「沈まない三つの家」のネタバレあらすじと結末の感想

ヒューマンドラマ

沈まない三つの家の紹介:大きな川が流れるある街。ここに暮らす3家族の悲しみや希望を描いたヒューマンドラマ。
新鋭の中野量太監督が『チチを撮りに』と『湯を沸かすほどの熱い愛』の間に撮影した2013年の作品。公開時の併映は『お兄チャンは戦場に行った?!』で、2017年に発売されたDVDにも両作が同時収録されている。

予告動画

沈まない三つの家の主な出演者

花菜(松原菜野花)、麻耶(椎名琴音)、母(川田希)、すずか(中村朝佳)、叔父(泉光典)、最上<コンビニ店長>(木村知貴)

沈まない三つの家のネタバレあらすじ

【起】- 沈まない三つの家のあらすじ1

神田家・6月。
吃音症の中学生の花菜は高校生の姉・麻耶と仲がよく、両親との4人暮らしです。ある夜珍しく父が早く帰宅し一緒に食卓を囲むと、父の仙台転勤を機に両親が離婚を決めたと報告されました。父と母どちらと暮らすかは自分自身で決め、明日の夜8時に伝えるように言われた花菜はショックを受けます。戸惑う花菜は就寝前に麻耶に尋ねると、彼女は既に母と暮らすと決めていました。心の優しい花菜に麻耶は、バランスを取ろうなどと考えず自分のことを考えなさいと言いつけますが、花菜は家族が離れる現実に落胆していました。

翌朝。麻耶は別れを予期するように、自分の脚の怪我が快復したら花菜が着たがっていた水色のワンピースを貸すので、遊園地へ行こうと言い出します。日にちは花菜が決めていいと麻耶は言い残して先に登校しました。
半年前から母に恋人がいることを知っていた麻耶は、出勤途中の母をつかまえ、今日中に彼に会ってみたいと乞います。母は年下の恋人を呼び出して麻耶に紹介しました。結婚するつもりではないと遠慮する母に麻耶は「あの人、私を性の対象として見ていたよ」と言い放ちました。
学校をサボった花菜は、遊園地に行く日はお姉ちゃんが決めてとメールしますが、“自分を必要としてくれる人を決めるのは花菜だよ”と麻耶から返信されます。決意が固まらない花菜は、川原で空き缶に投石して決めようとしますがうまくいきません。悩んだ花菜は近所のコンビニでチョコを万引きし、迎えに来てくれた方を選ぼうとします。店長に事務所に呼ばれた花菜はまず母に電話しますが、看護師の彼女はオペがあるので父に頼めと言い、その父は転勤の挨拶回りがあるので母に頼めと言うのでした。それでもどちらかが来てくれると待っていた花菜ですが、数時間経っても迎えが来ず涙が流れます。人のいい店長は二度としないなら帰っていいと言ってプリンを差し出しますが、花菜は「もうちょっとだけ」と願い出ました。結局夕方過ぎ、迎えに行けないと店に連絡が入り、花菜は店長から袋いっぱいのお菓子を持たされて店の従業員に家まで送って貰います。途中で花菜は「バラバラは嫌だ!」と叫んで橋の上から川へ鞄を投げ捨てました。

花菜が帰宅すると、麻耶が慣れない手つきで焼きそばを作ってくれていました。花菜は麻耶の水色のワンピースに着替え、焼きそばを食べると「時々会いたいってわがまま言おうね。そしたらまた4人で会えるから」と涙ながらに麻耶に伝えます。壁越しに聞いていた麻耶にも大粒の涙が零れました。

【承】- 沈まない三つの家のあらすじ2

相模家・3か月前。
自転車の鍵を無くした女子高生・すずかは父に駅まで迎えを頼むと、父は駅に向かう途中で交通事故に遭い亡くなりました。「あんたがわがままを言わなければ…」との母の言葉がすずかの胸に突き刺さり彼女は一滴の涙も出ず、父の葬儀も仮病で欠席しました。

6月。すずかはある目的を果たすため、入院中の父の弟をよく見舞うようになります。不治の病を抱える叔父は、妹が勤める病院(同じ病院に花菜の母も勤務)で療養をしています。すずかと叔父は病院の屋上で他愛もない会話をしたり、すずかは自分の太腿を触らせたりしていました。
病院の帰り、友人に万引きを強要させられているすずかは、近所のコンビニでグロスを盗みます。店を出ようとすると他の学生(花菜)が店長に呼び止められ、すずかは足早に逃げました。複雑な心情のまま帰宅すると、母が夫の死を乗り越えたと言ってきたため「私のせいにして?」と答えたすずかはあの時の母の言葉を思い出し、部屋で1人もがきました。翌日すずかは家から持ち出した酒を叔父に飲ませますが、叔父は吐き出してしまいます。叔母にそれが見つかり、すずかは頬を叩かれました。

ずずかは友人の命令を断れず、今度はマニュキアを万引きします。すずかがもう止めようと言いかけますが、友人ははぐらかしました。すずかは友人に塗られたマニュキュアをしたまま叔父の見舞いに行くと爪が可愛いと褒められ、思わず引っ込めます。激しく動揺するすずかに、自分のことを好きになれと叔父は諭しました。やがて叔父の病状が悪化していきます。

【転】- 沈まない三つの家のあらすじ3

8月。すずかは母にせがんだ小遣いを持ち、いつものコンビニに友人を強引に連れて行き、「今まで万引きしました」と叫んでレジに2万円を差し出しました。2人は事務所に呼ばれますが、母が働いていると聞いた店長は迎えに来ないだろうと思い、二度とするなと言って2万円を返却し2人を帰しました。友人は「私の前に現れるな、死ね!」と激怒しますが、すずかは親友だからと首を縦に振りません。ちょっとだけ強くなったすずかは帰宅すると「冷たくしてごめん。私も(乗り越えるのが)もうすぐだから」と母に謝りました。

9月。体が弱った叔父の「何故会いに来る?」との問いにすずかは答えず、病院をあとにしました。直後叔父がいなくなったと叔母から連絡があり、すずかは必死で探します。叔父が川にかかる橋で身を乗り出していたのを見つけたすずかは、反対側から「お父さんに伝えてほしいことがあるの」と叫びました。しかし叔父は止めてはくれないんだねと言って、幼い頃に兄と大きな魚を釣ったと言う川へ身投げします。すずかは叔父の死でも涙が出ず、もう二度と泣くことはないと感じました。
火葬時。すずかは叔父が残した手紙を叔母から預かります。手紙には“そばにいてくれてありがとう。安心して。お父さんには「ごめんなさい」と伝言しておくね。すずかの太腿が好きだった”と綴られていました。すずかは天国の父にごめんと伝えてもらうために、余命短き叔父を見舞っていて、それを叔父は知っていたのです。手紙を読んだすずかは火葬場のトイレで叔父の骨壺を太腿に挟み、何度もありがとうと呟いて、とめどない涙を流しました。

【結】- 沈まない三つの家のあらすじ4

2か月後。叔父が大きな魚を釣り、そして命を絶った川を、すずかは友人と眺めていました。友人は心を入替え、2人は本当に親しくなったのでした。はしゃいで走り出した2人は、ある母子とすれ違います。麻耶と彼女の母です。この日は離れて暮らし始めた花菜と父と4人で再会する日で、顔を会わせるなり姉妹は嬉しそうに手を握って川原を歩きました。

最上家。
幼い息子と川原に来た若い母はスマホに夢中になり息子から目を離し、その隙に川に落ちた息子は命を落としました。以来魂の抜けたような母は季節が巡っても毎日のように川原に来て、息子を釣りあげるために川に釣竿を垂らし、ゴーグルを付けてひたすら川原に佇んでいます。
ある日、妻を迎えに来た夫(コンビニの店長)が彼女のゴーグルを外すと、溜まっていた大量の涙が零れました。優しく涙を拭いた夫は「もういいんじゃないかな」と語りかけ、彼女をおんぶしました。「明日も来ていい?」と問う妻に夫はいいよと答え、家に向かい歩き出します。2人のあとを、幼い息子の幻(魂)が追いかけていきました。

みんなの感想

ライターの感想

70分程の短い作品でしたが、内容が濃厚で90分以上の映画を観たような感覚でした。ひとつの川を通して、それぞれの登場人物が交錯していく展開は秀逸でした。
店長が優し過ぎて泣けました。麻耶が壁越しに泣いたシーン、すずかが骨壺を腿に挟めたシーン、亡くなった息子が2人を追いかけるラストシーンでも涙…。各家庭の問題と同じ悩みを抱える人が鑑賞したら、涙が止まらないかもしれません。
決して沈まない家なのではなく、それぞれの家族が悲しみを越えて、“沈ませませまい”としている強さを感じ、心に残りました。

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