に公表していいと考えていました。そんな2人の間にはわずかな心のずれがありましたが、仲のいい恋人同士でした。
2人がそば屋で食事をしているときに、歯科技工士の藤倉朝子と出会います。朝子は好きでもない年下の男と肉体関係を持っている女性で、過去には中絶を経験していました。あるとき彼女は筋層内筋腫を患い、手術で切除するように勧められました。
朝子は勝裕と直哉の会話を聞いているうちに、2人が付き合っていることに気付きます。その後朝子が会計を済ませると、傘が盗まれていました。朝子は店員と口論になり、それを見ていた勝裕は朝子に傘を貸します。
しかし、朝子は勝裕の傘を壊してしまい、新品を買って会社まで届けに行きます。そこで勝裕に想いを寄せている永田エミという事務員と出会います。彼女は両足の長さが少し違う障害があり、勝裕にそのことを打ち明けていました。
朝子は勝裕にゲイであることを知っていると話し、突然子どもが欲しいと告げます。恋愛や結婚がしたいのではなく、ただ勝裕の精子が欲しいと詰め寄り、勝裕を困惑させます。そして、エミが見ている前で勝裕に抱きつきました。
その後エミは、初対面の朝子を鉄板焼き屋に呼び出して、もうじき勝裕と結婚すると吹聴します。

【承】- ハッシュ!のあらすじ2

勝裕は自身がゲイであることを自覚しながら、普通に対する憧れも捨てきれずにいました。
勝裕は朝子に子どもが欲しいと詰め寄られた話を直也にします。当然直也は憤慨し、ゲイなのだから家庭や子どもは持てないもので、1人で生きる覚悟がなければやっていけないと主張します。その後2人はケンカをしますが、仲直りをして一緒のベッドで眠りにつきます。
ある朝、勝裕の携帯を間違えて持ってきた直也は、朝子からの電話をとり、2人で会うことにします。朝子を行きつけのゲイバーへ連れて行くと、直也の友人・ユウジが朝子を侮辱するような言葉を浴びせかけます。ユウジの言動に激怒した朝子は、ゲイバーを出るときに「文句があるなら直接言って」と直也に言いました。
勝裕は友人の結婚式のために、実家に帰省しました。兄の勝治と父親が酒乱で早くに亡くなったことなどを語り合います。東京に戻ってきた勝裕は、朝子と子どもを作る話を考えたいと直也に提案します。勝裕は朝子について「子どものことに関しては本気な人だから、本気な人には本気で応えたい」と語り、直也は渋々受け入れます。
そして勝裕と直也、朝子の3人は、どうやって子どもを作るか計画を立てます。朝子はスポイトで勝裕の精子を採取する予定だと告げます。それから3人はボーリング場に出かけたり、赤ちゃんのための買い物をしたりなど楽しい時間を過ごして、少しずつ距離を縮めていきました。

【転】- ハッシュ!のあらすじ3

そんなとき、勝裕に片想いをするエミが、興信所を使って勝裕と直也の関係を暴き出し、双方の実家に勝手に連絡をとってしまいます。
勝裕と直也が暮らすマンションに、勝治一家と直也の母が訪ねてきて、緊迫した状況になります。そこに運悪く朝子も居合わせてしまい、勝裕と朝子の関係を疑っていたエミは、朝子の過去も暴いていました。
2人の家族は朝子の出産を強く反対し、朝子の精神科通いや、子どもを二度も中絶している過去を持ち出して、親になる資格はないと責めます。しかし、朝子はこれまで投げやりに生きていたけれど、勝裕と直也に出会ってから人生をあきらめていないことに気付いたこと、2人がいればその先に子どもがいても大丈夫だと思っていると述べます。
すると勝裕の義姉である容子が、朝子に猛反論します。古いしきたりの家庭で苦労をしてきた容子は、家族制度に縛られない朝子に憤慨したのです。家族を作ることは簡単ではないこと、子どもを2人も中絶しておいて自分の都合でまた作ろうとするのは身勝手であること、そして子どもを育てるのは苦しいことだとまくし立てます。
怒りが頂点にまで達した朝子は気絶してしまい、その場は一時収まります。その後、勝裕は兄から自身がゲイであることを知っていたと告げられます。勝治は「兄弟やからわかるよ」と言って、家族を連れてマンションを後にします。
その後、ふさぎこんでしまった朝子のもとを勝裕と直也が訪ねて、「女の家じゃない」と悪態をつきました。

【結】- ハッシュ!のあらすじ4

あるとき、エミが勝裕に電話をかけてきます。
勝裕は直也を連れて、夜の公園でエミと会います。エミは勝裕にネクタイを渡しますが、勝裕は彼女の好意を受け取ることはできません。するとエミは号泣して勝裕を引き留め、直也は置いて帰ろうと言いますが、勝裕は見捨てることに抵抗しました。
帰宅した直也は、勝裕の優柔不断な態度は相手のためにならないと怒ります。勝裕は、エミや朝子、兄家族などの面倒な関係は本当なら切ってしまいたいけれど、それはできないと言います。理由はわからないけれど、これが自分なのだと主張するのでした。
そんなとき、勝治が交通事故で急逝したと知らせが入ります。その後家を売り払って、あっけらかんと暮らす容子たちの姿を見て、勝裕は家族という存在の大切さを思い知ります。実家の跡地に行った帰り、突然勝裕はしゃがみこんで泣き出します。直也と朝子は川面に石を投げながら、勝裕をそっと見守りました。
その後、朝子は勝裕と直也に手伝ってもらい、引っ越しを完了させます。3人はコタツで鍋を囲み、朝子は体外受精で使用するスポイトを2本出します。「1人っ子はかわいそうだから2人目は直也と作る」と言って、2人にスポイトを手渡す場面で物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

女性は受け付けないけれど、子どもを持ちたいと考えているゲイの人もいるのだろうな、と改めて考えさせられる作品でした。ゲイの人に子どもが欲しいと頼む行為は、大抵の人がおかしいと言って断ると思います。ですが、朝子の真剣さに向き合おうとする勝裕の誠実な態度を見て、自分はもしかすると社会常識から考えて「おかしい」と言っているだけなのかもしれないと、気付きを与えられました。自身のセクシャリティや苦い過去などから家族というものに距離を置いていた3人が、家族を持てるかもしれない可能性を見出して関係を深めていく姿は、観ていて微笑ましかったです。一方で、自由な形の家族とは対極の存在とも言える兄嫁の容子の「形があることで家族を持つことへの覚悟ができる」という主張も理解できます。まっとうでいることは決して簡単ではなく、多くの人が抱えている息苦しさも、逃げずに描かれていました。

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