映画:木と市長と文化会館または七つの偶然

「木と市長と文化会館または七つの偶然」のネタバレあらすじと結末

木と市長と文化会館 または七つの偶然の紹介:1993年にフランスで製作されたエリック・ロメール監督によるヌーベルバーグ作品。フランスの田舎に文化会館を建設しようとする市長とその周辺の人々の姿を、7つの偶然とともに描いていく。モントリオール世界映画祭FIPRESCI賞受賞作品。

あらすじ動画

木と市長と文化会館または七つの偶然の主な出演者

ジュリアン(パスカル・グレゴリー)、ボリヴァージュ(アリエル・ドンバール)、マルク(ファブリス・ルキーニ)

木と市長と文化会館または七つの偶然のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 木と市長と文化会館または七つの偶然のあらすじ1

第1章
もし1992年3月の地方選挙の前に、大統領が属する左派が議会少数派になってなければ…

物語の舞台となるのは、フランスのとある田舎の村サン=ジュイール。この村の市長ジュリアンは、州議会選挙での当選を目指していましたが、その選挙直前になって不運に見舞われてしまいます。自らも籍を置き、大統領が率いる社会党が議会で少数派になってしまったのです。

第2章
もしジュリアンが落選後、小説家のボリヴァージュに恋をしていなかったら…

ジュリアンは不利な状況を覆すことができず、州議会選挙に落選してしまいました。落選したジュリアンは美しい小説家ボリヴァージュに出会い、彼女をサン=ジュイールに連れ帰ると、巨大な公共事業を計画し始めました。それは、牧歌的な田舎の風景に不釣り合いな文化会館を作ることでした。ジュリアンはこの計画成功で地元の支持を固め、国政進出への足がかりにしようと考えたのです。

図書館、野外劇場、プールが併設されるこの施設の建設に向けてジュリアンは奔走し、農業に依存する村の産業構造を転換させようとしていました。ジュリアンは将来を見据え、最新技術の産業を伸ばしたいと考えていました。将来的には技術の進歩により、家にいながら仕事ができる環境が整い、その結果、都市部から地方へ人口が移動すると予測していたのです。

しかし、ボリヴァージュはこのジュリアンの構想を夢物語と笑っていました。田舎町を発展させようとしても、人々が都会の魅力に勝つことは不可能だというのです。パリっ子のボリヴァージュはこんな田舎を見捨ててパリを拠点に政治活動をすればいいと提案しますが、ジュリアンはあくまでも村の開発にこだわっていました。

ボリヴァージュは口ではジュリアンの計画に反対していましたが、いざ設計図が完成すると、いろいろと口出しをしてきました。景観の維持、冬季の寒さ対策と野外劇場の保全、施設の天井の低さ…ボリヴァージュは立て続けに鋭い指摘を口にし、ジュリアンと建築家を戸惑わせるのでした。

【承】- 木と市長と文化会館または七つの偶然のあらすじ2

第3章
もし保護地区の木が風雨に耐えて奇跡的に残っていなかったら…

ジュリアンの建設計画によれば、建設予定地となるのは村の保護地区の緑地で、ここに生えている樹齢100年を越える大木は伐採されることとなっていました。村の小学校の校長マルクは環境保護に熱心で、村の象徴である大木を犠牲にする文化会館の建設に激しく反対していました。しかし、建設を止めるために具体的にマルクが何か行動に出ることはなく、妻と幼い娘のゾエに愚痴を言うばかりでした。

第4章
もし雑誌「明後日」のブランディーヌ・ルノワールがラジオ放送を録音するために留守番電話を切っていなければ…

パリが拠点の雑誌「明後日」に勤めるジャーナリストのブランディーヌは会社に行くと、編集長との会議がキャンセルされたことを知らされます。編集長のアシスタントはブランディーヌに電話で連絡を入れましたが、ブランディーヌがラジオの録音のために留守電を切っていたため、その連絡を伝えることができなかったのです。

キャンセルになったのは、ジュリアンとボリヴァージュが編集部を訪れたことが原因でした。新しい小説の取材のために、ボリヴァージュがジャーナリストと話をしたいと望み、ブランディーヌもその場に同席することとなりました。ジュリアンの地方政治に根ざした考え方や、ボリヴァージュの芸術家視点の考え方は、ブランディーヌにとって新鮮なものでした。ブランディーヌはこのところ口先だけの政治家の取材ばかりで退屈していたのです。

ブランディーヌは早速ジュリアンの村に飛び、「新しい政治家」というテーマで取材を開始しました。ブランディーヌはまずジュリアンを取材しました。一見、左派的なようで右派的な考えを持つジュリアンにブランディーヌは次々と鋭い質問をぶつけました。それに対してジュリアンは、「民主主義者が社会主義でないのなら、社会主義者も民主主義ではない」と持論を展開しました。

その後、ブランディーヌは村の人々に話を聞きますが、取材を通じて人々の生活が昔と比べて苦しくなっていることに気づきました。若者は村に将来を見出せず、農家は苦境に立たされ、村人同士の交流も薄れつつあったのです。

その後、ブランディーヌは小学校に行き、校長のマルクを取材しました。予算がついたから文化会館を建設するだけ、とマルクは痛烈にジュリアンの政策を批判し、文化会館によってこの田舎の価値が貶められる、とブランディーヌに熱く語りました。

【転】- 木と市長と文化会館または七つの偶然のあらすじ3

第5章
もし雑誌の入稿時にブランディーヌがユニセフに付き添いソマリアに行っていなければ…

ブランディーヌはこれまでの取材を記事にまとめて編集部に送付すると、別件の取材でソマリアへ旅立ちました。数日後、帰国したブランディーヌが雑誌を読むと、「新しい政治家」の記事が大きくカットされていることにすぐ気づきました。ジュリアンや村の人々の取材は大幅にカットされ、マルクの記事がメインに取り上げられていたのです。編集部に確認すると、環境意識が向上している世論に応え、マルクの記事を前面に出したといいます。取材旅行でパリを不在にしていたとはいえ、勝手に記事を変えられてしまったことにブランディーヌは激しく腹を立てました。

一方、ジュリアンもこの記事を読み、不愉快な気持ちになっていました。ジュリアンの怒りの矛先はブランディーヌだけでなく、マルクにも向けられました。理想論だけ語るマルクの考えに怒りを覚えるジュリアンでしたが、それから間もなく、思わぬところでマルクの親族と接点を持ちました。

第6章
もし市長の娘ヴェガが教師の娘のゾエが通る道にボールを飛ばしていなかったら…

ジュリアンが自然豊かな自宅の緑地を散歩しているときのことでした。元妻との娘ヴェガがマルクの幼い娘ゾエと遊んでいたのです。ヴェガがボール遊びをしていたときに、ちょうどゾエが通りかかり友達になったといいます。ゾエはジュリアンに会うなり、文化会館建設に反対だと自らの意見を伝えました。ジュリアンはそれが父親の受け売りと決めつけて軽く受け流そうとしますが、ゾエは幼いながらも建設に反対する理由を根拠立てながら説明しました。分散してはいるものの、文化会館の機能を持つ建物はすでに村には存在しており、それよりも村には緑地が必要だと主張したのです。実際、村にある緑地の多くは有刺鉄線で隔離され、子どもたちが気軽に遊べる緑地はなくなっていました。緑地を求めて村の人々が外に出かけるということも起きていることもゾエは鋭く指摘しました。ジュリアンはゾエの意見を興味深く思いながらも、議論を中断させその場を後にしました。

【結】- 木と市長と文化会館または七つの偶然のあらすじ4

第7章
もしある公務員が通常の業務を熱心に遂行していなかったら…

その後、地質調査で問題が見つかり、文化会館建設計画は危機的状況に追い詰められました。地盤自体は強固で工事に影響がありませんでしたが、地下水の枯渇が新たな問題として浮上したのです。ジュリアン自身はそれが過剰な調査の結果だと認識し、私財を投じてでも資金を集めようとしていましたが、予算を許可した文化大臣にも見捨てられ、なかなか状況は好転しませんでした。

それから時が経ち、資金不足が原因で文化会館建設の中止が正式に決定しました。この知らせに大喜びしたのは、他ならぬマルクでした。授業中にこの決定を知ったマルクは生徒の前で喜びを爆発させるのでした。

この現実を受け入れたジュリアンは、自らが所有する緑地に大勢の村人を招き、ささやかなパーティを開きました。そして、ジュリアンは集まった村人とともに歌を歌いました。

私たちは田舎に住んでいる
畑と草原に囲まれて
ブルターニュに住むのもいい
ノルマンディーでも
オフィスの責任者で会計士で技術者
オフィスに行く必要はない
車や電車に乗ることもない
年中バカンス気分
農産物も豊富にある
本当に幸せだ
解決策を見つけた
新しい世代のために

ジュリアンたちがこの歌を歌う横で、村人は酒を飲みながら会話に花を咲かせていました。娘のヴェガも自然に囲まれながら遊び、他の子どもたちも緑地での時間を思い思いに楽しんでいました。

みんなの感想

ライターの感想

市長が文化会館建設を計画し、それが中止になるまでの物語が淡々と描かれていきます。人物を撮りながらも、随所で自然風景が挿入されており、ドキュメンタリーを観ているかのような感覚になります。ラストで計画が中止になってしまうのが少しせつなく感じられましたが、様々な偶然が重なるという視点から物事が変化していく様子を眺める物語には新鮮さがありました。普段の生活においても偶然が重なって思わぬ結果になることはよくあることですが、そんな日常の感覚とリンクするような物語展開が素晴らしかったです。

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