「蝶の舌」のネタバレあらすじと結末の感想

蝶の舌の紹介:1999年に公開されたスペイン映画。マヌエル・リバスの同名小説を実写化した作品。スペイン内戦時に、病弱な少年が教師との交流を通じて成長する姿を描く。日本公開は2001年。

予告動画

蝶の舌の主な出演者

ドン・グレゴリオ先生(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)、モンチョ(マヌエル・ロサノ)、アンドレス(アレクシス・デ・ロス・サントス)、ローサ(ウシア・ブランコ)、ラモン(ゴンサロ・ウリアルテ)

蝶の舌のネタバレあらすじ

【起】- 蝶の舌のあらすじ1

舞台は1936年。スペインのガルシア地方の田舎町で暮らす8歳の少年モンチョ。彼は喘息持ちで、同じ歳の子どもたちと一緒に小学1年生になれませんでした。
いよいよ学校へ行くことになったモンチョは、兄のアンドレスに、学校で先生に叩かれたことはあるかと尋ねます。心配性の彼は、不安のあまり寝つけなかったのです。
翌日、モンチョは母親のローサに連れられて登校します。担任の先生は高齢の男性で、名前はドン・グレゴリオといいました。モンチョがクラスメイトに自己紹介しようとすると、先ほどローサが口にしていた「スズメ」とはやし立てられてしまいます。恐ろしくなったモンチョは失禁してしまい、そのまま教室を飛び出してしまうのでした。

モンチョは森の中で一晩を過ごし、翌朝グレゴリオ先生が自宅まで迎えに来てくれます。繊細なモンチョを理解した先生は、「私は絶対に子どもには手を上げない」と約束し、無事学校に戻ることができました。
その後、モンチョは教室で温かく迎えられ、酒場の息子のロケと友達になります。モンチョはロケと一緒に、酒場の常連客である牛追いのオリスの猥談を耳にします。その後、オリスのあとを追った2人は、寝たきりの母親を介護する女性カルミーニャとの逢い引きを覗き見るのでした。

グレゴリオ先生は、教科書の勉強よりも本質的な教育を大切にしていました。じゃがいもがアメリカ原産であること、ティロノリンコという鳥は求愛期になるとメスに蘭の花を贈ること、蝶の舌は渦巻き状になっていることなど、自然界の魅力を素晴らしい知識で教えてくれたのです。その中でも、モンチョが特に興味を持ったのは蝶の舌でした。
あるとき、土地の有力者が息子を特別視してもらうために、グレゴリオ先生に鶏を贈ります。ところが先生は受け取ろうとせず、モンチョは彼のことが大好きになります。
また、グレゴリオ先生は教会へ行かず、神を信じていませんでした。

【承】- 蝶の舌のあらすじ2

ある日、野外実習中にモンチョの喘息の発作が起きてしまいます。グレゴリオ先生はモンチョを川に入れて、喘息の発作を抑えるのでした。
息子を助けてくれたお礼として、仕立屋であるモンチョの父親ラモンが、グレゴリオ先生にスーツを作ってくれます。ラモンは先生が自分と同じ共和派であることを知って、意気投合します。
グレゴリオ先生の自宅にスーツを持って行ったとき、モンチョは女性の写真を見つけます。彼女は22歳で亡くなった先生の妻でした。グレゴリオ先生はモンチョに冒険小説の「宝島」と、虫取り網をプレゼントします。

サックスが大好きなアンドレスは、毎晩練習をしていましたが、中々上達しませんでした。サックスの先生は、愛する女性を想いながら吹くようにとアドバイスします。
その後アンドレスは、ラモンが地元の楽団のユニフォームを修理した関係で、サックス奏者として入団することになるのでした。

ある夜、カルミーニャがラモンの元にやってきます。モンチョはアンドレスから、カルミーニャがラモンの娘(浮気相手との間にできた子ども)であることを教えられます。
モンチョはカルミーニャの母親の葬儀を遠巻きに見て、物思いにふけります。そしてグレゴリオ先生の元へ行き、人が死ぬとどうなるのかと尋ねます。無神論者である先生は、あの世に地獄はないこと、憎しみと残酷さが地獄のもととなり、人間が地獄を作るのだと教えます。

あるとき、アンドレスが所属する楽団が、外国で演奏することになります。モンチョも旗持ちとして、一緒に出発します。
兄弟は地元民の家に宿泊することになり、そこでアンドレスは中国人の少女に一目惚れをします。彼女は幼い頃オオカミに誘拐されて、背中を噛まれて以来声を出せなくなってしまっていました。兄弟は年老いた家主の娘だと思っていたのですが、なんと彼女は妻だったのです。
村祭りの夜、少女は着飾って現れ、アンドレスの演奏を木影からじっと見つめます。それに気付いたアンドレスは立ち上がり、想いを伝えるように見事な演奏を披露します。彼女の頬には涙が流れますが、様子を見ていた夫に連れて行かれてしまい、彼の演奏は止まってしまうのでした。

翌日、一行はトラックで村を後にします。荷台に乗った兄弟は、少女が高台から手を振っていることに気付きます。しかし、アンドレスは何も反応できず、ただ呆然と彼女を見つめるだけでした。
恋の終わりを迎えた兄に対して、モンチョはグレゴリオ先生に言われた言葉をかけます。「ベッドも鏡も何もかも虚しいもの。要するに人間は全て孤独なのだと」

【転】- 蝶の舌のあらすじ3

まもなく、高齢のグレゴリオ先生が退官することになります。教室に生徒や父兄、学校関係者などが集まる中、先生は別れの挨拶を始めます。
「我々に続く世代が、自由なスペインに育つことができたなら、誰もそれを奪うことはできません」グレゴリオ先生がそう言い終えると、王党派の町の有力者は怒りを露わにして、子どもの手を引いて教室を立ち去ります。先生は生徒たちに向かって「自由に飛び立ちなさい」とメッセージをつなぎ、教壇を離れていきました。

モンチョはグレゴリオ先生が引退した後も、交流を続けていました。顕微鏡を注文した先生は、届いたら一緒に蝶の舌を見ようと約束します。
夏休みに入ると、モンチョは虫採り網を手に、グレゴリオ先生と森に出かけます。そこで大きな蝶を捕まると、先生が顕微鏡で蝶の舌を見に行こうと誘いますが、モンチョは湖から聞こえてくる少女の楽しそうな声に、耳をとらわれていました。
湖で遊ぶ少女たちの中には、モンチョが気になっているアウローラの姿もありました。モンチョの気持ちを察したグレゴリオ先生は、「ティロノリンコのようにしなさい」と言って、白い花を差し出します。
モンチョがその通り、アウローラに花を手渡すと、彼女はモンチョの頬に優しくキスをしてくれたのでした。グレゴリオ先生は微笑ましい光景を見ながら、捕まえた蝶をそっと逃がしました。
そんな幸せな生活も、崩壊する日が近付いていました。

【結】- 蝶の舌のあらすじ4

1936年、フランコ将軍が人民政府に反旗を翻して、スペインは内戦へと突入します。モンチョの村にも反乱軍が姿を見せて、村中が大騒ぎになります。
間もなく共和派の取り締まりがおこなわれ、ローサはラモンの党員証や、家の中にある共和派関連の資料を全て焼き捨てます。ラモンの仲間である共和派の人々が、銃を手に取り召集をかけてきますが、ローサは留守を装います。そして、ラモンを教会へ連れて行くのでした。
ローサはモンチョたちにも、共和派ではないことを叩き込みます。グレゴリオ先生にスーツを仕立てたことも黙っておくように言われますが、モンチョは母親の気迫に押されて頷いてしまいます。
村では次々と共和派への迫害が強まって、モンチョたちも真夜中に暴力沙汰が繰り広げられるのを目撃するのでした。

そして日曜日、教会前の広場に人々が集まります。一台のトラックが停まると、そこから両手を縛られた共和派の人々が、兵士に連行されて出てきます。信念を曲げない人間は拷問を受けて、銃殺のために連れて行かれることになっていたのです。
広場にはモンチョの一家もいました。モンチョはロケの父親が連行されて、ロケの家族が泣き叫ぶ姿を目撃します。アンドレスは楽団で一緒に巡業したアコーディオン奏者が、兵士に連れられる様子を見ていました。そして最後に、グレゴリオ先生が出てきます。
変わり果てた先生の姿を見てモンチョは驚きますが、ローサからほかの人々と同じように、「アテオ(不信心者)」と叫ぶように命じられます。モンチョはやがて「アテオ」と叫び、グレゴリオ先生は悲痛の表情を浮かべていました。
トラックが走り出すと、子どもたちは石を持って追いかけ、連行されていく人々を罵倒します。モンチョも同じように石を投げながら、「アテオ、ティロノリンコ、蝶の舌」と叫ぶ場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

本作のラストでは、戦争の負の感情に呑み込まれた子どもの残酷さが描かれています。何が起きているのか本当には理解できず、ただ状況にストレートに反応してしまう子どもたちの姿は、あまりにも痛々しかったです。一方で、モンチョがグレゴリオ先生に向かって叫ぶ最後の言葉は、周囲の人々から怪しまれないように、子どもなりに懸命に隠蔽した別れの挨拶であり、胸に突き刺さりました。観てよかったですが、二度と観たくない強烈な映画だと思います。

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