映画:リップヴァンウィンクルの花嫁

「リップヴァンウィンクルの花嫁」のネタバレあらすじと結末

リップヴァンウィンクルの花嫁の紹介:ごく平凡な女性がなんでも屋の男と知り合ったことで人生の苦境に立たされる。彼女はなんでも屋から斡旋される怪しげな仕事をするうちに、不思議な女性に出逢う。現代社会の危うさや、1人の女性の成長を透明感のある映像で綴ったヒューマンドラマ。
2016年の公開作で、原作・監督・脚本は岩井俊二。自身では最長となる上映時間180分の作品。

あらすじ動画

リップヴァンウィンクルの花嫁の主な出演者

皆川七海(黒木華)、里中真白(Cocco)、鶴岡カヤ子(原日出子)、鶴岡鉄也(地曳豪)、皆川晴海(毬谷友子)、皆川博徳(金田明夫)、高嶋優人(和田聰宏)、恒吉冴子(夏目ナナ)、里中珠代(りりぃ)、安室行舛(綾野剛)

リップヴァンウィンクルの花嫁のネタバレあらすじ

【起】- リップヴァンウィンクルの花嫁のあらすじ1

東京で中学の臨時教員をする七海は、生活費を補うためコンビニのバイトや、ネット通話での家庭教師を掛け持ちしています。七海はクラムボンというハンドル名でSNS上で会話することはあるものの友人はおらず、静かで平凡な生活を送ってきました。
ある時七海は、お見合いサイトで知り合った教師の鉄也と実際に会い、何となく交際を始めます。苦も無く恋人ができたことに疑惧した七海は、まるでネットで買い物するみたいにあっさりと手に入ったとSNSで零しました。互いに愛情があるのか分らぬまま話は進んで結納まで至り、既に離婚している七海の両親は、それを隠して結納式に出席しました。

大人しい性格で声の小さい七海は、生徒から嫌がらせによって授業中にマイクを使ったことで解雇されてしまいます。その事を鉄也に言えなかった七海は、都合よく寿退職という体をとりました。義母が働くことを好まないため、家庭教師のバイトも辞めようとした七海ですが、先生じゃなければ駄目だと必要とされたことが嬉しくて、この仕事だけは続けることにします。

2人は結婚式の準備を始めますが、友人もいなく親戚も少ない七海側の招待者が圧倒的に足りません。悩んだ七海はSNS仲間から、結婚式の代理出席があると聞き業者を紹介してもらい、なんでも屋と自称する安室という胡散臭い男と会いました。しかし世間知らずな七海は、彼を疑うこともなく代理出席の手配を依頼します。
結婚式当日。控室で鉄也は、クラムボンが七海ではないかと投げかけてきます。七海は動揺しながらも白を切りました。式はこなれた安室の指揮により無事に終了します。

【承】- リップヴァンウィンクルの花嫁のあらすじ2

七海は世田谷のアパートで新婚生活を送りますが、鉄也のよそよそしい態度が気になっていました。そんな時七海は家の中で女物のピアスを見つけ、鉄也の浮気を疑います。不安になった七海は安室に浮気の調査を依頼しました。
時を同じくして見知らぬ男・高嶋が、“鉄也が浮気をしている”と突然訪ねて来たため、七海は彼を部屋にあげました。高嶋曰く鉄也は元生徒と浮気しており、それが高嶋の交際相手だと言うのです。タイミングが合致したこともあり、七海は高嶋の話を信じ愕然としました。
数日後高嶋に呼び出され、七海は待ち合わせ場所のホテルへ向かいます。ところが高嶋は態度を豹変させ、体で償えと七海を脅してきました。怯えた七海はトイレへ逃げ、最初に頭に浮かんだ安室に助けを求めます。七海は安室の指示で時間を稼ぎますが、一部始終を盗撮されていました。安室と高嶋はグルだったのです。何も知らない七海は、安室が助けてくれたものだと信じ込みました。

鉄也の実家で不幸があり、七海も彼の実家に帰省します。法要後、何故か結婚式の代理出席や、両親の離婚などの七海の嘘を知っていた義母は彼女を問い詰めます。更に七海は先日のホテルでの動画を突き付けられ、浮気の疑いをかけられました。混乱して真実さえ話せない状態の七海に対し義母は、二度と鉄也に会うなと、七海の岩手の実家までのタクシー代を渡し家から追い出しました。愕然とした七海は世田谷の家まで帰りますが、激怒した鉄也から電話にて「今日中に出ていけ」と三行半を突き付けられます。
家を出た七海が途方に暮れていると、安室から電話が来ます。他に頼れる相手もない七海は、路頭に迷っていることを安室に告げました。七海は流れついたビジネスホテルを寝床にし、生きるためにその宿で清掃の仕事を始めます。家庭教師の仕事もホテルの部屋で実施すると、生徒だけが七海の変化に気付いてくれるのでした。

【転】- リップヴァンウィンクルの花嫁のあらすじ3

浮気調査の報告のため、七海のいるホテルに安室が訪ねて来ます。結果は浮気ではなく、鉄也は週2で上京していた母と会っていたのでした。典型的なマザコンだと断言した安室は、七海の前に現れた高嶋が“別れさせ屋”で、義母の仕業では?とさらりと言い放ち、七海はそれが安室に依頼されたとも疑わず彼の言葉を受止めるのでした。更に安室は金に困っているだろう七海に、代理出席のバイトを斡旋します。
七海はバイト先の式場で、同じく安室に雇われた真白という女性に出逢いました。売れない女優だと話す真白は不思議な雰囲気でしたが、人見知りな七海が珍しく意気投合できる相手で、すぐにSNSの連絡先を交換します。真白はリップヴァンウィンクルというハンドル名を使っていました。

再び安室がホテルに来て、今度は報酬月100万円のメイドの仕事があると七海に持ち掛けると、ホテルの従業員に金を渡し強引に清掃の仕事を辞めさせました。お人よしな七海は安室の言うままに、仕事先の立派な屋敷に連れられて行きます。留守がちな屋敷の主人の代わりに家を管理するというのが仕事で、もう1人のメイドとして先日会った真白がいました。七海は同僚が真白だと知って安心すると、散らかった広い家の中をひたすらに片づけていきます。屋敷の中ではイモガイやクラゲなどの猛毒を持った生物も飼われていて、七海はその管理も積極的に行いました。次第に仕事にも慣れた七海は、真白との共同生活を楽しみ、明るさを取り戻していきます。

どんなに朝早くても仕事に遅刻しない真白が、高熱を出して起き上がれず、マネージャーの恒吉が屋敷に駆けつけます。病院へ連れて行くため七海は真白を背負うと、その体の軽さに驚きました。車中で目覚めた真白は仕事に行くと言って聞かず、這って現場へ向かいます。七海は恒吉から、真白がAV女優であること、高額な家賃を払ってあの屋敷を借りていることを知らされました。不審に感じた七海が安室に尋ねると、 “友達が欲しい”との依頼を真白から受け、友人になってくれそうな七海を雇ったとの答えでした。
七海は帰宅した真白に「バイトを辞めるので無駄遣いせず、自分を大切にして」と涙ながらに訴え、2人でずっと一緒に暮らせる部屋を探そうと誘いました。

【結】- リップヴァンウィンクルの花嫁のあらすじ4

七海と真白は新たな部屋探しに出掛けます。帰り道でウエディングドレス店を見つけた真白は、躊躇いもなく中へ入りました。2人でドレスを試着し、店内のチャペルで指輪交換の真似をし、2人ははしゃぎました。ドレスを着たまま家へ帰り、お酒を飲んで戯れた2人はベッドに横になると、真白は胸のうちを吐露します。「自分には幸せの限界がある。簡単に幸せが手に入ったら自分は壊れてしまうから、お金を払った方が楽」と。そう語った真白は「死んでと言ったら、一緒に死んでくれる?」と七海に尋ねるので、七海は躊躇いながらも「はい」と答え2人は眠りにつきました。

翌朝屋敷に葬儀屋と安室が来ます。実は末期がんだった真白は1人で死ぬのが怖くて、一緒に死んでくれる人を探すために安室に1千万円を支払っていたのです。真白はイモガイの毒により、既に帰らぬ人となっていました。安室は2人の遺体を処理しようとすると、驚くことに七海が目を覚まします。真白は七海を道連れにしなかったのです。慌てた安室は、真白から“今夜死ぬ”との連絡があったのでやって来たとごまかし、何も知らない七海は冷たくなった真白に触れ狼狽しました。

葬儀が終わり真白の母の居場所が見つかるものの、お骨は受け取らないと拒まれます。そうはいかないと安室と七海が真白の実家へ行くと、彼女の母は昼から焼酎を飲んでいました。安室は平然と手続きを進め、平気な顔で札束を並べます。母もまた淡々と受けていましたが、酒も進むと真白への本当の想いを語り始めます。真白がAV女優だと噂を聞いた母は、出演が出来なくなる程に娘を殴って反対しました。それでも仕事を続けた真白とは、以来絶縁していたのです。母は七海と安室の前で突然服を脱ぐと「人前で裸になるなんて恥ずかしいだけだ」と嗚咽しました。それを見た安室も泣き出し、共に裸になって故人を偲びました。

人生をやり直し始めた七海は、新たな部屋へ引っ越します。安室が古い家具を提供しに来ると、七海に真白からの給料を渡しました。安室と握手をして別れた七海は、真白が望んでいたような景色のいいベランダに立ち、指輪交換をした薬指の感覚を思い出すのでした。

みんなの感想

ライターの感想

「3時間かぁ…」と身構えてしまいましたが、先の読めない展開や美しい映像に見入り、思ったほど長さを感じませんでした。七海と真白のウエディングドレスのシーンは、一般的には安っぽくなりそうな演出なのに岩井美学の手にかかれば、音楽も含め幻想的で洗練された名場面になってしまうわけで。まさに岩井マジック!
義母の仕業にワンパンチを受け、終盤では真白の本当の依頼に絶句。現代社会の闇を見た気がします。それでも七海との友情を感じた真白が彼女を死なせなかったことや、真白の母と安室が泣いた場面では胸がじんとしました。果たして安室の涙は本物なのか…。終始胡散臭かった安室がラストでは爽やかに感じられたので、改心したと信じたいものです。仮面を被った人間の醜さが目立つ物語の中で、七海が成長していく姿に光を感じました。

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