「許されざる者(2013年渡辺謙)」のネタバレあらすじと結末の感想

ヒューマンドラマ

許されざる者(2013年)の紹介:2015年公開の日本映画。1992年に公開されたクリント・イーストウッド監督・主演による西部劇映画『許されざる者』のリメイクにあたる、日本の時代劇。一度は戦う事をやめた男が、女郎の願いを聞き入れ、再び戦いの世界に身を投じるようになる姿をつづる。

予告動画

許されざる者(2013年渡辺謙)の主な出演者

釜田十兵衛(渡辺謙)、馬場金吾(柄本明)、沢田五郎(柳楽優弥)、なつめ(忽那汐里)、お梶(小池栄子)、秋山喜八(近藤芳正)、北大路正春(國村隼)、姫路弥三郎(滝藤賢一)、堀田佐之助(小澤征悦)、堀田卯之助(三浦貴大)、大石一蔵(佐藤浩市)

許されざる者(2013年渡辺謙)のネタバレあらすじ

【起】- 許されざる者(2013年渡辺謙)のあらすじ1

〝江戸から明治へ
侍の時代が終わろうとしていた
新政府による幕府の残党狩りは執拗で、蝦夷と呼ばれた北方の未開地にまで及んだ
――敗れた者は、どこまでも追い詰められる〟
…1869年(明治二年)、北海道・夕張。
雪上に倒れた白馬を見て、十数人の馬上の討伐隊はそこから続く足跡を追います。銃声が轟き、討伐隊はことごとく倒れました。
討伐隊の食糧と飲料を、ぼさぼさの元侍がむさぼります。
…1880年(明治十三年)、北海道・鷲路(わしろ)村。札幌から80里(約320km)の場所。
鷲路警察署長・大石一蔵は部下に、アイヌの〝熊送りの儀式〟について語ります。それはアイヌの民族に古くから伝わる儀式で、神々の国からつかわされた熊神を歓待し、再び神の国におくる神送りの儀式です。
儀式の日まで大事に育てた熊を、一転して人間が殺そうとするわけですから、熊も怯えて本気で立ち向かってきます。
「未開の地は小さな鼠を引き寄せる。鼠を潰せ、熊になる前に」と一蔵は言いました。鷲路村は一蔵の天下です。
鷲路村で事件が起こりました。小さな村ですから、1階が飲み屋で2階が女郎宿(売春宿)です。
その2階で女を買った佐之助が、女郎に「小さいね(「何」をかは察してください…)」と言われて逆上し、女郎6人に斬りかかりました。弟・卯之助も一緒になって捕縛されます。
若い女郎・なつめは顔を切られ、大けがを負っていました。話を聞いた一蔵は「馬6頭(佐之助が3頭、卯之助が3頭)を冬が来る前に届けろ」と言って、女郎宿の主人・喜八と示談にします。
聞いていたお梶は納得がいかず「あたしらは馬や牛と一緒か」と怒るのですが、一蔵は「流れ物が多い彼らは大人しいが、元は侍。恥をかかせると面倒なことになる」とねじふせました。
納得がいかないお梶は女郎たちから金を集め、卯之助と佐之助に1000円の懸賞金を賭けます…。
…だれもいない平原に、釜田十兵衛は子どもたちと暮らしていました。
幕末には官軍が名を聞くと震えあがるほどの、幕府軍伝習歩兵隊の〝人斬り十兵衛〟と呼ばれた十兵衛は、北海道に辿り着いてアイヌの女性と恋に落ちて結婚し、一男一女をもうけました。
3年前に妻を亡くしてからも、生前に「もう人殺しはしない」と約束した十兵衛は、百姓をして幼い子どもたちを育てています。しかし寒くて枯れた土地ですから、実りはほとんどありません。
十兵衛を訪ねて馬場金吾がやってきました。金吾と十兵衛は元親友で、金吾は十兵衛をひそかに憧れていました。

【承】- 許されざる者(2013年渡辺謙)のあらすじ2

金吾は十兵衛に、「女郎を切り刻んだ開拓民を殺すために、鷲路へ行かないか」と誘います。1000円の懸賞金が賭かっていることも告げました。
「もう人殺しはしない」と一度は断った十兵衛ですが、「人はそう変わらぬ」と言った金吾は、大雪山を回って北へ上がるから、もし気が変われば追いかけてきてくれと残して去ります。
開拓しても実りがなく食べるものに事欠き、この冬を親子三人で暮らしていけるか不安になった十兵衛は、夜、木の根元を掘って妻の形見の木箱を取り出しました。
そうして翌朝、妻の墓に花を手向けると、8歳ほどの上の息子に3歳ほどの下の娘・雪乃の面倒を任せると「半月で帰る」「困ったらアイヌコタン(コタン=集落)に頼め」と言い残して旅立ちます。
アイヌの集落の族長に事情を話した十兵衛は、金吾に追い付いて2人で馬を並べました。
野宿する2人の元に、酔っ払いの若者が現れます。沢田五郎と名乗った男は銃を出し、今までに5人殺したといばりました。分け前が目当てなのと、「女を痛めつける奴は許さない」という正義感から、五郎も加わります。道中の案内役を買って出ました。
五郎は十兵衛に、11年前に夕張で隠れキリシタンと討伐隊を全滅させたのは本当かと聞きます。隠れキリシタンも皆殺しに遭っていました。五郎と世間はすべて十兵衛の仕業だと思っていますが、本当は女子どもを殺したのは討伐隊の仕業でした。十兵衛は無言を貫きます。
屯田兵がアイヌの人間をいじめるのを3人は見ます。関わり合いになりたくないと言う金吾に対し、五郎は見過ごすことができずに屯田兵の前に出ました。
逆らおうとした五郎をアイヌ語で諭したのは、十兵衛でした。さらに後ろで金吾が銃砲を鳴らしたので、屯田兵は逃げます。
五郎は、十兵衛の妻がアイヌ人だと知るとともに、無差別に人を殺す人間ではないことを悟りました。
その頃、懸賞金目当ての元侍・北大路が書生(物書き・作家)の姫路を連れ、鷲路村へ入ってきます。「銃器持込厳禁」の高札を無視して刀を差した北大路は、薩摩出身の元侍と揉めて飲み屋で問題を起こしました。
警察署長・一蔵は北大路から刀を取り上げると、何度も蹴ります。そして翌日に村外れで放免させました。書生の姫路は居残ります。
せっかく来た賞金稼ぎが退散するのを、女郎たちは落胆しつつ眺めるしかありませんでした。

【転】- 許されざる者(2013年渡辺謙)のあらすじ3

鷲路村へ到着した五郎たちは、女郎に会ってその旨伝えます。お梶は北の奥の小屋へかくまう手引きをしました。
飲み屋にいる十兵衛を見つけた警察署長・一蔵が、何もしていない十兵衛に殴る蹴るの暴行を働きます。
かつて〝人斬り十兵衛〟として名を馳せた十兵衛のことを知る一蔵は、暴行を加えた後に「悪党に派、目印が必要だよな」と言い、割った瓶で十兵衛の頬に傷をつけました。
無様に這って外へ出る十兵衛を、一蔵は「放っておけ」と言い捨てます。十兵衛は、3日間なつめに介抱され、回復しました。
やっと起きた十兵衛の背中を見て、なつめは「死ぬまで罪を背負って生きて行く人の背中だ」と言います。
十兵衛は核心を突かれました。「何十年もかかって、人を斬る以外の人生があると気づいた」となつめに洩らします。
復讐は、十兵衛の回復を待って行なわれました。
狩りに出た弟・卯之助を、金吾が猟銃で撃ちます。致命傷を与えられず「俺はやってない」と命乞いする卯之助に、十兵衛が止めを刺しました。
殺しの腕が落ちたことを嘆いた金吾は「もうどこにも行き場がない」と泣き、十兵衛に「また重荷を背負わせてしまった(止めを刺したのは十兵衛だから)」と言うと、猟銃を十兵衛に渡して去ろうとします。
「自分がどんな人間か分かった」「(十兵衛に)もっと早く会いに来ればよかった」と言い残して、金吾は去りました。
残るは兄の佐之助です。
厠(かわや トイレ)を使う兄・佐之助を襲った五郎は、銃で佐之助を撃ちますが、この時佐之助が大騒ぎし、騒動を聞きつけた応援が現れました。
十兵衛が外で援護し、中では五郎が佐之助にアイヌの短剣で止めを刺しました。
十兵衛と五郎は追われる身となりました。
金吾が捕まり、打擲(ちょうちゃく 袋叩き)されます。警察署長の一蔵は、金吾を拷問にかけて十兵衛のすみかとアイヌのことを聞こうとしましたが、金吾は最後まで口を割りませんでした。

【結】- 許されざる者(2013年渡辺謙)のあらすじ4

五郎はその頃、初めて人を殺したことで震えていました。5人殺したことがあるというのは嘘でした。
アイヌ人を母に持ち、その母を置いて逃げた和人(日本人)を父に持つ五郎は、母はじめ女を痛めつける野郎は許せないという正義感から動いていました。
懸賞金を持って現れたなつめが、金吾の死と最期の様子を知らせます。金吾は十兵衛たちのことを答えないばかりか「お前(一蔵)は十兵衛の本当の怖さを知らない。十兵衛は必ずお前たちを皆殺しにする」と言って死にました。
自分たちをかばって死んだ金吾のことを思い、十兵衛の心に火がつきます。
「殺されて当然なのは金吾じゃない」と言った十兵衛は、金と妻の形見を五郎となつめに託すと、十兵衛の子どもの待つ場所へ行くよう指示しました。五郎となつめは逃げます。
十兵衛は女郎宿へ行きました。
門の柱には金吾の遺体が吊るされて、凍っていました。1階の飲み屋には、明朝から山狩りする予定の屯田兵が集まっています。
宿に入った十兵衛は「金吾を飾りにするな」と言いました。先日見たふがいない十兵衛と異なり、殺気を纏った十兵衛に対し、屯田兵たちは怯えます。
女郎宿の主かと誰何した十兵衛は喜八を殺しました。その後は「あとはお前(一蔵)を殺すのみだ」と宣言します。
一蔵は「俺が討たれたら蜂の巣にしろ」と言いました。
十兵衛と一蔵は戦い、双方傷を負いながらも倒れたのは一蔵です。「もう俺にかまうな」と言った十兵衛は、そのとおり自分に向かってくる相手だけを攻撃し、戦闘意欲がなく逃げた相手は捨て置きます。
死体の下で倒れていた姫路が書生と知った十兵衛は「ここで見たことをありのまま書け。但し、女郎とアイヌのことは、もし書いたらどこまででも追いかけて殺す」と言い置き、外に出ます。
上半身のみ起き上がった一蔵は刀を持ちますが「重てぇ」と言うと事切れました。
飲み屋は火の手があがり、炎上します。遠くで見た五郎となつめは、事態を察しました。
女郎たちに囲まれた金吾の遺体を見た十兵衛は「地獄で待ってろ」と言うと、いずこともなく去ります。
五郎となつめは、十兵衛の子の住む場所に辿り着くと、十兵衛がいつか戻ってくることを信じつつ、そこで暮らしました。
罪人として追われることとなった十兵衛は、吹雪の雪原の中、一歩一歩踏みしめながら歩き続けます…。

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ライターの感想

日本映画なのですが、西部劇の香りがするのは、かの有名なクリント・イーストウッド監督映画の
『許されざる者(1992年)』のリメイクだからだろう。
92年のイーストウッド作品はアカデミー賞に輝き、同作品もそれとほぼ遜色ない作品に仕上がっている。
舞台を日本に置き換えながらも、時代はほぼ92年作品と同じ時期に設定し、幕末から明治にかけての
不安定な日本の実情に差し替えて、うまく表現できていると思う。
92年作品では、主人公の先に見えるのは明るい未来だが、
今作品でのラストは、生きてもこれから先続くであろう罪びととしての未来…。
そう考えるとせつないが、それでも必死で生きていこうとする主人公が
雪原を踏みしめて歩くシーンで終わっていたのは印象的。
心にずしんと響く名作である。

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