映画:blank13

「blank13」のネタバレあらすじと結末

blank13の紹介:2018年の公開作で、俳優斎藤工が“齊藤工”名義で監督した初の長編作品。齊藤監督の短編映画『バランサー』で脚本を担当したはしもとこうじの実体験をもとに映像化。インディーズ作品ながら、国際映画祭で20以上の賞を獲得している。借金を残して姿を消した父が、余命3ヵ月の状況で13年ぶりに見つかる。息子のコウジは父と分かり合うことができないまま、葬儀の日を迎えた。ところがコウジは参列者の話から、これまで知らなかった父の真の姿を知ることになる。

あらすじ動画

blank13の主な出演者

松田コウジ(高橋一生)、西田サオリ(松岡茉優)、松田ヨシユキ(斎藤工)、松田洋子(神野三鈴)、岡宗太郎(佐藤二朗)、タダマサシ(村上淳)、内山(神戸浩)、松田雅人(リリー・フランキー)

blank13のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- blank13のあらすじ1

松田雅人という中年男性の葬儀が行われようとしています。隣の会場では同じ松田姓の葬儀が盛大に行われていて、多くの弔問客が誤って雅人の葬儀会場に訪れました。しかし実際に雅人の葬儀に足を運んだのは、数人の友人だけでした。

遡ること十数年前。
野球少年だったコウジは、父の雅人と母の洋子、兄のヨシユキと4人で暮らしていました。ギャンブル三昧の雅人が借金を作ったため、一家は貧しい暮らしを強いられています。ボロアパートには毎夜のように借金の取り立てが来ては、幼いコウジはいつも怯える日々を過ごしていました。
ある夏。コウジが雅人と一緒に甲子園球場へ行った思い出を綴った「夢の球場」という作文が賞に輝きます。コウジは嬉しさのあまり、麻雀店にいた雅人に報告に行きますが、あろうことかその原稿用紙を麻雀仲間が、メモ帳代わりにしてしまう始末…。コウジは失望しました。雅人はいい父親像からは、程遠い存在でした。
その後も雅人は借金を重ねていきます。完全に首が回らなくなった雅人は、ある夜息子たちが寝ている間に「タバコを買いに行ってくる」と言ったまま姿をくらませました。

それからというもの洋子は、新聞配達とスナックの仕事を掛け持ちし、2人の子供のために懸命に働きました。時には家計の足しにと、家族3人で内職をすることも。必死の洋子は新聞配達中に車と衝突して怪我をしますが、食べていくためには顔を痣だらけにしてでも店に出ました。体を傷めた洋子に代わってヨシユキが家事をし、息子2人で新聞配達を手伝うこともありましたが、思春期のヨシユキは虚しい現実に苛立ちを隠せませんでした。

【承】- blank13のあらすじ2

それから13年後。
コウジは現金輸送車の運転手として、ヨシユキは大手の広告代理店で働いていました。ある時ヨシユキが、雅人が胃がんで余命3ヶ月との情報を得て、久々に家族で実家に集まります。ヨシユキが雅人の病状について打ち明けますが、誰一人見舞いには行かないとの結論でした。しかしコウジだけは違いました。貧しい生活ながら、雅人とキャッチボールをした楽しい思い出が彼の心には残っていたのです。

雅人とのよき思い出が脳裏をよぎったコウジは、1人で雅人の入院先を訪れました。13年ぶりに会った雅人は、少し老けて痩せていましたが、奔放な雰囲気は相変わらずです。そんな雅人に対し、コウジは話しかける言葉が浮かびません。
屋上へ場所を移し、雅人が洋子やヨシユキの安否を尋ねました。コウジはこれまでの鬱憤をぶつけるように、ヨシユキが大手企業に勤めた理由が「あなたみたいになりたくないからだって」と言ってやります。ちょっと気まずそうな雅人は、夏が来る度にコウジが登場すると思って、毎年甲子園の予選をテレビで見ていた事実を語りました。しかし雅人の携帯が鳴ると、何やら未だに金の工面をしているのです。その様子に呆れたコウジは、雅人に煙草を放って渡すと、何も告げずに病院をあとにしました。

【転】- blank13のあらすじ3

その後2か月経ちますが、コウジが雅人に会いに行くことはありませんでした。ところがコウジは恋人のサオリから、雅人のお見舞いに行くよう窘められます。気が進まなかったもののコウジはサオリの説得に負け、彼女を連れて久々に雅人を見舞いました。2ヵ月前よりもさらに痩せ細った雅人は、最後に父親らしいことをしたかったのか、別れ際にコウジに小遣いをくれました。
コウジは見舞いの帰りに、サオリから妊娠していることを告げられます。コウジは特別驚きも喜びもなく「そっか」と、素っ気ない反応しかできませんでした。様々な出来事に混乱したコウジは感情を発散させるべく、一心不乱にバッティングセンターでバットを振ります。コウジの頭のなかで、自身のこれまでの記憶が走馬燈のように駆け巡るのでした。

程なくして雅人が亡くなりました。ヨシユキを喪主に、ささやかな葬儀が行われます。コウジとサオリも遺族として参列しますが、洋子は喪服を纏ったものの会場に来ることはありませんでした。10人にも満たない参列者を目の当たりにしたヨシユキは、隣の大きな葬儀会場と比べ「葬式で人の価値が分かる」と思わず呟きました。
読経を終えた住職は説法ではなく、雅人とのエピソードを紹介するよう参列者に指示します。参列者はぽかんとしますが、雅人の麻雀仲間だった岡宗が先陣を切って語り始めました。岡宗曰くお人好しな雅人は、多くの友人に金を貸しては逃げられていたとのこと。それでも決して相手を責めなかった雅人は、大馬鹿野郎だと岡宗は彼を偲んで涙しました。

【結】- blank13のあらすじ4

参列者は本当に個性派揃いでした。知人のタダは、雅人から預かっていた手紙を代読。手紙には家族や友人に「ただただありがとう」と感謝の言葉が綴られていました。手紙にはタダに対し“一曲やってくれ”とも書かれており、彼が突然歌い出しました。そのうえタダは雅人の奥歯の金属を狙っていて、ペンチまで持参していた変わり者。遺族席のコウジたちは困惑気味の表情です。
続いてマジック仲間だった高齢男性は、袋の中からボールが飛び出す手品を披露します。そのマジックは、いつか子供の誕生日にボールをプレゼントするために披露したいと雅人が気に入っていたものでした。その後も岡宗の仕切りで、雅人の様々なエピソードが紹介されていきます。金を持ち逃げされた知人を家に住まわせ、家族の治療費まで工面してくれたこと、同じ病室で親切にしてもらった人、宗教の勧誘から助けてもらった人…。コウジやヨシユキにとって、今まで知らなかった雅人の一面が露わになり、2人は神妙な面持ちで耳を傾けました。
さらに競馬仲間の内山は雅人を見舞った際に、今でも大切に持っていたコウジの作文を嬉しそうな表情で読ませたくれたことを紹介しました。葬儀場にはかつての借金取りまでもが、祭壇の雅人に手を合わせる姿も…。周囲から愛されていた温かな雅人の話は、コウジやヨシユキにとって失われた父との13年の隙間が埋まっていくようでした。

葬儀は喪主の挨拶で閉められることに。洋子の苦労した姿を見て来たヨシユキは、雅人が死ぬほど嫌いだったと打ち明けました。ところが「でも今日、みなさんの…」と言いかけたヨシユキは涙を堪えられず、雅人の遺影をコウジに預けて会場の外へ飛び出してしまいます。残されたコウジは戸惑いながらも、代わりに挨拶を始めました。父のことは大嫌いだったけど今は悲しい気もするし、父が参列者から聞いたような人間でよかったと思うと正直な気持ちを伝え、精一杯の挨拶にしました。

亡くなる直前の雅人から、離婚届と結婚指輪を送られていた洋子はそれらを手にしたまま、公園で野球少年をぼんやりと眺めていました。洋子は結局葬儀場へは行かず、家に戻ります。洋子あ13年前に雅人がアパートに残していったタバコに火をつけると、咳き込みながらふかしてみるのでした。
その頃コウジとヨシユキとサオリは、火葬が終わるのを静かに待っていました。お腹にそっと手を当てるサオリに、コウジが視線を送りました。

みんなの感想

ライターの感想

「葬式で人の価値が分かる」との台詞がありましたが、盛大ながら参列者が涙も見せず代理出席者まで雇っていた隣の葬式と、少ない参列者ながら偲ばれている雅人の葬式との対比や、台詞にはせず映像で読み解かせる演出はヨーロッパの映画のようで、齋藤監督は本当に映画が好きなのだと感じさせられました。やや粗削りな作品かもしれませんが、今後の作品も非常に楽しみです。
テーマはベタかもしれないけど、幼少期に似た経験があった自分には登場人物に共鳴する点も多く、やはり泣かずにはいられませんでした。冷静にこの作品を見ることができるなら、平穏な家庭環境だった証拠かもしれません。お人好しなお父さん。でも家族は大切にできなかったんだろうな…。せつないですね。

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