映画:ビューティフル・ボーイ(2019年)

「ビューティフル・ボーイ(2019年)」のネタバレあらすじと結末

ビューティフル・ボーイの紹介:2018年のアメリカ映画で、日本公開は2019年4月。8年もの歳月をかけ薬物依存を克服し、現在は脚本家として活動する息子と、彼を支え続けた父や家族の姿を切実に描き出した感動の実話。父と息子それぞれの回顧録を原作に、ベルギー人監督のフェリックス・ヴァン・フルーニンゲンが見事に映像化した。タイトルはジョン・レノンの同名曲に由来。R15+作品。

あらすじ動画

ビューティフル・ボーイ(2019年)の主な出演者

デヴィッド・シェフ(スティーヴ・カレル)、ニック・シェフ(ティモシー・シャラメ)、カレン・バーバー(モーラ・ティアニー)、ローレン(ケイトリン・デヴァー)、ヴィッキー・シェフ(エイミー・ライアン)

ビューティフル・ボーイ(2019年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ビューティフル・ボーイ(2019年)のあらすじ1

音楽ライターのデヴィッドは、妻ヴィッキーとの間に長男ニックを授かります。しかしニックが幼い頃、デヴィットが離婚。ニックはデヴィッドに引取られ、愛情を一身に受けて育ちました。そのためデヴィッドとニックの結びつきはとても強く、遠く離れたLAのヴィッキーにニックが1人で会いに行く際、母に会うはずなのに彼は淋しくなってしまうのです。そんなニックにデヴィッドは「全てを越えて愛している」と伝えました。“Everything”と呟いてハグする行為は、それからもデヴィッドとニックにとって、愛情を確かめ合う時の合言葉になったのです。
その後デヴィッドは画家のカレンと再婚し、ニックの弟ジャスパーと妹デイジーが生まれました。ニックは優しい兄でよき息子であるよう精一杯生きてきました。

高校生になったニックは、成績優秀で水球選手としても才能を発揮します。受験をすれば6つの大学に合格する頭脳。穏やかな性格で賢いニックは、デヴィッドにとってまさに自慢の息子です。
ある日デヴィッドはドライブ中に、ニックから大麻を勧められました。かつてはある程度のドラッグ経験があるデヴィッドですが、大人しく優等生なニックの行動に驚きます。「みんなやってるし、現実逃避のために、たまには遊ばなきゃ」とニック。息子との“ハッパ”記念として、2人で吸おうとニックに誘われたデヴィッドは、ひと時の快楽を楽しみました。

大学進学が決まったニックは家を離れ、下宿することに。文芸に長けたデヴィッドに言わせれば、陰気な作家が好きなニックはチャールズ・ブコウスキーの作品に心酔し、じきに恋人のローレンとも出会い大学生活を満喫します。ところが…。ニックが友人のホームパーティーに出掛けた際、洗面台にあったドラッグを何となく試してみました。最初は軽い気持ちだったのに、これを機にニックは次々と新たなドラッグに手を出し、堕ちていったのです。
帰省したニックはドラッグの影響で2日間姿を消し、壊れた愛車でようやく帰宅します。ニックが大麻の中毒だと思ったデヴィッドは、嫌がるニックを入院させることにしました。

【承】- ビューティフル・ボーイ(2019年)のあらすじ2

4週間の治療を終えたニックは、更生施設で生活することに。しかし程なくしてニックは、自由時間に施設を抜け出しました。施設によれば、薬物依存の再発は回復への一部であるらしいのですが、脱走した場合は施設の責任外で、脱走者を探さないとのこと。業を煮やしたデヴィッドは、1人でニックを探しました。ようやく見つけ出したニックは、大雨の中で凍えていました。

施設へ戻ったニックはデヴィッドに問い詰められ、これまでありとあらゆるドラッグを試したこと、なかでも依存性の高いクリスタル・メス(覚醒剤のこと:通称メス)を何度も使用した理由が、初めて使った時に何よりも気持ちよかったからだと打ち明けます。自慢の息子が大麻以外にも手を染めていた事実を知ったデヴィッドは、ショックのあまり「お前の素晴らしさを取り戻せ」と声を荒らげました。ドラッグの症状もあってニックは、ただ自分に悲観しデヴィッドに謝ることしかできませんでした。

その後ニックは更生施設での治療を続け、少しずつ前向きになります。患者同士のグループセッションでは、彼の優秀さや文才などを評価されました。大学へ戻ることも勧められ、ニックは復学を果たします。
久々に帰省したニックを、彼のことが大好きなジャスパーとデイジーが大歓迎しました。ところがニックは夜に1人で出掛け、デヴィッドからの電話にも出ません。目的は決まっていました。そして翌朝、ジャスパーの貯金8ドルが消えていることが判明します。問い質されたニックは異常な逆上ぶりで、デヴィッドやカレンの静止を振り切って家を飛び出して行きました。ニックの部屋で彼のノートを見たデヴィッドは、青ざめました。ノートにはおどろおどろしいイラストが描かれ、ドラッグをやめる必要はないと何度も綴られていたのです。

息子の全てを知っていたはずなのに「この子は誰だ」と思うほど理解できなくなったデヴィッドは、専門医に相談し、メス使用者の心身への影響の大きさを知ります。脳に異常が起こるため、日常生活に戻れる成功確率は、たった1桁のパーセンテージ…。それでもデヴィッドはニックの気持ちを理解するため、ドラッグについて必死に調べました。街でメス中毒の少女から話を聞いては思わず説教し、ついにその夜自らもメスを吸引するまでに…。結果は、気分がハイになった後、激しい無気力感に襲われました。

【転】- ビューティフル・ボーイ(2019年)のあらすじ3

しばらくしてデヴィッドは、ニックと幼い頃に出掛けた馴染みのカフェで待ち合わせします。ニックはドラッグをやめて5日目だと主張する割には、唐突に金の無心をしてきました。デヴィッドに断られてもニックは折れず、2人の会話はかみ合いません。すると突如ニックが「自慢の息子じゃなくなったから、今の僕のことは嫌いなんだろ」と憤慨します。依存症の特徴である心理的恐怖の表れでした。興奮したニックは店を出て行ってしまいます。
その後NYの病院から、ニックが搬送されたと連絡が来ます。デヴィッドは自宅のあるサンフランシスコから、慌てて現地へ向かいますが、到着した時にはニックは病院を逃げ出していました。諦めて空港にいたデヴィッドの電話が鳴ります。ニックからのSOSでした。バーのカウンターで突っ伏していたニックは「ドラッグをやめた」と言うものの、到底信じることなどできません。彼の体は痩せ細っていました。力尽きてホテルの床で眠るニックに、デヴィッドは幼い頃の面影を重ねます。どんなに裏切られても、ニックが愛する息子であることに変わりはないのです。デヴィットはニックにとって最良な施設を探しだし、今後はヴィッキーが引取ることになりました。

ニックはヴィッキーと支援者のスペンサーと共に生活をする中で、落着きを取り戻していきます。施設の手伝いやドラッグ経験の講演をするなど積極的に活動し、ドラッグから1年2ヶ月も離れています。大学も無事に卒業できました。

それから2ヵ月後の週末。ニックは実家に一時帰省し、家族揃って和やかに過ごしました。ニックが“クリーン”であることを証明するため、デヴィッドが尿検査用のカップを差出します。疑われたことに抵抗を感じるものの、ニックは父の申し出に応え、ドラッグ断ちを証明しました。
今まで通りの優しい長男として2日間を過ごしたニックは、自ら運転して帰ることに。しかしその道中で淋しくなってしまったニックは、取り乱してスペンサーに電話するものの、一方的に電話を切りました。ニックはそのまま家に帰らず、密売人のいる繁華街へ…。そこでローレンと再会したニックは、彼女にもメスを勧めて一緒に摂取し、セックスに興じました。一方のデヴィッドは、出発時のニックの淋し気な表情が気になり電話をしますが、彼が応答することはありませんでした。

【結】- ビューティフル・ボーイ(2019年)のあらすじ4

2日経ってもニックが帰っていないとヴィッキーから聞いたデヴィッドは、ニックの居場所も分からないまま探しに出ようとします。冷静さを失ったデヴィットにカレンは「救えない!」と張り上げました。カレンの言葉で我に返ったデヴィットは、行くのをやめました。しかし幼い2人の子の”普通の”親として暮らしていても、仕事をしていても、デヴィッドはニックが心配で心穏かではいられません。

ジャスパーの水泳大会の日。応援に来ると約束したニックが現れることはなく、「またドラッグなの?」とジャスパーが嘆きました。その頃ニックはローレンと共に実家の留守を見計らって、勝手口を破壊して侵入します。家の中を物色していたニックは父の書斎にて、ニックのドラッグ依存について綴った『ビューティフル・ボーイ』の原稿を目にしました。ニックが動揺している間に、デヴィッドたちが戻って来ます。車で逃げたニックとローレンを、カレンが1人で猛追しました。カレンは泣きながらハンドルを切りますが、追いつくことは出来ず失望してうなだれました。
ニックは逃げ切った先で再びドラッグを摂取しますが、過剰摂取したローレンが意識を失います。ニックの心肺蘇生でローレンは目覚めますが、ERに搬送されました。現在地さえ分からないニックは混乱し、デヴィッドに電話で助けを求めます。「家に帰らせてほしい」と泣きつくニックに、デヴィットは心を鬼にして拒みました。「救ってやりたいが救えない。支援者に助けてもらえ」と突き放したデヴィッドは電話を切ると、飾ってあったニックの写真を戸棚にしまうのでした。

疲れ果てたヴィッキーに力を貸して欲しいと頼まれても、“人は救えない”と悟ったデヴィッドは、手を差し伸べることはなく静観しました。一方自暴自棄になっていたニックは、デヴィッドとの思い出のカフェにいました。トイレの中でメスを打つニックの腕は、黒い注射痕だらけです。気が遠のいていったニックは、汚れたトイレの床に力なく横たわりました。
ニックは再び施設へ収容されます。医師曰く、あれ程のドラッグ摂取をして、生きているのは奇跡とのこと。1人で歩くことさえ出来ないニックを抱えていたのは、やはりデヴィッドでした。父の顔を見ることが出来ずに泣き崩れるニックを、デヴィッドが優しく抱きしめました。

エンドロールでは、その後ニックが並外れた支援と努力により、8年間シラフでいることが紹介され、彼が好きなブコウスキーの『Let It Enfold You』が朗読されます。

みんなの感想

ライターの感想

劇中の時間軸が崩されているので、最初に鑑賞した際は頭が混乱しましたが、二回鑑賞してみてこの演出の方が父の愛情がより伝わると実感しました。幼いニックとドラッグまみれのニックがシンクロすることにより、デヴィッドの気持ちを思いはからずにはいられず胸が痛むのです。見事な演出でした。親子の心をつなぐ“Everything”という言葉とハグ。2人の強固な愛に目頭が熱くなりました。
ブコウスキーに憧れたということから、ニックは優等生の重荷を捨てたかったのだと察することができますが、ドラッグを始めた真の理由は明かされないままでした。でもそれはドラッグに手を出すのに大きな理由はなく、誰しもが陥る危険性があると意味している気もします。海外ではことさらに…。
ティモシーの演技は卓越していて言うまでもないのですが、スティーブ・カレルの耐えに耐えぬく父親像もとてもリアルでした。デヴィッドが音楽ライターということで、BGMの歌詞が劇中の心境と相似しているそうで。3曲程しか知らなかったので、その辺も把握しながらまた鑑賞してみたいと思いました。衝撃と感動が入り混じり、心に突き刺さる作品でした。

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