「火花」のネタバレあらすじと結末の感想

火花の紹介:若手芸人の徳永と、彼が師匠と慕う先輩芸人の神谷。笑いに魅了されながらも現実に葛藤し、もがき続けた2人の10年間の日々をあたたかに綴った青春物語。
芥川賞を受賞したお笑い芸人又吉直樹の同名純文学作品を、同じ事務所の先輩かつ映画監督でもある板尾創路が満を持して映画化。2017年11月の公開作。

予告動画

火花の主な出演者

徳永(菅田将暉)、真樹(木村文乃)、山下(川谷修士)、大林(三浦誠己)、鹿谷(加藤諒)、神谷(桐谷健太)

火花のネタバレあらすじ

【起】- 火花のあらすじ1

中学時代の友人・山下と「スパークス」というお笑いコンビを組む徳永。2人は関西から上京し2年前に芸人デビューを果たすものの、全く芽が出ずほとんど仕事のない日々を過ごしていました。
熱海で花火大会の営業があったスパークスは、粗末に用意された舞台に立ちました。周囲の騒音や打上げ花火に声はかき消され、暴走族には絡まれるという散々の環境に、徳永は漫才中にブチ切れます。苛立って舞台を降りた徳永に、出番を待っていた先輩芸人・神谷は初対面ながら「仇取ったるわ」と告げると、奇抜な漫才をやり遂げました。型破りながら芯の通った神谷の漫才に徳永は引き込まれます。
公演後、神谷に誘われ居酒屋に行った徳永は、弟子にしてほしいと申し出ました。「ええよ」と二つ返事で引受けた神谷は、“俺の伝記”を作ってほしいと条件を出します。神谷のことを忘れないように、彼の言動を記してほしいと言うのでした。
東京へ戻った徳永は、神谷との約束通り“神谷伝記”なる日記をノートに綴り始めます。「あほんだら」というコンビで大阪で活動する神谷とはなかなか会うことは叶いませんが、神谷は頻繁に電話で連絡をくれました。

神谷と出会ってから1年が経ちましたが、スパークスは未だ売れることもなく、公園で練習する日々です。主戦場は小さな劇場で、月に一度ネタ見せする機会がありましたが、評価もされなければコンビ名さえ覚えてもらえません。同世代の一部の芸人は、すでにテレビに進出していました。

【承】- 火花のあらすじ2

大阪での活動に限界を感じた神谷が東京に拠点を移します。2年ぶりに神谷に会った徳永は、神谷の変わらぬ芸への熱い想いと奇想天外さに心酔しました。尊敬する神谷との再会に徳永は気をよくして泥酔したので、神谷は自分のアパートに徳永を連れ帰ります。そこで徳永は、神谷が美人でひょうきんな真樹という女性と同棲していることを知り驚きました。
それからも徳永と神谷は吉祥寺にほぼ毎日出没しては、いつもの店で「肉芽」という料理をあてに、互いが求める芸について議論し、夜中まで語り明かしました。そんな2人を真樹はあたたかく見守ります。

ある時スパークスとあほんだらは同じオーディションに参加しますが、優勝したのはピン芸人・鹿谷でした。鹿谷はくどい顔と女性的なキャラで笑いをとるという、徳永が苦手とするタイプの芸人です。徳永は鹿谷に見下されたうえに、打上げの席で関係者に営業することもできませんでした。

徳永はどん詰まりの日々に、山下ともすれ違い始めます。練習中の口論で相方を殴りたくなった徳永はこんな時も神谷を頼り、そして神谷もまた徳永の気持ちを解してくれるのでした。その夜も神谷と会った徳永は、いつものように笑いの論争をしました。その際徳永は、神谷が真樹と交際はしておらず、家賃も払わないただの居候だと初めて知ります。神谷は俺と付き合ったら地獄だと、真樹に他の男との交際を勧めていました。更に「徳永君と行くなら」と真樹が喜んで金を渡してくれるので、毎晩徳永と会っていることにしていると神谷はさらりと告白します。真樹を“姉さん”と慕っていた徳永は複雑な気持ちになりました。

程なくして真樹が新たな恋人を作ったため、神谷は部屋を出ることになりました。既に男が住んでいるという部屋に1人では行けないと、神谷は徳永を呼び出します。神谷は必死に明るく振る舞い、傷心を隠して思い出の詰まった部屋を後にし、徳永も切なさを共有するのでした。

【転】- 火花のあらすじ3

徳永は少しでも印象を強めようと銀髪に染めました。その効果もあったのか、少しずつテレビ出演や学園祭の仕事をもらえるようになります。それでも徳永は、それが若者を対象とした一時的な人気だと理解していました。

漫才コンテストに出場したあほんだらは、録音した音声を使った常識破りの漫才で挑みます。そのネタは徳永をはじめ芸人からは大ウケしますが、審査員から痛烈に批判されました。それでも神谷は、自分が面白いと思ったものをやるという信念を曲げるつもりはありません。
一方のスパークはテレビのオファーが無くなり、山下は「売れる気はない神谷の影響を受けすぎなんじゃないか」と相方に忠告しました。神谷の才能を信じて止まない徳永は「お前に神谷さんの何が分かんねん」と激しく反論します。徳永は神谷と切磋琢磨してきた日々を肯定するように、書き続けていた神谷伝記を読み返すのでした。

翌年。徳永は神谷の相方・大林から、神谷が漫才を辞めなければいけない程借金まみれだと聞かされました。神谷は絶対に後輩の徳永には金を払わせないので、徳永は責任を感じます。しかし大林は「徳永の話をする神谷はいつも嬉しそうだ」と言い、徳永は改めて神谷の想いを感じました。
久々に神谷に呼び出された徳永は、彼が自分と同じような服装と銀髪で現れたことにショックを受けます。更に神谷は裕福な女性のヒモになっていました。信念を翻した神谷に徳永は、「真似は嫌、自分の模倣すら嫌だと言ってましたよね?」と涙ながらにたしなめます。図星を突かれ肩を落とした神谷は、自分で髪を切り笑いに変えようとしますが、徳永は笑えませんでした。

【結】- 火花のあらすじ4

翌年のクリスマス。徳永は山下のから、彼女が妊娠したため芸人を辞めると告げられます。事務所も周囲もスパークスの解散を止めませんでした。徳永はあれ以来神谷とは会っておらず、あほんだらの噂も聞かなくなりました。
スパークスは解散ライブで“逆のことを言う”という漫才をしますが、徳永が突然アドリブで山下や客への感謝、漫才への熱い想いを叫びます。徳永の絶叫に客席は笑いではなく涙に包まれ、山下もツッコミができません。その型破りなやり方はいつかの熱海で見た神谷の漫才のようで、最後に常識を覆す漫才が出来たと徳永は自分に言い聞かせ、10年間の芸人生活に終止符を打ちました。

2年後。吉祥寺の不動産屋で働いている徳永は、ある日井の頭公園で母親になり幸せそうな真樹の姿を見かけ、ホッとします。そこは神谷とよく出かけた場所で、自動販売機にはコーヒーのCMキャラクターとなった鹿谷のポスターが貼られていました。
徳永は数年ぶりに連絡をくれた神谷と再会します。神谷は借金返済のために方々を歩き回った後、自己破産していました。更に驚くことに神谷は、シリコンを入れFカップにした胸を躊躇いもなく徳永に披露します。今までキャラクターを否定していた神谷の血迷った様に、世間を完全には無視できない、その姿ではテレビに出られないと徳永は激しく叱責しました。「ほんまにあほんだらや…」としょげる神谷を見かねた徳永は、花火を見に行こうと熱海に誘いました。

2人は冬の空に散っていく打ち上げ花火を見上げます。10年前に師弟関係を結んだ居酒屋に行った2人は、お笑いコンテストのポスターを見つけました。飛込み参加も可能だと聞き、神谷は徳永を誘います。無理だと断る徳永に、神谷が熱く語り出します。10年間人を笑わせて来たのは、とてつもない特殊能力を持ったボクサーみたいだと。芸人のパンチは殴れば殴るほど人を幸せにし、徳永みたいなパンチは他にはいない。淘汰された芸人の存在は絶対に無駄じゃない。だから芸人に引退はないのだと…。神谷の信念が蘇るのを目の当たりした徳永は心揺れるものの、やはり出場は躊躇います。それでも神谷は「とんでもない漫才を思いついた!」と幸せそうに語り続けるのでした。

みんなの感想

ライターの感想

原作もドラマ版も知らぬまま鑑賞しました。おそらく省かれた場面がありそうだなと、展開にやや窮屈さを感じましたが、自分のような素人には計り知れないほどの芸人の苦悩や努力が痛いほどに伝わりました。
主演の両俳優の演技も素晴らしいのですが、漫才シーンを違和感なく見ることができたのは、ツッコミ役を実際の芸人と元芸人の2人が演じたからこそだと思います。
商業映画らしいクサイ演出ではありましたが、名曲『浅草キッド』がエンディングで流れるなんて、見終わった後の切なさは否が応でも5倍増しです。芸人のみなさんに「幸せのパンチをありがとう」と言いたくなる作品でした。
  • bunchousirokuroさんの感想

    この映画の主演二人を知ったときに、これ以上のナイスキャスティングはないと思ってうれしかったのですが、実際鑑賞してもその予想は裏切られませんでした。

    笑いに命を懸ける芸人たち…だけどその中で栄光がつかめるのはほんの一握り。その切なさと芸人たちの狂おしいまでの情熱を描けたのは、自身も芸人である板尾監督ならではないかと思います。

    神谷の彼女役を演じた木村文乃も素晴らしく、こういう演技もできる女優さんなんだと見方が変わりました。

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