映画:ラッキー

「ラッキー」のネタバレあらすじと結末

ラッキーの紹介:「パリ、テキサス」などで知られる名優ハリー・ディーン・スタントンの最後の主演作。監督は数々の作品に出演する名脇役のジョン・キャロル・リンチ。スタントンの盟友であるデヴィッド・リンチ監督が、主人公ラッキーの友人として登場している。日本公開は2018年。

あらすじ動画

ラッキーの主な出演者

ラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)、ハワード(デヴィッド・リンチ)、ボビー・ローレンス(ロン・リビングストン)、フレッド(トム・スケリット)、エレイン(べス・グラント)、ポーリー(ジェイムズ・ダレン)、ジョー(バリー・シャバカ・ヘンリー)

ラッキーのネタバレあらすじ

【起】- ラッキーのあらすじ1

舞台はアリゾナ州砂漠地帯にある田舎町。
90歳を迎える老人ラッキーは、アパートで一人暮らしをしています。彼には元々妻も子どももいません。
今日も朝目を覚まし、まず歯を磨いて顔を洗い、脇を拭いて髪を整えます。そしてコップ一杯のミルクを飲み、コーヒーを沸かします。それからラッキーは下着姿のままヨガを5ポーズこなして、着替えてテンガロンハットをかぶって出かけます。

ラッキーが向かった先は、行きつけのダイナーです。
店に入るなりオーナーのジョーと「You’re nothing!」と挨拶をかわします。
ラッキーはカウンター席に座り、ウェイトレスのロレッタが用意してくれるミルクと砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながら、クロスワードパズルをします。
ラッキーはジョーや店の常連客と他愛ない話をして、店を後にします。

帰り道、修理工場の隣にある「イブの楽園」という建物の前を通りかかったラッキーは、「Cunts!」と叫びます。
これも彼の日課です。

それからラッキーは、メキシコ系のビビが営むコンビニに立ち寄ります。
ラッキーはここでいつも牛乳やタバコを買っています。
ビビには10歳になるフォアンという息子がいました。ラッキーは土曜日に開催される彼の誕生日パーティーに誘われますが、返事を保留にします。

ラッキーは家に帰ると、テレビのクイズ番組を観ながら、またクロスワードパズルを解きます。
ラッキーはわからない言葉が出てくると、友達に電話をかけて尋ねます。電話をつないだまま辞書を開いたり、番組の出演者を罵ったりします。

夜になると、行きつけのバー「エレインの店」に向かいます。
ラッキーはここでセロリを突き刺したブラッディ・マリーを飲むのを日課にしています。
バーに入ると、今日も女店主のエレインが男性客を虜にしていました。エレインは気が強い女性ですが、いつもラッキーのことを気遣っていました。
バーの常連客には、エレインと30年近く同居している恋人のポーリーがいます。彼はエレインと出会ったことで自分の人生が変わったという話を、頻繁に語り聞かせる人物です。
ラッキーは、昼間クイズ番組で知った「現実主義はモノ」という言葉を口にします。常連客がそれについて持論を展開し、ラッキーは「お前の現実と俺の現実は違う」と哲学めいたことを言います。
それから、ラッキーの友人ハワードがバーにやってきます。
ハワードは元気がなく、理由を尋ねてみると「ルーズベルト大統領」と名付けていた100歳のリクガメが逃げ出してしまったというのです。

【承】- ラッキーのあらすじ2

翌朝、ラッキーはいつものようにコーヒーを淹れます。
しかし、コーヒーメーカーのデジタル時計の光が点滅しているのを見ているうちに、ラッキーは倒れてしまいます。
ラッキーは心配になり、病院で検査を受けます。親しいニードラー医師は、身体のどこにも異常はなく、原因は加齢だと告げます。
ラッキーがいぶかると、ニードラー医師は「長生きすればだんだんと古くなってくる」と説明します。そして、ラッキーにヘルパーを雇うことを勧めますが、彼は強く拒否します。
ニードラー医師は「毎日タバコを吸っていて健康なので、逆に禁煙は勧めない」と告げて、検査を我慢したご褒美としてラッキーにキャンディをあげます。

それ以来、ラッキーの長年のルーティンが狂い始めます。
いつもより遅い時間にダイナーへ行くと、お気に入りのカウンター席が空いておらず、仕方なくソファー席に座ります。
ジョーはいつもの時間に現れなかったラッキーを心配していました。ラッキーが「倒れた」と答えると、店内にいた人全員が驚き、心配そうな顔を向けてきます。

ラッキーは死を意識し始めるようになっていました。
子どもの頃暗闇が怖かったことや、イタズラ心からマネシツグミを撃ってしまったことを突然思い出して、友人に電話をかけて打ち明けるようになります。

その後、ラッキーが苛立ちを募らせながら「エレインの店」に向かうと、ハワードとロビーという弁護士が同席していました。
ハワードは終活をしていました。ラッキーと同じく独身の彼は、行方不明になったルーズベルト大統領に遺産を相続させたいと、ロビーに相談していたのです。
ラッキーは呆れますが、ハワードは宇宙には人間よりも偉大なものがあり、リクガメもその一つだと声高に訴えるのでした。
ロビーは独身者のラッキーに孤独ではないかと尋ねます。ラッキーはすかさず「孤独と一人暮らしは同じではない」と反論します。さらに「人は皆生まれるときも死ぬときも一人だ。独り(アローン)の語源は一人(オール・ワン)だ」と続けるのです。
そしてラッキーは、ロビーをカメに遺産相続をさせる詐欺だと罵り、「表に出ろ」と宣戦布告します。店の前でタバコをふかしてロビーを待っていると、ポーリーがケンカの仲裁に入ります。
しばらく2人で話していると、路地裏から突然赤い光が放たれ、音楽が聞こえてきます。ポーリーは一人で奥へと進んでいき、ラッキーも後をついていくと、そこには「EXIT」と書かれた扉がありました。
ラッキーがさらに先へ進もうとすると、夢から覚めます(どこまで夢だったのかはわかりません)。

それからラッキーがサボテンに水やりをしていると、いつものようにダイナーに現れないことを心配して、ロレッタが訪ねてきます。
ラッキーはそっけなく対応しますが、ロレッタは家に上がり込み、一緒にテレビを観ます。ラッキーはゲイのピアニスト・リベラーチェの超絶テクニックの演奏を観ながら、何故これまで彼がゲイであるかどうかにこだわっていたのかと呟きます。
そして帰ろうとするロレッタとハグをして、秘密を聞いてほしいと引き止めます。ラッキーは「怖いんだ」と、初めて心のうちを明かしたのです。ロレッタは「わかってる」と何度も言って、家を出て行きます。

【転】- ラッキーのあらすじ3

ある日、ラッキーはペットショップの店先にいた犬を可愛がります。
店員に中へ入るように促された彼は、爬虫類のエサ用のコオロギを目に留めます。ラッキーはコオロギを買い取り、その夜逃がしてやるのでした。
大量のコオロギのにぎやかな鳴き声を聞きながら、ラッキーは眠りにつきます。

その後、ラッキーはダイナーでボビーと再会します。
ボビーは雑談を交わそうとしますが、ラッキーは「つまらん雑談よりも気まずい沈黙の方がマシ」と言い切ります。
ボビーはラッキーと同じテーブル席に座ります。そして、車に娘を乗せているときに交通事故に遭いそうになり、死に直面したという体験を語り始めます。
ボビーは予測できない将来に備えて、自身も終活をしていました。「家族に迷惑をかけたくない」と言うボビーに、ラッキーは「(いくら終活をしても)君は死んだままじゃないか」と言葉をかけます。
何かを分かち合った2人は、コーヒーで乾杯するのでした。

またある日、ラッキーはダイナーで退役海兵隊員のフレッドと出会います。
2人はすぐに打ち解けて、互いの戦争体験を語り合います。ラッキーは第二次大戦中、海軍のコックとして乗艦していました(それが「ラッキー」というあだ名の由来です)。
沖縄に上陸したフレッドは、戦場で遭遇した日本人の幼い少女が、米兵に美しい笑顔を見せたことが忘れられないと打ち明けます。その場にいた米兵は、「日本人は仏教徒なので、死に直面して悟りを開いた」と解釈し、フレッドは「彼女こそ勲章をもらうべきだ」とラッキーに語ります。

ラッキーはビビの息子フォアンの誕生日パーティーに、結局参加することにしました。
ラッキーはビビの母親に紹介されて、片言のスペイン語で挨拶をします。
パーティーには親戚やマリアッチが集まっており、カラフルなバースデーケーキが登場します。フォアンがロウソクを吹き消して、ビビや周囲の大人たちが彼を取り囲む幸せそうな様子を、ラッキーは見ていました。
すると、突然ラッキーが立ち上がり、スペイン語の愛の歌「Volver, Volver」をアカペラで歌い出します。マリアッチはラッキーの歌に合わせて演奏を始めて、子どもから大人までそれを一緒に口ずさみます。
歌が終わるとラッキーは大喝采を受けて、恥ずかしそうに微笑むのでした。

【結】- ラッキーのあらすじ4

パーティーがあった夜、ラッキーがエレインの店で飲んでいると、ハワードがやってきます。
ハワードはルーズベルト大統領の捜索をやめたことを、ラッキーに話します。彼は用事があって出て行ったのに、それを自分が阻止していたと言うのです。
そして、縁があればまた会えると明るく言うハワードに、ラッキーは穏やかな眼差しを向けます。

ラッキーが店内でタバコを吸おうとすると、エレインに怒られます。
実はラッキーは、毎日通りかかっては暴言を吐いていた店「イブの楽園」も、禁煙を破って出禁にさせられていたのです。
エレインは店のルールを破ったから追い出されたのだと、ラッキーを叱責します。しかし、ラッキーは「追い出されたのではなく自分で出て行った」と執拗に主張するのです。
さらに、ラッキーは一息おいて「俺は真実にこだわる。いつか人間もタバコも何もかも真っ暗な空へ行き、無だけになる」と語ります。
ラッキーの言葉に店内は静まり返り、「無ならどうする」と皆が問います。ラッキーはしばらく考えてから、「微笑むのさ」と答えるのでした。
ラッキーは満足げな顔で、皆が見守る中タバコに火を付けます。そして、一人店を出て行きます。

ラッキーが倒れた日、コーヒーメーカーのデジタル時計は12時を指したまま赤く点滅していました。
ラッキーは時計を現在時刻に合わせます。

それからラッキーは、イブの楽園の前を通りかかります。
しかし、入り口には「Closed」の札がかかっており、ラッキーはほくそ笑みます。

ラッキーは背の高いサボテンだらけの道を歩きます。
ふと立ち止まり、いつものようにタバコに火を付けてサボテンを見上げます。そして、目線を下ろして一点を見つめて微笑み、その場を立ち去ります。
ラッキーの姿が小さくなった頃、脱出したルーズベルト大統領が現れる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

90歳のハリー・ディーン・スタントンの、素晴らしい遺作でした。死は誰にでも訪れるものですが、それがいつになるのかは誰にもわかりません。死について考えるきっかけも、人によって異なりますし、そこに明確な答えもないと思います。ラッキーも色々な人の話を聞くことで、自分の中で答えのようなものを見つけ出しました。90歳になっても考え続けられるラッキーはとても素敵で、愛らしい人です。街のみんなに何だかんだ言って愛される彼の日常は見ていてほのぼのとしましたし、自分の老後もこうだったらいいなと思いました。

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