映画:真実(2019年)

「真実(2019年)」のネタバレあらすじと結末

真実の紹介:『万引き家族』の是枝裕和監督の国際共同製作による仏・日の合作で、全編フランスで撮影。日本人監督としては初めて、ヴェネチア国際映画祭オープニング作品として上映を果たした。世界的大女優ファビエンヌが、自伝本『真実』を出版する。出版祝いと称して彼女の家族や知人が集まってくるが、娘のリュミールは本に綴られた内容が気がかりだった。やがてファビエンヌとリュミールの間に隠れていた愛憎が入り混じる“真実”があらわになっていく…。

あらすじ動画

真実(2019年)の主な出演者

ファビエンヌ・ダンジュヴィル(カトリーヌ・ドヌーヴ)、リュミール(ジュリエット・ビノシュ)、ハンク・クーパー(イーサン・ホーク)、シャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)、リュック(アラン・リボル)、マノン・ルノワール(マノン・クラヴェル)、アンナ・ルロワ(リュディヴィーヌ・サニエ)、字幕版(声)/ファビエンヌ(宮本信子)、リュミール(宮崎あおい)、シャルロット(佐々木みゆ)

真実(2019年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 真実(2019年)のあらすじ1

世界で名を馳せる女優のファビエンヌは、プライドが高く他人には興味も示さぬわがままな女性。パリ市内にあるお城のような豪邸で、もはや料理番状態の現在のパートナーのジャックと暮らしています。常に仕事を優先してきたファビエンヌは、一人娘のリュミールとの折り合いも悪く、リュミールはフランスを離れました。脚本家として活躍しているリュミールは、テレビ俳優である夫のハンクと7歳の娘シャルロットとNYで生活しています。

ファビエンヌは長い女優キャリアを経て、自伝本『真実』を出版することに。そのお祝いのため、リュミールは家族を連れて帰省します。本の完成前に原稿を見せて貰う約束を破られたリュミールは、どんな内容が綴られたのかが気がかりで、出版祝いというのは名目でした。夜すがら本を読みこんだリュミールは、早朝からいきり立ってファビエンヌに詰め寄ります。綴られていた娘との思い出はデタラメばかりで、“真実”など1つも書かれていないと。声を荒らげるリュミールに「私は女優だから本当のことは言わない」と、ファビエンヌは一蹴します。そんなファビエンヌにリュミールは、叔母のサラについて全く触れていないことを「うしろめたいんだ」と詰りました。
サラはファビエンヌと同じく女優でしたが、40年ほど前に早逝しました。幼いリュミールの面倒を見たのはファビエンヌではなくサラで、リュミールにとってサラは特別な存在だったのです。リュミールはファビエンヌの酸いも甘いも知り尽くした彼女の秘書リュックに、サラの記述がないことをぼやきますが、返ってきたのは意外な答えでした。ファビエンヌが小規模なSF映画『母の記憶に』に出演を決めたのは、 “サラの再来”と呼ばれ、彼女に雰囲気がよく似た女優マノンが主演するからだと言うのです。

リュックに促されてファビエンヌの撮影現場に同行したリュミールは、近くで見てもサラに似ているマノンに好感を抱きました。一方のファビエンヌはマノンを意識しすぎて、どうも彼女が気に入らない様子…。動揺するファビエンヌに更なる試練が。リュックが突然辞職を申し出たのです。本心では困っているのに、素直に引留められないファビエンヌ。振返れば彼女は、リュックにまつわることを何も理解していませんでした。慰留するリュミールにリュックは、「本に自分が登場せず、存在を否定された気分です」と恨み節。分厚いスケジュール表をリュミールに託すと、リュックは屋敷を去って行きました。

【承】- 真実(2019年)のあらすじ2

次の日。本に登場する“モデル料”を目的に、ピエールが久々に家にやって来ます。しかし本の中で、ファビエンヌの元夫は既に死んだことになっていました。シャルロットはこの家の庭で飼われている亀とピエールが同じ名前と知り、かつて『ヴァセンヌの森の王女』という絵本原作の映画で、魔女役を演じたファビエンヌが、魔法を使って人間を亀に変えたのだと信じ込みました。
1人では仕事の準備もままならないファビエンヌは、早速リュミールを秘書代わりに扱います。何だかんだで引受けてしまうリュミールも、本の内容を小出しにして母に問い質しました。中学の演劇発表さえ見に来て貰えず、失恋を慰めてくれたのもサラだったと、煮え切らない思いをリュミールはぶつけてみるのですが、相変わらずファビエンヌは屁理屈で反論するばかり。
撮影の休憩中にマノンと会話したリュミールは、「娘が髪を触らせなかった」とファビエンヌが言っていたとマノンから聞きます。「ちょっと寂しそうでした」とのマノンの言葉が気になったリュミールは、そのことをファビエンヌに確かめようとしますが、マノンとの会話など覚えてないとファビエンヌはしらばくれるのでした。

夜は新旧の家族一同で食事をしました。かつて映画製作に携わっていたピエールが、ハンクが出演したドラマの話で盛り上がります。自分が中心にされないことがおもしろくないファビエンヌは、「誰でも役者になれる」などと、自分ほど知名度のないハンクに嫌味を連発しました。仏語が分からないハンクに意味は通じていませんでしたが、我慢が出来なくなったリュミールが反撃に出ます。ファビエンヌがセザール賞を獲った役は、元々はサラが貰った役だったのに、ファビエンヌが監督と寝て役を奪ったのだと切り出します。いよいよ母と娘の衝突が始まりました。当時、役の件でファビエンヌとサラが言い争う現場を目撃したリュミールは、口論の後にサラが酔ったまま海に入って命を落としたと母を責めました。サラを殺したのはファビエンヌだと感じているリュミールは「ママを絶対に許さない」と強い口調で言い放ちます。それでもファビエンヌは「私はひどい母親よ。でもよい母親で下手な役者よりマシ。あなたが許さなくても、ファンは許してくれる」と開き直って豪語するのでした。
酒乱癖のあるハンクはずっと禁酒していたものの、この修羅場に飲まずにはやっていられません。その後ファビエンヌと2時間も飲み合ったハンクは、苛立つリュミールを諭しました。ファビエンヌは寂しそうだったと。そしてハンクは「君は母に幸せな家庭を見せつけて、嫉妬させたいんだろ。でも僕みたいなテレビ役者じゃ勝てないよ」と言い残し、無責任にベッドに沈みました。

【転】- 真実(2019年)のあらすじ3

庭からリュミールの声が聞こえて目覚め、慌てて窓を開けたファビエンヌでしたが、声の主は亀の名を呼ぶシャルロットでした。リュミールが亀に父の名前を付けたのは「父親を追い出した私への当てつけでしょ」と、リュミールを探そうとした自分をごまかすようにファビエンヌは毒づきますが、穏やかなジャックは「きっと寂しかったんだよ」と娘の気持ちを代弁するのでした。

今日はファビエンヌとマノンの対峙場面の撮影です。『母の記憶に』は、不治の病を患う母が生きるために宇宙での治療を選択し、7年おきに地球に帰るものの、娘だけが老いていくという物語です。ファビエンヌは自分よりずっと若いマノンの娘役なのですが、何度もNGを出し続けます。スタッフに当たったり転んだりして、何とかファビエンヌはそのシーンを乗切りました。
リュックの不在が堪えていたのでしょう。撮影後にファビエンはリュミールに「彼に謝るための脚本を書いて」と言いつけます。男性に謝ったことのないファビエンヌは、謝り方も知らないのです。リュミールは困惑したものの、母親に依頼されたのが嬉しかったのか、すぐ執筆を始めました。

“謝罪芝居”を敢行する日、ファビエンヌたちはリュックの家族会に参加します。映画の台本もリュックの録音音声で覚えているファビエンヌは、彼の6人の孫の名前を把握するのにも一苦労…。2人きりになっても話し出せないファビエンヌを見透かしたリュックは、自ら「お話があるのでは?」と切り出してやります。ファビエンヌは覚えた台詞を述べますが、それがリュミールの脚本であることなどリュックには全てお見通しでした。

翌朝。レコーダーに入っていた台本の音声が消えていて、困ったファビエンヌは、裸で寝ていたリュミールとハンクの寝室に、まるで子供のように助けを求めに来ます。リュミールはリュックがしてきたようにファビエンヌに紅茶を淹れてやりますが、彼女が胃薬を服用するほどひとり酒をしていることを知りました。ファビエンヌの髪をリュミールが撫でてやる姿は、母と娘が逆転しているような光景です。
再びマノンと撮影したファビエンヌは、うまく演技が出来ずに撮影所から逃げ出そうとします。「サラとも共演せず、いつまで逃げる気?」とリュミールに発破を掛けられたファビエンヌは渋々現場へ戻りました。「サラの代わりに見守って」と、娘に縋ったことで冷静さを取り戻せたファビエンヌは、無事にマノンとの共演シーンを撮り終えます。サラへのコンプレックスも溶けだしたのか、ファビエンヌはマノンを家へ招くと、ずっと大切に保管してきたサラのワンピースを彼女にプレゼントしました。

【結】- 真実(2019年)のあらすじ4

マノンを見送ったファビエンヌとリュミールは、穏やかな気持ちなり、珍しく2人きりで会話します。そこでファビエンヌは、リュミールの劇を本当は見に行っていたこと、『ヴァセンヌの森の王女』で魔女役を引受けたのは、リュミールのためだったと打ち明けました。ヴァセンヌ…はリュミールが大好きな絵本で、サラが彼女によく読み聞かせていたため、映画こそは自分が演じようとファビエンヌは思ったのです。「サラに奪われて嫉妬したの。役じゃなくてあなたを」とファビエンヌが吐露すると、母の本心を知ったリュミールに嬉しさがこみ上げました。母に甘えることの出来なかったリュミールが、ファビエンヌの肩に寄りかかって甘えてみます。ファビエンヌもまた、リュミールを愛しそうに抱きしめていましたが、突然ハッとして「なんでこんな風に芝居に活かせなかったのかしら。悔しい」と言い出しました。結局女優であるファビエンヌに、リュミールはいつものように呆れてしまうのです。
就寝前のシャルロットがファビエンヌの部屋を訪ねると、「おばあちゃんに宇宙船に乗って欲しい。女優になった私を見て欲しいから」と伝えました。ファビエンヌは満足げに喜びます。ところが、シャルロットの台詞もまたリュミールの脚本でした。「これは真実?」と問うシャルロットに、リュミールはただ笑顔だけを浮かべるのでした。

『真実』の出版記念パーティの日。何事もなかったかのように戻ってきたリュックに、シャルロット手作りの“サー”のメダルが贈られました。「あのシーンを撮り直したい」と無茶な要望をするファビエンヌをリュミールは見届けてから帰国することにし、リュックも撮影クルーへ掛け合う準備をすぐに始めます。「最初から辞めるつもりがなかったのでは?」とのリュミールの問いに、リュックはとぼけたフリをするのでした。
一行は記者会見場へ向かうため、家を出ます。いつもは素っ気なく見える秋の庭の木々を、ファビエンヌは清々しそうな表情で眺めるのでした。

みんなの感想

ライターの感想

重いテーマながらも洒脱なユーモアにより、軽やかな雰囲気に包まれていました。是枝作品としては珍しく、鑑賞後の気持ちがすっきり、そしてほんわかと。
心は子供のままのファビエンヌ、母への憎しみを抱えながらも憎みきれないリュミール、強気な女性に囲まれて控えめなハンク。彼女らを演じた俳優陣の素晴らしさと言ったら、他に言葉もありません。そしてこの物語に欠かせないリュックの存在。彼の気づかいと優しさと微笑みに、わたしまで救われたような感覚になりました。
劇中同様に母子の確執があったわたしには、共感だけでは済まない感情がうごめきました。ファビエンヌは子供にうまく愛を与えられなかった母親たちの代弁者のように感じました。我が母の心情を垣間見たような気もしますが、彼女の気持ちを素直に慮るには、もう少し時間が必要みたいです。

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