「悪霊の棲む家(2005年香港)」のネタバレあらすじと結末の感想

ホラー映画

悪霊の棲む家(2005年香港)の紹介:香港の格安アパートに越してきた未亡人と娘が体験する恐怖を描いた2005年の香港ホラー。原題は「凶宅」(瑕疵物件、ワケあり物件)。監督/撮影は「インファナル・アフェア」の撮影監督で知られるン・マンチン。脚本は「爆裂都市」「無問題」のサム・レオン。主演は「PTU」「エレクション」などジョニー・トー作品で知られるマギー・シュウ。音楽は「臨場」「遺留捜査」などの劇伴音楽を手掛ける吉川清之。

予告動画

悪霊の棲む家(2005年香港)の主な出演者

チン(マギー・シュウ)、その娘リン(サリー・ライ)、ワイ(チョン・シウファイ)、フードの男(ライ・ユーチョン)など。

悪霊の棲む家(2005年香港)のネタバレあらすじ

【起】- 悪霊の棲む家(2005年香港)のあらすじ1

香港の古いアパートを内見したチンは、市場も近く格安で広いその部屋で即決します。部屋は洋風で古く汚れていましたが、思春期の娘リンは暖炉から聞こえる不気味な音に怯えます。
2人は一日がかりで掃除をし、広い居間には大きなソファを置きます。けれど壁には赤いペンキが残っていて笠付きの電灯や天井も気になり、バスルームからは水が漏れ出し、小部屋にあった箱には京劇の衣装が残されていました。またパソコンと机が残されていてリンが使うことに。その時、チンの携帯にワイから電話がありますが無視します。
その夜、リンは早々に引っ越したいと訴えますが、チンは夜間警備の仕事に就いたばかりで生活は苦しく不可能なのは明らかでした。
深夜、チンは駆けまわる足音で目覚めますが、バスルームには異常は無く、暖炉の前で立ち止まります。またベッドにはリンがいて、お婆ちゃんちに住めないの?と聞きますが、あれはもう家族じゃない、ママの家族はリンだけでずっと一緒よと言われ、同じベッドで眠ります。

翌朝、2人は手を繋いで市場まで歩き、リンは学校へ、チンは買い物をして戻ります。が、フードを目深にかぶった不気味な男が彼女の後を尾け、狂った眼で「ダメだ、行っちゃいけない、でも引き返せない」と呟いていました。
チンは自分の弁当とリンの夕飯を作り始めますが、パソコンが勝手に点き、バスタブに暴れる何かを沈めている派手なガウンの女を映し出します。バスルームからは再び水が流れ出していました。
その後、ワイから電話があり、2人は街のカフェで会うことに。
ワイは「キットの事、悪かったな」と詫び「幼馴染なのにこんな形で再会するなんて」と言い、夫の遺品を返します。彼女は「あなたは警官で、悪いのは夫だから」と口ごもり「彼も警官だったのに…昔はいい父親だったのよ」と話します。
また案じる彼に、夜間警備の仕事を見つけたから大丈夫と強がりますが、こんな店でお茶を飲むのは久しぶりとため息をつきます。

午後になり、リンは尾けてくる足音に怯え部屋に逃げ込みます。それはあのフードの男で、リンを追って階段を駆け上り、何度も拝むような仕草をし、どこかの部屋でパンをかじり、その半分を祭壇のような物に供え泣き出します。
その夜、チンは1人暗い廃ビルの警備室で弁当を食べ、夫が強盗容疑で撃たれたと聞き、駆けつけたあの日の事を思い出していました。ワイは事件の担当刑事で、取り調べようとしたら刃物を出したので撃ったと詫び、重体の夫の回復を願っていました。
一方リンは、1人で夕飯を食べ、パソコン机で勉強をしていたところ、昼間と同じシーンが勝手に始まり、バスルームを見に行きますがやはり廊下に水が流れ出していて、暖炉からは不気味な吐息が聞こえます。
彼女は怯えて部屋に駆け戻りますが、パソコンの画面は元通りで、廊下にはびしょ濡れの人影が佇んでいました。
深夜、鉛筆削りの音で目覚めたリンは、パソコン机にびしょ濡れの幼い少年がいて、鉛筆を削り足をぶらつかせているのを目撃し、布団をかぶって怯えます。

翌朝、帰宅したチンは、布団の中で怯えていたリンの話も聞かず、無理矢理学校に行かせます。けれど机の上には鉛筆の削りカスが散らばりノートも汚されていました。
また社会福祉局から電話があり、最近ご主人の暴力はどうかと聞かれ、主人は亡くなった、あなたには感謝してると話します。その後、彼女は居間のソファでうたた寝を始めます。居間には心地よい風が吹き、ゆっくりと回るプロペラのような影が差していました。

一方ワイは、学校の門に座るリンを見て声を掛け、家が怖くて帰りたくないと言う彼女を家まで送る事に。けれど2人が家に入るなり、窓の外から覗いていたフードの男に気づき、ワイは男を追いかけ、チンも起き出してきます。
男は2人の部屋の窓側にある渡り廊下の隅の祭壇を拝んでいて、ワイに「子供に会いたくて」と泣きつき、「ここはダメだ!早く出て行かなきゃあいつらに殺される!」と叫んで逃げて行きます。男の小さな祭壇には若い夫婦と幼い少年の家族写真が飾られていました。
別れ際、ワイはリンに、おじさんは友達だから何かあったらいつでも連絡をくれと言いますが、リンは「でもパパを殺した人でしょ?」と言い、チンはあの家に住みたくないと訴える娘を往なし、彼に礼は言いますが、後は何とか2人でやってくからと断わります。

【承】- 悪霊の棲む家(2005年香港)のあらすじ2

その夜、チンは夕飯の時間だけ休憩にしてもらったと言い、リンと一緒に夕飯を食べますが、その間もリンは部屋の隅やテーブルの下に現れる少年の霊を見て怯え続けます。チンにはその姿は見えず、やがてすがるリンを置いて勤務に戻って行きます。
少年の霊はチンが出掛けると同時に再び現れ、水を滴らせながら歩き回り、さらに京劇姿の美しい女が現れ、大きな眼でリンをギロリと睨み舞い始めます。彼女は怯えて戸棚に隠れますが、2体は外からじっと睨んでいました。
一方、勤務に戻ったチンは重体の夫がカッと目を見開く悪夢で目覚め、巡回中、ブランコのような不気味な音に追われて怯え、「まだ私を苦しめたいの?!出て来なさいよ!もうあんたなんか怖くないわ!」と叫んでいました。

翌日、戸棚で眠れぬ夜を過ごしたリンは、登校の支度をして逃げるように家を出ますが、路面電車の駅や歩道にうずくまり佇んでいます。
チンは仕事帰りに夫の遺骨を引き取り、独り埠頭で散骨し、リンを迎えに行きますが、登校してないと聞き街中を探し回ります。
夜も更けた頃、リンはアパート近くの階段に座り、家族の絵を描いていたところをチンに見つかり叱られます。リンは私の話を聞かないくせに!帰りたくない!と怒りますが、チンは「どうして私を困らせるの?!」と怒鳴り、強引に連れ帰ります。
家に帰るなり、リンはバスルームに立てこもって絵を描き、チンが呼んでも返事もしません。炊飯器にはご飯とおかずが残されていて、一日中腹を空かせたまま街を彷徨っていたと知ったチンは、扉の前で謝ります。ドアにカギは掛かっておらず、リンは泣きそうな顔で絵を描いていただけでした。

チンはリンに改めて詫び話を聞きますが、本当に怖いの!この家にいたくない!と言う一点張りで埒が開かず、ママもイヤだけど仕方がない、ともかくご飯を食べようと説得し手を引いて居間に行こうとします。
けれどリンは居間に入るのを拒み、あの人たちは私たちを嫌ってる!早く引っ越さなきゃ!と懸命に訴えます。そしてお婆ちゃんちは?!と言いますが、チンは、何度も言うけどもう他人だと言い、お婆ちゃんは悪くないでしょ?!と言い返されブチ切れます。
「この家を探すのがどんなに大変だったか!他人を頼らず生きて行きたいの!」…
リンがだって幽霊屋敷だよと呟くと、さらに怒り狂い、ママが仕事を辞めればいいのね?!そうすればここに住めなくなる!あんたなんかお婆ちゃんちでも孤児院でも勝手に行けば?!と叫んでリンの荷物をぶちまけ、彼女を何度も叩きます。リンは泣きながら部屋に逃げ込み、チンは娘を叩いた我が手を愕然と見つめます。
深夜、チンは、疲れて寝込んでいる娘の部屋にそっと入り、その腕に掴んだような小さな手の跡があるのに気づき、娘の話が真実だったと知り嗚咽します。その彼女を濡れた少年と京劇姿の女がじっと見つめ、フードの男も泣いていました。

【転】- 悪霊の棲む家(2005年香港)のあらすじ3

翌朝、リンはチンに手を引かれ通学路を歩きますが笑顔は無く、途中で1人で行けるからと分れます。
帰宅したチンは、居間の壁に大きな赤い字で「キム・クォク 苦しんで死ね」と描かれているのを見て愕然とし、不動産屋に電話しますが名前を言った途端電話を切られます。
彼女は、”キム・クォク”をパソコンで検索し、”夫の浮気で妻が5歳の息子を殺害後自殺”と言うこのアパートで起こった事件を見つけます。が、画面はすぐに見知らぬ女が居間の壁にあの文字を書きなぐるシーン、そして件のバスルームのシーンへと切り替わります。
その時、バスルームで水音がし、見ると女が必死に抵抗する息子をバスタブに沈めていました。女は派手なシルクのガウンで、息子が暴れるたび水が溢れ、足元にこぼれます。やがて息子は動かなくなり、女は京劇の衣装で現れ、その帯を居間の天井扇に掛け首を吊り息絶えます。
けれど、その顔はチンの顔に変わり悲鳴を上げたところで、彼女は水浸しの廊下で正気に返ります。彼女は怯えて部屋を飛び出し明るい昼間の雑踏へと逃げ出しますが、ガックリと膝をつく彼女に声を掛けたのはリンでした。

チンは、ワイに助けを求めますが部屋には帰れず、リンと抱き合ったまま近くの階段で待っていました。
彼は幽霊を見たと訴える2人に疲れてるだけだと言い一緒に部屋に入り、壁に描かれたキム・クォクと言う名前を見て何かを思い出した瞬間、フードの男に棒で殴り倒されます。
男は完全に狂っていて、「今帰ったぞぉ~!」と叫び、なぜ男を連れ込んだ?あいつはお前と寝たいだけだ!お前を愛してるのは俺だけだ!と叫びチンの首を締め上げますが、彼女が指差した先を見て凍りつきます。そこに立っていたのは京劇姿の女と幼い息子でした。
男は泣きながら懸命に謝りますが、女は首を傾げてじっと見つめ、やがて天井扇から京劇の帯が下がってきて、男は観念したかのように首を吊り息絶えます。
彼女が深夜勤務で聞いたあのブランコのような音は、キム夫妻が首を吊った時の天井扇が軋む音でした。

【結】- 悪霊の棲む家(2005年香港)のあらすじ4

ワイは2人を病院に送り、リンは念のため病院に1泊させると言い、チンに忘れた方がいいと言います。けれど彼女は、1か月前、夫をなぜその場で殺さなかったのか聞きたかったと言い、「夫は借金を重ねて警官をクビになって以来薬物に溺れ、暴力を振るうようになり、金も底を尽き何もかも失った。けれど彼が強盗容疑で撃たれたと聞いた時、彼をどうか死なせてと神に祈った」と話します。そして、意識不明の夫に1人で付き添っている時、突然夫が起き上がり、激しく喘いで救いを求めるように彼女を見つめたと。
彼女はナースコールに手を伸ばしましたがどうしても押せず、夫がすがるような目で見つめながら息絶えたのを確認した後、看護師を呼びに走ったのだと打ち明けます。
それを聞いたワイは、彼女に背を向け「人生には忘れた方がいい事もある」と言い、去って行きます。

1人帰宅したチンは、何者かの気配と音を聞きます。けれどバスルームには異変は無く、居間に行くとキム・クォク一家が食事をしていて、彼女を振り向き満面の笑みを浮かべます。その瞬間彼女は、暗いどこかへ引きずり込まれる幻覚を見ます。

翌日、病院から戻ったリンは部屋が片付いているのを見て、お婆ちゃんちに引っ越すの?と聞きます。けれどチンは亡霊のように居間の隅で壁を向いて立ち、壁沿いにゆっくり歩いてバスルームに行き、バスタブに水を溜め始めます。
チンが感情の無い眼で振り向いた時、リンは廊下にいて、大粒の涙をこぼし立ちすくんでいました。

ある晴れた日。チンはあの大きなソファに座り、膝枕で眠るリンの髪を撫でています。
そこに不動産屋が若い夫婦を連れて来て、彼女の時と同じ売り文句を並べ立てます。3人はチン母娘を無視して、契約の準備に掛かります。
暖炉の奥からは、苦しげな吐息のような音が響いていました。

みんなの感想

ライターの感想

同年「悪魔の棲む家」のリメイク版公開の陰でひっそりとリリースされたものの、プチョン国際ファンタスティック映画祭では高評価を得たという味のある佳作です。原題の「凶宅」とは日本でいう瑕疵物件の他、風水的に悪い、詐欺などの問題物件など様々なんだとか。
「インファナル・アフェア」など数々のヒット作の撮影監督で知られるン・マンチン監督の映像は美しく、アパートも見上げれば廃屋、周囲は賑やかな市場と階段だらけの古い街並みに囲まれ、室内も広く、老朽化した瑕疵物件でなければかなりいい部屋だったのかも。
またなかなか映らず解りにくいのですが、居間の電灯が通常では暗色のデカい物で、怪奇現象が始まると天井扇へと変わったりもする。凝ってるのに生かせてないのが本当に惜しい。
ワイ役チョン・シウファイは「殺人犯」(2009年香港)でも同じような役回りで、チンが壊れるのには十分すぎる仕打ちだったと思います。
大人の事情に振り回される子供たちはどちらも憐れで、少年がびしょ濡れになりながらも楽しそうに鉛筆を削る姿は痛々しかったです。

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