「希望のかなた」のネタバレあらすじと結末の感想

希望のかなたの紹介:フィンランドに流れ着いたシリア難民のカーリド。生き別れた妹を探し、この国で暮らそうと微かな希望を抱いていた。ところが無情にも難民申請は却下されてしまい、カーリドは収容施設から脱走するのだが…。
2017年ベルリン国際映画祭銀熊賞をはじめ多くの映画賞を受賞したフィンランドのアキ・カウリスマキ監督の最新作。前作『ル・アーヴルの靴磨き』に続き、難民3部作の2作目にあたる。

予告動画

希望のかなたの主な出演者

カーリド(シェルワン・ハジ)、ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)、マズダック(シーモン・フセイン・アル=バズーン) 、ヴィクストロムの妻(カイヤ・パカリネン)、ミリアム(ニロズ・ハジ)、カラムニウス(イルッカ・コイヴラ)、ニュルヒネン(ヤンネ・フーティアイネン)、ミルヤ(ヌップ・コイヴ)

希望のかなたのネタバレあらすじ

【起】- 希望のかなたのあらすじ1

シリア・アレッポで、誰が攻撃したのかも不明な空爆に遭い家族を失った青年・カーリド。外出中だったために、彼と妹・ミリアムだけが助かりました。カーリドは内戦が始まったころに婚約者も亡くしていて、その彼女の父から借りた金でミリアムやいとこと共にトルコ国境へ行き、密航業者に依頼し、その後何か国も転々とします。ところがカーリドはその途中でミリアムとはぐれてしまいました。カーリドは数か国の難民キャンプを回り、ミリアムを探しましたが手掛かりは得られないまま、貨物船の石炭の中に身を潜めてフィンランド・ヘルシンキの港に流れ着きました。

難民認定のために警察へ向かったカーリドは、待機室にいたイラク人の青年・マズダックと出会います。その後2人は難民の収容施設に移送されますが、マズダックにとってはこの1年で5か所目の施設でした。施設には様々な国籍の難民がおり、収容者は不安を抱え暗い表情を浮かべています。難民の生き方をすでに心得ているマズダックは、出会ったばかりのカーリドにためらうこともなく、この国での過ごし方を知らせてやるのでした。

カーリドの難民申請の面接が行われます。カーリドは故郷の悲惨な状況や妹とはぐれたこと、留置所で暴力を受けたことなど切々と訴えました。国境を越えられた理由は、厄介者の僕等を誰も見たくないからだと切実な現実も伝えました。
その夜カーリドは帰り道で“フィンランド解放軍“と自称するネオナチの3人組に絡まれ、瓶を投げつけられます。怪我は免れましたが、国籍も宗教も外見も違う難民は謂れの無い差別を受けているのでした。

【承】- 希望のかなたのあらすじ2

一方、ヘルシンキでシャツの卸業を営むヴィクストロムは、単調な仕事と酒浸りの妻に辟易とし、指輪と家の鍵を置いて愛車で家を出ました。ヴィクストロムはシャツ3000枚を在庫処分すると、売上金をカジノでポーカーにつぎ込みます。明け方まで勝ち続けたヴィクストロムは、手にした大金でレストランを買い、人生をやり直すつもりでした。
ヴィクストロムは仲介業者の紹介で、ベテラン従業員が2人も付く格安物件の『ゴールデン・パイント』という店を買い取ります。しかし蓋を開けてみると、ボーイのカラムニウスは店先で堂々と煙草をふかし、シェフのニュルヒネンは厨房で居眠りし、作れるのはミートボールだけ…。おまけに新人のホール係のミルヤと、従業員たちは少し世間からはみ出したような人材ばかりでした。

再び面接を受けたカーリドは、フィンランドへ来た理由を“誰もが平等で、いい人々の国”だと聞いたと告げ、戦争のない国で暮らし、妹も呼び寄せたいとのささやかな希望を面接官に伝えました。
しかしアレッポでは戦闘がないとの外務省の見解により、カーリドの難民申請は却下され、送還が命じられます。皮肉にもテレビでは、アレッポの小児病院が爆撃され多数の死者が出たと報道されていました。食料も薬品も足りていないのが現状です。カーリドはマズダックに別れを告げ、部屋にあった民族楽器のサズを奏でると、収容者たちは故郷に思いを馳せてその音色に聞き入るのでした。

翌朝。送還のための迎えが来ると、カーリドは施設を脱走しました。なんとか街まで逃げ切りますが、再びネオナチの輩と出くわします。カーリドは体に火をつけられそうになったところを、ホームレスに助けられました。

【転】- 希望のかなたのあらすじ3

ニュルヒネンとミルヤが厨房で犬を飼い始め、呆れていたヴィクストロム。彼が店の外のゴミ箱へ行くと、油まみれでそこに暮らすカーリドがいました。一旦は拳を交えた2人ですが、ヴィクストロムはカーリドに食事を与え、店で働くかと尋ねると、カーリドは「ぜひとも」と即答します。ヴィクストロムは空になった自宅の倉庫をカーリドの寝床として提供しました。
カーリドは早速働き始めますが、身分証なしでは行動できまいとのヴィクストロムの計らいで、カラムニウスの甥に偽造の身分証を作らせます。これで外出もしやすくなったカーリドはマズダックを訪ね、自身の無事と新たな居場所を伝えました。しかしミリアムについての情報は未だありません。

次第にヴィクストロムと従業員たちは団結していき、カーリドも仲間として受け入れられ始めます。しかしろくな料理もなく常連客がビールしか飲まない店では、売り上げが下がっていました。流行に乗って寿司を出そうと決めた一同は、店を日本風に改装します。本を参考に見様見真似で寿司を作りますが、分厚いネタに大量のワサビを乗せた寿司はもちろん大不評。そこで今度はバンドの生演奏を兼ねたダンスホールに変え、それなりの好評を得ます。
カーリドも仲間に馴染んだころ、朗報を抱えたマズダックが店にやって来ます。リトアニアの難民センターでミリアムが見つかったのでした。

【結】- 希望のかなたのあらすじ4

今すぐ出国したいと気持ちが逸るカーリドに、この状況下では危ないとヴィクストロムが冷静に諫めます。カーリドにミリアム宛の手紙を書かせ、彼女を信用させたヴィクストロムは、運送業の知人に依頼し、ミリアムをトラックの隙間に隠してフィンランドに入国させました。カーリドは念願のミリアムとの再会を果たします。謝礼を払おうとするヴィクストロムに知人は「素敵な荷物を運べた。金はいらない」と粋な返答をするのでした。

カーリドはミリアムに偽造の身分証を作ることを勧めますが、「私は私」とミリアムは名前を変えることを拒みます。それでも彼女は、必死に動き回ったカーリドを“世界一のお兄さん”と称えました。ミリアムが警察へ行く翌日まではミルヤが匿ってくれることになります。突然の依頼にも、店の仲間は温かく受け入れてくれるのでした。ミリアムを見送ったカーリドが寝床へ向かうと、今もなお彼を狙っていたネオナチの1人に腹を刺されました。
ヴィクストロムは立ち直った妻を迎えに行き、ゴールデン・パイントで雇うことにしました。妻を家に送ったヴィクストロムは、もぬけの殻となった倉庫に血がこぼれていることに気づきます。

翌日。ミルヤが心配なカーリドは傷を覆い隠し、警察の玄関脇で彼女を待ちました。申請のアドバイスをしミリアムを見送ったカーリドは、病院にも行けず人気のない川辺に来ました。どこかやり切った表情のカーリドは煙草をふかし、静かに川を見つめます。隣には結局店で飼い続けている犬が寄り添っていました。

みんなの感想

ライターの感想

真のやさしさとは、見返りを求めず無償であると実感させられました。「素敵な荷物を運べた。金はいらない」との台詞に、体が熱くなりました。
カウリスマキ作品らしいユーモア、またそれに包まれた辛辣なメッセージ。胸をえぐられるように伝わってきます。自分ならヴィクストロムらのように難民に手を差し伸べられるだろうか…。思わず自問自答してしまいました。希望に満ち溢れていた前作『ル・アーヴルの靴みがき』に対し、今作は明るくはありません。これは監督が発信した世界への“希望”の顕れなのではないかと思いました。

カーリドが仲間に助けを求めなかったのは、これ以上迷惑をかけてはいけないと思ったのか…。ミリアムは国へ送還されてしまうのだろう…などと想像すると涙があふれてきます。いい映画とは余韻に浸れること。そう強く感じました。

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