映画:北の桜守

「北の桜守」のネタバレあらすじと結末

北の桜守の紹介:第二次世界大戦末期から高度経済成長期にかけて苦難を生き抜いた親子の激動の人生の物語。徐々に禁断の記憶が開かれていく…。
2018年3月の公開作で、『北の零年』『北のカナリアたち』に続く、北の三部作最終章となる作品。構想7年にも及ぶ大作を監督したのは『おくりびと』の滝田洋二郎。吉永小百合にとって120本目の出演作品となった。

あらすじ動画

北の桜守の主な出演者

江蓮てつ(吉永小百合)、江連修二郎(堺雅人)、江連真理(篠原涼子)、山岡和夫(岸部一徳)、島田光江(高島礼子)、岡部大吉(中村雅俊) 、木村学(野間口徹)、岩木(毎熊克哉)、江連徳次郎(阿部寛)、菅原信治(佐藤浩市)

北の桜守のネタバレあらすじ

【起】- 北の桜守のあらすじ1

1945年。江連てつは南樺太・恵須取の地で、製材所を営む夫・徳次郎と二人の息子と仲睦まじく暮らしていました。
春。子供たちが生まれた時に植えた桜が、江連家の庭に初めて開花します。庭には近所の住人・山岡をはじめとする周囲の人々も集まり、樺太に咲いた桜を愛でました。
大戦のさなか恵須取は8月でも平穏な日々でした。ところがソ連が突如日ソ中立条約を破棄して宣戦布告し、恵須取は激しい空爆に見舞われます。徳次郎は知人のいる網走に家族を引き揚げさせることにし、江連家の表札をてつに、長男・せいたろう(漢字表記不明のため以下:長男)にはてつと弟を守るよう託し、満月の日に満開になる桜を内地で見ようと約束します。一人樺太に残った徳次郎は、義勇隊として戦地へ赴きました。

多くの日本人が樺太を引き揚げようとしますが、その道中もソ連軍の砲撃は止まらず沢山の人が犠牲になりました。何とか命拾いしたてつ親子は、8月20日大泊港から、本土送還の小笠原丸に乗船します。しかしあろうことか大勢の避難民を乗せた船は、他国の潜水艦から雷撃されました。海に放り出されたてつは息子たちを発見しますが、父との約束通り二人を守ろうとした長男が、砲撃の大きな余波に飲まれ姿を消しました。

網走に逃げ延びたてつと次男・修二郎は、飢餓と寒さに耐える壮絶な日々を送ります。ある時、闇米屋を仕切る信治と弟分の岩木に遭遇した修二郎は、彼らが食べていたおにぎりにすがりました。「みっともないことするんじゃない」と制したてつを見た信治と岩木は、彼女の体を目的におにぎりを与えます。しかしどんなに飢えていても、凛としたてつに惹かれた信治は、闇米屋の仕事に誘いました。
闇米の運搬を始めたてつと修二郎は、何度も危ない目に遭いました。てつは目を光らせていた警察に捕まったこともありますが、その警官は奇遇にも本土に無事帰還した山岡で、彼は度々てつを見逃してくれたのでした。
小学生の修二郎は、極度の貧しさと闇米屋というレッテルを貼られ、同級生からいじめられます。弱虫な修二郎をてつは、泣かずに殴ってやれと背中を押し、グローブが無いと馬鹿にされれば布で作ってやり、逞しく優しく受け止め、愛情いっぱいに育てました。

【承】- 北の桜守のあらすじ2

それから数年後。シベリアに抑留されていた徳次郎が、1947年に亡くなっていたと報せが届きます。遺骨の代わりにシベリアの石を渡されたてつは、徳次郎の死を信じようとしませんでした。
やがててつは信治から借りた金で、仮設住宅である自宅にて食堂を開きます。役所には無届でしたがてつの握るおにぎりが評判で、食堂は多くの住民で賑わいました。
何とか生活はできるようになったものの、てつは修二郎が18歳になると、雪に閉ざされた町から出て行きなさいと網走から旅立たせます。不自由のない暮らしを手に入れて、母のことは今日限り忘れるのだと言い聞かせて…。

単身アメリカに渡った修二郎は、頼りもない異国の地で挫折を繰り返してのし上がっていきます。その後ミネソタ24というコンビニを展開する会社のオーナーの娘・真理と結婚した修二郎は、アメリカ本店での手腕を買われ、日本社長に任命されました。
1971年春。ミネソタ24の日本1号店を札幌に開くため、修二郎はアメリカ育ちの真理を連れて15年ぶりに帰国します。開店早々、網走の実家が撤去になると市役所から連絡を受けた修二郎は、その足で一人故郷に向かいました。修二郎は仕送りを続けていたものの、てつが手紙をくれたのはたった一度きりで、このところ疎遠になっていました。久々に訪れた実家はオンボロで、ろくな家具も家電も無いままです。大きく変わったのは、すっかり老け込み、鏡に映る自分を他人と勘違いして話しかけているてつの姿でした。近くでずっとてつを見守って来た山岡の話によれば、ごく時々だが認知症のような症状が2,3年前から見られるとのこと。てつを一人に出来なかった修二郎は、札幌の家へ連れて帰るのでした。

修二郎はみすぼらしいてつの姿が嫌で、白髪を染めさせ高価な服を買い与えます。百貨店に付き添った真理は、帰り道で何気なく徳次郎の死についててつに尋ねると、彼女はぼんやりとしたのち、通りにあった傷んだ桜の木に話しかけ出したのです。更に真理は、てつが試着時に靴を履き間違えていたことにも気付きました。元々同居するつもりもなく不満が募っていた真理は、てつの不審な行動を修二郎に訴えますが、彼は母を庇い続けます。他人には冷淡なのに、てつを異常なまでに案じる修二郎の気持ちが真理には理解できませんでした。

【転】- 北の桜守のあらすじ3

修二郎はてつの行動を大目に見ますが、雪の降るなか上着も着ずにてつが桜の木の治療に出掛けたため、いよいよ病院で診察させます。結果は認知症ではなく、戦争で負ったPTSDの症状だと判明しました。修二郎は疲れのせいだとごまかすものの、てつは家の庭で米を釜炊きして騒ぎを起こします。それでもてつを咎めなかった修二郎は、久々におにぎりを握ってもらうとそのおいしさを再確認しました。修二郎は売上が下落している店のホットドッグに代えて、おにぎりを販売するという日本独自路線をひらめくのでした。

またもやてつは騒動を起こしてしまい、立派になった息子や周囲に迷惑をかけたくないと一人家を出ました。慌てて追いかけた修二郎は駅でてつを発見します。明日は真理の父・大吉が視察に来るというのに修二郎は失職覚悟で、お礼参りに出掛けると言うてつに付き添うことにしました。
二人はまず現在旭川で運送業を営む信治の会社を訪ねますが、借金を返していないからとてつは会うのを拒みました。その後も闇米を受取った駅、芋を盗んだ畑など二人は思い出の地を巡っていきます。
修二郎は旅をするうちに、てつが徳次郎の顔も思い出せず、彼のことに触れると動揺することに気付きます。修二郎が徳次郎について質問したため、てつは樺太に行くと言い出しました。修二郎は諦めさせるために、稚内の埠頭に連れて行きますが、海を見たてつは封印していた長男の死を思い出してしまいます。フラッシュバックし「私のせいで死んだ」と喚いて冷たい海へ入って行ったてつを、修二郎は「思い出しちゃいけない!」と必死で止めました。

てつは稚内の病院に入院し、網走から山岡も駆けつけます。「私は幸せになってはいけない人間なのよ」とてつが口癖のように言っていたと山岡から聞いた修二郎は、これまでずっと抱えてきた母の想いに涙が止まりませんでした。
修二郎はてつを山岡に預けて、一旦札幌に帰宅します。事の重大さを察した真理は、修二郎とてつの特別な関係を認め、夫婦は愛情を確認し合いました。大吉もまた、独断の経営や強引な社員教育ながらも、修二郎が社員に支持されている現状を知り、日本支店は彼に任せると決断していました。

【結】- 北の桜守のあらすじ4

山岡は病室のてつにある告白をしました。シベリアの収容所でスパイとなり、徳次郎を含む他の抑留者の嘘の密告をして生き延びたのです。彼もこの25年間、罪の意識に苛まれ苦しんできたのでした。頭の中にいくつもの扉があるのに、徳次郎へ続くものなど開けられない扉があると話すてつに、山岡は抑留時代の徳次郎の写真を見せました。てつは忘れていた夫の顔を思い出してしまいます。

徳次郎の記憶に触れたてつは、病院を抜け出します。報せを受けた修二郎は、真理と山岡と共に思い当たる場所を必死に探しました。再び信治のもとを訪ねると、彼がてつにプロポーズしたが、彼女は白い喪服(ニ夫にまみえずという意)で答えたこと、借金はとうに返済していたことを聞かされます。しかしてつの姿はそこには無く、探しても探しても見つけられませんでした。
その頃てつは雪深いバス停にいました。修二郎のことさえ忘れてしまったてつは、バスが来ないと言って吹雪の中を歩き始めるのでした。

2年後。修二郎と真理には子供が生まれ、ミネソタ24は全国に100店舗まで拡大していました。その祝賀会中、北見でてつに似た人がいると信治から連絡を受けた修二郎は、すぐに現地に向かいます。
すっかり白髪頭になったてつは、桜守をしていました。再会した修二郎を徳次郎だと思い込んだてつは、大切に持っていた江連家の表札を差し出します。修二郎は何も言わず徳次郎のふりをして、そっとてつを抱きしめました。山岡や信治らも同行しましたが、てつはもう誰のことも覚えていません。長男の幻影を見ているてつは「あなたに見てもらいたくて桜を一生懸命育てた」と嬉しそうに語りかけました。かつて徳次郎と約束をしたような、満月の夜の満開の桜の下で。

みんなの感想

ライターの感想

脚本や全体的な演出が往年の映画のように感じたのですが、観客の9割がご年配の方々だったので納得しました。
所々で劇中劇のスタイルをとっており、頭の中に扉がいくつもあると言っていたてつのそれを表現したのではないかと思いました。開けられない扉を主に劇中劇にしたのではないかと。この演出はヨーロッパの作品のようで大規模な商業邦画では珍しく、とても斬新でした。
小笠原丸の三船殉難事件、シベリア抑留のことなど全く知りませんでした。あの過酷ななか、山岡の行為を誰が責められるでしょうか。戦争とは人の命を奪うだけでなく、てつや修二郎、そして山岡のように一生癒えない傷を生み出すものでもあると実感しました。
厳しい冬、母の強さにほろり。徳次郎との約束は叶わなかったものの、人生の終盤、満月の夜にてつの前に家族が揃ったのだと思うと、またほろりとしました。
  • 匿名さんの感想

    最初のころは、吉永の演技に、わざとらしさが目立ち、違和感を感じましたが、映画が進むに連れて、堺の真迫の演技とともに、吉永自身の人間性からほとばしる、奥行きのある豊かな表現力に、次第に感動が高まり、まれに見る心のカタルシスを体験致しました。細部はともかく、映画の魅力は、いかに実人生を離れて、他人の人生を共感を持ちながら追体験できるかで、その点では、この作品は、成功していると言えそうです。やっぱり、映画は素晴らしい。吉永、堺を始め、全てのスタッフに、感謝です。

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