映画:「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠ

「「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠ」のネタバレあらすじと結末

「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠの紹介:1991年から続く実話怪談シリーズ「『超』怖い話」。多数いる採話者の中でもカルト的な人気を誇る「DINER ダイナー」「東京伝説」の平山夢明による実話怪談をベースに、恐怖体験の収集に取り憑かれた中年男の狂気とその家族の崩壊を描いた2006年放映のホラードラマの第1巻。監督/脚本は「妖怪奇談」「私の奴隷になりなさい」の亀井亨、共同脚本は「クロユリ団地」「劇場霊」の加藤淳也。特殊メイクは「妖怪奇談」の河野顕子。

あらすじ動画

「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠの主な出演者

三島茂男(菅田俊)、その娘沙羅(野村恵里)、その妻雅子(鳥居かほり)、沙羅の別人格ノジル(マメ山田)、カウンセラー(金谷真由美)、「アリヌマ」:荒木老人(市丸得男/清水響)、複眼の少年(酒井一世)、「クロイスジ」:瑕疵物件の住人知美(森脇英理子)、不動産屋神尾(針生楊志夫)、知美の友人加奈子(竹田朱見)、「アオコゾウ」:前橋(日向丈/下山葵)、池田(片山享/坂本優太)、老婆(志水恵美子)、アオコゾウ(けーすけ)、「タロジ」:美香(宗政美貴)、健吾(村岡典文)、和江(播田美保)など。

「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①三島茂男は役所勤めの傍ら、恐怖体験の収集にのめり込み、家族をないがしろにしている。②その娘沙羅は霊感体質から精神を病み、別人格ノジルを良き相談相手としている。③家族の中で唯一平凡な感覚を持つ茂男の妻雅子は徐々に精神を蝕まれていく。④そんな中、茂男は隠者のように暮らす荒木老人から幼い頃の異様な記憶「アリヌマ」、瑕疵物件に住む女性知美から「クロイスジ」、老婆から地域に伝わる妖怪「アオコゾウ」、体中に異様な傷を負う女性美香から「タロジ」の話を聞く。

【起】- 「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠのあらすじ1

三島茂男は、2人の看守と共に刑場に向かう途中、ふと振り向いて「まだいたのか」と呟きます。
彼は、布で目隠しされ、首に縄を掛けられた瞬間「今見えてるのは全部ウソだ…」と呟きますが、最後は聞き取れません。
また「あの電球は切れてる」と3度言い、看守は辺りを見回しますが、そこは暗い洗面所のような場所で、唯一の裸電球にも問題はありません。
看守は「わかった、後で替えておく」と言って執行を告げ、首縄を絞めます。
「お前は分かってない…」彼が呟いて間もなく、看守は彼から離れ、電球は何度か瞬い切れ、辺りは暗闇になります。

◆chapter:1「アリヌマ」
その日、茂男は、山裾の古い木造の一軒家を訪ねますが、周囲ではカラスが激しく鳴き騒いでいます。
荒木老人は彼に、欠けた茶碗で茶を出し、カラスの愚痴をこぼしますが、茂男は「酒屋で話した話をもう一度聞かせてください。そういう話を聞くのが好きなんです」と頼み、レコーダーのスイッチを入れます。

戦時中、東京から田舎に疎開した荒木少年は地元の子供に虐められ、母親が持たせてくれた御守りを川に捨てられてしまいます。
彼は悔しさと悲しさでたまらなくなり、子供ながらに死のうと思い、蟻の行列を追いながら山へと向かったそうです。
蟻の行列はどこまでも続き、身を屈めて夢中になって追ううち、カラスが鳴き騒ぐ山道に迷い込み、怖くなってしまいます。
しかし突然、カラスの声がピタリと止んで不気味な音が響き、”赤くて、黒くて、油のように光る”モノが現れます。それは何万、何億という蟻の大群がぶつかり合う音でした。
その瞬間、荒木少年はそれまでの辛さを忘れ、その不思議な光景に見とれますが、ふと「この無数の蟻を自分のモノにしたい」という衝動に駆られて群れに石を投げ込み、蟻は幾筋もの黒い流れとなって散ってしまいます。
すると背後に、汚い絣の着物を着た、川に流れたはずの彼の御守りを首に下げた、たくさんの目がある少年が現れ、妙な声を出しながら追いかけてきます。
彼は泣きながら必死で逃げますが、ふと逃げるから追われると気づいて立ち止まり、複眼の少年と対峙します。すると複眼の少年はたじろいで御守りを落とし、2人は同じ動作で屈み、御守りを拾おうとします。
その瞬間一声カラスが鳴き、2人とも驚いて反対方向に逃げ出し、荒木少年は振り返らずに逃げ続け、なんとか家に帰りつきます。

茂男はすかさず「荒木さん、その話には続きがありますよね?そのたくさんの目を持つ少年はどうなったんですか?あなた、御守りを持ち帰ったんですよね?」と促し、荒木老人はじろりと彼を睨みつけ、しぶしぶ続きを話し始めます。
部屋の隅の仏壇には、黒く古びた御守りが供えてあります。

翌日、荒木少年は、件の山道に御守りを取りに行きますが、御守りの側には複眼の少年も戻っていました。2人は再び同じ動作で御守りを取ろうとしますが、2人の手が触れた瞬間、荒木少年の頭には、複眼の少年の「お守りの代わりに何かくれ」という考えが直接伝わって来たそうです。
荒木少年が何を思ったかは不明ですが、複眼の少年は御守りを荒木少年に渡し、山の中に走り去って行ったそうです。
けれど荒木老人はわなわなと震えて爪を噛み、茂男に「そいつに何を上げたんです?」と聞かれた途端、声を上げて泣き出します。

一方、茂男の娘沙羅は、カウンセラーの引田の元を訪ね、道端でもがき苦しむ泥まみれの水死人を見た事を話し、その絵を描かされます。

その夜、茂男は、ダイニングテーブルで荒木老人の慟哭を聞きながら黙々と取材ノートをつけていましたが、傍らで夕餉の支度をしていた妻の雅子は「イヤだ、そんな話集めてどうすんの?」と眉をしかめます。
茂男はふと「お前だったら、自分の大切なモノと引き換えに何でもいいからくれって言われたら、どうする?」聞き、彼女は「大切といえば娘だけど…何でもいいならゴミかな。カラスかな」と言い、老人の慟哭のわけを聞きます。
茂男は「神隠し。この人は、行方不明になった旧友を忍んで泣いてるんだ」と言い、「友だち思いなんだね」と感心する雅子の言葉を否定はしませんでした。
(※荒木少年が複眼の少年に差し出したのは、おそらく彼を虐めていた地元の子。荒木が老人となった今でも寂れた小屋で隠者のように暮らす様子から、未だその後悔の念に苛まされていると思われる)

【承】- 「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠのあらすじ2

◆chapter:2「クロイスジ」
その日茂男は、不動産屋の神尾から、苦情が多く”アタマがイッちゃってる”と言われていた女性石原知美のマンションを訪ねます。
彼女の部屋は線路沿いのマンションの上層階で、荷物はすでにまとめられ、近々引っ越す予定だそうです。
知美は暗く尖った感じの女性で、取材をしぶしぶ承諾し「こんな話聞いて何か得するんですか?」とツッコみ、静かに話し始めます。
彼女がその部屋に越してきたのは2ヵ月程前。異変に気づいたのは1ヶ月ほど経った頃だったそうです。初めはリモコンの置き場所が変わったり、小さな物が落ちる程度で、建物が古いせいだと思っていたそうですが、ある晩、ベッドで本を読んでいた時、何も貼ってない壁にズルズルと音を立てて赤い筋が現れ、消えたのだとか。
しかし彼女は至って冷静で、不動産屋に苦情を言って瑕疵物件だと打ち明けられたところで、何の得にもならないと判断したそうです。

沙羅は、彼女の別人格のノジルといつも一緒です。
ノジルは老け顔の人形のような姿で、彼女の疑問や考えを察してアドバイスをくれる良き相談相手ですが、時には厳しく叱ったりもします。
またその姿は彼女にしか見えず、雅子は一人で会話する沙羅の声を聞いては深いため息をつき、食事をドアの外に置いて去って行きます。
その日、沙羅は「霊を見る体質」についてノジルと話し「父ちゃん(茂男)は(霊が)見えてないからこそ、そういった話を集めてるんじゃないの?見えてたら、沙羅みたいに誰にも話したくなくなるでしょ?」「今、母ちゃんがいたけど、お前と話すのめんどくさいんじゃない?」と言われます。
その夜、雅子は三島に沙羅に対する不安を相談しますが、彼は知美の音声の書き取りに夢中で相手にされず、苛立ちます。

知美はそれまで霊を見た事は無かったそうですが、ある日霊感持ちの友人加奈子が泊まる事になり、部屋の前まで来たものの怯えて逃げ帰ったそうです。
彼女はいよいよ困って不動産屋に連絡したところ、営業妨害と罵られ、しぶしぶやってきた神尾も「何もいませんねぇ」と言っただけで帰ってしまったそうです。
知美は、それで神尾がますますキライになり、ネクタイがダサい、チャックが開いてたと貶し、声を上げて笑いだします。

茂男は日を改めて知美の部屋を訪ねますが留守で、音信不通となった彼女を案じて訪ねてきた、件の友人加奈子と出会って話を聞く事に。
加奈子によれば、その部屋にいるのは少年の霊で、顔面を壁に擦り付け、その血と肉片が赤い筋となっていたそうで、頭部がこそぎ取られて半分無くなっている血だらけの悲惨な姿だったのだとか。
彼女はそれを知美には言わなかったそうですが、知美もある晩、壁に頭を擦りつけて移動している少年の霊を目撃したものの、憐れんで一筋の涙を流したのです。
実は知美には中絶経験があり、医者に掻把された子を見せられたそうで、その現象を”戒め”と捉え、霊に幸人(ユキト)と名付け「産みたかった」と言っていたそうです。

茂男は再度不動産屋に行って神尾を問い詰めますが、彼は説明責任を果たさなかった事には何の罪悪感も無く、キレ気味で瑕疵の原因となった家族のデータを見せ「5年も前の事だ!母親が長男を殺っちゃったんですよ!次男のミルクを取ったとかで、両足を持って、こうやって玄関に叩きつけて!あんた!役所のヒトだと思って話したけど、お節介もいいとこでしょ!」と怒鳴り散らします。殺害された長男の名は『幸人』でした。
茂男は神尾から鍵を預かり、知美の部屋を見に行きますが、荷物は残されたままで、壁には生々しい血と手形が赤黒い筋となって残っていました。
彼はやりきれない気持ちでその写真を撮りますが、玄関では、狂った幸人の母親の霊が中に入れずもがいていて、部屋の奥には幸人を守るように抱きしめた知美の霊がいました。
彼にはその霊たちは見えず、部屋を出た後、録音されていた壁をこする音だけを確認します。

また同じ頃三島家では、部屋の前まで食事を持ってきた雅子に対して、沙羅が幼い子供のようにダダをこねていました。
沙羅は部屋の中で「ピーマンが入ってないハンバーグが食いてぇ!食わせろー!」と暴れるノジルを必死に止めていましたが、雅子には騒ぐ声も止める声も沙羅にしか聞こえないのです。
雅子はその後ぼんやりしたまま、桐箪笥の引き出しを何度も何度も開け閉めしていました。

【転】- 「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠのあらすじ3

◆chapter:3「アオコゾウ」
その日、茂男は溜め池前の家に住む老婆に『アオコゾウ』の話を聞いていました。
それは、地元では中学のブラスバンド部がよく練習に使うため”音楽山”と呼ばれる山の奥に棲む妖怪で、全身が青くウソを見抜くため、誰でも本当のことを言わされるという妖怪でした。
けれどそれを見るためには2人組で行かねばならず、アオコゾウはその人間に”本当の姿”を見せつけるそうです。だからその地域では、ウソをつくと「アオコゾウに会わすぞ!」と叱るのだとか。
しかし老婆本人は見た事がなく、前橋という自動車修理屋の次男坊が小学生の頃会ったらしいと言い、茂男に自家製の干し芋をやり、彼は「大好きなんです」と嬉しそうに受け取って帰ります。

茂男はその足で修理屋に寄り「役場の仕事で郷土史を集めている」と言い、青年となった前橋から話を聞きます。
前橋が小学3年の頃、アオコゾウには「目ん玉をくり抜かれる」「見ると気が狂う」などの噂があり、彼は親友の池田と共に興味本位で山に探しに行ったそうです。
2人は、ブラスバンドの音楽が流れる遊歩道を歩き、3中の子が見たという場所に座り込んで数時間待ち続け、池田に「アオコゾウに襲われたらどうする?」と聞かれた前橋は「空手習ってるから一撃でやっつけてやる!」と息巻いてもいました。
しかし曲が止んでもアオコゾウは現れず、諦めて山を下りようとした時、ようやくアオコゾウを発見したそうですが、黙って見ているうち森の中に消えていったのだとか。
話はそこで終わり「池田とはあれ以来遊んでないから」と言われたため、茂男は「池田さんの行方を調べて詳細が分かったら知らせる」と言って帰ろうとしますが、前橋はなぜか「池田の事を調べても分らない思う」「アオコゾウは見ただけで喋ってない」と言葉を濁します。

帰宅した三島は早速取材内容をノートに書き始めますが、雅子に土産の干し芋は食べるのかと聞かれ「いらない、好きじゃないから」と言い、また「今週こそは家にいて、沙羅と出かけたら?」と言われても生返事しかしません。
雅子はテーブルの干し芋や茶碗を掻き落とし、彼のノートを引きちぎり「あの子といるとこっちまでヘンになりそうなの!こんなものが大切?!」と叫んで頬を叩かれ愕然とします。
彼は、その傍らで千切られたノートを拾い集め、再び黙々と書き始めます。
一方沙羅は、カウンセラーに「家族と上手く行かない…みんな距離を置いてるというか…」と口ごもり、「自分の言葉でいいから、ウソにならないように正直に」と促され「頭の中に人が棲んでるんです」と打ち明けます。

ほどなくして茂男は、精神病院に入院中だった池田を探し出し、面会に行きます。
彼はあの一件以来会話もできないほど深刻な状態が続いており、面会時には車椅子で体育館にいて、そばでは他の患者が自由に遊んでいました。
茂男は、かまわず強引に近づき「前橋君が会いたがってましたよ。アオコゾウになにされたんですか?どっちがウソをついたんですか?前橋君が『君の方が悪い』って言ってましたよ」と耳打ちします。
池田は激しい発作を起こして車椅子から転げ落ち、泣き叫びながら運ばれていきました。
茂男はその夜、前橋の店に行って「池田君と会ってきた」と言いますが、前橋は顔色を変えて脇の路地に茂男を連れ出し、とぼけ通そうとします。けれど茂男は「池田君の事、知ってたんじゃないすか?全部聞きましたんで。あなたの言い分もあると思うんで、話してもらえませんかね」と詰め寄ります。

彼らはその時、見てるだけの約束だったそうですが、前橋がいきなり大声で「おーい!アオコゾウ!こっち来ーい!」と呼んだため、アオコゾウに追いかけられて池田が捕まり、襲われたのです。
アオコゾウは池田にのしかかって体中を嗅いだ後、べしべしと平手で殴り始めたのですが、前橋はそばで空手のポーズを取っていただけで、池田が痛い!痛い!と泣き叫んでも何もできなかったのです。
やがて前橋は勇気を出して太い木の枝を拾って近づきますが、池田に足を掴まれ、恐怖のあまりなんと池田の手を殴って彼を見捨て、1人だけ逃げおおせたのです。
「前橋助けて!!痛い!痛いよう!助けて!」という池田の悲鳴を聞きながら。

前橋はそれでも「僕は怖かっただけで、ウソはつかなかった。そうなればあなたもそうするでしょう?」「全部話しました。あいつが何を言おうといいんです。あいつも逆の立場だったらそうしてた!嫌がらせのために病院なんか入りやがって!保険かなんかで働かないで食ってんでしょ?!言っといてくださいよ!『お前の方がズルい』って」と話していました。
その後、沙羅が通り掛かり、路地で壁に頭を打ちつける前橋を見て「生きてるのかな?…もうすぐ自殺するけどね…相手にしない方がいいよ」と笑って呟き、去って行きます。

三島家では雅子が1人で夕飯を食べていましたが、沙羅はただいまの挨拶をし、いつも通りお盆に用意してある自分の分を持って部屋に行こうとすると、苛立ったようにテーブルを叩き「ここで食べなさい。あなたもお父さんもおかしいんじゃない?家族は一緒にご飯を食べるでしょう?」と言います。
困った沙羅は「だってお母さん、私といるとイラつくんでしょ?原因は私だって解ってるし、だから先生のとこにも行ってるんだし…」と言いますが、無言で頬を叩かれ、よろよろと部屋に戻って行きます。

後日、茂男は溜め池前の老婆に会いに行き「やっぱりアオコゾウはウソを見抜く名人でした」と報告し、前橋の次男坊はどんなウソをついたのかと聞かれます。
彼は「ほんの小さなウソでしたが、それが原因で、2人は一生友だちではなくなってしまいましたがね」と笑い干し芋が美味かったと褒め、老婆は上機嫌で再び彼に干し芋を分けてやります。
その帰り道、茂男は、木陰からじっと見ていたアオコゾウと目が合いますが、何も言わずに通り過ぎます。

【結】- 「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠのあらすじ4

◆chapter:4「タロジ」
とある団地の通路を歩いていた沙羅は、その上階の窓辺に佇む霊を見て嘔吐し、助けに行こうとしますが、ノジルに止められます。
沙羅は、その霊が助けてもらいたがってると言いますが、ノジルも同じく嘔吐しながら「それでなくとも精神が弱いんだから関わるな」と言うのです。
彼女はやむなく帰宅しますが両親は留守で、茂男の書き物机の引き出しから彼の取材ノートを見つけて読み始めます。
「10月21日 幸戸町に住む佐々木美香という女性を訪ねる」…美香はその話の通り全身に傷を負い、現在もその状況は変わらず、精神的にもかなり参っている様子でしたが「原因には一切思い当たる節は無い」と語ったようです。
「だがこのほころびの世界に偶然は無い。彼女のほころびはほんの小さなことから始まっている」…
美香は幸戸町のとあるマンションに住む独身OLですが、恋人の健吾とは不倫関係で、彼は連日彼女の部屋に寄り、のんびり一杯飲んでから帰宅する習わしとなっています。

ある晩、彼女が帰宅すると、玄関ドアに妙なシミが浮き出していましたが、部屋にはいつものように健吾がいて絡まれ、窓の外から視線を感じたりなどするうち忘れてしまいます。
その視線は、向かいの古い団地から来ているようでしたが、人影も心当たりもなく数日が過ぎますが、ある休日の昼間、彼女は天井に浮き出した文字のようなシミが気になり、ベッドに乗って拭き取ろうとしたところ、足に激しい痛みを感じてうずくまってしまいます。足は、なぜか青く腫れ上がっていました。
翌日、帰宅する頃には足の痛みは悪化し、玄関ドアに浮き出たシミもまた『タロジ』と読めるまで濃くなっています。美香は健吾の悪戯だと決めつけますが、彼にも心当たりはないようです。
けれどその文字は次第に増えて行き、彼女の腫れた足にも膿んだ傷となって現れ、医者でも原因が分からず、とりあえずガーゼを当てて包帯を巻くくらいの事しかできません。
しかし健吾がその血が付いたガーゼを見て『タロジ』ではなく『怨』という字じゃないかと言い出したため、2人は健吾の妻から恨まれてるのでは?と思いますが、健吾はさほど気にする様子も無く、気づいてないと笑い飛ばしただけでした。

『タロジ』は次第に増殖し、玄関ドアには無数のシミとなって現れ、美香の身体中に浮き出て血膿を流し、彼女は出勤すらままならなくなります。
彼女は、部屋にこもって怯え、何度も健吾に電話をしますが、彼自身も玄関ドアにびっしりと浮かび上がった『タロジ=怨』の文字にゾッとして、家族を言い訳にして近寄らなくなります。
向かいの団地の窓には、はっきりと女の顔が浮かび上がりますが、美香たちがそれに気づいているかどうかは定かではありません。
そしてある夜、美香は洗面の鏡にも『怨』の文字が浮かんでいる事に気づきますが、顔に激痛が走って『怨』の傷が浮かび上がり、絶叫して掻きむしり、包丁で腕や足に出来た『怨』の傷をこそぎ取ったのです。
取材中、美香は包帯だらけの顔で「私、悪い事した事無いんです、恨まれた覚えなんか無いんです、助けてください!」とすがりますが、茂男にはどうする事もできませんでした。

沙羅は、美香の住所を見て、ノジルと共に美香のマンションに駆けつけ、団地にいる亡霊が彼女の部屋を睨んでいる事に気づき、団地の部屋に向かいます。
その団地は、美香のマンションを見上げる位置に隣接しており、亡霊が見えたその部屋にはドアノブが無く、中は完全な廃墟でした。
沙羅は、凄まじい悪臭と飛び回る蠅の羽音に怯えながらも奥に入って行き、居間の電気コードで首を吊った女性=和江の腐乱死体を見つけて一筋の涙を流し、その頬にそっと触れます。

沙羅が見たのは、和江が必死に土下座をして何度も何度も謝っている姿でした。どうやら彼女は弁当屋のバンで危篤の両親の元に向かう途中で、健吾と美香が乗った車と接触事故を起こし、見逃してくれと懇願しているようでした。
その様子は実に憐れでしたが、健吾は面倒そうに「警察が来るまで待ってよ」と言い、美香に至っては、狂乱して地面に土下座し懇願する和江の前で、平然と彼の腕を取って喫茶店に誘い、結局健吾は和江の車のキーを取り上げ、その場を立ち去ってしまったのです。
全てを知った沙羅はその場で泣き崩れ、やがてノジルと手を繋いで去って行きます。

みんなの感想

ライターの感想

不気味で陰惨、スプラッターでサイケ、血腥い狂気に満ち満ちているのに、なぜか底知れない悲哀が押し寄せるゾッとする話。2019年、蜷川実花監督の「DINER ダイナー」の映画化で一躍脚光を浴びたホラー作家平山夢明ですが、これまでご本人の監督作品含めアニメ・映像化作品は数々あれど、本作ほどその世界観を見事に具現した作品は無いと思います。
同タッグでは「無垢の祈り」(2015年香港の映画祭にて初公開、日本公開は「カナザワ映画祭2016」と数館の単館のみ)がありますが、その「反道徳的」な内容から現況製品化はなされてないようです。
一方、原作の実話怪談集「『超』怖い話」シリーズは、1991年の第1巻発行から数社の出版社、数々の紆余曲折を経て未だ継続し、根強いファン(”怪談ジャンキー”)を持つ人気シリーズで、平山氏は「新『超』怖い話」第3巻から当初”デルモンテ平山”名義で参加、本作の4本は中でも強烈な印象を残した実話怪談でした。
物語の主軸となる怪談収集家三島茂男(菅田俊)は、平山氏とは全く異なるオリジナルキャラクターですが、世界観やオープニング(綾乃テンによる”人形・舞”パフォーマンス)、亡霊/妖怪もイメージ通りで、ぜひ映像でご覧頂きたい作品です。

※「超」怖い話 TV完全版 DVD-BOX

映画の感想を投稿する

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

映画「「超」怖い話 TV完全版 episodeⅠ」の商品はこちら