映画:野獣

「野獣」のネタバレあらすじと結末

野獣の紹介:2018年のカナダ映画。同年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞、第91回アカデミー賞では短編実写映画賞にノミネートされたショートフィルム。監督・脚本はジェレミー・コント。広い大鉱山へこっそりと侵入した少年2人。人のいない果てしない空間で、2人は力比べゲームに没頭し競い合うのだが、その行為は危険と隣り合わせだった…。

あらすじ動画

野獣の主な出演者

タイラー (フェリックス・グレニア)、友人 (アレキサンドレ・ペレアウト)、中年女性(ルイーズ・ボンバルディア)

野獣のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 野獣のあらすじ1

自然が広がるカナダの郊外の土地。やんちゃ盛りのタイラーと友人は、人気のないこの場所でよく遊んでいます。相手を笑わせたり、驚かせたりする度にポイントが入るという少年ならではの“力争いゲーム”に2人は夢中でした。

廃線となった線路や電車の周辺で遊んでいると、友人がタイラーの背中越しにキツネを発見し、声を潜めました。友人はいたって真剣な様子でしたが、タイラーは自分でキツネを目撃したわけではないために友人が信られず、振り向こうともしません。その間にキツネは姿を消してしまったらしく、友人はとても悔しがりました。

2人の体は細く、お世辞にも裕福には見えない身なりをしています。タイラーに父はいるらしいものの、今は一緒に暮らしておらず、恐らく家庭は楽な暮らしではないのでしょう。

【承】- 野獣のあらすじ2

2人は他愛もない少年らしい会話をしながら、フェンスの穴をくぐって、立ち入りが禁止されている鉱山の敷地内へ侵入しました。無邪気な少年にとって新たな場所は、あっという間に遊び場と化します。2人が早速、石を投げ合って楽しんでいると、鉱山用のダンプカーが勢いよく走って来たため、慌てて逃げ出しました。

2人が一目散に走って辿り着いた場所には、大きな灰白色の貯泥池がありました。これまで見たことのないような壮大で美しい景色に、2人の気分は高揚します。
タイラーが水の集まっている池の中心部へ向かって進むと、次第に泥のぬかるみに足をとられ始めました。なかなか泥から出ることが出来ずにいるタイラーを、友人はふざけていると思って笑い過ごします。靴が泥の中に埋まってしまったものの、タイラーはなんとか自力でぬかるみから抜け出しました。助けてくれなかった友人に仕返しをしたタイラーは、彼を泥の中に押し飛ばし、勝ち誇って笑いました。

【転】- 野獣のあらすじ3

押された友人はタイラーが足をとられた場所よりも、奥へ倒れました。どうやら奥に行けば行くほどぬかるみは強く、友人は泥に吸い込まれるようにどんどん沈んでいったのです。流石に危機的状況だと気付いたタイラーは助けを求めようとするものの、周囲には人っ子一人いません。タイラーが友人に手を伸ばしても、自分も泥に足をとられるため、奥まで進むことが出来ません。そこでタイラーは救助のために人を探しに行くことにしますが、友人はすでに肩の辺りまで泥に浸かっていました。「見捨てるな。タイラー、助けてくれ!」と友人がもがきますが、タイラーは仕方なく友人を残して走り出します。友人の叫び声だけが広い鉱山に虚しく響き渡ります。

タイラーは貯泥池の急斜面を這い上がって、裸足のまま全速力で走り続けました。ようやくダンプカーを見つけますが、人の姿は見当たりません。タイラーが大声で助けを求めても、無情にもその声は誰にも届きませんでした。
不安になったタイラーは貯泥池まで戻ってみますが、すでに友人の姿は、地上には見当たりません。激しく動揺したタイラーは、呼吸が荒くなりました。もうどうすることもできず、タイラーは鉱山の出口も分からないまま、1人で歩くことに…。

【結】- 野獣のあらすじ4

大人でも歩いて進むには厳しい巨大な鉱山を、タイラーはひたすらに歩き続けます。やがて砂利道まで辿り着くことができましたが、タイラーに喜びなどありません。タイラーはショックと疲労でうなだれながら歩を進めました。
そこへ1台の車が通り掛かります。日頃は人が歩いていることも珍しい場所。運転していた中年女性は、全身が灰白色の泥だらけになった少年がたった1人で歩いていることを不思議に思い、車中から声を掛けました。でもタイラーは何も答えることができません。女性が車に乗せてあげると言ってドアを開けてくれたため、タイラーは無言で助手席に乗り込みました。

タイラーは名前も言うことも出来ず、ストラトフォードから来たのかとの女性の問いに、頷くだけでした。随分と遠いところからタイラーが来たことに女性は驚きます。いろいろと女性に質問されても黙っていたタイラーが、重い口を開き始めました。「俺は、俺は…」とタイラーが吃るので、女性が彼を優しくなだめます。「友達が…、その子を…、俺は…」とタイラーが言いかけると、女性が悲鳴を上げて急ハンドルを切り、車を停めて外へ出ました。女性が慌てる様子を力なく眺めるタイラー。その視線の先には、1匹のキツネがいました。タイラーの目から思わず涙が溢れ出します。菜の花が咲く草むらの奥へ、キツネは静かに去って行きました。

みんなの感想

ライターの感想

息が止まりそうな緊迫感。タイラーの気持ちをおもんばかると、胸が苦しくて、なかなか言葉では言い表すことができません。タイラーの目から涙が溢れたのを見た瞬間、自分も涙が零れました。
美しい映像は鑑賞者のショックを癒す反面、残酷な現実の象徴だったとも思います。少年たちの無邪気さで起きた事件を描いた作品ですが、実は社会的な側面が見え隠れしていると感じました。経済面や政治的な意味も込められているように思います。詳しく書くとあまりにも長くなってしまいそうなので割愛しますが…。
16分とは思えない重量感のある作品で、ずっと自分の心に残り続けるだろうと思いました。

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