映画:家へ帰ろう

「家へ帰ろう」のネタバレあらすじと結末

家へ帰ろうの紹介:2017年制作のスペイン・アルゼンチン合作映画。ブエノスアイレスに住む88歳の仕立屋の老人が、70年以上会っていない親友にスーツを届けるためにポーランドまで旅立つ姿を描く。世界中の映画祭で絶賛され、観客賞8冠に輝いた。日本公開は2019年。

あらすじ動画

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家へ帰ろうの主な出演者

ブルスティン・アブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)、レオナルド(マルティン・ピロヤンスキー)、マリア・ゴンザレス(アンヘラ・モリーナ)、イングリッド(ユリア・ベアホルト)、ゴーシャ(オルガ・ボラズ)

家へ帰ろうのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 家へ帰ろうのあらすじ1

家へ帰ろうのシーン1 ブエノスアイレスで暮らす88歳の仕立屋、ブルスティン・アブラハム。
彼は10代の頃に故郷のポーランドでナチスの迫害に遭い、親兄弟を失って叔母がいるアルゼンチンに一人逃れてきました。
アルゼンチンで生活を再建したアブラハムは、仕立屋を営み、結婚して多くの子どもをもうけました。やがて子どもたちも家族を持ち、現在アブラハムにはたくさんの孫がいます。
アブラハムの妻はすでに亡くなっており、彼は長年暮らした家で余生を終えるつもりでした。

ところが、アブラハムは老人ホームに入居することになってしまいます。
その前日、子どもたちや孫を家に呼びつけた彼は、最後のワガママとして孫たちに囲まれた記念写真を撮ろうとします。
孫娘のミカエラが写真に写りたくないと拒否し、アブラハムは老人ホームの連中に見せつけるために撮るのだと言いくるめようとしますが、上手くいきません。
するとミカエラはiPhone6が欲しいと漏らし、アブラハムが金額を尋ねると1000ドルだと答えます。アブラハムは200ドルあげるので写真に加わるよう交渉しますが、ミカエラは応じません。
駆け引きの末、アブラハムは800ドルまで出すと宣言し、ミカエラはようやく納得しました。
交渉成立後、アブラハムは「本当は1,000ドルあげるつもりだった。お前は200ドル損した」と告げます。しかし、ミカエラは「iPhone6は600ドルだから200ドルの儲け」と笑顔で言い返すのでした。
アブラハムはミカエラに怒りの形相で迫ったかと思いきや、「これだからお前が好きなんだ」と大喜びしました。

アブラハムは戦中に右足を負傷し、医師からは切断を勧められていました。
本人は右足にツーレス(イディッシュ語でトラブルや苦労という意味)と名付けて愛着を示しており、「相棒と離れる気はない」と抵抗しますが、子どもたちはアブラハムの意向を無視して淡々と事を進めていました。

子どもたちは去り、家政婦のパウリーナが一着のスーツを持ってきます。
それはアブラハムが最後に仕立てたスーツで、彼はあることを決意します。
アブラハムをホロコーストから唯一救ってくれた存在が、親友のピオトレックでした。アルゼンチンへと逃れる70年前、アブラハムは自分が仕立てたスーツを持って、彼の元へ必ず戻ると約束していたのです。
アブラハムは夜が更けないうちに、スーツを手にとり家を抜け出しました。

アブラハムはユダヤ人の友人タルナポルスキーの孫娘に会いに行きます。
今晩出発したいと強引に頼み込み、彼女にマドリード行きの航空券を手配してもらいました。
アブラハムは飛行機でマドリードまで飛び、鉄道でパリに入りワルシャワ行きの列車に乗り継ぐことにするのでした。

飛行機に乗り込んだアブラハムは、隣同士になったレオナルドというミュージシャンの青年にあれこれ話しかけます。
レオナルドが困惑しているにもかかわらず、ミュージシャンなら何の楽器をするのかなどと質問攻めにして、やがて彼はうるさがって席を立ってしまいます。
アブラハムはしめしめとばかりに彼の席まで陣取り、ツーレスを伸ばしてリラックスするのでした。

マドリードに到着しますが、アブラハムは入国の際に手間取ったせいで、別室へ連れて行かれてしまいます。
アブラハムはしぶしぶ目的地がポーランドであること、自分がポーランド出身で親友にスーツを届けに行くことを、紙に書いて説明するのでした。
職員はポーランドという国名を決して口にしようとしないアブラハムに不信感を持ちます。すると彼は「ユダヤ人にあのとき何があったか知っているか?」と凄むのでした。
どうにか入国を許可されたアブラハムは、レオナルドと再会します。彼は航空券も金も持っておらず、このままでは強制送還させられると助けを求めてきます。
アブラハムは呆れながらも、彼にチケット代を渡してやるのでした。

【承】- 家へ帰ろうのあらすじ2

家へ帰ろうのシーン2 レオナルドにホテルまで送ってもらったアブラハムは、無愛想な女主人マリア・ゴンザレスに出迎えられます。
アブラハムは宿泊代の値切り交渉をしますが、マリアは一切応じようとしませんでした。そして部屋に案内されたアブラハムは、血の巡りが悪く真っ白に変色したツーレスをいたわります。
やがて彼は眠ってしまい、昔の夢を見ます。それは幼い妹のシャイナが、親族に囲まれたパーティー会場で自作の物語を披露する思い出の場面でした。アブラハムもまだ少年で、シャイナが作ったお星さまの話に感動し、皆から喝采を受ける彼女を力いっぱい抱きしめました。
アブラハムを起こしにきたマリアは、彼の左腕に刻まれた数字の入れ墨を目にします。
アブラハムは寝過ごして、パリ行きの列車に乗り遅れてしまいました。マリアはそんな彼を食事に誘います。

アブラハムはマリアに連れられてやってきたピアノバーで、彼女が披露する哀愁漂う歌に聴き惚れます。
すっかり打ち解けたマリアは、一人目の夫に二度も逃げられ、結婚と離婚を繰り返してきた過去を明かします。
向かい側にいた女性に見つめられたアブラハムは挨拶を返しますが、マリアに「連れは私でしょ?」と笑われるのでした。
楽しいひとときを過ごした2人がホテルに戻ると、アブラハムの部屋の窓が開いていました。泥棒が入り、有り金の1万5900ドルを全て奪われてしまったのです。
それでもマリアに値切る気はなく、アブラハムはマドリードに娘のクラウディアが住んでいるものの、彼女を勘当したため頼めないと告白します。
アブラハムは友人が亡くなる前にくれた十字架のネックレスが売れるかどうかマリアに相談しますが、彼女は友達の形見を換金できないと止めるのでした。

何故クラウディアを勘当したのか、マリアが理由を尋ねるとアブラハムは説明を始めました。
人生に疲れたアブラハムは、財産を子どもたちに譲ることにしました。その代わりに自分のことをどう思っているのか、簡単な言葉で伝えてほしいと子どもたちに告げました。
子どもたちは財産欲しさにおべんちゃらを並べましたが、クラウディアだけ「愛情は行動で示すものなので、こんな儀式に参加できない」と拒否したのです。
そして自分に恥をかかせたとアブラハムは怒り、彼女を勘当してしまったのでした。
話を聞いたマリアは、クラウディアは正直なだけだと言います。アブラハムはほかの子どもたちが自分の家を売り払い、老人ホームに入れようとしていることを漏らします。
マリアは自業自得だと呆れ果て、クラウディアに会いに行くように背中を押すのでした。

翌日、レオナルドにクラウディアの家まで送ってもらったアブラハムでしたが、中々決心がつきません。
やっとの思いでチャイムを鳴らし、クラウディアが驚いて出てくると、アブラハムは謝りにきたと説明し、自分の非を認めました。
アブラハムは絶縁状態だったクラウディアに、自分の財産を分けられなかったことが気がかりでした。ところが、彼女はきょうだいからちゃんと分け前をもらっていたのです。
アブラハムはポーランドへ行くための資金として、2,000ドル貸してほしいと頼みます。事情を理解したクラウディアでしたが、はるばる訪ねてきた目的が金であることに落胆します。
1,000ドルでもいいと粘るアブラハムは、クラウディアの腕の入れ墨に気づきます。それは彼が収容所で強制的に彫られた囚人番号だったのです。
クラウディアは入れ墨を隠して、お金を取りに冷たく背を向けました。彼女は父親が受けた苦しみを追体験するために、自らの腕に番号を刻み込んだのでした。

マリアとレオナルドに別れを告げたアブラハムは、スペインの国鉄に乗り込みます。
そしてフランスの国鉄に乗り換えて、パリのモンパルナス駅へ向かいます。

アブラハムは列車の中で夢を見ていました。
第二次世界大戦末期、「死の行進」から逃げ出したアブラハムは、右足を引きずりながらウッチを目指していました。
人々の白い目にさらされながらもどうにか我が家に辿り着き、ドアをノックします。ところが、ポーランド人の使用人一家がすでに住み処としており、アブラハムを家に入れるリスクを恐れて追い返そうとします。
絶望したアブラハムは崩れ落ちますが、使用人の息子であるピオトレックが救いの手を差し伸べました。2人は大の親友で、ピオトレックは父親を殴り飛ばし、アブラハムを抱きかかえて自分たちの住まいだった地下室へ連れて行ったのでした。

【転】- 家へ帰ろうのあらすじ3

家へ帰ろうのシーン3 パリに到着したアブラハムは、東駅で路線図を見てベルリンに乗り換えないとポーランドへ行けないことを知ります。
ドイツの地を断じて踏みたくない彼は、駅の案内係にドイツを経由せずにワルシャワへ行く方法を尋ねます。
案内係は何故かフランス語しか話せず、スペイン語しか話せないアブラハムと押し問答になります。さらに、彼はポーランドとドイツという言葉を口にしないため、「NO GERMANY、POLONIA」と紙に書いてひたすら訴えるのでした。
近くにいたスペイン語を話せる女性が通訳してくれますが、それなら飛行機を使うしかないと周囲の人々に一笑されます。アブラハムはユダヤ人の歴史を馬鹿にされたと感じ、怒ってその場を離れてしまいました。

それを追いかけてきたのが、文化人類学者の女性イングリッドでした。イディッシュ語(ユダヤ語ともいう)を話せる彼女は「彼らはただやりとりに笑っただけ」と、アブラハムを優しくフォローします。
2人は楽しく会話をしますが、イングリッドがドイツ人であることを知ったアブラハムは、途端に機嫌を悪くします。
イングリッドはアブラハムの力になりたいと言いますが、ドイツ人の助けを借りたくない彼は、口をきこうともしません。
やがて頑固なアブラハムが手に負えなくなったイングリッドは、おとなしく去って行きました。

どうにか折り合いをつけたアブラハムは、ドイツを経由して列車でワルシャワへ向かうことにしました。
ところが車内でイングリッドと再会し、嫌々会話をしていたアブラハムでしたが、彼女がユダヤ人の歴史に理解があることがわかります。
イングリッドはドイツ人が犯した罪を謝罪し、今ではホロコーストの「責任」を全員が背負っていること、世界は変わったのだと真摯に伝えます。
それを聞いたアブラハムは、彼女に心を開くことになるのでした。

乗り換えの駅に到着し、アブラハムはドイツの地を踏まなければならなくなります。
イングリッドはそんな彼のために、自分の衣服を列車からホームにかけて並べて、降り立つ道を作ってあげます。
こうしてアブラハムは椅子に腰かけて、自分のトランクの上に両足を乗せました。
アブラハムは献身的なイングリッドに心を打たれて、列車を待っている間、自分の壮絶な過去を語り聞かせます。
アブラハムの一家は、ポーランドの街ウッチで仕立屋を営んでいました。彼らは幸せに暮らしていましたが、ナチスドイツがポーランドを侵略して、故郷でもユダヤ人の迫害が始まりました。
60人にも及ぶユダヤ人の親戚が収容所へ送り込まれ、彼の父親は叔父たちと共に射殺されました。
妹のシャイナは、アブラハムの目の前でトラックに積み込まれて連れて行かれます。それを見ていることしかできなかったアブラハムは、シャイナと目が合ったときの顔が忘れられないと語ります。
当時10歳だったシャイナは、10歳以下までが対象とされる大量虐殺の犠牲となったのです。ひと月早く生まれていれば助かっていたのだと、アブラハムは悔やみます。
アブラハムはイングリッドに体験談を語る中で「聞いた話じゃない、この目で見た」と言い切り、「ユダヤ人だったこと以外に何の罪があったのか?」と何度も訴えるのでした。

そして乗り換えの列車が到着し、アブラハムは靴を履きます。それを見たイングリッドは、今度はどうやって列車に乗り込むのかと尋ねます。するとアブラハムは、自分の足で駅のホームを踏み歩くのでした。
2人は何も語らず、静かに抱擁し合って別れます。

【結】- 家へ帰ろうのあらすじ4

家へ帰ろうのシーン2 引き続き列車でワルシャワに向かうアブラハムでしたが、ボックス席に乗り合わせた人々が交わすドイツ語に息苦しさを感じ始めます。
席を立って移動しますが、どこの個室もドイツ人ばかりで、アブラハムは列車内をさまよいながら過去の辛い記憶にとらわれます。
そしてドイツ人の将校に陵辱されたときの幻覚を見て、通路に倒れてしまうのでした。

アブラハムが目を覚ましたのは、ワルシャワの病院でした。
傍らは看護師の女性ゴーシャがおり、限界の状態まで達していたツーレスが切断を余儀なくされていたことを説明します。
しかし、ドイツ国籍のヤノフスキという医師が、わずかでも可能性があるのなら救うのが使命だと粘ったのです。リハビリは長丁場になるものの、必ず歩けるようになると言われたアブラハムは感極まるのでした。
ゴーシャに何でも手助けしたいと声をかけられた彼は、自分が元気になったら故郷のウッチへ連れて行ってほしいと頼みました。

アブラハムはゴーシャが運転する車に乗って、ウッチへ向かいます。
道中、アブラハムは2つの収容所に送られた過去や、ピオトレックとの関係性、彼の人となりなどを語ります。
使用人が住む地下室でかくまわれながら戦中をやり過ごしたアブラハムは、ピオトレックの助けを借りなければ、アルゼンチンへ逃れられなかったのです。
しかし、それ以来ピオトレックとは音信不通になり、何故自分は彼との約束を守らなかったのかと呟きます。ゴーシャは「今果たしにきたわ」と言葉をかけました。

ゴーシャに車椅子で押してもらいながら、アブラハムはかつて自分が暮らしていた家へと向かいます。
目的地に近づくにつれて、アブラハムは「会うことも会えないことも怖い」と不安に駆られます。どこかへ引っ越しているかもしれない、すでに亡くなっているかもしれないと、さまざまな憶測が心にのしかかるのです。
絶望しかけたアブラハムを、ゴーシャは「あなたは素晴らしい人よ。だからはるばるここまでやってきた」と勇気づけました。
かつてツーレスを引きずりながら歩いた通りは当時と変わっておらず、アブラハムはなつかしい光景に目を奪われるのでした。
ついに家の前に辿り着いたアブラハムは、覚悟を決めてドアをノックします。しかし、誰も出てきません。ゴーシャが近所の人々にピオトレックのことを尋ねますが、誰も知る人はいませんでした。
意気消沈したアブラハムは、ゴーシャにどうしたいかと尋ねられて「彼のところへ」と答えます。
あきらめて家の周辺を見回したアブラハムは、かつてピオトレックがかくまってくれた地下室へと続く階段を見つけます。見に行ってほしいとゴーシャに頼み、彼女は階段を下りていきました。

その間、アブラハムは家の窓を眺めます。
すると、自分と同年代くらいの男性がミシンの前にやってきて、ため息をつきながら作業を始めようとしていました。
視線を感じた男性は顔を上げて、2人は目が合い、互いになつかしい友の面影を感じます。
ピオトレックが家から出てきて、満面の笑みでアブラハムに名前を尋ねます。アブラハムは車椅子から立ち上がり、2人は抱擁し合います。
そして「1945年、君がくれた型紙で仕立てたスーツを届けにきた」と言って、彼にスーツを渡しました。受け取ったピオトレックは「家へ帰ろう」と言って、アブラハムを支えて家の中へ入ります。
ゴーシャが2人の様子を見守り、一人家を後にする場面で物語は幕を閉じます。

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みんなの感想

ライターの感想

ホロコーストの犠牲者が主人公の物語ですが、決して重くならず、ユーモアと感動にあふれていて素敵でした。なかでもラストシーンが感動的で、あんな形で心の友に再会できた2人が心底うらやましいと思いました。アブラハムは旅の中で出会った人々の善意によって、疎遠になっていた娘に謝りに行けたり、憎んでいたドイツ人と和解できたり、そしてかけがえのない親友との約束を果たすことができました。本作を観た後、人間は本来こうあるべきなのだと再確認して、人との接し方が変わったという方は結構いらっしゃるのではないかと思います。しかしイングリッドと和解して間もなく、列車の中で倒れてしまったアブラハムを見て、残酷な出来事は人の記憶に一生残り、苦しめ続けるということを忘れてはならないと思いました。

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