「妖怪奇談」のネタバレあらすじと結末の感想

妖怪奇談の紹介:2007年公開の3人の若き女性が妖怪と化す3つのホラー・オムニバス。英題は「WOMAN TRANSFORMATION」。監督/脚本は「霊視」(「喰う家」収録)「私の奴隷になりなさい」で知られる亀井亨。エッジの効いたシュールなイマドキ女子の語り口が心を抉る佳作です。原案・製作は「くりいむレモン」シリーズの松井建始。特殊メイク・造形はJIRO(有限会社自由廊)。主題歌は桑田沙織の「山茶花」。

予告動画

妖怪奇談の主な出演者

岩崎みひろ(KAMAITACHI/伴杏里)、山根美智子(ROKURO/宮光真理子)、佐伯まな(NOPPERA/市川春樹)、ネイルサロンスタッフ飯岡(桃生亜希子)、まなのBF真吾(綾野剛)、緑のオバサン(浅見千代子)、大迫医師(手塚とおる)など。

妖怪奇談のネタバレあらすじ

【起】- 妖怪奇談のあらすじ1

夏。人気の無い田舎道の横断歩道に立つパンチパーマの緑のオバサンが、横断歩道の向かいに走ってきた男子小学生に「おはようございます!」と大きな声で挨拶をします。男の子は「おはよう…」とだけ答えてやり過ごそうとしますが、蛇の目になり黒く細い舌をちょろりと出して「『ございます』は?!」と怒るオバサンに捕まり、建物の裏手に無理矢理連れ込まれます。出てきたのは大きな腹をしたオバサンだけで、何度もゲップをしながら去って行きます。

第1話 ROKURO

モデルの山根美智子はうまく笑えず、モデル仲間やスタッフから疎まれ、悩んでいました。彼女は自分の評価を気にするあまり、自分に関するひそひそ話を耳にするとつい首を延ばして聞こうとする癖がつき、首筋に激痛が走るようになり病院に行きます。医師は彼女の首のレントゲン写真見て蛇の骨みたいだとこぼします。
そんなある日、撮影中だった美智子は口元をありえないほど歪めて笑うモデル仲間やスタッフの幻覚を見て倒れ、病院に運ばれ、目覚めた時には、首が蛇のように伸び、頭だけがベッドから落ちていた事に驚き誤魔化しますが、医者からは脊椎の異常だと言われ入院することに。
見舞いに来たモデル仲間にも笑われ首の激痛に苦しみますが、同室になった片手、片足にケガを負い片目に眼帯をした女子高生佐伯まなは、彼女の症状を一度は恐れたものの、穏やかに話しかけ興味を持っているようでした。
やがて美智子は首が自由に伸ばせるようになりますが、まなは首を延ばした彼女を見ても笑わず、2人は次第に打ち解けていきます。が、まなは美智子に首を延ばさせては面白そうに眺め、いびきがすごいと言いつつも耳栓をしているから大丈夫と言ったりします。美智子は彼女のキツイ物言いを聞くたび傷つきますが、まなは気にしていないようです。

ほどなくして退院してゆくまなを見送った美智子は、医師に退院したいと申し出ます。医師は狼狽え深夜彼女の病室にやってきますが、彼女は「これでも治せますか?夜になると伸びるんです。痛みも感じる私の首なんです」と言って首を延ばして見せます。彼女は、誰もいないところで静かに暮らしたいと言いますが、翌日から、首にカラーを嵌められ拘束衣でベッドに縛り付けられます。
夜になり、まながチャラい彼氏を連れて現れ拘束は外されますが、2人は彼女の姿を笑い、記念の写メを撮り、まなも「すごいじゃないですか!まるでバケモノですよ!」とはしゃいで帰ります。
彼女は首が延びたまま拘束衣で病院から逃げ出し、酔っぱらった農夫から小型のトラックを奪い逃走します。
翌朝、トラックはガス欠になり広い田んぼのあぜ道で止まってしまいます。が、見ると、そばの線路を1両だけの電車が近づいてくるところで、服を血塗れにした長い爪の若い女性が線路に手を着いて座り込んでいます。
美智子は、「ダメー!生きなきゃダメでしょう!」と叫び、首を延ばしながら必死に走り、伸びた首で女子高生を跳ね飛ばし助けますが、首を電車に轢かれて亡くなります。首が延びたままのその死に顔は、満足げな微笑みをたたえ、とても安らかでした。

【承】- 妖怪奇談のあらすじ2

第2話 KAMAITACHI

商店街の入口で情報誌の配布バイトに精を出す岩崎みひろは、長い指とネイルが自慢で、毎週火曜に通うネイルサロンにバイト代を全てつぎ込むほど金をかけ、自信を持っていました。けれど、彼女の爪に対するこだわりと自信はバイト仲間を不快にさせるばかりでした。
彼女は最近1日に爪が3センチも伸びて、ネイルチップは剥がれ落ち、サロンに通う回数も増え大変悩んでいました。が、サロンで担当の飯岡に訴えても信じてもらえません。翌朝、爪は1センチほど伸び、サロンで整え帰宅後も念入りにケアしたネイルチップも剥がれ落ちていました。
その日のバイト中、情報誌を渡そうとしたサラリーマンが持った煙草の火がみひろのネイルを焦がし、彼の方は彼女の爪でケガをしたため揉め事となりますが、みひろに一方的に責められた彼は憤然と立ち去り、彼女はバイトを投げ出して帰宅、翌日ネイルサロンに駆け込み延びた爪を飯岡に見せます。が、彼女は真剣には聞かず何かあったらうちに来ての一点張り。
爪が延びる速度は日々早まり、行きがけに整えた爪がバイト中に10センチほどにも伸び、その不気味な手で、もたもたと渡そうとしても気味悪がられるばかりで、仲間にも疎ましがられます。
爪は伸び続け、携帯も箸も持てず、次第に鋭さを増して行くため、朝起きると体中が傷だらけになっています。それでも彼女は不気味に伸びた爪にマニキュアをし、電車でバイト先に行き、訝しがるバイト仲間たちにフィンランドで流行ってる最先端のネイルだと嘯きます。
けれど、その不気味な爪のせいで仕事にならない日が続き、ある日、怒った仲間たちが必死で抵抗する彼女を抑えつけ、その1本を裁断機で落としてしまいます。指からは血が滴り、あまりの痛みにキレたみひろは、暴れて仲間を爪で何度も切り付け、バイト先を飛び出します。

彼女は、血塗れでネイルサロンに駆け込み飯岡を呼びますが、応対に出たスタッフは怯え、半狂乱の彼女を落ち着かせようとした飯岡の頬を爪で切り裂いてしまいます。その瞬間、飯岡は「警察呼んで!助けて!」と叫び出し、サロンは阿鼻叫喚の修羅場と化します。
彼女は裏路地へ逃げ込み、駆けつけた警察官をやり過ごしますが、翌朝、あぜ道近くの線路に辿り着いた頃には、爪は30センチを優に超え、5本が貼りつき1枚の分厚く鋭い刃物のように変形していました。
みひろは線路にその爪を置き、電車に轢かせようとしますが、そこに首を延ばした美智子が現れ跳ね飛ばされます。みひろは、安らかな笑みを浮かべた美智子の顔を見て、何も言わずその場を去り、血だらけの服に、鋭い刃となった爪を持て余しながら街を彷徨い歩き、どしゃ降りの雨の中、町中の小さな神社の鳥居の前に立ちつくします。

【転】- 妖怪奇談のあらすじ3

第3話 NOPPERA

まなは、ロマンスグレーの父親に明るく話し掛けながら歩いていますが、父親は笑顔が母さんに似て来たなと言うだけで笑わず、今夜は戻らないと言って出掛けて行きます。
彼女は地味な友人みゆきとチャラいボーイフレンドたちの車に乗りはしゃいでいましたが、ふいに車を降り帰ると言い出します。みゆきも焦って一緒に帰ると言いますが、まなは彼女に「今夜は家の人いないんでしょ?」と言い、助けを求めるみゆきを乗せ走り去るのを満面の笑みで見送り、商店街をぼんやりと歩き、路上で歌う女性からCDを買います。
翌日の教室では、みゆきは何も言わず、派手な友だちと騒ぐまなをじっと見つめていました。その帰り道、まなは裏路地で黒づくめの暴漢に襲われ、手足を骨折して入院することに。
まなの病室にノートを届けに来たみゆきは、「何も悪いことしてないのに、恨まれる覚えが無い」と平然と笑いながら話すまなに暴漢の顔は見たのかと聞きます。まなは曖昧に答え微笑みながらじっとみゆきを見つめ、帰り際「手が震えてるよ」と言います。
ほどなくして、同じ病室に美智子が運び込まれてきますが、夜中あまりのいびきのひどさにカーテンを開けた彼女は、美智子の首が延びているのを目撃し写メを撮りますが、その時、ヘッドフォンをした自分の耳が膿み崩れ始めていることに気づきます。
彼女は、その腫れが次第に顔面に広がり始めている事を隠し、美智子のモデル仲間が帰った後、話しかけたのです。モデル仲間は笑ってなどおらず、苦しげな彼女を見てそそくさと退散しただけでした。

耳は次第に聞こえなくなり、顔の腫れを隠すため眼帯を着け始めたまなは、みゆきに爛れた耳を見せ「犯人を知ってる」と囁き、耳の崩れと聞こえが悪くなったのは暴漢に殴られたせいだと脅し、治療費の無心をします。
みゆきがやむなく縁交で稼いでいる時、まなはトイレの鏡の前で眼帯を外します。彼女の片目は醜く崩れ、金を届けに来たみゆきに、もう少し頑張れない?と言いますが断られます。また、私たち元に戻れるよね?殴ったことも許すからと言いますが、みゆきは、まなは変わった、もういっしょにいる事がムリと言い去って行きました。
ほどなくしてまなは、美智子のいびきがうるさいのを理由に退院を決め、先生も夜、見に行けば?寝相もすごいからと笑って促します。

まなは学校に戻り、みゆきと彼女の友人たちが笑いながら話しているところに混ざろうとしますがシカトされます。みゆきが何か言ったんでしょ?と焦る彼女にみゆきは「ごめんね。こうするしかなかったから」と笑い、松葉杖をつきよろよろと立ち去る彼女を、まなの友だちと嗤います。
その夜、まなは父親に電話をして退院したと言い、外で食事でもと言う誘いを断り、みゆきの所に行くからと嘘をつき、ボーイフレンドたちと遊びに出ます。その1人真吾に首の伸びた美智子の寝姿の写メを見せて笑った後、これから見に行こうと誘って病室に忍び込み、笑いものにしたのです。
廊下で1人盛り上がって騒ぐ真吾を置いて、彼女はトイレに入りますが、残された片目も醜く崩れ始めていました。
彼女は父親に電話をし、身体がおかしいと打ち明け、今日は帰れない、会えば嫌われるから、もう2度と会えないと言って電話を切り泣き出します。そこへ真吾が様子を見に来ますが、彼は彼女の崩れた顔をしつこく覗き込み、ナニそれ?特殊メイク?と気味悪がり逃げてしまいます。
まなは病院の廊下に座り込み、携帯を開き、泣きながらごめんなさいと何度も叫びます。

どしゃ降りの雨の中、顔中に包帯を巻いたまながよろよろと歩いてきて包帯をむしり取ります。彼女の頭に髪は無く、目も耳も完全に塞がり鼻筋も崩れ、口だけがかろうじて動くのっぺらぼうになっていました。
彼女は煉瓦塀の前で立ち止まり、ヘッドフォンを耳のあった場所にかけ、大声で泣きながらあの商店街で買ったCDの歌を歌い始めます。
それを見ていたみひろは、ゆっくりと彼女に近づき肩を優しく叩きます。まなは嗚咽しながら何度もごめんなさいと言い、みひろと共に雨の中を歩き去って行きます。

【結】- 妖怪奇談のあらすじ4

場面は再び、田舎道の横断歩道に立つ緑のオバサンとなります。
そこへ、先ほどの男の子より少し学年が上の小学生の女の子がやってきます。オバサンは再び「おはようございます!」と元気に挨拶をして、蛇の目と黒い舌を出しますが、女の子に蛇の目と黒い舌で睨み返され、悔しそうに口の端を歪めます。

みんなの感想

ライターの感想

「喰う家」に収録されている「霊視」で着目し、原作の鬼才平山夢明の世界観を見事に具現した「『超』怖い話」(TVドラマ)でガッツリロックオンした亀井亨監督のキツ~い妖怪話。
パンチパーマの緑のオバサンが「ガキ使」の”キスおばちゃん”だったり、まなのチャラいボーイフレンド真吾がブレイク前の綾野剛だったりの余禄もあります。
「幼獣マメシバ」「ねこタクシー」のほのぼの路線、「テレビばかり見てると馬鹿になる」「私の奴隷になりなさい」のロマンポルノ路線が続く亀井監督ですが、今後ホラー作品でも頑張っていただきたいところです。

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