映画:東京暮色

「東京暮色」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

東京暮色の紹介:1957年製作の小津安二郎によるヒューマンドラマ。約20年前に家出した母親と再会したことをきっかけに、少しずつ不安定になっていく父と娘たちの関係を描いていく。主人公の姉妹を原節子、有馬稲子が演じた。

あらすじ動画

東京暮色の主な出演者

沼田孝子(原節子)、杉山明子(有馬稲子)、杉山周吉(笠智衆)

東京暮色のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 東京暮色のあらすじ1

物語の舞台は1950年代の東京。杉村周吉という銀行員が仕事の帰り道に居酒屋に寄る場面から、物語は始まります。周吉は今でこそ監査役の地位に座り、穏やかな生活を手にしていましたが、その昔、周吉は妻に家出された過去を持っていました。妻に代わり、周吉は男手一つで子どもたちを育て上げ、その甲斐もあって、長女の孝子は大学教授に嫁入りし、次女の明子は短大を卒業し、速記の勉強に励んでいました。

居酒屋の女将とたわいもない話をしていると、周吉は孝子の夫である沼田がつい最近この居酒屋を訪れたことを知ります。沼田は学生を連れてひどく酔っ払っていたという話を聞き、周吉はなんとなく不穏な空気を感じました。

その予感はあたり、周吉が家に帰ると孝子と幼い孫娘の姿がありました。話を聞くと、沼田はしょっちゅう学生と飲み歩いており、夫婦関係は悪化しているといいます。周吉は自分が沼田と一度話し合ってみようと申し出ますが、孝子はノイローゼ気味の沼田で話し合ってもムダと冷たく言い放つのでした。

周吉にはもう一つ気がかりなことがありました。それは、次女の明子のことで、ここのところ暗い表情ばかり浮かべているのです。それに加えて、明子が周吉の妹の春子にお金を貸して欲しいと相談していたことが判明します。それも、明子はその理由を語ろうとしなかったといいます。春子は結局お金を貸すことはありませんでしたが、明子が早く結婚して落ち着くべきと周吉に進言してきました。おせっかいな春子は早速縁談話を持ちかけようとしますが、周吉はなぜ明子が大金を必要としているのか、理解に苦しんでいました。

その後、周吉は沼田の家に赴き、孝子との仲を尋ねました。沼田の話によれば、孝子は「一度よく考えてみたい」と言って家を出てしまったといいます。しかし、沼田は特に気にする様子も見せず、酒を美味しそうに飲み干していました。

家に帰った周吉は沼田と会ったことを孝子に明かし、無理に沼田との結婚を薦めたことを謝りました。それに対して、孝子は「もういいの」と悲しそうな笑顔を浮かべました。その後、孝子が風呂を入れに行っている間、明子が家に帰ってきました。周吉は大金がいる理由を厳しい口調で尋ねますが、明子は詳しいことは語らず自室にこもってしまいました。実はこのとき、明子は妊娠をしていました。相手の男性は遊び仲間の憲二でしたが、このところ憲二は所在をくらまし、明子は一人で妊娠の事実を抱え苦しんでいたのです。

そんなある日、明子が憲二を探しに五反田にある麻雀屋を訪れると、店で働く年老いた女性が親しげに明子に話しかけてきました。女性は昔、周吉たち家族の家の近くに住んでいたといい、孝子のことをよく知っていました。女性は微笑みながら長男は元気かと尋ねますが、明子から数年前に山で亡くなったと返答されると、ショックを受けた表情を浮かべていました。

その後、家に戻った明子は麻雀屋の女性のことを孝子に話しました。明子は直感的にあの女性が自分の母親ではないかと考えますが、孝子はすぐにその言葉を否定しました。3歳のときに家出した母親のことを覚えているはずはありませんでしたが、明子はあの女性の存在が気になり始めていました。

【承】- 東京暮色のあらすじ2

それからすぐ、明子は憲二と久しぶりの再会を果たしました。明子はこの数日間の苦しみを吐露しますが、憲二はどこか能天気でまじめに話を聞こうとしません。それでも、今夜二人で話し合おうと提案してくれた憲二の言葉を信じ、明子はカフェで待ち続けました。しかし、深夜になっても憲二が現れることはなく、明子は夜回りをしていた警察官に見つかり、警察署で保護されることとなってしまいました。その後、孝子が警察署に迎えに来ますが、明子は何も言葉を発しようとしませんでした。

家に戻ると、すぐに周吉が明子を質問責めにしてきました。孝子は必死に明子をかばいますが、何も語ろうとしない明子に呆れ果て、周吉は「そんなやつはお父さんの子じゃないぞ」と言い放ってしまいます。孝子はなんとか周吉から明子を解放すると、周吉に母を知らない明子の寂しさを理解して欲しいと語りかけました。しかし、周吉は明子を十分可愛がって育てたと言い切り、結局、周吉と孝子の考えのすれ違いは解消されることはありませんでした。

その後、孝子が明子の元へ行くと、明子は子を捨てた母と同じ血が流れていることを嘆き、「あたし、生まれてこない方がよかった」と呟きました。孝子は妹の言葉にショックを受け、言葉を失ってしまいました。

それから間もなく、春子が明子の縁談相手の写真を持って家にやってきました。そのとき、春子は周吉と孝子を驚かす知らせを口にしました。周吉の元妻で孝子の母である喜久子と街でばったり会ったというのです。春子の話によれば、周吉たちの元を去った後、喜久子は様々な地を転々とし、今の主人と出会い五反田で麻雀屋を開いているといいます。その話を聞いて明子の話を思い出した孝子はひどく驚きながらも、深く考えた末、喜久子の元を訪れることを決めました。

孝子は麻雀屋を訪れ、喜久子を「お母さん」と呼び名前を名乗りました。喜久子は孝子の来訪を喜びますが、孝子は表情を固くしたまま、明子に母親と名乗らないで欲しいと伝えました。予想外の言葉に喜久子は困惑しますが、孝子は周吉がかわいそうだと言って麻雀屋を出て行きました。

その後、孝子と入れ替わりで、麻雀屋の主人で喜久子の夫が帰って来ました。帰って来るなり、夫は知り合いから紹介された室蘭での仕事に興味を持ち、一緒に東京を出ようと誘ってきました。孝子の言葉に深いショックを受けていた喜久子は、そんな夫に適当な返事をするのでした。

【転】- 東京暮色のあらすじ3

それと同じ頃、明子は周吉の知り合いからお金を借りて、産院で妊娠中絶手術を受けていました。その影響で体調を崩した明子は家に戻るとすぐに横になりますが、何も知らない孝子は明子を寝かせながら縁談話を話題に取り上げました。しかし、明子は結婚したくない、と冷たく返答して孝子を部屋から追い出すと、一人布団の中で涙を流しました。

その後、体力が回復すると、明子は再び憲二を探し歩いてあの麻雀屋に立ち寄りました。そこに憲二の姿はありませんでしたが、明子は麻雀屋の主人から孝子が数日前に来たことを教えました。明子はなぜ孝子がこの麻雀屋に来たのか確かめるため、すぐに家に戻りました。

明子が麻雀屋から去ると、明子の友人たちが明子と憲二の仲についておしゃべりを始めました。友人たちは二人が恋仲で、最近の様子から明子が妊娠したことに気づいていました。その話を近くで聞いていた麻雀屋の主人は、普段はクールな明子の意外な一面に驚くのでした。

家に戻った明子は、笑顔一つ見せずになぜ麻雀屋を訪れたのか孝子に質問をぶつけました。明子の迫力に負けた孝子は、麻雀屋の女性が母親の喜久子であることを明かしてしまいます。そして、喜久子が周吉の部下の山崎と浮気をしたこと、喜久子が子どもを捨てて山崎と家出したこと、すべてを打ち明けました。その話を聞いた明子は自分が周吉の娘ではないと考え、「お母さんの汚い血だけが私に流れてんだもん」と冷たく言い放ちました。すると、ちょうどそのとき周吉が家に帰ってきました。明子は周吉に直接自分の出自の真相を尋ねようとしますが、言葉に詰まってしまいました。

この状況に耐えきれず、明子は家を出て行き、喜久子の元に向かいました。思い詰めた様子の明子のために二人で話せる場を設ける喜久子でしたが、明子から開口一番で「あたし一体誰の子なんです?」とショッキングな質問をぶつけられてしまいました。喜久子は実の娘にそんなことまで疑われていることに衝撃を受けながらも、周吉が父親だと涙ながらに断言しました。その言葉を聞いて泣き出す明子に、喜久子は明子の体を気遣う言葉を口にしました。明子が妊娠しているという噂を聞いていた喜久子は明子の体調を心配しますが、その言葉を聞いて明子は突然泣くのをやめました。そして、「もし産んだって、お母さんみたいに捨てて出るような無責任なことはしません!思い切りかわいがってやります!」と喜久子を罵ると、「お母さん嫌い!」と叫んでその場を去って行きました。

【結】- 東京暮色のあらすじ4

その後、明子は夜の街をさまよい、最後に憲二行きつけのラーメン屋に向かいました。そこで明子が一人酒を飲んでいると、そこに憲二が現れました。心配していた、と憲二は話しかけてきましたが、明子は怒りが抑えられず数発平手打ちをすると、そのまま店を出て行ってしまいました。

それからすぐ、明子は電車に轢かれ重傷を負いました。周吉と孝子はすぐに明子が入院する病院に到着しますが、明子は苦しそうに「死にたくない」と繰り返していました。周吉と孝子は必死に明子のことを励ましますが、二人の思いは実らず、明子は亡くなってしまいました。

その後、孝子は喜久子の元を訪れ、明子が死んだことを告げました。喜久子は突然の知らせに驚いて死の理由を尋ねますが、孝子からは「お母さんのせいです」と冷たく返答されました。明子の死に深いショックを受けた喜久子は、それからすぐ室蘭行きを決断しました。

室蘭に旅立つ日、喜久子は周吉の家を訪ねました。家には孝子しかおらず、喜久子は固い表情の孝子にお供え用の花を渡し、室蘭に行くことを告げました。「いつまでも元気でね」と語り喜久子が去って行くと、孝子は一人泣き出してしまうのでした。

その夜、夫とともに列車に乗り込んだ喜久子は、出発の直前まで窓からホームの様子を気にしていました。喜久子は孝子が見送りに来ることを期待していましたが、一向に現れる気配はありません。そうしているうちに、夫が「諦めなよ」と言って窓を閉めてしまいましたが、喜久子は濡れた窓をハンカチで拭き、外の様子を眺め続けるのでした。

それと同じ頃、孝子は夫の元に戻る決心を固めたことを周吉に明かしていました。明子の死を通じて、娘には両親が必要だということに気づいたのです。周吉も、自分がどんなに明子を可愛がっても、母親の役割を果たしえなかったことをようやく理解しました。夫と今度こそうまくやってみると語る孝子の言葉を聞いた周吉は、明子の写真の前に座り、読経を始めました。

その後、周吉は家政婦に身の回りを世話してもらいながら一人暮らしを始めました。そんなある朝のこと、周吉は偶然棚の上にガラガラがあるのを見つけました。周吉は微笑みながらガラガラを数回振ると、テーブルの上に置きました。その後、周吉は家を出て、家の前の坂道を下って行きました。

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みんなの感想

ライターの感想

場面の随所で陽気な音楽が流れますが、それとは反対に、物語はとても暗い内容です。特に印象的なのは、望まぬ妊娠をして苦しむ明子の姿です。妊娠の苦悩だけではなく、立派な父親に対する劣等感や、軽蔑する母親と結局同じ道をたどっているつらさなど、明子を演じた有馬稲子は様々な感情を見せてくれます。有馬稲子だけでなく、次女の心を理解できず思い悩む家族を演じた原節子や笠智衆の名演技も必見です。

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