「リリーのすべて」のネタバレあらすじと結末の感想

ヒューマンドラマ

リリーのすべての紹介:2015年製作のイギリス&アメリカ&ドイツ合作映画。1930年代に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を描く人間ドラマ。自分の内側に潜んでいた女性の存在に気付き苦悩する主人公と、変わっていく夫に困惑する妻の姿が描かれる。

予告動画

リリーのすべての主な出演者

アイナー・ヴェイナー&リリー・エルベ(エディ・レッドメイン)、ゲルダ・ヴェイナー(アリシア・ヴィキャンデル)、ハンス・アクスギル(マティアス・スーナールツ)、ヘンリク・サンダール(ベン・ウィショー)、ウラ(アンバー・ハード)、ヴァルネクロス(セバスチャン・コッホ)、エルサ(エメラルド・フェネル)、ラスムッセン(エイドリアン・シラー)

リリーのすべてのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①妻・ゲルダに女性の足のモデルを頼まれた夫・アイナーはタイツを履き、ゲルダが女装しようと言い出したことがきっかけでアイナーは女装に目覚める。もともとアイナーは男性として生きながらも、違和感を持っていたのだった。 ②ゲルダに正直にそれを告げたアイナーは、ヴァルネクロス教授と出会い女性になるための手術をする。しかし2回目の手術で体力がもたず息を引き取った。

【起】- リリーのすべてのあらすじ1

1926年。デンマークの首都・コペンハーゲン。
結婚して6年経過する夫アイナー・ヴェイナーと妻ゲルダ・ヴェイナーの仲は順調でした。アイナーは風景画家で、もっぱら故郷・ヴァイレの景色を描き、個展を開くほど成功しています。
妻・ゲルダは肖像画家でした。夫・アイナーの画家としての成功を横で見ながら内心焦りますが、画廊経営の男性・ラスムッセンに「売れる絵にはならない。風景を描けばどうか」と勧められます。
夫婦関係も良好でしたが、6年間ずっと子どもができませんでした。それもゲルダの気になるところです。しかし夫・アイナーが自分を愛してくれていることに間違いはなく、幸福な暮らしを送っていました。
風景画ではなく人物画として売りたいゲルダは、踊り子(バレエダンサー)の若い女性・ウラにモデルを頼んでいました。
ある日、ウラが時間に遅れて来ない時、ゲルダは絵の制作を進めたいので夫・アイナーに足のモデルを頼みます。
アイナーは慣れない手つきでタイツとヒールを履きましたが、ゲルダはそれだけでは足りないと言って、バレエのドレスをアイナーの身体に当てます。
アイナーはそれを身体に当てながら、ドレスの生地にうっとりして指を這わせました。
その時、ウラが遅れて現れます。アイナーが自分の代わりにモデルをやっているのを見たウラは、笑いながらユリの花束を渡して「あなたは今日からリリー(ユリ)ね」と言いました。
その夜、妻・ゲルダが新しいナイトドレスを着ているのをいち早く見つけたアイナーは、今度それを貸してくれと言いますが、ゲルダは冗談だと思います。

パーティーに呼ばれたアイナーとゲルダは、席でなれそめを聞かれて、アイナーがゲルダを口説き落とした話をしました。本当に夫婦仲は順調なのです。
帰宅したゲルダが夫・アイナーの服を脱がせると、アイナーは下にゲルダのナイトドレスをつけていました。一瞬びっくりしたゲルダですが、「最近あなたは綺麗だわ」と夫に言います。
実のところ、ゲルダよりも夫のアイナーの方が色白で、しかも男性にも関わらずアイナーは線が細く、きゃしゃな体つきをしていました。
そんなアイナーに、ゲルダは舞踏会へ行こうと誘います。顔が売れているので行きたくないと渋るアイナーに(風景画家のアイナーとして出席すると、また窮屈な思いをするから)、「じゃあ女装して出かけましょうよ」と最初に提案したのはゲルダのほうです。
アイナーに化粧を施したゲルダは、アイナーに創作意欲を掻き立てられて、絵を描きました。その後、似合うウィッグや靴探しを2人でします。
女装してパーティーに出かけ、アイナーのことは「夫の従妹(いとこ)のリリー」と紹介しました。

【承】- リリーのすべてのあらすじ2

女装したアイナーは露見しないかとどきどきしますが、意外にもあまりばれません。
リリー(女装したアイナー)に積極的に迫って来た男性ヘンリク・サンダールがいました。ヘンリクは実は男色家で、女装したアイナーに気づいて迫っているのですが、それが分かるのはだいぶ先です。
とにかく、ヘンリクはリリーを気に入って口説き、半ば無理やりにキスしました。びっくりしたアイナーはフリーズしますが、その現場を妻・ゲルダに見られ、しかもアイナーは鼻血が出ます(鼻血には意味あり、後に記す)。

自分の夫が男性にキスされているのを見たゲルダは怒り、もう女装は駄目とアイナーに言います。アイナーはしょんぼりしました。
ゲルダに反対されたアイナーは、それでも隠れてバレエスタジオで自分の身体を鏡に映し、男性器を股間に挟んで隠し、女性になった気持ちになります。ポーズを取って、服を身体に当ててみます。
再び女装したアイナーは、ヘンリクに会いに行きました。迫られている時、ヘンリクがうっかり「アイナー」と呼んだことで、男色家だと知ります。

その頃、ゲルダはリリーをモデルにした絵を、画商のラスムッセンのところへ持ちこみます。裸婦像で、女性の身体のラインにしていますが、顔はリリーです。
ラスムッセンは「今までとは違う。これは売れる」と言いました。ゲルダは嬉しくなります。
帰宅したゲルダを、女装したアイナーが待ち受けていました。女装をしてリリーとして生きたいと告げたアイナーは、その場でひどい鼻血とけいれん性の腹痛を起こして倒れます。
病院に連れて行かれたアイナーは、「体内の化学物質の不均衡から、女装癖や不妊が起きている」と診断され、放射線治療を受けました。しかし全く効果はみられません。
アイナーは精神病扱いされました。この頃から、夜の生活も全くありません。

ラスムッセンから絵が売れたという知らせを受けたゲルダは、パリの〝ギャラリー・エティエンヌ〟がゲルダの代理人になると聞かされて、パリ行きを考えます。
いっそ環境を変えた方がアイナーのためになるのではと考えたゲルダは、アイナーを連れて引っ越しを考えます。

フランス・パリ。
ゲルダの絵は瞬く間に人気を博しました。一方で、アイナーは全く絵を描く気になれません。
ひとりで出かけたアイナーは、場末のストリップに入りますが、見ているのは女性の裸ではなく「女性の仕草」でした。女性の真似をして、楽しみます。

【転】- リリーのすべてのあらすじ3

パリにはアイナーの幼馴染みの画商ハンス・アクスギルがいました。
ゲルダはアイナーのことを相談したくてハンスに会いに行こうと言いますが、アイナーが乗り気でないので、思い切ってひとりでハンスに会いに行きます。
そしてハンスに「パリに来て半年経過するのだが、アイナーが全く絵を描いていない」と悩みを相談し、代理人になってくれと頼みました。まだ女装のことは言えません。
ゲルダを家まで送ったハンスは、女装したアイナーと会いました。ハンスはゲルダに「力になろう」と言います。

実はそれまでは普通の生活を送っていましたが、アイナーは昔から自己同一性の混乱がありました。身体は男でありながら、本当は女なのではないかという思いを抱いていたのです。
思春期の頃、ハンスと1回だけキスをしたのも、それが関係しています。
ハンスも友人として、アイナーにその傾向があるのを知っていました。
たまたまゲルダがあの日、遅れたウラの代わりに足のモデルを頼んだことがきっかけでアイナーは女装に目覚めましたが、その要素はそれまでの人生で、すでにあったのです。
最初、それを理解できなかったゲルダは、なんとかして元のアイナーに戻ってもらいたいと考えました。
アイナーも努力はします。しかし一度自分の性別に違和感を抱いたアイナーは、もう元には戻れませんでした。仕草は徐々に女性のそれに近づいており、パリの若者たちにも男なのか女なのかはっきりしろと、絡まれて殴られたりすることもあります。
ハンスに相談に乗ってもらったり、アイナー自身が戸惑っていたりするのを見て、ゲルダも悩みました。
病院を何軒もはしごしました。そこでも下される診断は「性的倒錯」「同性愛」「精神分裂」「自己同一性の混乱」というものばかりで、具体的にどうすれば治るかを教えてくれる人はいません。

そんな頃、ヴェルネクロス教授に会います。
ヴェルネクロス教授は、アイナーに「自分が女と思うか」と聞きました。アイナーが頷き、妻・ゲルダも同意したのを聞いて、「それは病気ではない(性同一性障害)」と言います。
アイナーは初めて認められた気がしました。ゲルダも、そういう人間がいるのだと思います。
ヴェルネクロス教授は、過去に似た例があることを告げ、まだ成功したことがないのだけれども「女性になるための手術」というものが存在することを話します。

【結】- リリーのすべてのあらすじ4

手術は2回に渡っておこなわれます。1回目は男性器の切除で、2回目は膣の形成です。
それを聞いたアイナーは、女性・リリーとなって生きる道を選びます。

ドイツ共和国、ドレスデン。
そこで、女性になるための手術が行われます。
アイナーを心配したゲルダは同行すると言いますが、アイナーは「アイナーを殺しに行くんだから」と断りました。その頃にはアイナーは、リリー・エルベという名で通しています。
ドレスデンの病院で、ヴァルネクロス教授は「もう少し太ってから手術をした方がいい」と言いますが(アイナーはこの頃にはかなり痩せていた。太った方が手術に耐える体力が保てるから教授は勧めている)、アイナーはすぐに手術をしたいと強く希望しました。
1回目の手術が終わります。
ゲルダが病院へ見舞いに行くと、性器を切除されたアイナーは痛みに苦しみ、モルヒネをかがされていました。いまさらながら、手術の大変さをゲルダは思い知らされます。
手術は成功しました。ゲルダはアイナーにデンマークへ戻ろうと言います。

デンマークに戻ったアイナーは、百貨店に勤務しました。女性に囲まれた職場で、女性として暮らし始めたアイナーは「もっと女性らしくなりたい」とさらに強く思うようになります。
手術後、教授に勧められて、アイナーは日記をしたためていました。いっぽうでアイナーは痛み止めの薬(医者に処方されている正式なものではあるが、要は麻薬)を乱用します。
早く本当の女性になりたいと思ったアイナーは、2回目の手術を望みました。教授は、2回目の手術は1つめよりも大変なのだと言います。
(身体の外に出ているものを「切除」する手術よりも、身体本体にメスを入れる2回目の手術の方が大変。これは客観的に、現在でも同じ)
ゲルダはアイナーを心配しました。アイナーも、2回目の手術はゲルダの同行を許します。
2回目の手術を受けたアイナーですが、ヴァルネクロス教授は「状況はとても悪い。出血がひどく、熱が高い」とゲルダと、ロンドン出張後に駆け付けたハンスに言います。
目を覚ましたアイナーは「外に出たい」と希望し、ゲルダは車椅子に乗せて連れ出しました。
アイナーは「夢を見た。自分は赤ちゃんで、母の腕に抱かれてリリーを呼ばれた」と言って息絶えました。

アイナーの死後、ゲルダはハンスに連れられて、アイナーの故郷・ヴァイレに連れて行ってもらいます。
そこにはありし日のアイナーが描いていた風景が、そのまま存在していました。切り取ったかのように、全く同じ光景です。
夫・アイナーからプレゼントして貰ったスカーフが風に舞い、ハンスが取ろうとしましたが、スカーフは空高く飛びます。
そのスカーフを見ながら、ゲルダは「そのままにしておいて」と告げました(ゲルダはスカーフとアイナーを重ねて見ている)。

〝リリーの日記が元になり、1933年、画期的な「男から女へ」が出版された。
彼女の勇気が、今もトランスジェンダー運動を鼓舞し続ける。
ゲルダは障害、リリーの肖像画を描き続けた。〟

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みんなの感想

ライターの感想

エディ・レッドメインが、ほんとにだんだん女性にしか見えなくなってくるから不思議。
オープニングは完璧に男性。しかし徐々に仕草が女性らしくなっていき、そのうちに風貌までもが、中性化していく。
判ってはいるのに「え、え」とこの変貌ぶりに驚く。ほんと、熱演。
あらすじを見るとけっこうあちこちで「妻・ゲルダは協力的」というのを見かけるが、実際に映画を見ると、ゲルダはけっこう悩んでいる。
最終的にアイナーのことを思って手術を許すのだけれど、このへんの葛藤ぶりもリアリティがあって興味深い。

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