映画:切り裂き魔ゴーレム

「切り裂き魔ゴーレム」のネタバレあらすじと結末

切り裂き魔ゴーレムの紹介:2016年製作のイギリス映画。実在する犯罪をもとにした、作家ピーター・アクロイドによる犯罪小説を「人生はシネマティック!」のビル・ナイ主演で映画化。ヴィクトリア朝ロンドン。連続猟奇殺人事件の容疑者として4人が浮上。そのうち脚本家は別の事件で殺されており、刑事ジョンは夫殺しを疑われた妻に着目する。

あらすじ動画

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切り裂き魔ゴーレムの主な出演者

ジョン・キルデア(ビル・ナイ)、エリザベス・クリー〔リジー〕(オリヴィア・クック)、ダン・リーノ(ダグラス・ブース)、アヴァリーン・オルテガ(マリア・バルベルデ)、ジョン・クリー(サム・リード)、ロバーツ(ピーター・サリバン)、判事(マーク・タンディ)、ジョージ(ダニエル・メイズ)

切り裂き魔ゴーレムのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①1880年、ロンドンで切り裂き魔ゴーレムという連続殺人鬼が登場。警部補キルデアは捜査をし、犯人を4人に絞る。容疑者のひとり・ジョンは事件翌日に妻リジーに殺害され死んでいた。 ②他の3人の筆跡鑑定を進めながら、キルデアはリジーの聴取を進める。真犯人はリジー。

【起】- 切り裂き魔ゴーレムのあらすじ1

1880年、イギリス・ロンドン。

劇作家の男性ジョン・クリーが、ベッドで死体になって発見されます。
遺書はありませんでしたが、薬物を煽っての服毒自殺かと思われました。
暖炉には、書類を焼いた形跡が見られます。
駆け付けた巡査は、ジョンの妻エリザベス・クリーこと通称:リジーのファンでした。ファンだとリジーに告げ、握手を求めます。
ところがメイドのアヴァリーンが「寝酒を用意するのは妻の役目」「昨晩、夫婦喧嘩をしていた」と証言したことから、自殺が揺るぎました。
台所に毒薬があり、グラスから同じ成分の残留物が見つかったことで、妻・リジーは夫を殺害した容疑で引き立てられます。

リジーは大衆演芸場で活躍する、若い女優でした。売れっ子です。
リジーが夫を殺害した事件は、しかし、あまり注目されませんでした。
それというのも、同じ時期に『ライムハウスのゴーレム』という連続殺人犯が犯行を重ねており、リジーが夫殺害で逮捕された日、ゴーレムが行なったとされる一家5人殺害の事件の報道が舞い込んだからです。

『ライムハウスのゴーレム』と呼ばれる殺人犯は、70年前の1811年におこなわれた連続殺人ジョン・ウィリアムズの犯行をなぞったものと思われました。
(ラトクリフ街道で2家族計7人が殺害されたもので、切り裂きジャックと並んでイギリスでは有名な殺人事件)
中年男性の刑事・キルデア警部補は、ロバーツ警視正から捜査を命ぜられます。
キルデア警部補はそれまで殺人事件を手がけたことがなく、しかも犯人の犯行はこれが初めてではないのです。すでに何件も起きた後です。
明らかに「ロバーツ警視正が、自分の手に負えない事件をキルデアに放り投げ、捜査が解決できない不始末をかぶせようとしている」ことが分かりました。
それでもキルデア警部補は現場に立ち会い、事件の糸口を掴もうとします。

現場はラクトリフ29番地で、1811年に殺人事件があった場所でした。現在は古着屋になっており、ジェラード夫妻2人と子ども2人、メイドの合計5人が惨殺されています。
死体はどれも細かく切り刻まれており、正視に耐えぬものでした。
壁には血文字で「傍観者であれ、加害者と同等の血を流させることになる」と書かれています。
この言葉はラクタンティウスの言葉で、「悪事を防げない警察は、罪人と同等」つまり警察も悪いのだと言いたいのだと、キルデア刑事は受け止めます。

キルデア警部補は、優秀な刑事でした。本来であればロバーツよりも出世が見込めるはずなのです。
キルデアには「男性好き(同性愛)」の噂があり、それが出世を阻んでいました。警部補どまりなのも、そのせいです。
キルデア刑事はライムハウスに詳しい人物を助っ人に指名し、巡査が担当につきました(映画冒頭で、リジーを逮捕した巡査)。以後、キルデアと巡査のコンビが事件を追っていくことになります。

連続殺人を見直したキルデアは、殺人事件に共通事項がないか探しました。
ラクトリフで5人殺害の事件の前週には娼婦のアリス、さらにその前には年老いた学者・ソロモンが殺されています。
殺害された人たちは性別、年齢、宗教、階級もバラバラで、一貫性があるように見えませんでした。せいぜい、死体が残酷なまでに切り刻まれているということくらいしか、共通事項はありません。
ゴーレムというあだながつけられたのは、最初の被害者ジェーン・クイッグの殺害現場に、ユダヤ神話の本に血文字のしおりが置かれていたからでした。
ユダヤ神話にある自分で動く泥人形『ゴーレム』という表現を警察や新聞が使い始め、どうやら犯人もその呼称を気に入っているらしいことだけは分かっています。

【承】- 切り裂き魔ゴーレムのあらすじ2

一家惨殺の事件で書かれた血文字の「傍観者」を、キルデアは「警察」と読み説いていましたが、ある時ふと「血を求める一般人」のことを指しているのではないかと、思い直しました。
図書館で評論家トーマス・ド・クインシーの著書『芸術の一分野として見た殺人』を閲覧したキルデアは、そこに犯人のものと思しき落書きを見つけます。
落書きは本の余白にびっしりと書かれ、ページによってはまがまがしいイラストも描かれていました。文字には癖があります。

「1880年9月9日、ナイフで彼女を切り裂いた」「1880年9月23日、ナイフで彼女を切り裂いた」
それらが犯行日と一致していると気付いたキルデアは、図書館の司書に貸出記録を問い合わせました。
その図書は持ち出し禁止だったので、キルデアは9月24日の閲覧者を求めます。
そこには4人の男性の名がありました。容疑者が4人に絞られます。

・舞台役者 ダン・リーノ
・哲学者 カール・マルクス
・作家 ジョージ・ギッシング
・劇作家 ジョン・クリー

この4人の誰かが犯人だと思った時、巡査が「ジョン・クリーはもう死んでいます」と言います。
キルデアは、ジョン・クリーが9月25日に妻・リジーによって殺害されたと知り、興味を持ちました。リジーの裁判に出かけ、裁判を傍聴します。
リジーは裁判で、ひどい扱いを受けていました。婚外子であることや、幼少期に帆を縫って船員のところへ届けていたことなどを暴かれ、まるで娼婦のようなひわいな表現をされていました。
現場に手を回し、ジョンの筆跡を探ろうとしますが、書類はすべて暖炉で焼かれていたために、ジョンの筆跡が分かりません。

キルデアはリジーと会い、裁判のことについて触れます。
もしリジーの夫ジョン・クリーが連続殺人犯であるならば、リジーの潔白の証拠になりうる(自身の罪を悔いた夫の自殺というふうに、読み説くことができる)と言い、リジーから詳しい話を聞きました。
リジーと夫・ジョンとのなれそめについて、キルデアは話を聞きます。

…リジーは母子家庭でした。婚外子であったために、裁判で触れられたとおり、幼い頃から帆を縫って届ける仕事をしていました。
賃金を部屋で渡すと言われ、船員に乱暴されたこともあります。そのために帰宅が遅れ、実の母からも責められました。
腎臓を患って母が早くに亡くなり、14歳だったリジーは演芸場で育ちます。

母を看取ったリジーは、たまたまパレス演芸場に行き、当時有名だった喜劇役者ダン・リーノ(容疑者のひとり)の舞台を見ました。リーノは男性ですが、舞台では女装して歌いながら踊る、人気の俳優です。
舞台が終わった後、リジーは楽屋口でリーノと会いました。その場でプロンプター(セリフを忘れた時に、役者にこっそり教える役目)の仕事を任されます。
その日から、リジーはリーノに育てられました。
リーノはリジーを図書館にも案内します。そこで演技や教養の勉強をするのです…。

ダン・リーノが容疑者のひとりだと新聞記事で知ったキルデアは、5つめの事件現場が古着屋で、リーノが古着を売った場所だとも知ります。
再びリジーと会ったキルデアは、ジョンと結婚に至るまでのなれそめを聞きました。

…パレス演芸場には、劇作家のジョン・クリーも出入りしていました。リジーやリーノ、役者のアヴァリーンなどとともに、会食をすることもあります。
ある会食の席で、小人の喜劇役者・ヴィクターが、リジーにちょっかいをかけたことがありました。

【転】- 切り裂き魔ゴーレムのあらすじ3

ジョンがそれを見てリジーを送って行くと言い出し、後日ヴィクターは階段の下で、遺体で発見されます。
(この死も不可解、のちに明らかに)

ヴィクターの死により、リジーに道が開けました。ヴィクターの追悼舞台で、リジーがヴィクターの服を着て男装し、好評を博したのです。
これがリジーの女優人生のスタートでした。以後、リジーは女優として活躍し始めます…。

キルデアは3つめの事件の目撃者を見つけました。男性を目撃したと、少女は証言します。
哲学者カール・マルクスを見つけたキルデアは、その場で筆跡鑑定をし始めました。
書籍に書かれた落書きを読み上げ、マルクスにその文字を書き取らせます。
その文字は違いました。マルクスは容疑から除外されます。

一方でキルデアは刑務所にいるリジーとも会い、ジョンとのなれそめをずっと聞いていました。
メイドが夫婦仲の悪いことを証言したために、リジーが捕まったことを知ります。
そのメイドは、ジョンと関係を結んでいました。リジーが肉体関係を拒んだために、欲求不満の夫は、メイドと関係を持つようになっていたのです。

結婚前のジョンは、リジーを主役に据えた舞台脚本『不幸の接点』を書こうとしていました。
それを口実にし、ジョンはリジーとたびたび会います。
ジョンがリジーに好意を寄せていることは、明らかでした。しかしリジーはジョンのことが、あまり好きではありません。
リジーの師匠・リーノも「下心があるから注意しろ」と言っていました。

リジーに人気が出てきたことをやっかんだ女優のアヴァリーンが、ユダヤ人が多く詰めかけた芝居小屋で「突然死を」というユダヤ語を教えます。
その言葉を言えば受けるとアヴァリーンに言われ、真に受けたリジーが発言すると、ユダヤ人たちは怒り始めました。
仲裁に入ったジョンが株を上げ、これがきっかけでリジーと交際を始めます。
ジョンはリジーが好きでしたが、リジーはジョンが好きではありませんでした。
それを知ってもなお、ジョンは結婚したがります。
リジーは役が欲しくて、ジョンは不幸な女を幸福にしたという満足感が得たいだけなのでした…。

巡査が古着屋のリストを見つけ、そこに作家ジョージ・ギッシングの住所を見つけたので、ギッシングのところへ行き、筆跡鑑定を行ないます。
ところがやはり、文字が違いました。ギッシングも容疑が晴れます。
『青ひげ』の舞台を見に行ったキルデアは、控室にいるリーノに会い、筆跡鑑定を行なおうとしました。
ところがリーノは用事があると言い、明日にしてくれと断ります。
リジーの裁判は進んでおり、このままいくと絞首刑でした。キルデアはあせります。

裁判の後、キルデアはリジーに会い、ジョンとのなれそめの続きを聞きます。
結婚に至ったきっかけは、パレス演芸場のオーナー、トミー・ファーの死でした。
トミー・ファーは女優を呼び出し、SMまがいのことを要求する男でした。リジーも権力をかさに強要され、口封じのために写真を撮られます。
そのことをジョンに話した3日後に、トミーが死にました。それでリジーはジョンと結婚します。
結婚初夜、リジーは拒みますがジョンに押し倒されました。

結婚したものの、劇作家のジョンはなかなか新作を発表しません。
生活費を稼ぐために、結婚して引退したはずのリジーが再び舞台に立ち、活躍しました。
その際に、同じ役者のアヴァリーンを、リジーはメイドとして誘います。倍の給料を払うから、うちでメイドとして働いて、妻としての役目も果たしてくれと頼みました。

【結】- 切り裂き魔ゴーレムのあらすじ4

アヴァリーンはジョンのことを狙っていたのですが、ジョンはリジーのことが好きだったのです。
(アヴァリーンとリジーは同じ元役者であり、恋のライバル同士でもあった。メイドのアヴァリーンがリジーに不利な証言をしたのは、自分が好きだったジョンが死んだため)
アヴァリーンはリジーの言うことをきいて、メイドとして働き、夜の相手をし始めます。

いつまでも新作舞台『不幸の接点』の脚本ができないことに業を煮やしたリジーは、ジョンが脚本を進めていないと知りました。
そもそも『不幸の接点』は、ジョンがリジーを手に入れたくて書き始めたものなので、リジーと結婚してしまえば、用のないものだったのです。
ジョンは図書館に入り浸りながら、全く脚本を進行させていませんでした。生活費はリジーが稼いで支えています。
仕方なく途中までしか書いていない『不幸の接点』を舞台で上演したところ、不評でした。
ジョンとアヴァリーンの2人と、リジーとリーノの2人が対立します…。

裁判で、リジーは有罪判決が出ました。翌日が絞首刑です。
キルデアがリジーに夫・ジョンの筆跡がないかと聞き、『不幸の接点』の原本は手書きだったとリジーが言います。
キルデアがリーノに脚本を求めますが、それはタイプされたものでした。原本は図書館に保管されているそうです。
急いで図書館に行くと、持ち去られたあとでした。持って行ったのはアヴァリーンです。
アヴァリーンは書き直そうと思って、持ち出したと言いました。

この『不幸の接点』の文字が犯人のものと一致し、キルデアは「連続殺人犯ゴーレムは、ジョン・クリーだ」と思います。
絞首刑に処される直前に判事にかけあい、1時間の猶予をもらいました。
あとはリジーに「ゴーレムの正体が夫と判明した」ということを書かせればいいと思ったキルデアは、リジーにその旨書くように言います。

ところが…。
リジーの筆跡こそが、ゴーレムのものだったのです。
(夫のジョンが書いたとされる『不幸の接点』の文字も、リジーのもの)

思い返したキルデアは、閲覧履歴が苗字しか記載されていないことに思い至りました。
「男がやった」という先入観があったから、誤解が生じたのです。
役者のリジーは男装して現場に行き、犯行を重ねていました。
また結婚前に不審死を遂げた小人のヴィクターや、オーナーのトミー・ファーを殺害していたのも、すべてリジーだったのです。

リジーは(その時代も背景にあるのだが)「女性には芸術の才能がない」と言われるのが嫌いで、殺害を繰り返していました。
殺人こそ芸術だと思っており、「女性の連続殺人犯」として、華々しく新聞の見出しを飾りたかったのです。
ところがリジーがゴーレムとして活躍すればするほど、世間は男の仕業だと思うようになっていました。
あげく、邪魔になったジョンを殺害した事件だけで、絞首刑になろうとするのを、リジーは落胆していました。
(ジョン殺害も、当然のことながらリジーの仕業)
1時間遅れですが、リジーの死刑は執行されます。

後日、アヴァリーンがリジーの役をつとめ、『不幸の接点』の舞台が上演されます。
ところがアヴァリーンは冒頭の絞首刑のシーンで、本当に死んでしまいました。
リーノが代わりに女装して現れ、フォローします。
拍手を受けたリーノの顔が、一瞬リジーになりました。
(アヴァリーンを殺害したのは、恐らくリジーの師匠・リーノ。弟子のリジーにかわって復讐を果たしたものと思われる。
リジーとリーノは男女の仲ではなかったが、それよりも深い師弟関係があった)

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みんなの感想

ライターの感想

それなりに見ごたえがある映画。1880年代の話なので、今のように科学捜査は見込めない。
ミステリーを見慣れていると、「あ、たぶんリジーが真犯人」というのは、容易に想像できる。
だからどんでん返しがあっても、さほど驚きはしなかった。
それでも映画で各容疑者を確保し、筆跡鑑定をしている時の殺害の様子は、容疑者の手で犯行しているように見せかける演出で、凝ってる。
リジーは暴かれることを望んでいた。だからリジーにとっては非常に有意義な結末(殺人鬼として新聞の見出しを飾りたかったので)。
いっぽうのキルデアは、最後までリジーのことを疑っていなかったので、筆跡が一致したときの驚きの顔はよかった。
重苦しい作品だが、なかなかに重厚な造りのミステリー。残酷なのでホラーカテゴリに入れさせていただく。
  • ヤスさんの感想

    ジョン殺害の犯人はリジーではありません。絶対に。
    だからこそキルデアはだまされたのです。
    ヴィクターとトミーファーの殺害の犯人は、
    キルデアはリジーだと思い込んでいますが、
    こちらのほうこそおそらくはジョンの仕業。
    アヴァリーンの事件は、リーノの未必の故意であるかもしれませんが、復讐の意図などはありません。

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