映画:シルク(2006年)

「シルク(2006年)」のネタバレあらすじと結末

シルク(2006年)の紹介:日本の天才物理学者が、反重力を作り出し幽霊を捕獲できる物質を開発するが、”死”に魅入られ暴走するという2006年公開の台湾のホラー映画。監督/脚本は「ダブル・ビジョン」のスー・チャオピン。出演は「レッドクリフ」「ブエノスアイレス」のチャン・チェン、「GOEMON」「戦国自衛隊1549」の江口洋介、「恋の風景」のカリーナ・ラムなど。美術は「キル・ビル Vol.1」「不夜城」の種田陽平。

あらすじ動画

シルク(2006年)の主な出演者

イエ・チートン(チャン・チェン)、橋本良晴(江口洋介)、ジャーウェイ(カリーナ・ラム)、スー・ユエン(バービィー・スー)、ショウレン(チェン・ボーリン)、ハメイ(チャン・チュンニン)、所長(レオン・ダイ)、チートンの母(馬之秦)、子供の幽霊チェン・ヤオシー(チェン・グァンボー)、ヤオシーの母チョン・チュエン(ワン・ファン)など。

シルク(2006年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①反重力を作り出し、電磁波を閉じ込めるという物質”メンジャースポンジ”の開発に成功した天才物理学者橋本は、政府の後ろ盾を得るが、度重なる失敗と病により失墜、上層部の所長が秘密裏に助力するがその物質をつけ狙う。②物質の特性から幽霊が捕獲できると気づいた彼は余命わずかで”死”に取り憑かれ、捕獲した少年幽霊を観察し”死”の謎を解こうとする。③幽霊の”言葉”を読み解くため招聘された敏腕刑事イエ・チートンもまた、不治の病で昏睡状態の母親を抱え、恋人の支えの中苦悩していたが、研究に没頭するあまり、次々と変死していく研究スタッフに対して冷徹な橋本には不審を抱く。④少年幽霊の秘密が解き明かされるにつれ、橋本とチートンの解釈に食い違いが生じ、橋本によって翻弄された幽霊は一般市民をも殺害し始めるが…。

【起】- シルク(2006年)のあらすじ1

シルク(2006年)のシーン1 白人カメラマン=カーメンが、台北の古ぼけたアパートの最上階へと上がって行きます。「幽霊の存在を信じるか?」…それは日本の物理学者橋本良晴とスー・ユエンからの幽霊を撮影せよとの依頼でした。
その部屋は廃屋でしたが、カーメンは慣れた手つきで、橋本が開発した”メンジャースポンジ”を吹きかけたフィルムで撮影していきますが、奥の部屋を撮影した際、その隅に膝を抱えた少年の幽霊が映り込みます。
彼は思わず振り向きますが、何かの気配が足元から這い上がり、苦悶して死亡します。
橋本は、研究員らと共に現場に駆けつけ、凄まじい形相で絶命しているカーメンの遺体には目もくれず、カメラに残った最期の写真に写った白い筋のようなモノを見てほくそ笑み、アパートの全住民を退去させ、部屋を封鎖するよう指示します。
若い研究員ショウレンは「そんな事、上層部が許さない」と言いますが、笑って聞き流されます。
橋本良晴は、電磁波を捕えて反重力を生み出す新たな物質”メンジャースポンジ”を研究開発し、天才物理学者と讃えられた日本人で、政府の後ろ立てを得て各国から優秀な研究員を招聘、野心家の美人研究員スー・ユエン、若手のショウレン、ハメイなどと研究を進めていましたが、病で片足を失い、自殺説が飛び交う中、研究に失敗し、表向きには行方不明となった人物です。

上層部の所長は彼を呼びつけて灰皿を投げつけ、厚労省の名を騙り”放射能汚染”とデマを流してアパートを封鎖した事、莫大な予算を浪費している事、数人の研究員が死亡している事などを論い激高しますが、橋本は、懐から4センチほどの無数の穴が空いた立方体”メンジャースポンジ”を出して宙に浮かせ、「これが理由です」とシニカルな笑みを浮かべていました。
所長はそれに触れようとして拒まれ「それも国家の財産だという事を忘れるな」と釘を刺しますが、橋本は「これはまだ世界にたった一つしかない貴重品だ。僕はもうすぐ天井に立って話ができるようになる」と断言、「驚異的な動体視力と読唇術に長けた犯罪撲滅連合チームの刑事イエ・チートンを研究チームに加えたい」と頼みます。
所長は「それには軍や警察や情報部のトップのサインが必要だ」と前置きししぶしぶ承諾しますが、去り際「今度騒ぎを起こせば、ビッコは日本に帰って物理の教師をしてもらうことになるぞ!」と恫喝、橋本はカウンターを取り出し1回カウントします。

その頃、イエ・チートンは爆弾事件の現場にいて、拘束された人質のベッドに仕掛けられた高性能の時限爆弾の12ケタの暗証番号を、読唇術を使って解読し、解決していました。
その後、彼は、昏睡状態で入院している母親を見舞いますが、医者からは「これ以上悪化すれば延命措置を停止する」と言われ「母は死にません」と返します。
そんな彼の唯一の支えは花屋を営む恋人のジャーウェイで、彼は店の近くに車を停め、ミラーで彼女を見ながら電話をし、橋本の研究チームへの異動の報告と「母に花を届けて欲しい」と頼みます。
ジャーウェイは彼の事情を知り尽くしてはいましたがコンサートに誘い、母に付き添うからと断られます。

チートンは件のアパートに行き、拳銃を装備し”放射能汚染エリア 立ち入り禁止”のテープを無視して問題の部屋に行きますが、廃屋だった部屋は最新の機材が揃った研究室になっていて、中にいた研究員たちに「反重力チームか?」と声を掛けます。
彼は初対面の橋本に「反重力なんてあり得ない」と言って握手を拒み、「幽霊の存在を信じるか?」と聞かれても鼻で嗤っただけでした。
橋本は彼を奥の部屋に案内しますが、ユエンは部外者に研究内容を知らせる事を不快に思っているようです。

部屋はガラス壁で仕切られ、奥の窓辺には牛乳やリンゴが置かれていますが、誰もおらず、手前は観察室で2ヶ所の出入口には電子ロックが掛かっています。
橋本は自らスプレー式の目薬をして見せ、チートンにも点けさせ、再度部屋の中を見るよう促します。
そこにはカーメンの写真に写っていた少年の幽霊がいて、窓辺のリンゴを齧りますが、リンゴは彼が投げた直後に崩壊し霧消します。少年が手に取ったのは、実体のリンゴではなくそのエネルギー体なのです。
彼はそのまま窓辺に佇み何か呟きますが、チートンはその唇を読み「『雨が降り出した』と言ってる」と話します。
その少年の眼には、雨のそぼ降るどこかの病室で寝たきりの誰かが見えていました。

『幽霊を捕獲する』…それはこのチームの研究成果で、人間の蛋白質で出来たメンジャースポンジは、様々な電磁波を捕えて吸収するため、”幽霊”というエネルギー体を反重力効果で閉じ込める事に成功、またミクロ化されたその物質を含んだ液体を目に吹きつける事でレンズフィルターとし、幽霊を可視化する事に成功したのです。
またドアノブに物質をスプレーする事で、幽霊は物質にエネルギーを奪われるため触れず、幽霊が『4時半に出掛けようとする』のを阻止して、閉じ込めているのです。

橋本は、チートンに「あの少年の死因と遺体の埋葬場所を調べて欲しい」と頼みますが、彼は冷たく断り出て行こうとします。
橋本は「断るなら理由を聞こう!理由が言えないのは断る理由が無いからだ!君の母親はどうだ?君に何の権利があって母親をあの状態で生かしておく?彼女が死にたくないと思ってると、なぜ君に分るんだ?」と食い下がり、カッとしたチートンは、橋本の杖を蹴飛ばし転ばせます。橋本は病で片足を失い、杖無しでは歩けない身体なのです。
彼はそれでも立ち上がってチートンを見据え「死ぬ事が生きる事より悪いなんてどうしてわかる?ひとつ忠告しておく。ALS(筋萎縮性側索硬化症=母親の病気?)は遺伝するぞ」と言いますが、チートンに胸ぐらを掴まれ「母の事は口にするな!」と怒鳴られ突き飛ばされます。

その後チートンは母を見舞いに行きますが、病室にはジャーウェイがいて、静かに母親の手を握り「女同士だから、こうしているだけで話ができる」と言われます。
彼は「母さんは、何年もこの状態で生かしている俺を恨んでる?『なぜ苦しめるんだ、死んで楽になりたい』と言ってるのでは?」と聞きますが、彼女は悲しそうな顔で「自分の母親に『もうお前を苦しめたくない、だから死なせて』と言って欲しいの?」「お母さんはあなたに『人生を楽しんで』と伝えたがってた」と言い、帰り際に振り向いて、声を出さずに何かを呟きます。
その唇を読んだチートンは、彼女への愛を一層深めますが「きっと断られる」と感じ、火傷で癒着した母親の手を優しく握り「彼女がOKしたら、目覚めてくれる?」と心で呟きます。

【承】- シルク(2006年)のあらすじ2

シルク(2006年)のシーン2 翌朝、寝たきりの患者のいるどこかの病室の窓に、ボールが当たり割れてしまいます。
アパートの研究室では、研究員が「学校や警察、近隣住民は誰もあの子を知らなかった」「この部屋の家主は3年前に死亡して、後継者は海外にいる」と報告したところで、少年が何かを呟き、やってきたチートンが「『窓が割れた』と言ってる」と加わります。
橋本は快く受け入れ協力を頼みますが、ユエンの態度は変わらず、チートンは「幽霊なのに危険はないのか?」と聞き、研究員らとカーメンの遺体を見に行きます。
カーメンは45歳のカナダ人でチームの特約カメラマンであり、彼らの依頼で世界各国の幽霊写真を撮っていたのですが、姿を捉えたのはアパートでの一件だけでした。
研究員らは「死因は心臓麻痺か、驚いて死んだかだ」と言いますが、チートンはカーメンの死亡時の状況をプロファイルし、遺体から心臓を取り出して子供のような手形を発見、少年幽霊に殺害されたと確信します。

その頃、アパートの研究室に一人残っていたユエンは、新聞紙にメンジャースポンジを吹きつけて少年幽霊の部屋に入り、上着に何かを隠したところで橋本に見つかり、中から鍵を掛け、立てこもります。
少年幽霊は消え、ユエンは逃がしたと言いますが、橋本に問い詰められ「研究を部外者に渡す事が許せない」と白状します。
3人が戻った時、橋本とユエンはガラス越しに睨み合っていましたが、チートンは彼女のコートのふくらみに気づき、彼女の衣服を調べるよう橋本に耳打ちします。
橋本に衣服を脱ぐよう言われたユエンは、コートとシャツを開け下着まで見せますが、その間に、新聞紙に挟まれ小さくなった少年幽霊は、彼女の懐から脱出していました。
橋本に「エネルギー体(幽霊)は圧縮できる。君はメンジャースポンジを吹きかけた新聞紙にあの子を包み、ポケットに入れた」と指摘された彼女は観念しますが、少年幽霊は消えていて青くなります。
チートンは「その場を動かず、絶対に振り向くな!」と言いますが、ユエンは恐怖のあまり振り返り、猿ほどのサイズで彼女の左肩に取りついていた少年の眼を見てしまいます。
その瞬間、少年の眉間から細い絹糸のような糸が出て、彼女の眉間に繋がりますが、その糸が見えたのはチートンだけで、間もなく少年の手だけが実体化し、彼女の首を絞め殺害します。

チートンとショウレンは慌ててロックを開け、彼女の遺体を引きずり出しますが、チートンが遺体を移動させる途中、遺体からエネルギー体が外れて宙に浮き、橋本の元へと近づいていきます。
「どんな命でも、死後の精神エネルギー体は短い間しか維持できない…そして永久に消滅する…どんなにこの世に未練があっても、たくさんの人が君を好きでもね…」
橋本は、亡くなった彼女に言い含めるように呟き、彼女のエネルギー体はその言葉通り、間もなく崩壊し霧消します。

チートンはそこで初めて、少年の幽霊が消滅しない異常さに気づき、橋本は「その点を君に調べてもらいたいんだ」と話します。
橋本はそぼ降る雨の中、一人ユエンの遺体を見送り、チートンの心には、母親が発作で倒れた時の無惨な光景が浮かび「母親は死ぬ事で救われるのでは?」という疑念が浮かびます。
彼の母親は、食事を作っている最中に発作を起こし、煮えた鍋に卵を掴んだ手を突っ込んだ状態で硬直し倒れたのです。そのため彼女の指は火傷で癒着し、身体は病気による痣と潰瘍で赤黒く変色しているのです。

橋本の研究は次の段階へと進み、少年幽霊を解放しチートンに尾けさせる事に。チートンは、拳銃とメンジャースポンジのスプレーを身に着け、携帯で橋本と連絡を取りながら尾けていきます。
少年は、アパートを出て通学路を通りバスに乗りますが、その姿は彼以外には見えておらず、橋本は「その行動は『肉体が死んでも、エネルギー体は生前の生活を続ける』という”慣性”だ」と解説します。
研究室でメモを取っていた橋本は、少年からユエンに繋がった糸が、2つのエナジーゾーンを連結させるモノだと気づきます。

少年幽霊は、バスを降りてからも長い道のりを黙々と歩き、”七里(チーリ)特殊小学校”の校舎へ辿り着き、2階の3年6組の教室で1人授業を受け始めます。
しかし板書をし始めて間もなく、突然振り向いて外廊下に向かい、手すりにつかまって震え出した瞬間、その顔に無数の潰瘍が浮かび、手すりを乗り越え飛び降ります。
チートンは慌てて見に行きますが、少年のダメージはみるみる元に戻って再び平然と歩き出し、”保護者送迎場所”のベンチに座り、誰かを待ち始めます。
チートンは「ママ、忘れな草の花が咲いたよ」と呟いて泣き出した少年を見て、「迎えは来ないのに」と寂しそうに呟きます。

少年幽霊はその後、道路脇の電話ボックスの横でうずくまっていましたが、チートンは橋本に「俺は腹が減ったが、あの子は腹が減るのか?食事の必要があるのか?」と聞き、「食事の必要はないが、どうやってエネルギーを補充しているのかはわからない」と言われ、いくつか出ている屋台に行き、食事を摂ります。
少年の後ろでは女子学生が2人話し込んでいて、別の屋台でもパトロール中の警官が食事をしていました。
チートンに「なぜあんたは、そんなに幽霊になる方法が知りたいんだ?」と聞かれた橋本は「死を理解する者だけが、死に立ち向かえるからだ」と答えます。

そうこうするうち酔っ払いがやってきて、電話ボックスの前で嘔吐し放尿した後、少年幽霊の存在に気づきます。
少年は酔っ払いの首を絞めようと手を伸ばし、気づいたチートンは慌てて止める方法を聞き、橋本に「弾丸にメンジャースポンジを塗って撃て」と言われます。
チートンは指示通りにして銃を構え、酔っ払いに声を掛けますが、警官に銃を向けられ阻止されます。少年はすでに酔っ払いの首筋に食らいついていましたが、チートンは警官の腕を撃ってから、少年の額に2発発砲、弾丸は少年に当たったものの跳弾して女子高生の足に当たり、悲鳴と怒号が響きます。
少年幽霊は、次に屋台の影にいたチートンの真正面に現れます。橋本は「絶対にその子の目を見るな!」と指示しますが、少年はチートンの目の高さに合わせて宙に浮き、彼の肩をつかんで頬を寄せます。
彼は少年をなんとかやり過ごしますが、警官に撃たれて組み伏せられ、歩き去る少年幽霊のかかとから出ている細い糸に気づきます。

ほどなくして少年幽霊はアパートに戻り、研究員たちは慌てて電子ロックで閉じ込めます。
橋本は、怯える2人に「あの子が羨ましいと思わないか?」「彼は人が負うべき一切の苦しみから解放されてる。進学や思春期の悩みも無く、働かず、税金も納めず、セックスの悩みも無い」と言ってほくそ笑み、2人は呆れたように去って行きますが、彼は「君が羨ましいよ…人として生きるのは本当に辛い」と一人ごちていました。
橋本は、上層部の名義で偽造した文書によりチートンを保釈させますが、その一件はすぐに上層部に報告されます。
保釈されたチートンは、署まで迎えに来て「あの子の埋葬場所を探しに行く」と微笑む橋本に「休んだらどうだ?」と呆れますが、彼は「僕はもうすぐ死ぬ。その後は毎日が休みだ」と笑っていました。

【転】- シルク(2006年)のあらすじ3

シルク(2006年)のシーン3 チートンは、昼間に件の七里(チーリ)特殊小学校に行き、教師に少年の事情を聞きます。
少年の名はチェン・ヤオシー。その養護学校の生徒でしたが多発性腫瘍を患っていて、度重なる手術の甲斐も無く、胸や首に現われる腫れ物を友人に笑われ、自殺を図ったのです。
またその時、母親のチョン・チュエンは校庭にいたそうですが様子がおかしく、ヤオシーの飛び降りを促すように手招きし、飛び降りた彼の首を絞めたというのです。
彼女は、教師らに止められて逃亡、ヤオシーは入院したのですが、数ヵ月後、ヤオシーを病院から連れ去り、行方知れずとなったそうです。
教師は「母親は、おそらくヤオシーを殺害したと思われるが、台北付近で花を栽培しているという噂もある」と言っていました。

橋本は、チートンの案内で台北で唯一の忘れな草の栽培地に向かいますが、途中所長から「お前はクビだ!すぐにチームを解散してメンジャースポンジを寄こせ!」と連絡が入りますが、切ってしまいます。
彼が所長と揉めるたびにカウントしていた数字は744になり、所長は強面の部下に橋本を連れ戻すよう命じます。
チートンと橋本は、”国立シンクロトロンセンター”の敷地の門で、柵のチェーンを切っていたショウレンとハメイと合流し侵入しますが、敷地内には”強大磁場危険”の警告が出ています。
その頃、チートンの母親は脳血栓で重体となり、生存率15%の緊急手術が必要となりますが、チートンと連絡がつかないため承諾が得られず、駆けつけたジャーウェイが代わりに承諾書にサインし、アパートの研究室に向かう事に。

忘れな草の栽培地は、巨大な施設の敷地の一角にありますが遺体がどこに埋まっているかはわかりません。しかし橋本が何かに気づいてその場所を言い当て、発見します。
遺体は毛布で包まれ、穏やかな顔で埋葬されていましたが、その首には明かな絞殺痕がありました。
橋本は「母親に殺された事を恨んで出ているのか」と言いますが、親子は最後にその穴のヘリに並んで腰掛け、穏やかに話をしていたのです。
「ママ、忘れな草の花が咲いたよ」…疲弊しきった様子の母親は「もうお前がバカにされて苦しむ姿を見たくない…ママが楽にしてあげる」と言い、ヤオシーの首に手を掛けたのです。ヤオシーは怯えることなく「ありがとう、ママ」と微笑んでいました。
チートンに埋葬場所が判った理由を聞かれた橋本は、その円形の巨大な施設を指差し、「シンクロトロンセンターは、その麓に埋め込まれた電子加速装置によって、永久的な磁場エネルギーを供給している。遺体が埋まっていたのはその磁場の中心だ。やっとわかったよ、幽霊になる方法が」と微笑みます。

夜になり、一同はアパートの研究室に戻り、チートンは橋本に「結果が得られた以上、あの子を永久隔離すべきだ」と意見し、橋本も一旦はメンジャースポンジに渡そうとしますが、ヤオシーはいつもと様子が違い、部屋の中をうろついていました。
チートンは、事件の夜にも見たヤオシーのかかとから延びる糸に秘密があるとにらみ、糸の繋がっている先を探しに出て行きます。その糸は、クモの糸のように細く儚いモノですが、何物にも遮られることなく、アパートの外へと繋がっていました。
一方、彼と入れ違いにジャーウェイが来て、彼らと共に彼の帰りを待つことに。

糸は、郊外にある”昏睡患者ケアセンター”のある病室へと繋がっていました。そこはヤオシーが呟くたびに見えていた病室で、昏睡状態のヤオシーの母親チュエンがいて、糸はその足に繋がっていたのです。
けれど彼女は、彼が侵入した時点で発作を起こしていて、間もなく亡くなります。
医者は「彼女は数年前の大地震で生き埋めになったが16日後に救出された。しかしなぜか息があり、心臓にマッサージした痕跡があった」と話します。

その時、アパートではヤオシーの様子が変わり、同時に所長の部下が橋本とメンジャースポンジを奪いにやってきます。
橋本はショウレンにメンジャースポンジを渡して、ヤオシーを閉じ込めるよう指示、ジャーウェイには帰るよう促します。
ショウレンがヤオシーに向かってメンジャースポンジをかざすと、それは空中で無数の小さなスポンジへと変化してヤオシーを取り囲み、収束して閉じ込めます。
ジャーウェイは、その奇怪な光景に気を取られて逃げそびれ、橋本はヤオシーがいた部屋で空中を漂う、元のサイズのメンジャースポンジに近づいていきます。

一方、ケアセンターの病室ではチートンが、ヤオシーの『窓ガラスが割れた』という言葉はその病室のガラスだった事に気づき、『母親と何らかの形で繋がっていたのでは?』と推測しますが、橋本と繋がっているはずの通信が途絶えてしまいます。
その頃アパートでは、押し入った所長の部下たちをショウレンが食い止めていましたが、ヤオシーの部屋に入ったはずの橋本は、杖を残して忽然と消え、追っ手を逃れます。

チートンがアパートに連絡を入れるとハメイが出て「橋本がヤオシーと共に消え、ジャーウェイが母親の件で来ていた」「橋本は糖尿病で片足を失い、もう片足も切断の危機にある。でもあの子がいれば、足が無くても…」と言いかけますが、チートンは背後に現われたヤオシーの母親の幽霊に気づいて通話を切り、その眼を見ないようやり過ごします。
母親の幽霊の足にはまだ糸が繋がっていて、4つんばいになって逃げ去り、途中でトラックに乗り移るなどしたため見失ってしまいます。

しかし母親を探す途中、チートンは夜道を杖無しでスタスタと歩く橋本を見かけて声を掛け、「ヤオシーの母親を見つけた」と言いますが、橋本は平然と「知ってるよ。俺にも糸が見える、恨みの糸がな」「ヤオシーは恨みが原因で幽霊になり、その恨みがスー・ユエンを殺した。君の任務はもう終わりだ」と言うのです。
チートンは密かに拳銃を準備して「あの子を渡さなければ終れない」と言いますが、橋本は「早くジャーウェイのとこに行け。今ならまだ彼女に最後の言葉に伝えられる」と言い、ふと目を離した隙に消えてしまいます。

母親の糸は、ハメイより先に研究室から出たショウレンの頭に繋がっていました。
帰りがけ、彼は牛肉麺を食べに食堂に寄りますが、ラーメン丼から母親の幽霊が出現し、絞殺され死亡します。
またチートンは、研究室に電話をして、一人残って片付けをしていたハメイに「早く逃げろ!」と言いますが、時すでに遅く、ハメイの額からも細い糸が伸びていて母親が目の前に出現してその眼を見てしまい、絶命します。
間もなくチートンが戻りますが、そこには苦悶の表情のハメイの遺体が残されていただけでした。

一方、高級ホテルの一室で愛人と寝ていた所長は、橋本に呼ばれて目覚めます。
橋本は天井から逆さまに立っていて、ベッドで怯える所長の枕元まで歩き「どうやったら天井を立って歩けるか知りたいでしょ?」と話します。
彼は震えながらもその方法を問う所長に「まずは強い憎しみ、死を求める心、最後に死に場所を間違えない事だ」と言い、「俺は子供の頃から生きてる意味など感じた事が無く、ずっと死にたいと思い続けてきた。そしてようやく死に場所も見つけた。ただ一つだけ、憎しみの量が十分かどうかだけが不確かだった。それでお邪魔したんです」と話します。
そしてこれまで打っていたカウンターを突きつけ「744回!!あんたが俺をビッコと罵るたび押してたんだよ!」と叫んで、ナイフを出し、所長の胸に何度も突き立て殺害します。投げつけたカウンターが当たって目覚めた愛人は悲鳴を上げます。

また糸は花屋に戻ったジャーウェイにも繋がっていましたが、まだ彼女は気づいていません。そこにチートンが駆けつけ、店の中の彼女が見える場所に車を停め、ライフルの弾丸にメンジャースポンジを吹きかけて装填し、彼女に電話をします。
彼は「俺が信じられるか?ならば言うとおりにして」と言い、彼女を弾道から除けさせ、彼女の背後に現われたヤオシーの母親の幽霊に狙いを定め撃ち始めます。
幽霊にはさほどのダメージはありませんが、撃ってきた彼を振り向き、その糸は瞬時にチートンに繋がります。
それを確認したチートンは車でその場を離れ、拳銃の弾丸にメンジャースポンジを吹きかけ準備しているところに、橋本から連絡が入ります。

【結】- シルク(2006年)のあらすじ4

シルク(2006年)のシーン2 チートンは「今どこにいるんだ!」と怒鳴りますが、橋本は清々しい声で「やっと長い苦しみから解放されるところだ」と言うばかりで居場所を言いません。
チートンは「ハメイも死んだ!ヤオシーの母親が殺したんだ!彼女は息子を探してる!あの子を離せ!」と怒鳴りますが、橋本はそれを無視して「人は誰でもいつか死ぬ。大切なのはその瞬間にしっかりと死を受け止めて実感する事だ。そこから目をそむけちゃいけないんだ」と言い、それでも子供を離せ!と怒鳴るチートンに「もし君が、どんなに死後の世界が素晴らしいものかを理解できたら、そんな事は言わないはずだ。チートン、いつかまた、向こうの世界で会おう」と言い、電話を切ってしまいます。

その直後、チートンの車の後部座席からヤオシーの母親の幽霊が現れ、運転席のシートの裏側から手を差し入れ、彼の心臓を掴みます。
車は街中を疾走していましたが、彼は苦痛に絶叫し車は横転し大破します。母親の幽霊はその衝撃で車から飛び出し、チートンは血まみれになりながらも車から這い出し、地下鉄へと逃げ込み、人々が悲鳴を上げる中、先頭車両へと辿り着き座り込みます。

一方、橋本がいたのはあの忘れな草の栽培地で、彼は歯を磨いて腕時計を外し身支度を整えた上で、メンジャースポンジを出し、ヤオシーを解放します。
彼は目の前に元のサイズで現れたヤオシーに「これでもう、お前の事を羨ましいと思わなくて済むよ」と微笑み、インシュリンのケースの中身を捨てて蓋で己の顔を見て「これが俺の死に顔か」と言い、ナイフで首を掻き切り絶命します。
その場所は、ヤオシーの遺体が埋まっている真上でしたが、ヤオシーの幽霊は無表情のままでした。

先頭車両で座り込んでいたチートンの足からは、それでも細い糸が出ていて、ヤオシーの母親の幽霊が出現します。
彼はその背後で怯える乗客たちにかまうことなく、幽霊を撃ち続けますが、弾丸が切れて諦め、ジャーウェイに電話をします。
彼は、先ほどのわけを聞くジャーウェイに「簡単には説明できない」と言い、彼女の無事を確かめ、自分もいつも通りだと話します。
ジャーウェイはそこでようやく彼の母親の手術が行われた事、今夜が山だと言われた事を打ち明け、「あなたはお母さんを何より大切にしてた。失いたくないんでしょ?でも万が一の時でも、自分の人生に向き合ってね。私もあなたに人生を楽しんで欲しいの」と話します。

ヤオシーの母親の幽霊は、その間もゆっくりと彼に近づいていましたが、彼は血まみれで微笑み、「ジャーウェイ、頼みがある。明日見舞いに行って、母さんに伝えて。『生きていて欲しかったんだ…恨まないで。この世に息子がいた事を忘れないでほしい』と」と話します。
事態を察したジャーウェイは、何度も彼の名を呼びますが、彼は「君と生きたかった…毎日楽しくね…」と言い、電話を切ります。
ヤオシーの母親の幽霊は、彼の正面に立ってその顔を覗きこみ、彼もじっとその眼を睨みつけます。2人はそのまま暫し見つめ合い、幽霊は彼の胸に手を差し入れ心臓を鷲掴みにします。

チートンの母親の病室を去る時、ジャーウェイが声無き声で囁いたのは「愛してるけど、あなたは幸せを求めてない」という言葉でした。
彼は最期にその時の彼女を思い、「死にたくない。楽しく過ごしたい…人生を変えたい…毎朝、君の顔を見たい…」と強く思っていました。
するとそこに子供の手が伸び、止まった心臓を握り、チートンは息を吹き返します。
彼は苦悶して床に倒れますが、霞んだその眼には、見つめ合い手を握り合うヤオシーとその母親の姿が映っていました。

チートンはその足で母親の病室に行き、無事手術が終わった事を知ります。医者から返された手術の同意書には、『ジャーウェイ 続柄:嫁』と書かれていました。
「母さん、彼女がOKしてくれたよ。なのに目を覚まさないの?」…手術を終えた母親は、昏睡状態のままでした。
しかし、自宅に戻ったチートンは、そこに物言わずに座っていた母親の姿を見て事態を知り「母さん、俺を恨んでるの?だから逝けないの?」と問いかけ夜を明かします。
しかし明け方、母親は彼の眼を見ぬまま台所に立ち、あの日と同じく、卵を手に取り鍋に入れて茹でる仕草をするうち霧消し、彼女が鍋に入れた卵もまた、塵となって消え去ります。

「橋本、まず礼を言うよ。おかげで生きる意味が理解できた。人を恨んで死んでも救われはしない。ヤオシーが幽霊になった原因は、恨みや埋葬場所じゃない、親子の愛のせいなんだ。報告しておくよ。今の仕事を辞めて、俺は人生を楽しむ。君がどこにいようと、これからの人生の幸せを祈ってる」
チートンは、橋本の留守電にそうメッセージを入れますが、その携帯は忘れな草の栽培地で絶命した橋本の遺体の傍に落ちていて、彼の耳には届きませんでした。

みんなの感想

ライターの感想

作中に登場する”メンジャースポンジ”(※Wikiでは”メンガースポンジ”[数学者カール・メンガーによる理論] 、本作では架空と言う意味での言い換えかも?)とは、実際に研究されているものだそうで、大阪大学での成果を知った理系出身のスー・チャオピン監督の『電磁波を閉じ込められるのなら、幽霊も可能では?』というアイデアから生まれた作品なのだとか。
制作費は当時の台湾では最大の2億元、解説部分にはCGもふんだんに使用されて解りやすく、遺体の造形なども凝った仕上がりでゾッとさせられました。
ただ橋本(江口洋介)のキャラクターも分らなくはないですが、怒りや意図が伝わりにくく、後半はバタバタで数々の疑問が残されるのがとても残念。
対するチートン(チャン・チェン)は、一見尖って見えるのですが、観察眼が鋭く幽霊にも涙するナイーブな男で、ジャーウェイ(カリーナ・ラム)ともハッピーエンドで何よりでした。
前半の凝った解説、陽気な研究員やエキセントリックなユエン(バービィー・スー)の存在など良いところがたくさんあるのに、非常に惜しい作品だと思います。
※本記事中の差別用語は重要な意味を持つため、作品に準じた表記とさせていただきました。

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