映画:川っぺりムコリッタ

「川っぺりムコリッタ」のネタバレあらすじと結末、みんなの感想(1件)

ヒューマンドラマ

川っぺりムコリッタの紹介:2022年9月16日公開の日本映画。『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』の荻上直子が監督、脚本、原作を務めるヒューマンドラマ。『BLUE/ブルー』『ホテルローヤル』の松山ケンイチを主演に迎え、孤独だった青年が、生と死の狭間を明るく生きる住人たちとの交流を通して幸せを見つけていく様子を描く。共演はムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、江口のりこ、柄本佑。

川っぺりムコリッタの主な出演者

山田たけし(松山ケンイチ)、島田幸三(ムロツヨシ)、南詩織(満島ひかり)、中島(江口のりこ)、(黒田大輔)、ガンちゃん(知久寿焼)、洋一(北村光授)、カヨコ(松島羽那)、堤下靖男(柄本佑)、大橋(田中美佐子)、いのちの電話の女性(薬師丸ひろ子)、タクシー運転手(笹野高史)、沢田(緒方直人)、溝口健一(吉岡秀隆)、岡本

川っぺりムコリッタのネタバレあらすじ

【起】– 川っぺりムコリッタのあらすじ1

川っぺりムコリッタのシーン1

画像引用元:YouTube / 川っぺりムコリッタトレーラー映像

〝ムコリッタ(牟呼栗多)

 仏典に記載の時間の単位のひとつ

 三十分の一日=二千八百八十秒=四十八分

 「刹那」は、その最小単位〟

2019年7月。富山県射水市。

山田たけしは前科者の男性でした。刑務所から出所したあと、紹介で沢田水産工業という小さな塩辛工場で働くことになります。

気鬱な表情を浮かべた山田が工場に顔を出すと、社長の沢田は喜んで握手を求めました。山田が動かずにいると、沢田は無理やり手を取り握手します。

工場では数人の従業員がエプロンを身に着けて、黙々と塩辛の原料になるイカを捌いていました。ベテラン社員の中島は山田に、「ゆっくりでいいから、とにかく丁寧に」と教えました。沢田が山田のもとへやってくると、「単調な作業でもちゃんと真面目にやっていれば、昇給もあるから」と励まします。「更生するチャンスがあるから」と熱っぽく沢田に語られて、山田は閉口します。

工場の社長・沢田の紹介で、山田は川沿いを歩いて「ハイツ ムコリッタ」というところへ行きました。ハイツとは名ばかりで、築50年の平屋の長屋です。

そこには女性の大家・南詩織がいました。南のところではヤギを繋いで飼っていて、メエメエよく鳴いています。南は山田に空いている部屋を案内しました。6畳と4畳半、台所とトイレ、お風呂つき、南向きの部屋です。「築50年だからいろんな人が住んでるけど、ここで死んだ人はいないから大丈夫」と南は言いました。

山田は早速、風呂を沸かして入りました。風呂上がりにはパンツ一丁で牛乳を飲み、大きく息を吐きます。

やってきたばかりの部屋のドアが、ノックされました。山田が困惑しつつシャツを着て開けると、隣人の島田幸三が挨拶にきました。そして「給湯器壊れてここ3日入ってないの。風呂貸してくんない?」と言います。長屋は壁が薄いので山田が風呂に入っていたのが判ったと告げ、あぜんとする山田に島田は「いま銭湯行けよって思ったでしょ」と話します。銭湯の入湯料が420円になっていてミニマリストの自分には負担になると話し、島田は山田の風呂を借りたがります。しかし山田は困惑して断りました。島田の前で扉を閉めて、鍵をかけます。

溝口健一と息子の洋一も、「ハイツ ムコリッタ」の住人でした。洋一は小学校に上がるか上がらないかくらいの年齢です。父子ともに黒いスーツを着用して、道を歩きながら溝口は洋一にすきやきのおいしい食べ方を話します。

一軒家を訪問した溝口は、出てきた住人に「毎日お暑うございますね」と話しかけます。立て板に水のごとくすらすらときれいごとのことばを並べ立てる溝口に、住人は宗教の勧誘かと警戒します。それを否定した溝口は、「こちらの案内をしております」と1枚のチラシを差し出しました。墓石のチラシです。あっけに取られる住人に「安心してください。死なない人はいません」とちっとも安心できないことばをかけた溝口を、住人は追い返します。

山田の真面目な働きぶりをみて、社長の沢田は嬉しそうな顔をしています。昼休みに山田は近所の土産店へ食べ物を買いに行きますが、所持金が心許ないので買うのをやめました。防波堤に腰かけて海を見ながら過ごします。

帰宅すると、郵便受けに役場から封書が届いていました。公衆電話まで行って役所に電話をかける山田の横を、帰宅した溝口父子が通りかかります。

山田は公衆電話を出ると頽れました。見つけたナメクジにツバを吐きかけます。部屋に戻った山田は何かに当たろうとしますが、引っ越したばかりで家財道具が皆無でした。冷蔵庫の扉を開け閉めします。

山田が聞いたのは、父の遺体が見つかったという知らせでした。いわゆる孤独死で、死後数週間が経過して悪臭に気づいた近隣の人の通報で発見されました。荼毘に付されており、遺骨を引き取ってほしいというのが役所の人の用件でした。

やりきれない気持ちを抱いた山田は、部屋で九九の7の段を逆にかぞえてやり過ごします。

部屋であおむけに寝転がって放心状態でいると、庭から島田がやってきました。微動だにしない山田を心配して声をかけ、「やだよ、隣人が熱中症で死亡とか」と気遣います。島田は庭に家庭菜園を作っており、収穫したトマトときゅうりをそこに置いていきました。

上半身を起こした山田は、島田が置いて行ったきゅうりを丸齧りしてみます。みずみずしくて、すごく美味でした。トマトも手に取って、夢中になってかぶりつきます。

真面目に働いた山田にとって、初の給料日です。社長の沢田は山田を褒めて労うと「塩辛、持ってってね」と言います。

最低限の道具を(たぶん中古で)買った山田は、食材を購入して帰宅しました。向かい側の棟のベランダで溝口父子が並んで腰かけており、山田の帰宅を見守っています。

台所で米を丁寧に研いで水をきちんと計量しました。風呂に入って牛乳を飲み、山田はしゃもじを片手にスタンバイします。白米が炊き上がった知らせの音と共に炊飯器の蓋を開けると、白い湯気に顔を埋めて心行くまで香りを嗅ぎます。ご飯をほぐして碗に盛り、みそ汁と佃煮や塩辛とともに食べようとします。

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