映画:土を喰らう十二ヵ月

「土を喰らう十二ヵ月」のネタバレあらすじと結末、みんなの感想(1件)

ヒューマンドラマ

土を喰らう十二ヵ月の紹介:2022年11月11日公開の日本映画。作家である水上勉が自身の経験を基に描いた料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」を原案とするヒューマンドラマ。『パイナップル・ツアーズ』の中江裕司が監督を務め、『キネマの神様』の沢田研二が主人公のツトムを、『ラストレター』の松たか子が恋人の真知子を演じた。また、『新聞記者』の西田尚美や『とんび』の尾美としのり、『太陽とボレロ』の檀ふみらが出演する。

土を喰らう十二ヵ月の主な出演者

ツトム:沢田研二 真知子:松たか子 美香:西田尚美 隆:尾美としのり 写真屋:瀧川鯉八 文子:檀ふみ 大工:火野正平 チエ:奈良岡朋子

土を喰らう十二ヵ月のネタバレあらすじ

【起】– 土を喰らう十二ヵ月のあらすじ1

土を喰らう十二ヵ月のシーン1

画像引用元:YouTube / 土を喰らう十二ヵ月トレーラー映像

車のなかには、ジャズの音楽が流れていました。車は東京タワーを右手に見ながら高速道路を通ると、一路西へ向かいます。窓外の景色は都会のものから田舎のそれに変化し、やがて雪景色に変わりました。車はひたすら進みます。

ツトムは長野県・信州の山荘で暮らしています。家は昔ながらの日本家屋で、土間には飼い犬のサンショウがいました。ツトムの妻・ヤエコは13年前に他界しており、遺骨と遺影にお供えがなされています。

ツトムが家を出て雪を踏み分けながら、庭の離れにある小さな藁ぶきの小屋から小芋を出します。

そこへ車に乗って、ツトムと年齢の離れた恋人・真知子がやってきます。

【立春 一年のはじまり】

ツトムが台所で芋の土を洗い落としていると、真知子がやってきて「何してるの?」と声をかけました。ツトムは寒かったろうと待子をねぎらうと、囲炉裏に当たっていろと言いました。ツトムは冷たい水で芋を洗い続けます。

真知子が火に当たっていると、ツトムが皿に干し柿を持ってきました。真知子はそれを一口で食べながら「去年いっぱい作ったわね」と声をかけます。ツトムが茶を点てるのを見て、真知子は「いい男ねえ」と言いました。「原稿は?」と催促しますが、ツトムはお薄を真知子に勧めます。

自分の分の干し柿も真知子に与えたツトムは、土間で小芋の皮むきを始めました。木の桶に水と芋を入れて、羽の付いた木の棒でかき混ぜる昔ながらのやり方です。白菜の漬け物も出し、囲炉裏のそばで温めた熱燗の日本酒を真知子に出すと、真知子は「沁みるわあ」と言います。ツトムは、去年作った白菜の漬物はこれでおしまいで、また来年漬けると知らせました。

囲炉裏に網を置いて焼いた小芋を出すと、真知子は舌鼓を打ちます。少し残った皮のところがおいしいと真知子は言い、ツトムは「皮を全部剥いたらおいしいところを捨ててるようなもん」と子どものころに言われていたと話しました。真知子は香りがいいと唸り、「土の香りなのね」と喜びます。

恋人の真知子は編集者でした。再度原稿の催促をされたので、ツトムは「ない」と答えました。酌をしてごまかそうとするので、真知子は「小芋さんは小芋さん、仕事は仕事」と言ってタイトルだけでも決めろと原稿用紙と万年筆を握らせます。ツトムは考えたのち、原稿用紙の中央に文字を書きました。(映画タイトル)

【啓蟄 生き物が目覚める】

ツトムは真知子に勧められて、長野の山荘での暮らしと料理についてエッセイを書くことにしました。

ツトムは子だくさんの家に生まれたために、口減らしで9歳のときに禅寺へ出されました。禅寺では精進料理の作り方を徹底的に教わりました。13歳で脱走して連れ戻されたという経緯もありますが、そういうわけで精進料理とは幼少のころからなじみ深いものです。

道元和尚の『典座(てんぞ)教訓』には、「食」に関する教えがたくさん書かれています。ツトムはその教えも大事にしていました。

米を洗い釜に入れてかまどで炊きます。エッセイを書いている途中で土間へ行き、かまどの様子を見ます。

『典座教訓』に「献立は畑と相談」ということばがあります。「うちにあるもので間に合わせる」という意味で、その季節そのときどきにあるものをいただくことは、旬を食べることであり即ち土を喰らうことだと教わったとツトムは思います。

畑でほうれん草を抜いてくると、洗います。幼少期に寺でほうれん草を洗っているとき、根元の土を落としにくいために切り捨てたところ、和尚さんがおいしいところだと言いながら拾ったことを思い出しました。さっと茹でて水にひたします。

炊き上がったご飯はお櫃(ひつ)に入れ替えます。おこげがたくさんできてしまい、飼い犬のサンショウに食べさせました。サンショウもご飯を食べます。

ご飯とほうれん草のお浸し、みそ汁の食事を済ませたあと、釜を洗います。

【清明 万物が春を謳歌する】

雪解けを迎えて、花も開きました。つくしも顔を覗かせ、燕もやってきます。

ツトムは胴長姿に籠を抱えて、雪解け水がまだ冷たい山へ分け入ります。去年見つけた場所にまた芹(せり)が生えていたので、喜んで収穫しました。ほかにも、こごめ、わらび、やまうどなどを収穫して帰ります。

芹は洗って茹でてみじん切りにし、炊き上がったごはんに混ぜて食べます。山菜類もみなそれぞれ茹でて水にさらし、みそ汁の具にしたりゴマ汚しにしたりしました。

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