映画:走れ絶望に追いつかれない速さで

「走れ絶望に追いつかれない速さで」のネタバレあらすじと結末

走れ、絶望に追いつかれない速さでの紹介:2016年6月公開の日本映画。日本最大の映画祭第28回東京国際映画祭の“日本映画スプラッシュ”において入選上映された、中川龍太郎監督による実体験に基づいたヒューマン群像劇。

あらすじ動画

走れ絶望に追いつかれない速さでの主な出演者

村上漣(太賀)、葛西薫(小林竜樹)、飯野理沙子(黒川芽以)、佐倉朋子(藤原令子)、斉木環奈(寉岡萌希)、志麻幹(飯田芳)、薫の兄(宮本行)、先輩(松浦祐也)

走れ絶望に追いつかれない速さでのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①大学時代の男友達・薫の死を受け止められない漣。一周忌に薫の兄から託されたのは、薫の中学時代の同級生・斉木環奈へ死を報告しにいくこと。漣は薫の恋人・理沙子を誘って富山へ行く。 ②自殺の場所の崖に行っても、環奈に会っても薫の自殺の理由は分からないまま。それを受け止め、漣は生きることを決意。

【起】- 走れ絶望に追いつかれない速さでのあらすじ1

男子大学生の村上漣(むらかみ れん)と葛西薫(かさい かおる)は、親友同士でした。
部屋を間借りして、ルームシェアする男同士です。
漣は高い場所が苦手だったので、薫が二段ベッドの上を使っていました。
漣と薫はいつも一緒におり、仲良しでした。
大学の途中で薫に恋人・理沙子ができてからは、一緒に行動する時間が多少は減ったものの、それでも親友同士だと思っていました…。

それでも大学時代には限りがあります。
就職活動の時期になりました。留年が決まっている漣に対し、薫は大阪に就職先を決めます。
遠距離恋愛は続きそうにないからと、薫と理沙子は別れを決めました。円満な別れです。
居酒屋で気の置けない仲間たちを集めた送別会も開かれ、薫は楽しそうに仲間たちと別れを惜しみました。
別れる時も、薫は笑顔でした…。

その後。
薫が死んだという知らせが舞いこみます。
ショックを受けた漣は大学を中退しました。製鉄工場で下働きをする日々を送ります。
薫が死んでも世界は変わらず、気付けば薫の一周忌になっていました。
薫の実家で一周忌がもよおされ、漣は仲間たちと久しぶりの再会を果たします。
仲間たちは「社会人一年目で自殺、気持ちは分からなくもない」と言っていました。
しかし漣は、薫の死に納得いかないままでした。

一周忌の後、漣が薫の両親に呼びとめられます。
薫の両親は、理沙子は元気かと聞きました。漣も理沙子と会っていませんので、正直にそう答えます。
薫の兄が、薫が最後に描いたという絵を見せて頼みごとをします。
薫が最後に描いた絵は女性のバストショット(胸から上、上半身を描いたもの)ですが、それは理沙子ではなく見知らぬ女性でした。
兄が言うには、それは薫の中学の同級生の斉木環奈という女性なのだそうです。
「こんな絵描いて死ぬなんてなあ」と漏らした兄は、その絵を持って環奈に薫の死を知らせてほしいと頼みました。
戸惑いながらも、漣は引き受けます。

勤務先の製鉄工場に休みをもらうと、先輩に嫌味を言われました。「これだから大卒は」と言われた漣は、大学中退だと答えますが「聞いてねえよ」と言われます。

【承】- 走れ絶望に追いつかれない速さでのあらすじ2

そっけない言葉ですが、先輩は漣に意地悪なわけではありません。乱暴な物言いの裏には漣を気遣う姿勢もあり、馴染みの定食屋の若い女性・ともちゃんに「こいついの彼氏になってやってくれない?」と言いもします。
理沙子にも声をかけましたが、理沙子は断りました。
旅立ちの前日、銭湯に入ってコインランドリーに行くと、猫がいました。猫のためにミルクを買って来ると、猫の姿は消えています。

まだ薫と仲が良かった時のことを、漣は思い出しました。
就職直前に薫と漣は2人だけのお別れパーティーをし、漣は理沙子とよりを戻せと言って電話を催促します。
はっぱをかけた漣に対し、薫は近くの公衆電話から理沙子に電話しました。携帯電話は部屋に残して来ており「携帯なくした」と言います。
クラブで飲んだ漣と薫は、まだ学生なのでタクシーに乗れる身分ではなく、下宿までビール片手に歩いて帰りました。
「本当に社会人になれるのかな」と言う薫に、漣は「(問題は)その先でしょ」と言います。
その時、「まあさ、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』ってことかな」と薫がぽつりとつぶやきました。
漣は、面白い言い回しだなと思いつつも、詳しくは追及しませんでした。
漣と薫は見知らぬビルの屋上にのぼり、朝日を見ました。薫は鳥の真似をして屋上を駆け回ります…。

行かないと拒否しながらも、理沙子が漣の住むアパートにやってきました。気持ちが変わったらしく、一緒に行くと言います。
漣はまだ薫と一緒に住んでいた部屋を引き払っておらず、薫が大阪に去った後も住み続けていました。
理沙子は薫の親友だった漣に、嫉妬していたと話します。理沙子と会っても薫が話すことは、漣のことばかりでした。
薫は中学時代、富山に住んでいました。これから向かう斉木環奈がいる場所は、日本海側の富山です。

レンタカーを借りて、夜通し走って日本海に着いた漣と理沙子は、まず薫が飛び降りた場所に行ってみました。そこで薫は投身自殺をしたのです。
漣は薫が好きだった煙草に火をつけて、その場所に手向けました。

【転】- 走れ絶望に追いつかれない速さでのあらすじ3

泣き出した理沙子に、先ほどの車中の嫉妬の話の続きで「俺は理沙子に嫉妬してた。付き合ってから構ってくれなくなってさ」と漣が話し、理沙子の笑いを誘います。
浜辺に行き、凧あげをする少年少女たちと混ざった2人は、その少女について旅館・大岩荘に行きました。自殺前夜、薫はその旅館に泊まっていました。
風呂に入った漣は、旅館の外で理沙子が現在の彼氏に電話しているのを聞きます。
布団を敷いてくれた少女が、何か言いかけてやめました(これはあとで判明する)。
夜、眠れない理沙子が漣の部屋へやってくると、明日の朝一番で帰ると言い出しました。
理沙子は過去を振り返るのではなく、これからを生きる(彼と新たな関係を築く)方を選択します。

漣は理沙子のようにふっ切ることができませんでした。
親友だった薫がなぜ自殺したのかが知りたくて、それで富山までやってきています。
無二の親友だった薫が、自分と関係のないことで死んでいたら嫌で、いっそのこと自分を憎んでくれていたらいいのにとまで、漣は思っていました。
そんな漣の気持ちを理解した理沙子は、電車で別れ際「死ぬんじゃねえぞ、バカ野郎」と言って去ります。

富山の繁華街に行った漣は、斉木環奈と会いました。環奈は高級クラブでホステスの仕事をしていました。
漣は環奈に絵を見せると、薫が死んだことを告げます。
しばらく絵を見ていた環奈は、「『走れ、絶望に追いつかれない速さで』ってことなんじゃないかな」と言いました。その言葉に漣は耳を疑います。かつて薫が言っていた言葉だからです。
聞き直すと、環奈は自分が中学の頃にはまっていた、ビジュアル系バンドの歌の歌詞だと答えました。
歌ってあげましょうか、と笑って言う環奈に、拍子抜けをした漣は、店を去ります。

そのまま漣は崖に向かいました。崖からじっと見つめる漣は、薫の死という現実にひきずられそうになります。
そこへ旅館の店主が呼びにきました。老店主は漣を厨房に案内し、鍋を出します。
自殺の名所の崖にたたずむ漣を見た旅館の店主は、ある程度事情を理解しているのでしょう。何も声をかけません。

【結】- 走れ絶望に追いつかれない速さでのあらすじ4

漣は泣きながら、それでも出された食事を一所懸命食べます(生きる道を選択した)。
厨房を出て食堂の方へ回った漣は、そこに薫の絵を見つけました。少女が声をかけたかったのは、その絵のことを告げたかったからです。
漣は、薫の絵を旅館から受け取って帰ります。

東京に戻った漣は、また元の生活に戻りました。
けっきょく富山まで足を運んでも、薫が自殺した原因は一切理解できませんでした。
それでも漣はその現実を受け止めて、生きていくつもりです。
黙々と仕事をし、黙々と食事をする漣を、先輩は黙って見守りました。食事をおごってくれます。
馴染みの定食屋の若い女性・ともちゃんは「おかえりなさい」と漣に言ってくれました。

先輩とトラックで配達に出かけた漣は、空にパラグライダーが飛ぶのを見つけ、車を止めてもらいます。
赤いパラグライダーは、優雅に空を舞っていました。
理沙子へ電話すると、「見たよ」と言う声が返ってきます。漣は旅館からもらった絵を、理沙子に送付していました。

漣はパラグライダーの練習を始めます。最初はトレーナーつきで、低い坂道を背負って走りおりながらの練習です。
転居も決めました。薫と2人で住んでいた部屋から巣立ちます(薫から巣立つことも意味する)。
薫が死んでも、やっぱり世界は何も変わっていませんでした。
それを知る漣は、再びレンタカーを借りて夜の道を運転し、富山のあの崖まで行きます。
夜明けを待ってから、漣はパラグライダーでその崖から飛んでみました。
薫が死んだ理由は分かりません。分からないままですが、その崖を飛んで追体験することで、薫に少しでも近づく努力をしてみました。

薫が本当に最後に描いた絵は、旅館に残された絵でした。
それは赤い朝日に向かっていく、男の背中の絵でした。

(エンドロール)赤い朝日から徐々に明るくなっていく朝日。
(エンド後)パラグライダーで地上に降り立つところ。

(薫の自殺の真相は分からないまま。しかし若者の自殺というのは、えてしてそういうものなのではないか。
すべてのものに対して、必ずしも答えがあるわけではないということを示している。
親友の薫を失ったが、漣はそれを乗り越え、苦手だった高い場所からパラグライダーで飛ぶことによって、ひとつの障害を乗り越えたといえよう)

みんなの感想

ライターの感想

いまどきの若者の青春映画。しかもあおくささ満点(笑)。
監督もまだ若いということもあり、若さゆえの悩みや葛藤などを上手に演出している。
タイトルにもあたる薫の言葉「走れ、絶望に追いつかれない速さで」の正体があっけなく判明する。これもよい。
真相はえてして、しょうもないことだったりするもんね。
ぼやーっと肩の力を抜いて見るくらいが、ちょうどいい映画。
  • nekohigeさんの感想

    大賀の演技力すごいな

映画の感想を投稿する

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

映画「走れ絶望に追いつかれない速さで」の商品はこちら