映画:否定と肯定

「否定と肯定」のネタバレあらすじと結末

否定と肯定の紹介:2016年のイギリス・アメリカ合作の伝記ドラマ。1990年代のアーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件を映画化した作品で、主人公の歴史学者をオスカー女優のレイチェル・ワイズが演じた。ホロコーストの存在の有無を巡る法廷闘争を描いていく。

あらすじ動画

否定と肯定の主な出演者

デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)、リチャード・ランプトン(トム・ウィルキンソン)、デヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)、アンソニー・ジュリアス(アンドリュー・スコット)

否定と肯定のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 否定と肯定のあらすじ1

否定と肯定のシーン1 1990年代のアメリカ、ジョージア州アトランタ。この街の大学で、ユダヤ人女性歴史学者のリップシュタットはホロコーストの事実を学生たちに教えていました。教鞭をとる一方で、リップシュタットはこの世界にホロコースト否定論者が一定数存在することに危機感を抱いていました。

そんなある日、リップシュタットはホロコースト否定論者について講義をする機会を持ちました。すると、講義に参加していた中年男性が手を挙げ、自分の名前はアーヴィングだと名乗った。アーヴィングとは、リップシュタットが過去に書いた本の中で批判したイギリスの歴史学者でした。アーヴィングはヒトラーがホロコーストを指示した証拠があるのかとリップシュタットを挑発、彼女に答える隙を与えず、次々と質問をぶつけてきました。その場はアーヴィングの独壇場となってしまいました。

その後、さらなる苦難がリップシュタットを襲いました。著作で批判されたことで名誉を傷つけられたとアーヴィングは主張し、リップシュタットと出版会社を訴えたのです。リップシュタットは誤った歴史認識が世の中に広まることを防ぐために、アーヴィングと闘う準備を始めました。しかし、アーヴィングが訴えたのはイギリスの法廷であり、アメリカ人であるリップシュタットはイギリスの法廷のルールに従わねばならず、文化の違いに苦しめられることとなりました。アメリカの法廷と異なり、イギリスの法廷では訴えられた側に立証責任があったのです。

ジュリアスら優秀な弁護団とともに、無実を証明すべくホロコーストの証拠集めに乗り出すリップシュタットでしたが、その矢先にジュリアスから予想外の指示を受けました。証言台にはホロコーストの生存者を立たせないというのです。リップシュタットはこの弁護団の考えに反発しますが、弁護団はそれだけアーヴィングが危険な人物であることを説明しました。アーヴィングは自らの考えを正当化するために、平気で生存者を侮辱する男だったのです。リップシュタットは渋々弁護団の指示に従うことにしますが、やりきれない気持ちも感じていました。

その後、リップシュタットは法廷弁護士のランプトンとともにアウシュビッツを訪れることとなりました。訪問当日、ランプトンは約束の時間に遅刻、その上、収容所内でも証拠を集めることばかりに執心し、ここで亡くなったユダヤ人を顧みる態度を見せませんでした。リップシュタットはそんなランプトンに不信感を抱き始めが、彼女が知らないところでランプトンは熱心に仕事をしていました。約束の時間に遅れたのは先に一人で収容所内を回っていたからであり、収容所内で平静な態度を装ったのも第三者的な視点で臨むためでした。ランプトンがそうしたのは確実な勝利を得るためであり、犠牲者への哀悼の念を忘れてはいませんでした。

【承】- 否定と肯定のあらすじ2

否定と肯定のシーン2 アウシュビッツ訪問を終え、ランプトンはリップシュタットに弁護方針を伝えました。それは、リップシュタットには証言をさせない、というものでした。ディベート術はアーヴィングが得意とするところであり、今回の裁判で感情的になっているリップシュタットが証言台に立てば、形勢が不利になることが予想されたのです。リップシュタットは卑怯者と呼ばれてしまうことに悔しさを覚えますが、ランプトンの考えに従うことを決めました。

そして迎えた裁判の日、リップシュタットは弁護士の隣に座り、沈黙を守りました。一方のアーヴィングが自らの弁護人として出廷、饒舌な言葉でリップシュタットによる名誉毀損を訴えました。それに対してランプトンはアーヴィングの主張の変遷に着目し、その矛盾を追求してウソを暴こうとしました。1日目の裁判はリップシュタット側にとって悪くない滑り出しとなりました。

裁判を終えて法廷を出ると、リップシュタットはホロコーストの生き残りの女性に話しかけられました。女性はホロコーストの生存者が証言をすべきと主張、リップシュタットは女性の勇気に心を動かされ、再びジュリアスに生存者による証言の場を作って欲しいと願い出ました。しかし、ジュリアスは生存者の名誉を守るためと繰り返すだけで、リップシュタットの望みを断るのでした。

その後の裁判はアーヴィング優勢で進みました。リップシュタット側はアウシュビッツ収容所の建築構造の専門家を呼び、ガス室が存在したことを証明しようとしますが、アーヴィングは専門家の記憶が曖昧な部分を追求してきました。専門家は完璧な証拠を揃えていながら、アーヴィングの弁論術に負け答えに窮してしまいます。アーヴィングは専門家を論破したかのように勝ち誇り、マスコミはこぞってアーヴィングの主張を取り上げました。

【転】- 否定と肯定のあらすじ3

否定と肯定のシーン3 今回の裁判を受けて、リップシュタットはホロコースト生存者の証言が必要ともう一度ジュリアスに願い出ました。そんなリップシュタットに、ジュリアスはある映像を見せました。それは、アーヴィングがホロコーストの生存者を侮辱した映像でした。「奥さん、終戦後このイレズミでいくら稼いだのでしょうか」…アーヴィングはそう言いながら、囚人番号のイレズミを見せるホロコースト生存者の写真を指差していました。あまりにも非道徳なアーヴィングの言動を目の当たりにしたリップシュタットは、ホロコースト生存者の証言を断念しました。

リップシュタットは裁判の行方を憂慮していましたが、次の法廷の場でランプトンがアーヴィングに反撃に出ました。ランプトンが目をつけたのは、アーヴィングがガス室を否定する根拠の弱さでした。ガス室とされている部屋はユダヤ人の死体を消毒する部屋、あるいは空襲時の防空壕と苦しい言い訳をするアーヴィングに、ランプトンは容赦ない追求を続け、原告は不正直と結論づけまし。この裁判を通じて、リップシュタットはアウシュビッツ収容所でのランプトンの遅刻や態度の意味をようやく理解し、ランプトンに謝罪しました。それに対して、ランプトンはリップシュタットに勝訴を約束し、そのためには良心を委ねて欲しいと語りかけました。

その後の裁判もランプトンは有利に進めました。アーヴィングが意図的に当時のナチスの命令書を誤訳し、あたかもヒトラーによるユダヤ人虐殺命令がなかったかのように事実を偽装したことをランプトンは暴き、加えて、過去の映像や日記からアーヴィングが異常な差別主義的考えを持っていることも明らかにしました。アーヴィングはユダヤ人だけでなく、黒人や女性に対しても差別の目を向け、見下していたのです。

【結】- 否定と肯定のあらすじ4

否定と肯定のシーン2 その後、リップシュタット側の立証は終わり、判決が下される時が近づきました。ところが、その大事なタイミングで裁判長は驚きの言葉を口にした。アーヴィングが信念に基づいて発言しているのならば、その発言はウソと非難することはできない、というのです。判決が出るまでの数週間、リップシュタットはこの裁判長の言葉が気がかりで、苛立ちを覚えるのでした。

そして判決当日、リップシュタットは緊張しながら裁判長の言葉に耳を傾けました。裁判長がアーヴィングの主張を事実の改竄と認め、リップシュタット側に有利な判決を下すと、リップシュタットはジュリアスと勝利を喜び合い、抱き合いました。

その後すぐにリップシュタットは記者会見を開き、アーヴィングのウソと説明責任の放棄を批判し、ジュリアス、ランプトンら弁護団に感謝の意を示しました。リップシュタットは記者席の後ろに、証言を申し出た生存者の女性がいたことに気づくと、ホロコーストの生存者と死者に伝えたい言葉を語りました。「あなた方は記憶され、苦しみの声は届いた」…この言葉を聞き、生存者の女性は目に涙を溜めながら微笑んでいました。

裁判が終わってすぐ、アーヴィングはメディアに自らの考えを主張し出し、リップシュタットは呆れ顔でその様子をテレビで観ていました。しかし、裁判に勝った今、リップシュタットにはアーヴィングのことを無視する心の余裕も生まれていました。

その後、リップシュタットはジョギングに出かけました。そして、ウェストミンスター橋にたどり着くと、リップシュタットはブーディカ像の前で立ち止まりました。チャリオットに乗り戦いに向かう勇ましい女性ブーディカの姿を、リップシュタットは微笑みながら見上げました。

みんなの感想

ライターの感想

アーヴィングを演じたティモシー・スポールの悪役ぶりが強烈で、主人公に感情移入しながら鑑賞しました。ウソと説明責任を放棄するアーヴィングへの痛烈な批判や、信念に基づいた発言はウソではないという裁判長の言葉など、本作の中には印象深いセリフが多数登場します。歴史の捏造、現代におけるフェイクニュースなど様々な問題について提起する秀作だと思いました。

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