「愛しのタチアナ」のネタバレあらすじと結末の感想

ヒューマンドラマ

愛しのタチアナの紹介:無口でシャイな男2人が充てのない旅に出る。途中で乗せた外国人女性2人と共に送るロードムービー。
監督はフィンランドの名将アキ・カウリスマキ。カウリスマキ節と呼ばれる独特な間や、コミカルさが散りばめられた作品。俳優やスタッフ陣にはカウリスマキ作品の常連が並び、レイノ役のマッティ・ペロンパーはこの作品が遺作となった。1994年公開の中篇モノクロ映画。

予告動画

愛しのタチアナの主な出演者

タチアナ(カティ・オウティネン)、レイノ(マッティ・ペロンパー)、ヴァルト(マト・ヴァルトネン)、クラウディア(キルシ・テュッキュライネン)

愛しのタチアナのネタバレあらすじ

【起】- 愛しのタチアナのあらすじ1

フィンランドの田舎町で母と共に仕立てを生業とする中年のヴァルトは、その日も大きな体で黙々とミシンを操作していました。コーヒー中毒でマザコンのヴァルトはコーヒー豆を切らした母に激怒し、彼女を押し入れ部屋に閉じこめ、金をくすねて家を飛び出しました。
コーヒーは明日届くと母に言われたヴァルトは待ちきれず、郵便局に荷物を取りに行きます。カフェでコーヒー2杯を注文して包みを開けると、豆ではなく車用のコーヒーメーカーが現れました。
ヴァルトは知人の自動車修理工・レイノに依頼していた車を引き取りに行き、早速コーヒーメーカーを取り付けました。それを見たせいか、ロッカ-気取りのレイノは髪にポマードをたっぷり塗り、革ジャンを羽織ると「“行け”とジョニー・キャッシュも言った」とヴァルトに宣言し、2人は田舎を飛び出すように充てもない旅に出ることにしました。

ヴァルトは運転中もコーヒーを飲み続けます。レイノはウォッカを瓶でラッパ飲みし、酔った彼は気分が高揚して自分の武勇伝を語りました。
夜。ヴァルトの眠気冷ましに通りがかりのバーに寄ると、タイヤがパンクし足止めを食らっている路線バスの乗客たちがいました。乗客のエストニア人・タチアナとロシア人・クラウディアの女2人組は、故郷へ帰るために港へ向かう途中でした。
会話もなくサーバーごとコーヒーを飲むヴァルトとウォッカを瓶で呷るレイノを見たクラウディアは「あの“マヌケ”な顔の2人に港まで送ってもらおう」と言い出し、車に乗り込んだ男たちにロシア語で声を掛けます。多少フィンランド語が話せるタチアナが訳すると、男たちは断る理由も無く女たちを港まで連れて行くことにしました。

【承】- 愛しのタチアナのあらすじ2

無口なヴァルトやレイノは女たちと会話もせず、途中寄ったライブハウスでは会場にも入らず、カーステレオ(レコードプレイヤーを取り付けた特製型)から流れる曲に体を揺らすこともしません。沈黙を破ろうとタチアナが自己紹介してみますが、返事さえできないシャイな男たちなのです。

再び夜を迎え、一行は道中の安ホテルで、ヴァルトはクラウディア、レイノはタチアナと同じ部屋に泊ることになります。しかし部屋に入っても、ヴァルトはスーツのしわ取り、酒漬けのレイノは寝てばかり…。レストランでの食事代は女たちの分も払うものの、コーヒーとウォッカは手放さず、男たちの沈黙は続きます。宿お抱えのミュージシャンのライブが始まり宿泊客や女たちも踊り出しますが、男たちは席さえ立たないうえに、レイノは踊る2人を見て「馬鹿な女たちだ」と呟くとヴァルトは「まずいコーヒーだ」と答えました。
部屋に戻ってもレイノはタバコを手にしたまますぐに寝てしまい、タチアナはレイノを起こさないようベッドの半分に横になりました。同じくヴァルトもただ寝るだけで、何も起きないまま4人はホテルを後にします。

【転】- 愛しのタチアナのあらすじ3

その後も男たちは何度も寄り道をします。女たちを待たせても気にすることなく、工具屋では夢中で商品を眺めていました。そんな2人の背中を見てクラウディアは「フィンランドの男ってバカみたい」と呆れ、このままでは何処にも辿り付けないとぼやきました。

男たちが車中で仮眠していて、夢でうなされるヴァルトの汗を助手席のレイノが拭く様子を、外からタチアナがじっと見ていました。目が合ったレイノはタチアナのことが気になり、勇気を出して車を降り彼女の隣に座ります。タチアナがレイノの肩にもたれかかってきたので、レイノはどぎまぎしながら彼女の肩に手を回しました。

車はなんとか進み、途中のカフェで休憩を取ります。“最後の夜”だからと、なけなしの金で女たちが紅茶とサンドイッチをご馳走してくれました。ずっと写真を撮り続けていたタチアナは、記念写真を撮らせてと男たちに話しかけると、レイノだけにファインダーを向けシャッターを押しました。レイノはドキドキを隠し切れません。

【結】- 愛しのタチアナのあらすじ4

ようやく港へ到着し別れの時がやって来て、女たちは船に乗り込みました。心残りのあるレイノはヴァルトに「外国に行ったことはあるか、金はあるか」と聞くと、僅かな所持金にて2人とも躊躇わず乗船し、女たちの後を追います。2人を見つけても相変わらず何も言えないレイノですが、気を利かせて女たちにタバコと火を差し出し、照れを隠せず思わずニヤつきました。
レイノは船のデッキでタチアナと2人きりになり、言葉の代わりに一生懸命格好つけたポーズをとってみせます。一方のヴァルトはクラウディアに見つめられるも、何もできませんでした。

その後タリン(エストニア首都)駅に着き、ここでお別れとなるクラウディアを3人は見送りました。再び車を走らせ今度はタチアナを家まで送ります。到着すると突然レイノは「俺はここに残る」と言ってタチアナの頬にキスすると2人は家の中へ消えて行きました。ヴァルトは呆然とし、淋しく1人で帰るしかありませんでした。

ヴァルトはひとり立ち寄ったカフェで持っていた包みを開けると、中身は電動ミルでした。車に再びあの3人を乗せ、別のカフェに車ごと突っ込みます。(おそらくこのシーンは、ヴァルトの後悔や淋しさによる妄想と思われる。)
ヴァルトは店のテレビから流れるロックを聞いた後、車に戻りますが、やはりそこはもぬけの殻でした。

帰宅したヴァルトは何事もなかったかのように、押し入れの鍵を開けました。出てきた母も何を言うわけでもなく、真っ先にやかんに水を入れます。そしてヴァルトはいつものように器用にミシンを走らせました。

みんなの感想

ライターの感想

展開は淡泊なのに、情感は溢れるというアキ監督独特の世界が今作でも堪能できます。この作風は天才としか言いようがありません。
今作は他の作品よりも情景描写にこだわっている印象があり、細かな設定にくすくすと笑いっぱなしでした。爆笑ではないところがまた心地いいのです。
目の動きだけで笑わせてくれるマッティ・ペロンパー。44歳で亡くなってしまったなんて残念すぎます。

映画の感想を投稿する

映画「愛しのタチアナ」の商品はこちら