「真夜中のカーボーイ」のネタバレあらすじと結末の感想

真夜中のカーボーイの紹介:テキサスのど田舎からNYへ一獲千金を夢見てやってきたカウボーイ姿の若者ジョーとNYの最底辺で生きる男ラッツォの出会いと別れを描いた1969年公開のアメリカ映画。原作はジェームズ・レオ・ハーリヒーの「真夜中のカウボーイ」。監督は「イナゴの日」「マラソンマン」のジョン・シュレシンジャー。製作はジェローム・ヘルマン、脚本はウォルド・ソルト。主演はジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマン。音楽は「愛と哀しみの果て」のジョン・バリー、主題歌はハリー・ニルソン「Everybody’s Talkin(うわさの男)」。1969年アカデミー賞作品賞ほか3部門、NY批評家協会賞主演男優賞、英国アカデミー賞6部門他多くの賞を獲得、1994年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。

予告動画

真夜中のカーボーイの主な出演者

ジョー・ブック(ジョン・ヴォイト)、ラッツォ(=リッヅォ/リコ/ダスティン・ホフマン)、キャス(シルヴィア・マイルズ)、オダニエル(ジョン・マクギヴァー)、シャーリー(ブレンダ・ヴァッカロ)、タウニー(バーナード・ヒューズ)、ジョーの祖母サリー(ルース・ホワイト)、ジョーの恋人アニー(ジェニファー・ソルト)など。

真夜中のカーボーイのネタバレあらすじ

【起】- 真夜中のカーボーイのあらすじ1

テキサスの田舎町のレストランで働いていたジョー・ブックは、ついに念願だったニューヨークへ旅立つ決意をします。祖母はいつも立派なカウボーイになれると褒めて彼を溺愛、背が高くマッチョで、恋人のアニーもあなただけよとベタ惚れで、金バッチが付いたウェスタンブーツと黒いカウボーイハット、刺しゅう入りのシャツを新調し、イケてるカウボーイスタイルでキメて、皿洗いの爺さんにも金持ちの女が俺を金で買うと豪語し、小型のラジオとレストランの最後の給料を頼りに、長距離バスに飛び乗ります。
けれど、いざニューヨークに着くと、ホテルでは高額なチップを請求され、テレビも有料、人々は足早に通り過ぎ、人が行き倒れていても知らん顔、女性は皆お洒落で彼には鼻もひっかけず、ナンパすれば恥を知りなさいと怒られます。が、プードルの散歩をしていた中年マダムのキャスだけは、ホテルのペントハウス住まいの金持ちでありながら彼に興味を示し、部屋に引き入れ楽しみます。けれど事が済み金をせびると、銀行に行くのを忘れたと言い出し、小僧が女から金を取るのかと罵り、泣き出します。彼は言われるままに20ドル渡し、ホテルを後にします。
バーでは、ブロンクスから来たリッヅォと名乗る足の悪い小男にいきなりシャツを誉められ意気投合します。ゲイたちは彼を嫌いラッツォ(ネズ公)と呼んでいましたが、彼はハスラー(女性相手の男娼)希望なんだと力説するジョーをおだてて、その仕事をやるにはマネージャーがいる、ここらで顔役のオダニエルを紹介してやると言います。彼は街の方々で声を掛け、あいつも俺が紹介してやった、お前なら1日100ドルは稼げると気を持たせ、金なら払うと言い出したジョーから10ドルを受け取り、オダニエルに電話をして古いホテルに案内します。ラッツォはエレベーターで同じ階まで上がり”経費”の10ドルを受け取ると彼に部屋を教えて、そそくさと帰って行きます。

部屋から出てきたのはボロいガウンの禿げた中年オヤジでした。彼はジョーの身体を誉め、助けが要るか?、君もここに来る奴らと同じく孤独だと話し、孤独ゆえに酒を、孤独ゆえに姦淫を、クソだ!クソなんだ!と怒ったようにがなり始めます。彼も働きたいんです!と立ち上がり、仕事は大変だぞ!と言う彼に朝メシ前です!と合わせます。オダニエルはいたく彼を気に入り、さあひざまずこう!へとへとになるまで働かせてやろう!とバスルームの扉を開けます。
扉の裏には、電飾で飾られたキリスト像がちかちかと輝いていました。さあ!息子よ!心を開け!キリストから逃げるな!と完全にイキまくるオダニエルを見るうち、幼い頃の洗礼の恐怖を思い出した彼は、慌てて逃げ出します。
ジョーは激怒し、ラッツォの首を絞めるつもりで街中を探しますが逃げられ、始めのバーではあの時警告していたゲイに嗤われます。
ホテルに戻った彼はぼんやりと老婦人がペットを溺愛する様子を嘲るTVショーを見るうち、BFが出来て自分を投げ出した祖母の溺愛の意味に気づきます。司会者は飼い主のマダムがプードルに化粧をし、口臭消しを吹き掛け、パンツを履かせる飼い主に呆れ、これも孤独な人々の慰めだと笑っていました。

【承】- 真夜中のカーボーイのあらすじ2

彼は何日も街を流しますが客は付かず、宿代が払えなくなりホテルを追い出され、荷物は宿代代わりに取られてしまいます。やがて食う物にも困り始め、皿洗い募集の広告の前で立ち止まったり、レストランで妙な親子のクラッカーを取ったりしますが、結局行きついたのは、男相手の男娼”カウボーイ”になる事でした。彼は気の弱そうな学生に誘われコインシアターに行き事を終えますが、学生は無一文で泣きつかれ取り損ないます。
ジョーは終日営業の映画館で夜露をしのぎ街をぶらつくうち、ファストフード店にいたラッツォを見つけ掴みかかります。けれど彼も小銭しか持っておらず、怒って諦め去ろうとします。が、彼が宿無しだと知ったラッツォに自分ちに来いよと誘われ、結局転がり込むことに。
彼は初めて会った時から咳をしていましたが、その後風邪で寝込んだと言い、相変わらず咳き込んでいました。

ラッツォは、市に閉鎖された廃ビルの1室にボロベッドなどを寄せ集めて暮らしていました。電気は無く暖房もありませんでしたが、コンロ代わりの固形燃料と水だけは出るようです。壁にはフロリダの広告や切り抜きが貼られています。着くなり廃品の冷蔵庫を運ばされたジョーは、ベッドにごろんと横になりうたた寝します。
けれど、車で愛し合っていたアニーと自分が、町の若い連中に性的暴行を受けたあの晩の悪夢を見て飛び起きた時には夜で、そばで彼のラジオを聞いていたラッツォからラジオをひったくり、俺のブーツをどこにやった!何のつもりで俺を泊めた!と騒ぎます。騒動の後、アニーは病院送りとなり、彼自身も同性愛行為に対するトラウマに苛まされ、夢の中にはなぜかラッツォもいて、連中と一緒に彼を囃していたからです。
ラッツォはそんな彼を静かに見つめ、ブーツは寝苦しいだろうから脱がせてやった、無理に泊めたわけじゃないと言い、一つだけ頼みがある、俺の名はラッツォ(ネズ公)じゃない、エンリコ・リッヅォだ、俺の家ではリッヅォ、せめてリコと呼べと言い、別なベッドで横になりろうそくを消します。ジョーは彼に背を向け、リコ、リコ…と何度か呟きニヤつきます。
翌日から、2人はグルになって八百屋からトマトとココナツを盗み、ラッツォが料理を作ります。が、ラッツォに、フロリダには金持ちの女がうようよいてお前でも簡単に引っ掛かる、けれどニューヨークの金持ち女は田舎者のカウボーイなど相手にしないし、お前は臭いからモテんと言われます。ムカついたジョーはお前だって下着を替えるのを見た事がない、ろくに女も知らないくせに女の講釈を垂れるなと言い返し、お前なんかジョン・ウエインと同じホモ専門だと言い返されます。言い負かされたジョーは、この格好が好きだからしてるだけだ、女は皆俺にトチ狂い、アニーは病院送りになった、モテないのはマネージャーがいないからだ、20ドル分、俺のマネージメントをしやがれと怒鳴ります。
ラッツォは早速、コインランドリーで妊婦をごまかし洗濯物を洗わせ、ハットを洗わせた帽子屋では代金をごまかします。また地下道に置いてあった靴磨き屋の道具の鍵を壊して使ってブーツも磨き、ジョーの身支度を整えます。彼は靴磨きが上手く勘違いした数人の客の靴もついでに磨いたりしますが、家でジョーの散髪をしながら、1日14時間も靴磨きをして靴墨で肺をやられて死んだ父親の話をします。
ジョーは彼の話そっちのけで仕上がりに大満足し、田舎を出る時と同じく鏡の前でポーズをし「いい男だ」と自惚れます。ラッツォはOK、OKと微笑んでみていました。

次にラッツォは、”紳士派遣サービス”の事務所から出てきたプロのジゴロから、予約のメモをちょろまかし、ジゴロの代わりにジョーを女性専用の高級ホテルに行かせます。そしてホテルの目の前で、フロリダで金持ち女相手にどうやって稼ぐかをいろいろ考え、成功する想像をしながら待ちますが、ジョーは1階のエレベーターホールで女に叩かれ、騒動になり、叩き出されてしまいます。
それからは雨続きで暖房も無く、ラッツォの咳はますますひどくなり、隣のビルの解体工事も始まります。気温が零下を下回る中、2人はビルの影で佇み、家ではラジオのフロリダオレンジジュースのポップな曲で踊り体を温めますが、ついにはラジオも質に入れてしまいます。
ジョーはゲイストリートに立ちますが客は付かず、売血で9ドルと小銭を手に入れ、ミルクとガムを買って帰り、死ぬ前にこれで煙草を1カートンと薬を買えと言います。一方、家にいたラッツォは酷く咳き込んでいましたが、上等なコートを羽織っていました。ジョーは盗んだのか!と怒りますが、これは俺にはでかすぎる、お前用だと放り出します。2人はそれぞれ、相手がどうやってそれを得たかを知っていましたが、本当の事は言いません。
2人はラッツォの父ドミニク・リッヅォの墓に行き、ラッツォは隣の墓から花を取って供え、父親はお前よりバカで字も書けなかった、墓にも墓碑銘じゃなく×を書けばよかった、あのビルみたいにとこぼします。ジョーは、俺の婆さんは知らんうちに死んでたと打ち明けます。

【転】- 真夜中のカーボーイのあらすじ3

ある日ダイナーで食事中、ラッツォは突然、人が死んだら魂は天国に昇るか別な世界に行くと言い出します。重要なのは精神で、別な肉体に生まれ変わる、犬でも大統領にでもだと真剣な顔で話していると、妙な雰囲気の男女が入ってきて、ジョーの写真を撮りチラシを渡します。
それはパーティーへの招待チラシで、ラッツォはイカれた連中の客引きだと疑いますが、ジョーは会場はブロードウェーのヘンゼルとグレーテルのアパートだ、奴らは自分の写真を撮った、招待されたのは俺だと乗り気です。ラッツォが、俺は消えろってわけかとへそを曲げると、ジョーは俺とお前は一心同体だって言ってやると誘います。
その夜は雪で、会場の古ビルに辿り着いた時、ラッツオはひどく汗を流し階段が昇れず座り込んでしまいます。ジョーは一張羅のシャツをめくって汗を拭いてやり、自分のクシを差し出します。彼はボサボサ髪にクシを当て、なんとか彼と会場に入ります。
それは前衛アーティストのパーティーで、老いた女優やヤク中、サイケな若者やヒッピーなどが集まり、店に来た2人が皆をインタビューして不可解な言葉を集め、写真を撮って歩いていて、彼らにも料理を勧めます。
ラッツォはテーブルで食べ物を貪り、客のポケットから金を盗み、食べ物を包んで懐に入れ、ジョーは回ってきたヘロインを吸いながら女を物色し、陽気に笑いだします。
ラッツォは不調のまま不機嫌でしたが、ジョーの引っかけた女シャーリーと交渉して20ドルだと言い、自分はタクシー代の1ドルをもらえば消えると話をつけます。しかし彼は、やはり具合が悪そうで階段を転げ落ちますが、心配するジョーとシャーリーをなんとか送り出します。
ところが彼女の家のベッドではジョーの自慢のムスコが役に立たちません。彼女は怒る様子も無く落ち込むジョーに優しく笑い、スクリビッジ(サイコロの文字合わせゲーム)をしようと言い出します。ジョーはマネー(MONEY)すらも綴り間違いしながら必死で考えていましたが、彼女はじゃあYで終わる言葉は?と、SEY、LAY…と例を上げ、GAY(ゲイ)、FAY(ホモ)…そういうことなの?と聞きます。俺を見せてやる!と挑みかかった彼のムスコは無事に復帰し、2人は激しく求め合います。翌日、シャーリーはジョーに次の客を紹介して話を取り付け、20ドル支払い別れます。

ジョーはラッツォに新しい皮手袋と薬を買い意気揚々と部屋に戻ります。けれどラッツォの具合はさらに悪化し、実は歩けなくなったと打ち明けられます。彼は震えてスープもろくに飲めず、ひどく怯えていて、ジョーが医者を呼びに行くと言うと、医者と警察はイヤだ、フロリダに連れてってくれと懇願します。ジョーは木曜に次の約束があるからダメだと言いますが、俺一人をバスに乗せてくれるだけでいいと言い、ベッドに寝かせても熱いと掛布をめくってしまいます。
ジョーは公衆電話からシャーリーに電話をしますが留守で、ゲーセンにいたところをタウニーと名乗る初老の紳士に声を掛けられます。彼は会議で来たが遊びたくてと言い食事に誘いますが、目的は明確でした。ジョーはラッツォの事を言い出せないまま彼のホテルに向かうことに。
ジョーは彼が母親と電話をしている間、ラッツォの事をどう言い出し金をせびるか懸命に考えますが、結局彼を脅します。タウニーはすまないと詫びながら、明日はフロリダに行くと言う彼に旅のお守りだと聖クリストファーのメダルを差し出します。けれどジョーは金を要求し、タウニーが財布から10ドル抜いて渡すと、57ドルいる、家族がいるんだと殴りつけ、財布の残金を奪い取ります。タウニーは何度か殴ると鼻血を出し、ベッドで動けなくなりますが、暴れたはずみで落ちた電話がフロントに繋がり「電話はしてない」と話しているところをジョーに取り上げられます。動揺したジョーは彼の口に受話器を押し込みます。

【結】- 真夜中のカーボーイのあらすじ4

彼はラッツォをあるだけの毛布でくるみ、無理矢理タクシーに乗せ、ようやく2人はマイアミ行きの長距離バスに乗り込みます。
ラッツォは熱に浮かされた目で、フロリダまでは31時間、明日の11時半には着いてると言いながらも彼の上着の血に気づき、「殺してないだろうな」と呟きます。バスは順調に進み、夜になった頃、ラッツォの顔色はさらに悪くなっていましたが、せっかく旅に出たのにフロリダでは絶対ラッツォなんて呼ぶな、新しい連中には全てリコだ、リコと呼べと話し、ジョーは笑って頷きます。
翌朝、ラッツォは突然、漏らしてびしょびしょだと泣き出します。ジョーは気にすんなと言いますが、フロリダに行くってのに足やら腰やら体中が痛い、その上、小便まみれだとめそめそ泣く彼を見て、早めのトイレ休憩だと笑いだします。
バスはフロリダ近くで休憩を取り、ジョーはラッツォの着替えを買うついでに、自分も明るい色のシャツを買い爽やかな青年風になり、カウボーイの服とブーツをゴミ箱に捨てます。ファストフード店では若い女性店員にもここは初めて?と声を掛けられます。

バスは白い屋根の住宅地やヤシの木が並ぶハイウェイをひた走り、ジョーはラッツォの毛布を片付け、明るいヤシの木柄のアロハシャツに着替えさせます。ジョーが額の汗を拭くとラッツォは「サンキュー、ジョー」と呟き、遠い目で景色を眺めていました。
ジョーは、タバコを一服し、「ここは衣類も安い、全部でたった10ドルだ…ラッツォ、いや、リコ、こうしようぜ」「マイアミについたら仕事を探す、女では食っていけん、もっと簡単な仕事があるはずだ、外で働くよ」と話し、どう思う?と聞きますが、ラッツォはぼんやりと遠くを見つめたまま返事をしません。
ジョーはそうすると呟きますが、返事をしないラッツォに、何度もリコと呼び、彼の肩に触れ顔に触り、彼が亡くなっている事に気づきます。
バスは路肩に留まり数人の男たちが乗り込んできて、ジョーに親戚かね?目を閉じてやれと言います。彼がそっとまぶたを閉じるとこのまま終点まで行くと言い、ざわつく車内に間もなくマイアミに着きますと言い降りて行きます。
ジョーは無遠慮な乗客の視線から彼を守るようにその肩を抱き、乗客たちを睨みます。
窓には真っ白なマイアミの建物とヤシの木、抜けるような青空が映っていました。

みんなの感想

ライターの感想

初見は多分レンタルビデオで80年代だったと思いますが、後にも先にも見たのは1回きりで、最後のバスのシーンだけがひどく印象的だったと記憶しています。ラッツォ役ダスティン・ホフマンはまだこの時点では「卒業」が大ヒットしたばかりの駆け出しだったんですが、1973年の「パピヨン」で忘れられない俳優の1人になりました。正式邦題を調べてみて初めて「カウボーイ」ではなく「カーボーイ」だと知り、決めたのはかの水野晴郎氏だったことも合せてちょっとびっくり。脇役のオダニエル、キャス、シャーリー、ついでに言えば初めに出てくるゲイの子も非常に印象的でした。
ラッシュでジョーの過去のトラウマが次々と映し込まれていくのに、印象に残るのは毎日14時間靴磨きをして死んだラッツォの父親だとか、イタリア出身だとやっぱり得意料理がトマト料理なんだなぁとか、お前のブーツはそこにあるよという時の優しい目だったり。不思議ですね。がんばってるのは確かにジョーで、画面もほとんど彼が映っているのに、再見してもやはり持って行くのはラッツォでした。あとちょっとでフロリダだったのに。
後付けでぐっとくるのも前に見た時のままだわ。

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