「デビルズ・バックボーン」のネタバレあらすじと結末の感想

デビルズ・バックボーンの紹介:1939年スペイン内戦末期、荒れ野に佇む孤児院で起る切なく不思議な出来事を描いた、2001年公開のスペインのホラー・ファンタジー映画。監督/脚本/製作は「パンズ・ラビリンス」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ、共同脚本はアントニオ・トラショラス。製作は「キカ」「アタメ」のペドロ・アルモドバル。美術はセサル・マカロン、特殊メイクにはダビッド・マルティやモンセ・リベラが参加しています。音楽は「パンズ・ラビリンス」のハビエル・ナバレーテ。2002年のジュラルメール・ファンタスティック映画祭の審査員特別賞、国際批評家賞、アムステルダム・ファンタスティック映画祭グランプリを受賞しています。

予告動画

デビルズ・バックボーンの主な出演者

カルロス(フェルナンド・ティエルブ)、ハシント(エドゥアルド・ノリエガ)、カルメン(マリサ・パレデス)、カサレス(フェデリコ・ルッピ)、コンチータ(イレーネ・ビセド)、ハイメ(イニゴ・ガルセス)、サンティ(フニオ・バルベルデ)など。

デビルズ・バックボーンのネタバレあらすじ

【起】- デビルズ・バックボーンのあらすじ1

1939年のスペイン内戦末期。カルロスは父の戦死も知らされぬまま、アヤラに広大な荒れ地の果てに建つ石造りの孤児院に連れて来られます。その校庭には、巨大な不発弾がオブジェのように突き刺さっていました。
数十人いる孤児たちが働いたり、遊んだりしている中、彼は校庭の隅の厨房の中に佇む少年を見かけ中に入りますが、その少年の影が地下に降りて行くのを見るうち、年下の孤児ガルベスとフクロウに声を掛けられ校庭に戻ります。
執務室では院長のカルメンがもうこれ以上孤児は受け入れられないとイラついていました。アヤラは老医師カサレスに傷の手当てを受けながら、元共和党闘士で片足が義足のカルメンに、カルロスの父も共和党の闘士だったが戦死したが息子はまだ知らないと憐れみを乞い、カルメンが管理している活動資金の地金を受け取ります。

校庭で作業員たちと鶏小屋を作っていた住み込み職員ハシントが授業の始まりを告げますが、カルロスは年長のハイメにケンカを売られます。が、アヤラたちが彼のカバンを校庭に置いて立ち去るのに気づき、必死で後を追いますが車は去ってしまいます。
涙をこらえ荷物を拾うカルロスを見て、カルメンは受け入れると決め、カサレスは彼を手伝いながら優しく言葉を掛けます。彼は執務室でカルロスのカバンを繕いながら、父の戦死には触れず、少しの間ここで辛抱しなさいと言って聞かせます。
カルメンはカルロスを大聖堂のような広いベッドルームの12番のベッドに案内してロッカーの鍵を渡し、ここは監獄ではないが逃げるのは困難だと言い、外から戻ったハイメたちは、12番はサンティのベッドだと眉を顰めます。

夜、ハシントは作業員たちに同じ住み込み手伝いのコンチータとグラナダで農場を始める夢を語ります。彼は天涯孤独の孤児で彼が育ったこの孤児院を嫌い、15年分の過去を消したい、この孤児院をぶっ壊すために金持ちになりたいと語り、カルメンが隠し持っているわずかな地金を狙っていますが、コンチータは不安に思っています。

一方、ベッドで泣いていたカルロスは壁に彫られたサンティと言う名を呟いた途端、自分を呼ぶ声を聞きカーテンに映る影を見ますがベットには誰もおらず、水差しが倒れ、人影が走り去るのを目撃します。彼は起き出してきた孤児たちに責められ、ハイメと厨房に水を汲みに行くことに。
彼らは夜は立ち入り禁止の厨房に忍び込み、ハイメは先に済ませて出て行きますが、カルロスが水を汲んでいる最中、吊り下げたハサミが落ち、何かを叩く音がして、気づいたハシントがライフルを持ってやってきます。彼は隠し金庫を開けようとしますが失敗、扉に厳重に錠をして出て行ってしまいます。
かまどに隠れていたカルロスは、彼を呼ぶ声を聞いて地下室に降りていきます。そこにはプールのような濁った水槽があり、彼は少年の亡霊に「大勢死ぬぞ」と言われ逃げ出しますが、校庭に出たところでハイメたちにパチンコで水差しを割られ、ハシントに捕まってしまいます。

朝。カサレスは壁越しにカルメンに恋の詩を贈り、彼女は微笑んで起きますが、重い義足に眉を顰めます。
朝食の席で共犯者を問い詰められたカルロスは口を割らず、カサレスの計略でハイメとばれて、一緒に磔刑のキリスト像を校庭に運ぶ仕事をします。
戦況は悪くカルメンは不安を口にしますが、カサレスが元気づけ自分は彼女の亡き夫リカルドとは違うと口説き、ハイメは楽しげに作業するハシントとコンチータに小声で悪態を吐きます。
一方、厨房の地下で亡霊に話しかけていたカルロスは、ハイメたちに見つかりナイフで脅されるうち、水に落ちたハイメをカルロスが助けます。水の中では亡霊がじっと見つめていました。が、ハシントに見つかり、ナイフが自分のだと言ったカルロスは頬をナイフで切られます。
カルロスは、カサレスに手当てを受けながら、幽霊を見たと打ち明けますが、カサレスは”悪魔の背骨(デビルズ・バックボーン)”の胎児のラム酒漬けを見せ、これは貧困と病気が生んだ望まれない子供だが内臓や男性機能の回復に薬効がある、売って学校の運営費用にあてると言い、グラスにすくって「これを飲めば気にならなくなる」と勧めますが、カルロスは慌てて逃げ出します。

【承】- デビルズ・バックボーンのあらすじ2

夜。ハイメたちはカルロスを仲間と認め秘密集会に招きます。ハイメは煙草をふかし、自作の女性の裸体画を見せ、将来は海戦活劇漫画を描くと話し、カルロスは持ってきた漫画やおもちゃを披露します。その時、カルロスは声を聞きますが、ハイメは興味なさげに聞こえないと答えます。
それはカルメンがハシントと情交する声でした。その関係は彼が17歳の頃から始まり、ハシントはあんたが俺を離さない限り、紳士を気取るカサレスは何もできないと揶揄します。カサレスは隣室の営みに密かに聞き耳を立て苦悩しています。

子供たちが”変な声”と”幽霊”の噂を始めるとハイメは突然「臆病者が!」と怒って場を離れます。カルロスはその時初めてガルベスからサンティの事件を聞きます。サンティは12番のベッドの子で、爆弾が落ちた時、必死で逃げて羊飼いに発見されたが切り裂き男に血を採られ、肺病の薬として金持ちに売られたと。そして爆弾と共に現れ、誰もハイメにその話をしないとも。ハイメは廊下の隅でじっと聞いていました。
翌日、カサレスのラム酒などを車に積み込むハシントを手伝っていたハイメは、コンチータにラベルで作った金色の指輪を贈りとても喜ばれます。彼女はその指輪をして、カサレスと共に町に売りに出掛けていきます。
カルメンの授業でもハイメの絵に関心を持ったカルロスは、夜、彼のロッカーからノートを取り出して見るうち、少年が殺害される絵を見つけ、サンティの事だと直感します。
町ではカサレスが国際旅団のメンバーが町中で銃殺されるのを目撃、その中にはカルロスを連れてきたアヤラもいました。

孤児院ではカルロスが校庭の不発弾に願い、初めてサンティを間近で見て、人を殺さないでと言いますが、サンティは額の傷から血を溢れさせながら「大勢死ぬぞ」と繰り返すだけでした。彼は校舎に逃げ戻りますがサンティに追われてリネン室で朝を迎え、アルマに見つかります。
朝食の準備中、カサレスはカルメンにアヤラの件を話し、今すぐ逃げなければ!と迫ります。子供はできる限り連れ、彼女の持っている地金を資金にするという計画にカルメンは難色を示しますが、未来の希望などと言ってる場合じゃないと言われ、厨房の隠し金庫の扉を開けます。
が、そこにハシントが現れ、俺を捨ててここを出るなら地金を置いて行けと迫ります。カルメンはハシントが地金目当てだった事を責め、救ってやった恩を語ります。カサレスも彼にライフルを向け出ていかないと殺すと脅しますが、彼が2人を侮辱し罵倒するうち、カルメンに杖で顔面を殴られ、孤児院から身一つで追い出されます。門ではコンチータや子供たちが気まずそうに見送り、カサレスはカルメンの肩を力強く抱いています。

子供たちが急ぎ旅支度をする中、カルロスはハイメに何を見たのか聞かれ、あの声はサンティだった、知ってるだろ?死んだ子だと答え、それ以上は話しませんでした。カサレスはカルメンと共に子供たちに旅の説明をしています。
カサレスから車にガソリンを積み込むよう頼まれたコンチータは、ガソリンが盗まれていることを知り、厨房にガソリンを撒いているハシントを発見します。彼は煙草に火をつけ、ライフルを構えて必死に説得するコンチータをからかううち銃が暴発、肩を撃ち抜かれます。
銃声に気づいたカサレスや子供たちは、駆け込んできた彼女から事態を知ります。カサレスは必死で子供たちを校庭に逃がしますが、カルメンは厨房で懸命に火を消そうとしていたアルマを止めに戻り、様子を見に来た子供たちを逃がそうとした瞬間、大爆発が起きます。救出に行ったカサレスも爆風で飛ばされ、気を失ってしまいます。
ハシントは、孤児院から立ち上る黒煙を荒れ野から眺めていました。

【転】- デビルズ・バックボーンのあらすじ3

カサレスが気付いた時、校庭にはコンチータと4人の子供が生き残り、厨房ではたくさんの子供たちの遺体の中で、瀕死の重傷を負ったカルメンを発見し、無傷だったカルロスに診療鞄を持ってこさせ手当をします。
彼女は微かな息の中で、あなたに言い残したいことがあると言いますが、カサレスは後で聞くと言い、自分の臨終を見届けて欲しいと言う詩を懸命に詠み、その最期を看取り嗚咽します。
コンチータはハイメに、自分が夜通し歩いて町に知らせに行くと言い、ハイメは毎朝彼女がやってくれたように「元気の素」と言って彼女の口に栄養剤を入れます。彼女はハイメにもらった指輪を見せて固く握り、しっかりした足取りで荒れ野を歩き始めます。
校庭にいたカルロスは、ライフルを持って歩くカサレスを追って建物の2階に上がります。カサレスも全身傷だらけで胸から大量の血を流していましたが、彼は荒れ野を見渡す窓に椅子を置いて座り、ハシントを殺すべきだった、あいつが来ないようここで見張ると言い、カルロスにレコードを持ってきてくれと頼みます。

夜、残ったベッドを寄せて眠るガルベスとフクロウの横で、ハイメはカルロスにサンティの事件の真実を打ち明けます。
事件の夜、ハイメとサンティは厨房の地下の水槽にナメクジを取りに忍び込んでいました。が、サンティが厨房の音に気づいて見に行くと、隠し金庫を開けようとしているハシントに見つかり、彼が水槽に駆け戻ったサンティを殴って脅すうち、壁に頭を打ちつけて殺害、遺体を水槽に沈めたと言うのです。柱に隠れていたハイメはその一部始終を目撃していたのです。
ハシントが去った後、校庭に出ると外はどしゃ降りでした。降り注ぐ雨の中、敵機から爆弾が落とされ、ハイメの目の前に突き刺さりますが、爆発しなかったのです。
ハイメは、僕は弱虫だった、ハシントが怖かったが、今は怖くない、今度会ったら殺してやると呟きます。

一方、荒れ野を歩き続けたコンチータは一台の車を見つけ手を挙げます。が、車から降りてきたのはあの作業員たちとハシントでした。彼はコンチータに、謝って車に乗れと言いますが、彼女はもう怖くないと言い、彼をケダモノと罵り、ナイフで殺害されてしまいます。
孤児院ではフクロウの手当てをカルロスたちがしていました。彼らが窓辺に座るカサレスに報告に行った時、近づいてくるハシントたちのジープを発見します。彼は子供たちにレコードをかけスピーカーを外に向けろと指示し、カルロスに身体を支えられ窓際に立ちます。その姿を見たハシントたちは様子を見ると引き返して行きました。
カサレスはこれまでの人生でやり遂げたことは何も無い、でも今回はやり遂げる、この場所は動かんと言って座り直します。

夕闇が迫る頃、厨房で食料を探すカルロスの元にサンティの亡霊が現れます。彼はハシントを連れてきてくれと言い、カルロスの頬を撫で、消えていきました。
2階にいたハイメは、カサレスの死を知りその眼を閉じますが、忍び込んだハシントに捕えられてしまいます。ハシントたちは子供たちに隠し金庫を探させると、ハイメにコンチータに贈った指輪を返し、小部屋に閉じ込めます。
連中が金庫をこじ開けるのに夢中になっている間、ハイメは皆にサンティの一件を告白、このままでは殺されるだけだ、でも数と戦法でなら戦えると言い、木の杭で武器を作りますが、扉を開けるようにと小窓から逃がしたガルベスが足を挫いて歩けなくなってしまいます。が、彼らが対策にあせる中、なぜか扉が開きます。
廊下で動けずにいたガルベスは、カサレス先生が来て「ケガは治る、勇気を出せ」と言ったと話します。傍には血が滲んだ彼のハンカチが落ちていました。

【結】- デビルズ・バックボーンのあらすじ4

ハシントたちがこじ開けた金庫には金塊は無く、孤児たちの昔の写真が入っていただけでした。そこには彼の両親の写真や彼自身の写真も大事に保存されており、幼い彼の写真の裏には、”天涯孤独にして身寄り無く愛を知らぬ少年 1925年マラガにて”と記されていました。彼は胸に迫るものを堪え、明日金塊を見つけたら孤児院を焼き払う、孤児たちがいなくなっても誰も気にしない、今は戦争だからと嘯きます。

翌朝、金塊を諦めた連中はハシントを置き去りにして車で去りますが、彼はカルメンの義足の中に隠してあった金塊を見つけていました。彼が厨房で金塊を腰に巻いている時、ハイメとカルロスが現れクソ野郎と罵り、地下の水槽に逃げ、柱の影に隠れます。
それを追ったハシントはライフルで現れた子供たちを狙いますが、脇からハイメが木を削った槍で刺し、倒れた彼を次々と子供たちが槍で刺していきます。ハイメは睨みつける彼を、サンティと呟きながら水槽に落とします。落ちたハシントは焦って金塊を捨てますが、サンティの亡霊が抱きつき水底へと引き込んでいきました。

カルロスは2階の窓辺に座るカサレスの遺体にライフルを返し、ハンカチをポケットへと戻し、嗚咽します。

カサレスの詩の朗読が静かに流れます。
「幽霊とは何か 過去から蘇ってくる苦悩の記憶か たとえば激しい痛み 死者の中で生きているなにか 時の中にさまよう人間の思い 古い写真のように 琥珀の中の昆虫のように…」
水槽の上にはサンティの亡霊が立ちつくし、水中のカルロスの頭上には、彼の古い写真が浮いています。校庭には時を見つめるように赤く錆びついた砲弾が突き刺さっています。
「… 幽霊とは … この私だ …」
孤児院の門ではカサレスの影が、旅立つ子供たちを静かに見送っていました。

みんなの感想

ライターの感想

同監督の「パンズ・ラビリンス」と合わせてご覧いただきたい名作です。
凝り性の監督らしく、キャラクターの創り込みはハンパなく、主人公の少年カルロスの所持品の細かさ、ハイメの描く絵の巧みさ、詩を愛し上品で物腰優しい紳士カサレスの”全てが不能”というやるせなさ、美貌で義足の老女カルメンの情熱的でひたむきな理想と情欲の発露、美貌で純朴な女性コンチータに想いを寄せるハイメもたまりません。
悪役ハシントが孤児院を嫌うにもワケがある。金庫から写真を見つけた時の彼の胸締め付ける後悔と逡巡、それでもあちら側に転んでしまう気持ちはいかばかりかと思います。ハシント役エドゥアルド・ノリエガはこの役を演じるに当たり、”完璧な肉体に腐った心”の対比を表現するため、撮影の数か月前からジムに通い、美しい肉体を仕上げたそうです。
”デビルズ・バックボーン(二分脊椎症)”胎児のラム酒漬けと言うのも、荒れ野のど真ん中に立つ校庭に巨大な不発弾がぶっ刺さっている孤児院と言うのも強烈なインパクトです。
幽霊そのものは繊細で儚く不気味と言うより切なく無力なので、ホラーが苦手な方にもお勧めです。

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