「4ヶ月、3週と2日」のネタバレあらすじと結末の感想

4ヶ月、3週と2日の紹介:2007年制作のルーマニア映画。2007年カンヌ映画祭にて、最高賞のパルム・ドールに輝いた。独裁政権末期の1987年に、違法行為であった中絶を決意した女性たちの緊迫した1日を描く。日本公開は2008年。

予告動画

4ヶ月、3週と2日の主な出演者

オティリア(アナマリア・マリンカ)、ガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)、ベベ(ヴラド・イヴァノフ)、アディ(アレクサンドル・ポトチェアン)、アディの母(ルミニツァ・ゲオルジウ)、アディの父(アディ・カラウレアヌ)

4ヶ月、3週と2日のネタバレあらすじ

【起】- 4ヶ月、3週と2日のあらすじ1

舞台は1987年のルーマニア。女子学生寮では、朝から忙しなく身支度をするオティリアとガビツァがいました。
飼っている金魚や試験の心配をしながら、ガビツァは体調不良を訴えます。オティリアは学生寮を走り回り、手際よく用事を済ませていきます。寮の一室ではフリーマーケットが開かれており、その中にはピルもありました。
オティリアはバスで大学に向かい、恋人のアディと会います。オティリアは頼んでおいたお金を受け取ると、彼の母親の誕生日パーティーに誘われます。それどころではないオティリアは渋りますが、花を買ってくるように頼まれます。事情を話さない彼女はアディに不信感を抱かせて、険悪な雰囲気のまま別れるのでした。

次にオティリアは、ガビツァが予約を入れたホテルへ向かいます。
しかしフロントの女性は、予約は入っていないと素っ気なく対応します。2人は押し問答となり、フロントの女性は上司を呼んできて、予約を入れた人間の顔を覚えているかどうか聞こうとします。しかし、そもそもガビツァは電話で予約を入れていたのでした。
オティリアはフロントの女性から電話で予約をしたことを責められ、仕方なくほかのホテルを探すことにします。
そして別のホテルのフロントに、今晩泊まれるかと尋ねます。フロントの女性は、寮に住んでいるのに何故ホテルに泊まるのかと怪しみます。オティリアは「うるさくて勉強ができない」と答えて、高い料金を支払って何とか予約を取ります。

ガビツァに連絡をすると、体調が優れないので自分の代わりに待ち合わせ場所に行くように頼まれます。指定の場所に着くと赤い車が停まっており、ベベという名の中年の男性が乗っていました。
オティリアが約束をした人物ではないこと、ホテルが変更になったことにベベは怒り出します。ベベは中絶をおこなう闇医者でした。当時のルーマニアでは、人口増加政策のために中絶は法律で禁止されており、中絶をおこなう医者は罪に問われていました。また、避妊具の販売も禁じられていたのです。

【承】- 4ヶ月、3週と2日のあらすじ2

ホテルに着いたオティリアとベベは、IDカードの提出をフロントで求められます。IDはベベが提出し、部屋に着くとガビツァが待っていました。
ベベは処置の方法について話し始めます。まず麻酔はしないこと、管を差し込んだら動いてはならないこと、出血の可能性があるのでビニール袋が必要であること、そしてトイレの補助はオティリアに任せるのでした。
中絶は違法行為であり、自分はフロントにIDを預けるという危険まで冒していると、何度も繰り返します。

ベベはガビツァの診察に取りかかります。ベベは電話で妊娠2ヶ月目と聞いていましたが、腹部を触って4ヶ月以上経過していることに気付きます。4ヶ月以上の胎児を中絶すると殺人としての扱いが大きくなり、5年以上10年以下の懲役となるのでした。
ベベは引き受けられないと言って怒り出しますが、ガビツァは時期を遅らせたくないと必死にすがります。さらに、3000レイで中絶ができると思って用意していたオティリアたちでしたが、ホテル代がかさみ手元には2850レイしか残っていないことを告げます。

オティリアは次の土曜日までにお金を用意すると詰め寄りますが、ベベは信用できないと言って鼻で笑います。そしてドアに向かうベベをガビツァが必死になって止めると、2人のどちらかの身体を要求するのでした。ガビツァは、オティリアはただのルームメイトで、生理中であることを泣き出さんばかりに訴えます。
オティリアはベベがトイレに行っている間に覚悟を決めて、ズボンを下ろします。耐えられなくなったガビツァは廊下に出て行きますが、やがてタバコを吸い始めます。しばらくしてからバスルームに戻ると、下半身裸のオティリアが無言で入って来て、シャワーをします。
そしてオティリアはベベがバスルームにいる間に、彼のカバンからナイフを盗み出すのでした。

【転】- 4ヶ月、3週と2日のあらすじ3

いよいよ処置が始まりました。ベベはガビツァを仰向けに寝かせます。次に膣に液体の入った管を入れて、絆創膏で腿に固定します。
ベベは胎児が出てきてもトイレには流さないこと、犬が掘り返しそうな場所にも埋めてはならないこと、マンションのダストシュートから投げ捨てるといいなどと説明します。何かあったら呼ぶようにと言い残してベベが立ち去ると、オティリアは「二度と呼ばない」と言います。
疲れ切った様子のオティリアは、何故ホテルの予約を電話でしたのかとガビツァに尋ねます。ガビツァは曖昧に返事をします。
次に、何故妊娠2ヶ月目と嘘をついたのかと聞きます。ガビツァは「4ヶ月と言うと引き受けてもらえないから」と答えます。さらに、何故ベベに言われた場所に自分で行かなかったのか、そもそもベベは誰からの紹介なのかと問いかけ、「女性の医師ならこんなことにはならなかった」と嘆きます。
オティリアはガビツァに「あんたのデタラメさにはうんざり」と言いながらも、身動きが取れない彼女の枕を整えてやるのでした。そして、アディとの約束の時間が近付いてきたので、一人ホテルを後にします。

オティリアは何とかアディの家に着きますが、遅刻をしたことと、花を買って来ていないことを咎められます。
何も知らないアディに対して、思わず「帰る」と口走ってしまいますが、そこへアディの母親が出てきます。オティリアは半ば強引に、医者や学者などの親族が揃う誕生日パーティーに参加させられてしまいます。親族は姑のポテトの味を再現できないなどの話を口々に話しますが、オティリアはガビツァのことが気がかりで上の空でした。
オティリアは親族に両親の職業や大学での専攻分野などを聞かれます。彼らはオティリアの心境をよそに、終始好きなようにおしゃべりをしていました。

やっとの思いで、オティリアはアディと2人きりになります。アディは何があったのかと問われ、ガビツァの中絶の話を打ち明けます。
そして、恋人に「私が妊娠したらどうする?」と尋ねます。妊娠したら産めばいいと躊躇なく答えるアディに呆れたオティリアは、アテにしていないと告げます。困惑したアディはプロポーズまでしますが、「ポテトを作るのは嫌」と言い放つのでした。
怒り出したオティリアに、アディは謝罪しますが、「何故怒っているのか説明できる?」と聞かれると黙ってしまいます。オティリアは一旦ガビツァに電話をかけますが、彼女は出ないままでした。そしてそのまま恋人を残してホテルへ戻ります。

【結】- 4ヶ月、3週と2日のあらすじ4

一向に電話に出ないガビツァを心配したオティリアは、急いで部屋に戻ります。ガビツァは眠っていただけで、何故電話に出ないのかと聞くと、うるさいのでバスルームに置いたと答えるのでした。
そしてオティリアは、バスルームの床に胎児の死骸が置かれているのを目にします。しばらく声が出せなくなりますが、胎児をシーツで包んで自分のバッグの中に入れます。起き上がってきたガビツァは、「(胎児を)どこかに埋めて。投げ捨てたりしないで」と彼女に託すのでした。

オティリアはフロントをくぐり抜けて、夜の街に飛び出していきます。胎児を捨てられそうな場所を探して、焼却炉を開けようとしますが、近くで野犬が吠えていました。掘り返されることを恐れたオティリアは、夜道を歩き回り、やがて集合住宅があるエリアに辿り着きます。
集合住宅に入り込んで、何階か上がっていきます。そして、そこから自分のバッグごとダストシュートに投げ捨てるのでした。オティリアは息を切らしながら、逃げるようにホテルへ帰って行きます。

ホテルに戻ると、部屋にガビツァの姿がありませんでした。ホテル内を探し回ると、彼女はレストランで一人座っていました。
ガビツァはお腹が空いていたと話し、オティリアに「埋めてくれた?」と尋ねます。しかし、オティリアは答えません。声を潜めながら、「大事なのは、今日のことはなかったことにすること」とだけ言うのでした。
そこへウェイターが料理を運んできます。肉とレバーが乗った皿を見て、オティリアはほかのものを頼むと伝えます。ガビツァは料理を前にしながら手をつけず、オティリアが無言で窓の外を見つめる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

生々しい、衝撃的な作品でした。個人的に印象的だったのは、オティリアとその恋人アディとのやりとりです。オティリアに「私が妊娠したらどうする?」と尋ねられ、中絶に反対する彼は産めばいいと答えます。本作ではそう答える恋人をどこか能天気に見せているようでした。結局妊娠も中絶も、彼の身体には直接関係しないからこそ言えることであり、女である自分はオティリアのやるせなさが痛いほど伝わってきました。オティリアが自分で自分の問題を解決できないガビツァを決して見捨てなかったのは、おそらく友情からではなく、いつ自分の身にも起きるかわからない問題に、ガビツァを通して気付かされたからだと思いました。しかし、何もできないようでいて実はしたたかなガビツァは、救いの手を差し伸べてくれるオティリアにさまざまな痛みや苦しさを背負わせます。そしてそんな2人の関係が、これから先も続いていくことを予感させるラストを観終えて、しばらく身体が重くなりました。

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