「海を飛ぶ夢」のネタバレあらすじ動画と結末

海を飛ぶ夢の紹介:2004年制作のスペイン、フランス、イタリアの合作映画。事故で首から下が不随となり、尊厳死を決意した実在の人物ラモン・サンペドロの手記「地獄からの手紙」を基に描いている。日本公開は2005年。

あらすじ動画

海を飛ぶ夢の主な出演者

ラモン(ハビエル・バルデム)、フリア(ベレン・ルエダ)、ロサ(ロラ・ドゥエニャス)、ジェネ(クララ・セグラ)、マヌエラ(マベル・リベラ)、ホセ(セルソ・ブガーリョ)、ハビエル(タマル・ノヴァス)

海を飛ぶ夢のネタバレあらすじ

【起】- 海を飛ぶ夢のあらすじ1

ラモン・サンペドロはかつてノルウェー船の乗組員として、世界中を旅していました。多くの女性たちとも情熱的な日々を過ごし、まさしく人生を謳歌していたのです。
しかし、人生の最高潮にいた25歳の彼に、悲劇が訪れます。婚約者の目の前で岩場から海に飛び込んだ際に、浅瀬に激突してしまったのです。ラモンは首の骨を折り、首から下の自由を完全に奪われてしまいました。

それ以来、ラモンは実家で寝たきりの生活となります。農夫の兄であるホセと、その妻のマヌエラ、甥のハビエルに支えられながら、静かに余生を送っていました。
身の回りの介護は、母親が亡くなってからはマヌエラが引き受けていました。排泄の処理だけではなく、床ずれを防ぐために3時間おきに体勢を変えるなど、献身的に接していたのです。
しかし、身体の自由を奪われて26年が経過した51歳のとき、ラモンは依存する人生に絶望します。彼は自らの死を渇望するようになったのです。

家長でもあるホセは、尊厳死に反対していました。元々船乗りだった彼は、ラモンの介護をするために農業へ転身した意地があったのです。
そんな兄に対して、ラモンは「明日兄さんが死んでも、僕は家族を養えない」と返します。
また、ラモンの父は生を全うするように説得します。ラモンの尊厳死の手助けをする人間は、家族の中にはいませんでした。しかし、ラモンの世話をするマヌエラだけは、「彼の生き方は彼が決めること」と理解を示していました。

そんなラモンが接触したのは、法的に尊厳死を支援する団体「尊厳死の会」に所属するジュネという女性でした。
ジュネはラモンの自殺を合法化させるために、人権団体の女性弁護士であるフリアに協力を要請します。裁判所に納得してもらうためには、フリアがラモンに聞き取り調査をして、彼の気持ちを理解する必要があったのです。

ラモンの元にやってきたフリアは、何故尊厳死を求めるのかを問いただします。
彼が死を望む理由は「尊厳がないから」でした。ラモンにとっての尊厳とは、自分自身をコントロールできることであり、自分らしく生きるために一生懸命になることでした。
ラモンと言葉を交わすうちに、フリアは彼の明晰さと人柄に感銘を受けます。実は彼女も不治の病を宣告されていたのです。
そして、夫がいる身でありながらラモンに惹かれていきます。ラモンにも同じことが起きていました。

【承】- 海を飛ぶ夢のあらすじ2

フリアの援助もあって、ラモンの尊厳死を求める活動は、テレビ番組で取り上げられるようになりました。
ラモンは裸でオムツをつけて横たわる自身の姿を見せながら、「生きることは権利であって義務ではない」と訴えます。さらに、インタビュアーに何故いつも笑っているのかと尋ねられると、「人に頼るしか生きる方法がないと、涙を隠す方法を自然と覚える」と答えます。

ラモンの主張は世の中に波紋を呼びました。
たまたまテレビを観てラモンに会いに来たのが、ロサという女性です。彼女は2人の子どもをもつシングルマザーで、工場で働く傍らラジオDJをしていました。
ロサは「あなたに生きてほしくて来た」と言いますが、ラモンは死なせてほしいと返します。ロサは負けじと「人生には生きる価値がある」と説得にかかります。怒ったラモンは「自分が挫折感に満ちたつまらない女だから、人生に意義を見出すためにここへ来たのだ」と冷たく言い放つのでした。
ロサは泣きながら部屋を飛び出し、ラモンは「君はいいな、逃げられて」と呟きます。
その晩、ロサはラジオからラモンに語りかけます。批判したことを謝罪し、「黒い影」という曲を彼に聴かせます。

ある日、フリアはマヌエラからあるものを見せられます。それは、ラモンが口にペンをくわえて書き綴った詩の数々でした。
うたた寝をしていたラモンは、夢の中で海の上を自由に飛んでいました。そして、海岸を歩くフリアの元に降り立ち、彼女を抱きしめるのです。
フリアはラモンの詩を絶賛し、裁判にも有利であることから出版を勧めます。気乗りしないラモンは、フリアに煙草を取ってきてもらうように頼みます。しかし階段を下りる最中、彼女は倒れ込みます。発作が起きたのです。

フリアは脳血管性痴呆症という病を患っていました。日に日に身体の機能が衰え、記憶を失っていく難病でした。
完治する見込みはなく、病気が悪化したフリアは、弁護士としてラモンの力になることはできなくなってしまいます。
追い詰められたフリアは、次第にラモンの考えを理解していきます。そして、自分も尊厳死の会に入りたいと、ジュネに頼みます。ジェネはラモンから預かっていた手紙を渡します。そこには、「同じ状況にある者だけが、地獄を理解してくれる」と書かれていました。

【転】- 海を飛ぶ夢のあらすじ3

ラモンの元には、ロサが頻繁に出入りしていました。ラモンの世話がしたいと言って、マヌエラと小競り合いになることもありました。
一方フリアは、夫に支えられながら懸命にリハビリに励んでいました。そして、いつか詩集を出版したいと、ラモンに手紙を出すのでした。

ある夜、ロサは泣きながらラモンの元にやってきます。勤務先の工場が閉鎖され、途方に暮れていたのです。
ラモンはそんなロサに、「君は勇敢で強い女だ」と言ってなぐさめます。ロサもラモンのためなら何でもしたいと言って手を握ります。ラモンは誰も罪に問われない自殺の協力を仰ぎますが、ロサは慌てて「看病がしたい」と拒否するのでした。

フリアが不在の中、「尊厳死の会」による裁判の手続きが始まります。
ラモンの意思が世間に知れ渡るにつれて、批判者も登場してきます。四肢麻痺の神父でした。神父はテレビ番組で「彼は周囲からの愛情が足りていない」と言い放ちます。
その後、神父ははるばるラモンの家まで訪ねてきて、説教を始めます。これに対して、ラモンは「宗教は人間が生きることや死ぬことに対して、どんな貢献をしたのか」と反論します。
収拾がつかない2人のやりとりに入ってきたのが、マヌエラでした。マヌエラは神父に対して、「あなたがテレビで言ったことは一生忘れない。私はラモンを息子のように愛している」と猛反発するのです。
そして2人の論争は、結局決裂します。

数カ月後、フリアが退院してきます。しかし、足に後遺症が残って車椅子状態でした。
フリアはラモンの家に泊まり込んで、詩の清書を手伝います。本の準備を終えると、フリアはラモンに口付けをします。
自殺の計画を実行しようとするラモンに、フリアは強く共感します。そして、詩集の発売日に、誰にも迷惑をかけずに心中しようと約束するのでした。

いよいよ尊厳死を巡る法廷での戦いが始まります。
ラモンは嫌いな車椅子に乗って、裁判所へ出向きます。傍聴席にはロサが駆けつけていました。
ところが、手続きの不備を理由に取り合ってもらえません。挙句の果てに、訴えはあっさりと却下されてしまうのです。しかし、裁判の結果はラモンの予想通りでした。
閉廷後、ロサはラモンに感謝と情愛の言葉を述べます。ラモンは「僕を本当に愛してくれる人は、死なせてくれる人だ」と告げます。

しばらくして、ラモンの元に詩集が届きます。フリアからの手紙が添えられており、そこにはラモンとの約束を果たせないことが書かれていました。
ついに認知症を発症したフリアは、夫の説得に折れて、彼に支えられながら生きることを決意したのです。
どうしようもない孤独感に陥ったラモンは、「何故自分はみんなのように人生に満足できない」と癇癪を起こします。マヌエラが安定剤を飲ませると、彼は海を飛ぶ夢の中に入っていきました。

【結】- 海を飛ぶ夢のあらすじ4

その後、ラモンの元に一大決心をしたロサがやってきます。ロサはラモンを愛する証として、自殺の手助けをすることを受け入れたのです。
ラモンは兄夫婦に別れを告げます。ホセは激しく責めますが、ラモンは「僕を奴隷にするのか?」と訴えます。しかし、ホセは「家族全員お前の奴隷だ」と、心のわだかまりをぶつけてしまうのでした。

ラモンは学校から帰ってきたハビエルを部屋に呼びつけ、詩集の一節を読み上げるように頼みます。それは生まれてこなかった息子に対する思いを綴った詩でした。
ハビエルは字面を理解しますが、詩に込められた思いまでは読み取れませんでした。怒ったラモンは、彼を部屋から追い出します。

その夜、ラモンはジェネに電話をかけて、別れを告げます。
ジュネは「無理にやらないで」と言葉をかけますが、ラモンは「君もみんなと同じだね」と告げて、電話を切るのでした。

いよいよ旅立ちの朝を迎えます。
ラモンは家族に見守られながら、車に乗せられます。ハビエルは「詩を理解した」と言って、ラモンを抱きしめます。
やがて車が出ると、ハビエルは車を追いかけ続けます。ラモンはハビエルを息子のように愛し、思いを託していたのです。

ラモンはロサが待つホテルに到着します。
2人は海を眺めながら語り合い、ロサは死後の人生があるなら、しるしを送ってほしいと言います。ラモンは死んだ後には何もないと答え、改めてロサに感謝の気持ちを伝えます。ロサはラモンに唇を寄せようとして思い留まり、額にキスをします。

ラモンは誰も殺人の罪に問われないように、綿密に計画した「尊厳死」を実行します。
ラモンはビデオカメラを回して語り始めます。「これを飲めば命が絶たれます。生きることは権利であるはずが、私にとっては義務でした。28年4カ月と数日もの間、辛い状況に耐え続けました。いつの日か、私の死の願いが正当なものか間違っているのか、判断が下るでしょう」
最期のメッセージを言い終えたラモンは、人間が死ぬために必要な量の青酸カリが入った水をストローで飲み干します。まもなくラモンの意識は混濁し始めて、自身の人生を変えたあの日の夢を見ます。

ラモンが亡くなって、ジェネはフリアを訪ねます。彼女は海が見える別荘で、夫と暮らしていました。病状は進行しており、話が通じないこともありました。
フリアと2人きりになったジェネは、ラモンからの手紙を渡します。すると、彼女は「ラモンって誰?」と尋ねます。もはやラモンのことを覚えていなかったのです。
ラモンの手紙には、フリアへの思いを綴った詩が書かれていました。「2つの魂は1つの願いを叶える。私の唇は、永遠にあなたの髪をさまよう」と語られる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

尊厳死については、人によって意見が異なりますし、言い分も何通りもあると思います。いずれにせよ自分が当事者の気持ちに寄り添えない限り、何も言ってはいけないのかもしれないと、本作を観て感じました。印象的だったのが、ラモンと一緒に死ぬ約束をしていたフリアが、結局生きる道を選んだ場面です。ラモンはフリアを責めるのではなく、自分と同じ状況にいる彼女が生きようとしているのに、何故自分は死を願うのかと叫びます。どちらの道を選ぶことも決して間違いではないということが伝わってきて、強く心を動かされました。ラモンの生き様を通して、自分にとって生きることとはどういうことなのか、考えさせられる作品でした。

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