映画:早春

「早春」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

早春の紹介:1956年に製作された小津安二郎監督作品。単調な夫婦関係と仕事を繰り返すサラリーマンが、友人と不倫関係に陥っていく姿を描いていく。

あらすじ動画

早春の主な出演者

杉山昌子(淡島千景)、杉山正二(池部良)、青木大造(高橋貞二)、金子千代(岸惠子)、小野寺喜一(笠智衆)、河合豊(山村聰)

早春のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 早春のあらすじ1

舞台は1950年代の東京、蒲田。サラリーマンの杉山正二は妻・昌子と二人暮らしをしていますが、その関係はひどく冷めたものでした。幼い息子を病気で失ってから、二人は気持ちがすれ違う毎日を送っていたのです。

そんな正二にとって、毎朝蒲田駅で会うサラリーマン仲間たちと過ごす時間は、心の安らぎとなっていました。その中でも特に最近親密になっていたのは、美人OLの千代でした。独身の千代は正二が既婚者であることも構わず、正二のことを誘い、正二もまた千代と二人で過ごす時間を楽しんでいました。

そんなある日、重い病に伏せる三浦という同僚のために、正二は職場仲間と見舞いに行くことになりました。しかし、突然千代から夕食を誘われた正二は、家の用事があると嘘をつき、千代との約束を優先させました。個室の和食屋で夕食を食べた二人はついに一線を越え、旅館で一夜を共にしました。その翌朝、正二と過ごすひとときに喜ぶ千代とは対照的に、正二は昨日とは一転、淡白な態度を取るのでした。

家に帰った正二は、昌子に嘘をつきました。三浦の見舞いに行った後、仲間の家に泊まったと語る正二でしたが、昌子はその話に納得できずにいました。これまで正二は連絡なしに外泊したことがなく、なにより、正二のシャツには紅がついていたからです。この出来事をきっかけに、昌子は正二に疑いの目を向けるようになっていきました。また、正二のサラリーマン仲間たちも正二と千代の関係に気づき始めていました。

それから間もなく、正二が兵隊時代の仲間と飲みに出かけたときのことでした。昌子は夜遅くまで正二の帰りを待っていましたが、正二は酔っ払いの友人二人を連れて帰ってきました。昌子は嫌味を言いますが、正二はまともに取り合おうとしません。翌日は息子の命日であるにもかかわらず、深酒をして帰ってきた正二に昌子は静かな怒りを覚えるのでした。

【承】- 早春のあらすじ2

翌朝、昨夜泊まった兵隊仲間といつまでもおしゃべりをする正二を置いて、昌子は一人息子のお墓にお参りに行きました。その帰り道、昌子は五反田で小料理屋を営む母の家に寄りました。昌子は昨夜の正二のふるまいや、正二が浮気をしていることについて愚痴を言って、憂さを晴らすのでした。

それからすぐのことでした。正二は総務部長から岡山県の三石にある工場への出向を持ちかけられました。正二はこの日いつもの仲間と会うことになっていましたが、総務部長との面談が終わると、その約束をキャンセルしました。

仲間たちは正二と千代を呼び出して二人の仲を問い正そうと思っていましたが、正二が来られなくなったことにより、千代一人だけが尋問されることとなりました。仲間たちは妻のある正二と恋仲になるのは倫理的に誤っていると説教しますが、千代は仲間たちから一斉に批判されることに耐えきれず、すぐその場から出て行ってしまいました。

同じ頃、正二は一人で三浦の見舞いに行っていました。三浦は病でやせ細っていましたが、正二の訪問を喜び、ともに働いていた日々を懐かしそうに回想していました。秋田の田舎育ちの三浦にとって、東京でのサラリーマン生活はとても充実した日々だったのです。三浦はいつになく体調が良いらしく、長居を遠慮する正二をいつまでも引き止めるのでした。

その後正二が家に帰ると、昌子が機嫌悪そうに待ち構えていました。話を聞くと、千代が先ほど来たらしく、ひどく落ち込んでいる様子だったといいます。昌子は千代との関係を問い正そうとしますが、正二はその話を軽く流し、転勤話を話題に取り上げました。昌子は転勤に賛成しますが、正二は迷っていました。そんな正二を見て、昌子は転勤できない理由があるのかと意地悪な質問をしますが、そのときちょうど千代が家にやって来ました。

千代の望むままに二人で外を歩くことにした正二でしたが、内心では早く帰りたくて仕方がありませんでした。千代は仲間たちから言われたことを明かし、正二に甘えようとしてきましたが、正二はそれを振り切って家に帰ってしまうのでした。

【転】- 早春のあらすじ3

家に帰ると、昌子が正二に千代との関係を明かすよう迫ってきました。昌子はシャツについた千代の紅に気づき、隠し事はやめるよう強い口調で語りかけますが、正二はそんな昌子を相手にしようとはしません。昌子はそんな正二の態度に傷つき、涙を流すのでした。

翌朝、正二が目を覚ますと、昌子の姿は消えていました。近所の奥さんの話によると、五反田の実家に帰ったといいます。正二は昌子の家出に動じず、いつもと同じように出勤すると、会社に着いてすぐ同僚から三浦の死を知らされました。睡眠薬の影響で痰が切れなかったことが原因で死んでしまったといいます。元気な姿を昨日見たばかりなだけに、正二は三浦の死に驚きました。

その夜、三浦の家に行った正二は三浦の母と短い会話をしました。三浦は昨夜の正二との会話を本当に楽しんでいたといいます。その場には、正二や三浦の元同僚で、今は喫茶店を経営する河合との姿もありました。三浦がサラリーマンのつらさを知らずに済んで良かったのかもしれない、と河合は語りますが、正二はその言葉を否定しました。サラリーマン生活を生き生きと振り返っていた三浦の姿は、正二に強い印象を残していました。

その後、正二は三石行きを決め、引っ越し準備を始めました。一度都会を離れ、ゆっくり考える時間を持ちたいと考えたのです。その間、昌子は未亡人の友人の家に居候し、正二の悪口を言って時間を過ごしていました。

そんなある日、正二が一人で引っ越し作業をしていると、サラリーマン仲間の青木がやって来ました。青木は引っ越し作業を手伝いながら、正二に悩みを打ち明けました。青木は生活が貧しいにもかかわらず、妻が妊娠して困っているというのです。それに対して、正二は自らの実体験を語りました。正二は昌子の妊娠がわかったとき、特に嬉しいとは思いませんでしたが、だんだんと息子が育っていくうちにかわいく思えるようになったといいます。産まれてみて初めて実感が沸くんだ、という正二の言葉を聞いて、青木は元気を取り戻しました。

青木と入れ替わる形で、今度は千代が家にやって来ました。千代は正二が転勤話を黙っていたことに傷つき、転勤するのは自分から離れるためだと言って正二を責め立てました。正二は弁解しようとしますが、千代は泣き喚いてばかりで正二の話を聞くことなく、出て行ってしまうのでした。

【結】- 早春のあらすじ4

その後、正二は昌子の母の店を訪れ、明後日に旅立つことを報告しました。昌子の母はなんとか昌子を呼ぼうとするが、正二は無理に昌子に会おうとせず、店を去って行きました。正二が出て行った後すぐ店を訪れた昌子は、母から正二の引っ越しの話を聞かされますが、それでも蒲田に帰ろうとはしませんでした。

昌子の母の家を出た後、正二は河合の喫茶店に行きました。そこで、正二は定年間近の服部という名のサラリーマンと語らう機会を得ます。30年以上懸命に働いた末に待っているのは、儚い老後だ、と語る服部の言葉に、正二はサラリーマンの侘しさを感じ取りました。

引っ越しの直前、いつもの仲間たちが正二のお別れ会を開催しました。その中には千代の姿もありましたが、千代は笑顔を浮かべて正二と別れの握手を交わしました。仲間たちは正二のために「蛍の光」を歌い、正二を送り出しました。

正二は三石に行く途中、滋賀県に立ち寄って仲人を務めた上司の小野寺に会いに行きました。正二が洗いざらいすべてを明かすと、小野寺は昌子を大事にすべきと助言しました。「いろんなことがあって、だんだん本当の夫婦になるんだよ」…正二は小野寺の言葉を胸に、三石での生活を始めました。

正二が勤める煉瓦工場は周囲を山に囲まれ、工場の煙突からは絶えず煙が昇っていました。そんなのどかな風景に慣れ始めた頃、正二が家に戻ると、そこには昌子の姿がありました。昌子もまた、小野寺から手紙を通じて早く正二とやり直すよう助言されていたといいます。正二は自分の犯した過ちについて語ろうとしますが、昌子はそれを遮りました。昌子は話題を変え、正二が三石に来てから本を読むようになり、随分と生活態度が変わったことに感心していました。二人は夫婦関係をやり直すことを互いに誓い合うと、そのときちょうど、東京に向かう汽車が近くを通り過ぎて行きました。正二は何もない田舎でこれから生活することを心配しますが、昌子は「2、3年なんてすぐよ。すくたっちゃうわよ」と特に気にしていない風でした。二人が見つめた汽車はやがて消え、煉瓦工場の煙突からは相変わらず煙がもくもくと昇っていました。

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みんなの感想

ライターの感想

サラリーマン生活に対する漠然とした不安やすれ違う夫婦関係が随所で描かれ、主人公の置かれた環境の複雑さがよく伝わって来ました。また、主人公の妻役の淡島千景の気迫ある美しさ、不倫相手約の岸惠子の奔放な可愛らしさと、女優たちの競演も素晴らしかったです。

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