映画:バッカスレディ

「バッカスレディ」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

バッカス・レディの紹介:韓国チョンノ(鍾路)界隈を根城にする中高年者相手の売春婦”バッカス・レディ”の悲喜劇を描いた2016年制作の韓国映画。監督/脚本は「純愛譜」「世界で一番愛しい君へ」のイ・ジェヨン。主演は「ハウスメイド」「自由が丘で」などのおばあさん役で知られるユン・ヨジョン。

あらすじ動画

バッカスレディの主な出演者

ユン・ソヨン/ヤン・ミスク(ユン・ヨジョン)、チェウ(チョン・ムソン)、ドフン(ユン・ゲサン)、ティナ・ファン(アン・アジュ)、カン・ミノ(チェ・ヒョンジュン)、その母カミラ(Cherrish ramirez)、産婦人科医カン・ジュウォン(ソ・ヒョヌ)、セビロ〈背広〉・ソン(パク・キュチェ)、チョンス(チョ・サンゴン)、チョン・ポッキ(イェ・スジョン)、映画監督(チョン・ジェウン)、商売敵の女(パク・スンテ)など。

バッカスレディのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- バッカスレディのあらすじ1

バッカスレディのシーン1 韓国チョンノ(鍾路)界隈。バッカスおばあさん(ドリンク剤”バッカス”を符号にした中高年相手の売春婦)ユン・ソヨンは、客に淋病を感染(うつ)され産婦人科にかかります。
彼女は入口にいた人待ち顔の幼い男の子に声を掛けますが返事をしないため通り過ぎ、支払いを済ませた頃に、診察室で医者がフィリピン人女性と揉めてハサミで刺され、騒動になります。
その女性は出入口で警備員に取り押さえられ、フィリピン語で「ミノ!逃げて!」と叫んだ途端、入口にいた少年が道路へと駆け出し、危うく轢かれそうになります。それを見ていたソヨンはミノを匿いやむなく連れ帰る事に。

ソヨンの部屋は古い一軒家のシェアハウスで、2階にはトランスジェンダーでオカマバー”G-SPOT”の経営者である大家のティナ・ファン、1階のお向いには片足を失ったフィギュア作家の若者ドフン、近所のスーパーで働く外国人労働者アディンドゥなどがいて、皆それぞれの状況を理解し、折り合って暮らしています。
ミノは韓国語が分らないのか一切口をきかず、手には先ほどの事故でケガをしていました。
ソヨンは手当てをして食事もさせますが、ミノは泣きも騒ぎもせず、食べるだけ食べて寝てしまいます。ソヨンは彼のリュックを調べ、彼の絵日記に挟んであった産婦人科医と赤ん坊を抱いたフィリピン人女性との家族写真を見て事情を察します。

翌日、ミノをティナに預けて仕事に出ようとしますが、ヤクザの在日韓国人の先客があり、やむなくドフンに預けて出掛けます。
彼女の縄張りはチョンノ(鍾路)のタプコル公園(旧パゴダ公園)で、客は中高年の老人たちです。商売敵は「”バッカス”はいかが?」と客を誘っていましたが、”イカせ上手”と評判の彼女には男性客の方から声をかけてくるのです。
その日は件の病気のため性交はできませんが、テクニックで満足させていきます。
また街で声をかけた若い男性客を宿に連れ込みますが、男は映画監督で「”バッカスおばあさん”の悲惨な実情を訴えるため、ドキュメンタリーを撮ってる」と打ち明け、取材を申し込まれます。彼女は「婆さんて言わないで!気が滅入るのよ!」と怒ってホテル代だけ取って分かれます。

その間、携帯には何度も着信がありましたが、彼女が帰宅したのは夜で、ドフンの部屋は食事も手つかずでもぬけの殻、彼女が連絡して初めて、ミノがいなくなったと知り合流して探し始めます。
ミノは若いフィリピン人の店員がいる小さな旅行会社に母親を探しに行き、保護されていました。ミノの母親の事件はニュースになっており、ソヨンは「そんな事情があって一時預かってる」と話します。
ドフンは店員に「同郷のあんたが預かれば」と言いますが、店員は預かれない事情があると謝り、ミノに菓子を持たせてフィリピン語で言い含め、2人には”移住女性緊急支援センター”に行ってはどうかと連絡先を教えます。

ソヨンとミノはおばあちゃんと孫のように暮らし始め、ミノはハウスの住人の外国人労働者アディンドゥにはたどたどしい韓国語で「僕はカン・ミノです」と挨拶を返したりもします。
その日はドフンが留守で、彼女はやむなくミノを連れて仕事に出ますが、ミノを受付に預けて行為に及ぼうとした矢先に手入れがあり、孫連れのフリをして切り抜けます。
2人はアディンドゥのスーパーでアイスを買って帰宅しますが、その頃ハウスでは、筋トレ中のドフンをティナがかまって義足を突き付けられ、「ティナは神様からの授かり物を勝手に取り換えた(性転換)から天国には行けないかも」と言い返されていました。
そこに2人が戻り、次はティナが預かるとは言いますが、どちらにせよミノの情緒教育的には良いとは思えませんでした。

【承】- バッカスレディのあらすじ2

バッカスレディのシーン2 翌日、ソヨンはミノをドフンに預けて仕事に出ようとしますが、ニュースでは「ミノの母親が医者を訴えるため子供を探してる」と流れていたそうで、いよいよ移住民支援センターに相談すべきでは?と言われます。
ソヨンは「そもそもどうして自分がミノの面倒を見てるのか分らないし、相談するつもりだ」と受け流し、出掛けて行きます。
件の産婦人科は事件の噂で持ちきりで、看護師は「医者は傷も浅く近々復帰する予定で、刺した女(ミノの母親)はまだ拘置所にいる」「医者は大金持ちの婿で子供が3人、どうなるか興味津々」「無責任な奴らには天罰が下る」と話していました。
その後、彼女が薬局に薬を取りに行った際、商売敵の女に処方箋を見られてしまい、淋病だと言いふらされてケンカになり、ショバを変える事に。
その移動中、彼女はバスの中で花を抱えた馴染み客のチェウに会い、デートの約束をし、バラを1輪もらいます。チェウは優しくて品のいい穏やかなおじいさんです。

移動先の公園には、路傍にトレーニング器具が設置してあり、彼女は鍛えていた老人に声を掛け、いい雰囲気になりますが、バッカスを勧めた途端「売春婦か」と言われ失敗します。
やがて街を一望できる公園のベンチに座っていた無口な老人にカマをかけますが、間もなく若作りの妻が現れ逃げ出そうとしたところで、「ヤン・ミスクさんでは?」と呼び止められます。
彼女は、ソヨンがかつて米軍キャンプ近くで”ヤン・ミスク”名で商売をしていた時の後輩チョン・ポッキで、互いに米国人の彼氏と結婚し、彼女はハッピーに、ソヨンはのんだくれの暴力亭主との日々を送るようになったのです。
ポッキは20年前にその旦那に先立たれ、聾唖のその老人と再婚し、今でもハッピーでしたが、ソヨンの旦那は行方をくらまし「子供はアメリカで元気にしてる」と話して分かれます。

ほどなくして彼女はチェウと再会し、昔話に花を咲かせます。
彼は「もう男じゃなくなった」と笑い「あの頃の顔なじみは皆、死んだか出掛けなくなった」と話していましたが、やがていつもオーダーメイドのスーツを着て潤沢な年金を持ち歩き、皆からセビロ(背広)・ソンと呼ばれていた紳士の話になります。ソンは、洒落男で気前がよく優しい上客でしたが、1年前に脳卒中で倒れて養護病院で寝たきりになったと聞いて同情した彼女は、早速見舞いに行く事に。
ソンは彼女を憶えていましたが完全な寝たきりで、言葉もおぼつかず「私は臭うだろ?」と気にして「食事すら自分でできなくて惨めだ」と嘆いていました。

一方彼女は、ドフンに付き添いを頼み、ミノを連れて移住民支援センターに相談に行きます。
当初職員は、ソヨンのした事は拉致・誘拐だと責めますが、ドフンがなだめてソヨンが続けて面倒を見る事に。
ミノの母親カミラは医者に傷害罪で訴えられ、拘置所に入れられていましたが、ミノの所在が分かり、ミノの日記に挟んであった写真を証拠に訴え出る事が決まります。
ソヨンとドフンはその足で拘置所に行き、ミノはカミラと涙の再会を果たし、彼女はフィリピン語で「もう少しの辛抱だから、おばさんの言う事を聞いてお利口さんでいてね」と言い聞かせ、ソヨンに拙い韓国語で感謝していました。

【転】- バッカスレディのあらすじ3

バッカスレディのシーン3 ソヨンは橋の下の川縁で商売を始めますが、一方でソンの見舞いも続けていました。
しかしある日、アメリカ暮らしの息子夫婦と孫たちと鉢合わせし、嫁に財産狙いの詐欺師だと疑われ「財産目当てなら見舞いに来るな」と罵られます。
彼女はかまわず、家族と入れ違いに見舞いに行きますが、ソンはその間にも粗相をして看病人におむつを替えてもらう事になり「惨めだ、殺してくれ」と泣くのです。
ソヨンは一晩思い悩んで速攻性の殺虫剤を買い、ソンの病室で長い時間悩んだ末、その口に殺虫剤を流し込みます。
ソンはむせながらも「いいんだよ」と呟き、彼女は彼の死を見届けてから病室を出ていきます。

ソヨンは暗い気持ちで商売に戻りますが、件の映画監督に再会して口説き落され、取材に応じます。
監督は「真実を話して欲しい」と要望しますが、彼女は「真実なんて誰も興味が無い、都合のいい事だけ知りたいの」と言い、そもそも”おばさん”という呼び方がイヤだと文句をつけます。
そして「チョンノ(鍾路)に来て5年、こんな年寄りに稼げる仕事は無く、空きビン拾いは死んでもイヤだし、生活のためには仕方がない」「自分の人生が欲しかった」「若い頃には手伝いや工場勤めもしたが、稼ぎがいいと聞いて米軍基地に潜り込んだ(米兵相手の売春)」と語り、「こんな話より『ローマの休日』みたいな恋愛話にしなさいよ」「夢もいいけどお金になることしなさい。私みたいに年老いて苦労する事ないわ」と諭します。

ソヨンは「一日ムダにしたわ」と話を切り上げますが、監督にもらった謝礼金でケンタッキーのチキンを買いに店に入ります。
出来上がりを待つ間、カウンターで食べていた韓国と米国のハーフの米兵に声を掛け「米国人の父親がいなくなり、韓国人の母親はどうにもできずに彼を施設に預け、赤ん坊のころ養子に出された、だから父親は知らない」という身の上話を聞き、呆然とします。
またハウスでは、2階(ティナの部屋)から降りてくるドフンと鉢合わせしますが、特に訳を聞くでもなく、チキンを買って来たから一緒に食べようと誘います。

ほどなくして彼女は公園でチェウと再会、ようやくソンがその後「嘔吐物を喉に詰まらせて死亡、家族は解剖もせずに納得した」という事で一件落着している事を知ります。
事態を知らない彼は「眠っている間に逝けてよかった」「寝たきりで長生きしたって何の意味も無い」とこぼしますが、ソヨンは上の空で「(天国では)いいところに行けたのかしら?」と呟くうち、「私がお送りした」「哀願されて、いけない事とはわかってたけど、いっそのこと死んだ方がマシだと思ってお送り(殺害)した」と打ち明けます。

ほどなくして2人は、狭く古いアパートで一人暮らしをしている老人チョンスに会いに行きます。
彼もまたかつては彼女の客=公園老人の一人でしたが、身寄りも無く、認知症を患って出かけなくなり、飲んだばかりの薬を飲んでないと言い張ったりもしています。
チェウは「このままだと彼があまりにも憐れだ」と彼女にすがり、ソヨンも一度は拒むもののやむなく応じる事に。
2人はチョンスを山登りに連れ出し、何とか昇り切ったところで、チェウがその場を離れて二人きりにします。末期の一服を終えたチョンスは、ソヨンに目で合図をして切り立った崖っぷちに立ち、彼女にうなづいて見せます。
ソヨンは怯えながらもその背中を押し、チョンスは崖下へと転落します。
チェウは麓で待っていましたが、一瞥して通り過ぎた彼女の後ろを、おずおずと追いかけていきました。

一方、カミラの裁判が始まり、ソヨンはミノをカミラに会わせ、国選弁護人のキム・ミンジェと会います。キム弁護士は「遺伝子一致の鑑定書も提出したし、認められれば毎月養育費が出るから心配ない」と話していました。
その夜、ソヨンとミノ、ティナとドフンの4人は、ティナの部屋のテラスでピザパーティーをしますが、ドフンはティナに気遣い、ソヨンは2人の関係を察します。

ほどなくしてソヨンはチェウに高級ディナーに誘われ「今日は妻の5年目の命日なんだ」と言われ、ソウルの街が一望できる高級ホテルの部屋に行きます。
彼はソヨンにビールを勧め、「実は子供がいたが事故で先立たれた」「子も妻も見送り孤独だ」と嘆き、ソヨンは「実は黒人兵士との間に子供がいたが、乳離れもせぬうち里子に出した。一生償っても償いきれない悪い母親だ」と打ち明けます。
ソヨンはその後、当然のように関係に入ろうとしますが、チェウは「本当に出来なくなった」と固辞し「実は頼み事がある。何も言わずに引き受けてくれないか」と言い出します。
「妻の祭事をしながら、一人残された僕は憐れで惨めだと感じた。何の意味があって今まで生きて来たのだろうと」「何度も(死を)思ったが恐ろしく、独りで死ぬと思うと虚しくて…怖いんだよ」と。

そして「誰か傍にいてくれれば、少しは楽に逝ける気がするんだ」と言い、彼女に用意していた大量の睡眠薬を見せて、彼女に一粒渡し、残りを全てビールで飲み下します。
彼はうろたえるソヨンに空になった口を見せ「僕は醒めない眠りにつくだけ、君はここで一眠りすればいい」と微笑んで、彼女にもその一粒を飲むよう促します。
「僕のために善行をしてくれるんだ。けして忘れない」…彼は穏やかに微笑んでいました。
2人はスーツのまま並んでベッドに横になり、夜が明けます。
独り目覚めたソヨンは、チェウが亡くなっている事を知り、大粒の涙をこぼします。

【結】- バッカスレディのあらすじ4

バッカスレディのシーン2 彼女はその足で曹渓寺大雄殿に行って手を合わせ、知らぬ間にバックに入っていた彼からの最期の手紙を開きます。
それには「無理を言って、君を傷つけて申し訳ない。僕の最期を見守ってくれたこと、心から感謝します」とあり、大金と鈴が入っていました。彼女はその中から一枚抜いて賽銭箱に入れ、再度手を合わせます。
ソヨンはその金でミノに新しい服とオモチャを買って帰り、化粧台に入れてあった自分の家族写真を手に取ります。それには若い彼女と幼い娘、大柄な黒人が映っていましたが、その顔は千切り取られています。
またティナとドフンを日帰り旅行に誘いに行き、すっかり夫婦気取りの2人を見て今さら何よと呆れます。

4人はティナの運転で遊園地に行き、思いきり遊んだ後、イムジンガク(臨津閣)の統一展望台に行き、”自由の橋”を眺めます。
ティナは「向こうが北朝鮮?お姉さんは38度線を越えたんでしょ?」と笑い、ソヨンは「そうよ。でも子供の頃の事だからあまり覚えてない」と笑っていました。

その後4人は見晴らしのいい展望レストランに行き、豪勢な食事を食べ始めます。景気がいいとツッコまれたソヨンは「パァッと使いたいお金が入ったの」と受け流しますが、その時TVのニュースでチェウの事件が流れます。
あの日、2人のホテル内での行動はすべて監視カメラで撮られており、ぼかされてはいましたが、その映像も流れていました。
チェウが彼女に渡したのは、前日に下した100万ウォン(約10万円)、事情を知らないティナは「そんなはした金で殺人とはね、最近の婆さんは恐ろしいわ」と呆れますが、報道では犯人の老女が金銭目的で殺害したとされていました。
その間3人は全く気づかず、落ち込む彼女を案じていましたが、ソヨンは「あの人にも事情があるんだわ。本当の事は誰にも分らないもの。外側だけで決めつけるのね」と呟きます。

2次会はティナのおごりで、彼女の店”G-SPOT”で彼女のショーを見る事に。しかしその怪しくも美しいショーの途中で刑事らが来て、ソヨンが連行されて行きます。
ティナはショーを切り上げ、ドフンやミノや店員たちと、分けも分からず彼女を見送ります。
その車中、ソヨンは刑事にタバコねだり、降り出した雪を見て「あら、雪。春になってからじゃダメかしら…私寒がりだから」「でもどうせ老人ホームにも入れないし、これで良かったのよ…あそこは3食出るんでしょう?おかずは何かしらねぇ」と一人ごちていました。
監獄に入っても彼女は孤独で、皆と離れて食事をし、老け込んでいき、やがて亡くなり、無縁仏として刑務所の納骨堂に収められます。
それがユン・ソヨンの人生、そして終焉の地でした。

みんなの感想

ライターの感想

原題は「죽여주는 여자」=「たまらない女」、暗喩で「イカせ上手な女」のような意味合いなのだとか。公園での彼女の評判はまさにこれであったと。
共に年配者役では大御所のソヨン役ユン・ヨジュンとチェウ役チョン・ムソンの温厚淡泊な演技に唸らされる1本です。
ただ”ハッピー”が1つも無かった彼女の人生が、最後の最後まで男性の甘えをとことん許して寄り掛かられ、その生き死にまでをも丸投げされ、それに応えるだけで終始してしまった事は、やはり腑に落ち難いかも。
ようやくハッピーが来るのかもと微妙に期待させられるチェウとの一夜が実に絶望的、赤の他人の性処理だけでは飽き足らず人生までをもおっかぶらされてなお、”生きるために食う”事しか考えられなかった彼女のあり方には、諸々考えさせられました。
そろそろ終活や人生の身仕舞をという方は一見の価値ありと思います。

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