「祈りの幕が下りる時」のネタバレあらすじと結末の感想

祈りの幕が下りる時の紹介:2018年製作のミステリードラマ。東野圭吾原作の連続ドラマ「新参者」シリーズの完結編となる映画作品で、ある女性の殺人事件の捜査をきっかけに主人公の刑事の過去が明らかにされていく。主演はドラマシリーズに引き続き阿部寛が務め、事件の鍵を握る演出家を松嶋菜々子が演じ、人気ドラマ「半沢直樹」を手掛けた福澤克雄がメガホンを取った。

予告動画

祈りの幕が下りる時の主な出演者

加賀恭一郎(阿部寛)、浅居博美(松嶋菜々子)、松宮脩平(溝端淳平)、金森登紀子(田中麗奈)、浅居厚子(キムラ緑子)、宮本康代(烏丸せつこ)

祈りの幕が下りる時のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

舞台は東京、日本橋。ある日、日本橋署に警視庁捜査一課から一人の警部補が異動してくる。警部補の名前は加賀恭一郎、全日本学生選手権で優勝経験がある剣道の達人だった。自称捜査オタクのこの男は「 新参者」ながら、翻訳家殺害事件、部品メーカー本部長殺害事件など、数々の難事件を解決に導いていく。その一方で、加賀自身は謎に包まれた存在だった。名刑事と知られた父親との確執、幼い頃に失踪した母親の行方、そして日本橋署に留まり続けようとする理由…従兄弟で刑事の松宮や、加賀の父親の最期を看取った看護師の金森は、加賀の本質的な部分をつかめずにいた。そんな中、葛飾区で女性が腐乱死体で発見される。加賀も捜査を担当する松宮を通して事件と関わりを持っていくが、捜査を進めるうちに驚くべき事実に気づく。事件の関係者に失踪した加賀の母親が浮上したのだ。そして、剣道の演技稽古で知り合った演出家、浅居博美も被害者の友人であることが判明。あまりにも自分の過去と関わりの深いこの事件を前にして、加賀は驚きつつも関係者たちの心理を紐解きながら事件の真相に迫っていく。

【起】- 祈りの幕が下りる時のあらすじ1

舞台は東京都葛飾区。とあるアパートで女性の絞殺死体が発見され、警視庁捜査一課の松宮が捜査にあたることに。死体は殺されてから約20日経過していると見られ、死体は激しく腐乱していました。鑑識の結果、被害者は滋賀県に住む押谷道子という中年女性であることが判明しますが、容疑者と思しきアパートの住人、越川睦夫は行方不明となっていました。捜査本部が越川の捜索に動く中、松宮は女性絞殺事件とほぼ同時期に近くの川辺で起きたホームレス放火殺人事件に注目します。ホームレスのひどく焦げた体を調べると、押谷道子と同様、絞殺された形跡が見つかったのです。しかし、DNA鑑定の結果、越川睦夫とホームレスは別人であることが判明、捜査は振り出しに戻りました。

その後、松宮は滋賀へ。被害者を知る人々から地道な聞き込みをする中で、松宮は被害者が東京に突然来た理由を知ります。それは、東京の明治座で活躍する美人演出家の浅居博美に会うためでした。二人は中学時代の同級生で、被害者は博美の唯一の友人でした。博美に会う理由は、博美の母親である厚子にありました。

清掃業者で働く被害者は、ある日仕事で訪問した介護施設である女性高齢者と出会いました。その女性は名も名乗らず、施設の親切につけ込み居座りを続け、問題ばかり起こしていました。被害者はその女性が厚子であることに気づき、家族の引き取りを望む施設側の事情を博美に伝えに行こうとしたのです。

大きな情報を得た松宮は早速博美のオフィスへ向かいました。博美は舞台の初日の直前に被害者と会ったことを認め、母親の引き取りを拒否したことを淡々と明かしました。また、事件当時は明治座におり、アリバイもありました。有力な情報を得られないままオフィスを去ろうとしたとき、松宮は意外なものが部屋に飾られていることに気づきました。それは、日本橋署の警部補で松宮の従兄弟である加賀恭一郎が写った写真でした。加賀は剣道着を着ており、写真の中にはたくさんの子どもと笑顔の博美の姿がありました。

松宮は早速加賀の元へ向かい、博美との関係を尋ねました。数年前に子役の剣道指導を頼まれた縁で博美と知り合ったことを明かす加賀。そして、加賀はそのときに覚えた違和感も思い出しました。「人殺しなんです、私」…博美はそう言って過去に子どもを堕ろした経験があることを語っていました。初対面の相手から衝撃の過去をいきなり明かされ、困惑したことは加賀の記憶に鮮明に残っていました。

博美のことが気になり出した加賀は、博美がいる明治座へ。博美は「異聞・曽根崎心中」の舞台で忙しい身でしたが、訪ねてきた加賀との再会を喜び、二人は久しぶりの会話を楽しみました。加賀は相変わらず美しい博美を見て「やっぱ超きれいだな」とつぶやきました。

その後、事件に行き詰まっている松宮に加賀はある助言をします。越川睦夫の日用使いの品々は捜査かく乱のためにすり替えられた可能性があり、別の残留品で再度DNA鑑定をすべきというのです。この加賀の言葉に従い、再度DNA鑑定を行うと、越川睦夫とホームレスが同一人物であることが判明、捜査は大きな進展を見せ始めました。

その一方で、事件は加賀の過去とも繋がり始めました。越川睦夫の部屋にあったカレンダーに書かれたメモの内容を聞いて、加賀は驚愕します。そのカレンダーには日本橋にある橋の名称が毎月のページに書かれており、その内容は数年前に亡くなった加賀の母、百合子の遺品のカレンダーに書かれた内容とまったく同じだったのです。

【承】- 祈りの幕が下りる時のあらすじ2

16年前のことでした。加賀は宮本という女性から百合子が亡くなったことを知らされ、百合子が最期を過ごした街、仙台市を訪れていました。百合子は加賀が幼い頃に失踪した後は、仙台市に移り、宮本が経営するスナックで働いていました。そこでは綿部俊一という恋人もでき、裕福ではないものの穏やかな日々を過ごしていたようでした。東京の橋の名称が書かれたカレンダーは、その際に引き取ったものでした。このカレンダーの謎を解き明かすため、加賀は日本橋署に長く留まっていたのです。加賀は捜査本部の一員に加わり、自らの過去と深いつながりがあるこの事件に関わり始めます。

筆跡鑑定により、二つのカレンダーのメモを書いたのは同一人物と判明し、さらに百合子の遺品についていた指紋と越川の指紋も一致、越川睦夫=綿部俊一は確定しました。しかし、綿部俊一は16年前に宮本に加賀の連絡先を教えてからは、消息を絶っていました。宮本によれば、綿部は写真を嫌い、少しでも写ることを拒んだといいます。

加賀は博美の父親である浅居忠雄に注目します。25年前、忠雄と博美は借金返済をめぐり暴力団に脅される日々が続いていました。借金を作った厚子は男とともに姿を消し、残された忠雄は自殺、博美は施設送りにされたといいます。この忠雄の死をめぐり滋賀県での捜査を続けていくうちに、博美の中学時代の教師、苗村が浮上します。苗村は当時の生徒たちに忠雄がビルから自殺したと語っていたといいます。さらに、苗村自身は蒸発し、現在は行方不明となっていました。加賀が苗村の離婚した妻から話を聞くと、苗村は離婚する直前、高価なルビーの十字のネックレスを買っていたことがわかります。加賀はそのネックレスが博美のつけていたネックレスと特徴が似ていることに気づき、捜査本部に調査を依頼。その結果、二つのネックレスが同じものであることが判明しました。博美が苗村と不倫関係にあった可能性は非常に高く、さらに忠雄の自殺場所はビルではなく北陸の崖だったことが判明しました。

加賀は7月のカレンダーに書かれた「日本橋」について考えを巡らせました。7月の日本橋というと、多くの人々が橋を清掃する橋洗いの行事が有名でした。加賀は警視庁の資料、知り合いのカメラマンから橋洗いの様子を写した写真を借り、それを一枚一枚じっくりと見つめ始めました。すると、大勢の人々が行き交う中、携帯電話で話す博美の姿が写った写真があることに気づきました。奇妙なことに、博美はすぐ目の前にいる人物と携帯電話を介して会話しているように見えました。

それ以外にも、博美には不審な点がありました。博美が加賀を知ったのは、全日本を制し、剣道雑誌の表紙に写っているのを見たことがきっかけだったと博美は話していました。しかし、出版社に聞くと、剣道の指導を依頼するよりもずっと前に博美は連絡先を問い合わせていたといいます。加賀は博美の自宅を訪れ、直接話を聞くことを決めます。

この訪問には、博美のDNAを採取するという目的もありました。博美に怪しまれないよう、加賀は父親の最期を看取った看護師の登紀子に協力を依頼、登紀子はスーツを着て刑事に扮し加賀に同行しました。会話を進めていく中で、加賀は少しずつ博美に揺さぶりをかけていきました。出版社への問い合わせ時期、橋洗い行事の写真に写った不可解な姿…様々な質問に対して博美は微笑みながら回答しましたが、その表情は少しだけ強張っていました。

博美の家を出た後、登紀子は化粧室のブラシから採取した博美の髪の毛を加賀に渡しました。加賀は登紀子に感謝を示しましたが、登紀子はいまだに加賀が父親である正について誤解していることに苛立ちを感じていました。加賀は百合子が失踪した原因が家庭を顧みなかった正にあると考え、長い間不仲の状態が続き、ついに正の最期にも立ち会いませんでした。しかし、登紀子はそんな加賀を「バカ息子」と怒鳴りつけ、生前の正がいかに加賀のことを深く気にかけていたかを伝えました。加賀は父親の意外な側面に驚くのでした。

一方、松宮は綿部俊一の正体について核心に迫りつつありました。百合子の遺品を捜査した結果、綿部は原発のある女川と仙台を頻繁に行き来していた可能性が高まったのです。松宮は越川睦夫の似顔絵を見せながら当時の原発作業員に聞き込みを行い、その結果、横山一俊という作業員にたどり着きます。越川睦夫は原発の中では横山一俊と名乗り、百合子の前では綿部俊一と名乗っていたのではないか…松宮はそう仮説を立てました。

その後、捜査本部に博美が突然滋賀県に向かったという情報が入りました。監視を担当している刑事の続報によると、博美は母親の厚子が暮らす介護施設を訪問したといいます。会話の内容は不明ですが、厚子はかなり衝撃的な言葉を言われたらしく、博美が部屋を後にしてからは憔悴しきっていました。このとき、博美が厚子に伝えたのは、父娘の人生を台無しにしたことに対する恨み節でした。

【転】- 祈りの幕が下りる時のあらすじ3

物語は博美の回想に移ります。厚子が家を出てから、忠雄は暴力団に殴られ、博美は借金のかたに売られる寸前となっていました。そんな中、父娘は夜逃げを決行、電車を乗り継ぎながらあてのない旅を続けました。二人で電車に乗っていたとき、忠雄は比叡山の観光広告を見ながら、遠い昔に焼け死ぬことを選んだ延暦寺の僧侶たちのことを考えていました。死ぬにしても、焼け死ぬことはあまりにも恐ろしい…このとき忠雄がつぶやいた言葉を博美は忘れることはありませんでした。

その後、行き着いた石川県の定食屋で父娘は横山一俊という原発作業員と出会いました。横山は嫌らしい目つきで博美を見つめ、お小遣いをあげるから後で自分の車に遊びに来るよう囁いてきました。定食屋を出た後、博美は忠雄に高級旅館に連れて行かれました。これまで貧乏旅を続けてきた博美にとって、突然の旅館宿泊という忠雄の選択は非常に不可解なものでした。忠雄が風呂に入っている間、博美が忠雄の財布を調べると、そこにはもうほとんどお金が入っていませんでした。

博美はお金のために夢中になって横山の車に向かい、ひどく興奮した様子の横山に無理やり車の中に連れ込まれました。しかし、しばらくの静寂を経た後、博美は車から逃げ出しました。すると、向こうから忠雄が現れ、博美を抱きしめました。忠雄は博美の手が血に汚れていることにすぐ気づきました。横山に襲われた恐怖で、博美は車の中にあった箸で横山の首を刺してしまったのです。

忠雄が確認すると、横山はすでに亡くなっていました。ここで忠雄は事態を打開する方法を思いつきます。忠雄は横山の死体に細工した上で崖から突き落とすと、博美に別れを告げました。これからは原発作業員の横山一俊として生きることを決めたのです。横山が資格さえあれば戸籍など関係なく原発作業員としてやっていけると言っていたことを思い出したのです。父親が飛び降り自殺したと嘘をつくよう忠雄に指示され、博美は自らの過ちを悔いて大泣きし始めました。そんな博美に、忠雄は元々自殺するつもりだったことを明かしました。これからは偽名で文通することを約束すると、忠雄は好きなことを見つけ、好きなだけそれを楽しんで欲しいと博美に伝えました。しかし、博美は一向に泣き止まず、忠雄が去ろうとすれば追いかけてきました。そんな博美を忠雄は強く抱きしめるのでした。

それから時は経ち、二人は手紙を通じて互いの近況を報告し合っていました。博美は施設での生活を経て女優を目指し東京へ上京したこと、忠雄は宮城で恋人ができたことを手紙に綴りました。二人はときおり会うこともありました。初めは東京の公園、博美が女優として売れ始めてからは忠雄が泊まるホテルで二人は父娘の時を楽しみました。

そんなある日、二人の密会がある人物に目撃されてしまいます。それは、博美を追って上京していた苗村でした。このとき、苗村は博美と微妙な関係にありました。博美は女優の夢を優先し、苗村との間にできた子どもを堕胎していたのです。そして、そんな中死んだはずの忠雄を見つけ苗村は驚き、忠雄本人の元を訪れ問い詰め始めました。しかし、苗村は正体がばれることを恐れた忠雄によって殺害されてしまいます。忠雄は博美にこの事実を告げず、ひそかに遺体を遺棄しました。

【結】- 祈りの幕が下りる時のあらすじ4

これ以来、忠雄は博美とホテルで会うことをやめ、人混みの中で会い、電話で会話するようになりました。会う場所は日本橋付近の橋を指定し、さらに毎月会う橋を変えました。忠雄は恋人の百合子の部屋にあるカレンダーに約束場所の橋の名称をメモしました。そして、百合子の死を経て忠雄は上京、越川睦夫として生き始めました。

それから数年後、忠雄は演出家となった博美の初舞台の初日へと向かいました。しかし、そこで忠雄は押谷道子に姿を見られてしまい、苗村のときと同様問い詰められてしまいます。忠雄は道子をアパートに連れ込み、博美の将来のためにもう一度手を汚すことを決めます。それからすぐ、忠雄は博美と連絡を取り、待ち合わせをしました。いつものように電話を介して話す二人でしたが、この日の忠雄の様子がおかしいことに博美はすぐ気づきました。

後を追うと、博美は焼身自殺を遂げようとする忠雄の姿を目撃します。忠雄が自殺を考えたのは、もう逃げ切れないと判断したこと、そして何より逃げ回り身分を偽る人生に疲れてしまったことにありました。焼身自殺を選んだのは、博美に迷惑がかからぬよう遺体から身元が判明しないようにするためでした。涙を流しながら博美は必死に父親の自殺を止めますが、忠雄の決意は固く、すでに灯油は体中にかけられ、あとは火をつけるだけとなっていました。このとき、博美は忠雄が焼け死ぬことに強い恐怖感を抱いていたことを思い出しました。博美は忠雄の首に手をかけ、あのとき忠雄が語った言葉を繰り返しながら首をゆっくり締め始めました。娘の思いを察した忠雄は安らかな笑みを浮かべ、博美の手に命を委ねました。博美は忠雄を殺した後、火を点けその場を後にしましたが、その頬には変わらず涙が流れていました。

物語の舞台は現在に戻り、明治座へ。舞台の開演を演出家専用ルームで待つ博美の前に、加賀が現れました。博美は加賀がすべてを解き明かしたことを察知し、加賀もDNA鑑定によって博美と越川睦夫が親子関係にあることを報告しました。押谷道子が舞台終演後に忠雄と思しき人物に声をかける様子も明治座の監視カメラで確認済みでした。

博美は加賀に会いに行った本当の理由を明かしました。出版社に加賀の連絡先を聞いた元々の理由は、百合子の死を息子に知らせたいと望む忠雄のためのことでした。しかし、忠雄が愛した女性の息子に会いたいという願望が強くなり、博美は子役への剣道指導とかこつけて加賀に会いに行ったといいます。そして、舞台の幕が下りた時、博美は警察に連行されていきました。去り際、博美は忠雄から預かったものを加賀に渡しました。それは、加賀が表紙を飾った剣道雑誌と、忠雄からの手紙でした。

無人となった捜査本部で加賀は手紙を読み始めました。そこには、百合子が鬱で苦しんでいたことが書かれていました。百合子が失踪したきっかけは、我が子を道連れに自殺してしまうかもしれないという考えが突然浮かんだことでした。百合子は長い間家族への罪悪感に苦しみ、決して家族と連絡を取るまいと決めていましたが、加賀が表紙の雑誌を忠雄に見せられると、立派に成長した息子の姿に素直に喜んだといいます。手紙を読み終えると、加賀は手紙と剣道雑誌を抱きしめました。

カレンダーの謎が解き明かされ、加賀は日本橋署から警視庁に戻ることを決断します。慣れ親しんだ日本橋をいつものように歩く加賀。そこには、普段と変わらず加賀を温かく迎える人情深い人々の姿がありました。

みんなの感想

ライターの感想

終盤にかけての博美の回想は涙なしには観ることができない感動的な場面です。現在の博美役を演じた松嶋菜々子の演技も迫力がありましたが、子ども時代の博美を演じた桜田ひよりの演技が強く印象に残りました。お父ちゃん!と泣きながら叫ぶ演技には感情移入してしまいました。「新参者」シリーズが終わってしまうのは少し寂しいですが、本作はその完結編にふさわしい傑作ドラマだと思います。

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