映画:模倣霊

「模倣霊」のネタバレあらすじと結末

模倣霊の紹介:声真似で人を誘い喰らう妖怪萇山虎(チャンサンボム)の恐怖を描いた2017年の韓国のホラー映画。監督/脚本は「かくれんぼ」のホ・ジョン。出演は「箪笥」のヨム・ジョンア、「義兄弟」などの名脇役で知られるパク・ヒョックォン。謎の少女を「殺人者の記憶法」の子役シン・リナが演じている。

あらすじ動画

模倣霊の主な出演者

パク一家/妻ヒヨン(ヨム・ジョンア)、夫ミノ(パク・ヒョックォン)、娘ジュニ(パン・ユソル)、祖母スンジャ(ホ・ジン)、息子ジュンソ(チョン・ジフン)、謎の少女ジュニ(シン・リナ)、巫女(キル・ヘヨン)、巫堂(ムーダン=祈祷師/イ・ジュニョク)、キム・ジニョン刑事(イ・ユル)、パク警士(イム・ジョンユン)など。

模倣霊のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①韓国の萇山(チャンサン)洞窟の近くに、パク一家=獣医の夫ミノと妻ヒヨン、幼い娘ジュニとミノの老母スンジャが越してくる。そこはスンジャの生まれ故郷で、5年前行方不明になった息子ジュンソの最後を知るスンジャの記憶を取り戻すための転地療養だった。子供返りしたスンジャは、その地に伝わる声真似をする妖怪に怯える。②犬を探す地元の子供によりパク夫妻は萇山(チャンサン)洞窟を知り、ヒヨンは森で幼い少女と知り合い、ミノは洞窟で女性の遺体を発見する。遺体の女性を殺害した犯人は後に自宅の鏡の中から被害女性に呼ばれ恐怖に慄く。キム刑事は現場で古い親子写真を発見するが、写真の少女=森の少女はパク家に現れ、娘と同じくジュニと名乗って保護される。③森のジュニは容易くヒヨンに取り入るが、ミノは不信感を抱き、地元の巫女にも警告され、間もなくスンジャが死んだ兄の声に誘われて失踪。④夫妻は警察に通報し、キム刑事の捜査で、萇山(チャンサン)洞窟付近で謎の声に導かれた失踪事件が多発している事が判明。④間もなくミノも失踪し、ヒヨンは巫女から、萇山(チャンサン)洞窟には声真似で誘い人を喰らう妖怪萇山虎(チャンサンボム)がいて、それを崇めて取り憑かれた巫堂(ムーダン/祈祷師)親子がいた事、またその娘が森のジュニであると聞くが、娘の境遇を憐れみジュンソと重ねて思いを深める。⑥ヒヨンはミノとスンジャを取り戻すため、娘のジュニを呪具で護って自宅に残し、森のジュニと共に萇山(チャンサン)洞窟に向かうが…。

【起】- 模倣霊のあらすじ1

模倣霊のシーン1 深夜、萇山(チャンサン)の山中を猛スピードで走る1台の車。運転している男はひどく怯え、助手席の女を怒鳴りつけるうち、飛び出してきた犬を撥ね、フロントガラスにひびが入ります。
男は瀕死の犬を車のトランクに入れますが、中には縛られた別の女がいて声無き悲鳴を上げていました。
カップルはやがて、山奥の萇山(チャンサン)洞窟にたどり着き、男は捕まえた女を殺害し、洞窟の入口を塞いでいたブロックを壊し、洞窟の内側にあったお札や鈴の付いた注連縄などを引きむしります。
その瞬間、洞窟の中からは獣のような唸り声がして森がざわつきますが、男はかまわず殺した女と犬の死骸を洞窟の中に運び込み、元通りにブロックをはめ込みます。
男は怯える女と共に去ろうとしますが、背後から殺した女に呼ばれて振り返り、ブロックを外して洞窟を覗き込みますが、中からはたった今彼らが話した言葉や殺害時の女の悲鳴や犬の悲鳴が響き渡ります。
森はざわつき、カップルは消え、洞窟の中からは幼い子供の笑い声と獣の唸り声だけが響いていました。

パク一家が、ソウルから萇山(チャンサン)に越して来ます。
それは老母スンジャの故郷への転地療養で、認知症で失われた記憶が戻るかもという妻ヒヨンのたっての希望で、スンジャが掛かっていた病院の女院長キムの勧めでもありました。
一家は、獣医師の夫ミノ、妻ヒヨンと幼い娘のジュニ、夫の母スンジャの4人暮らしですが、引っ越しには数頭の犬も一緒で、早速”森と風と犬のペンション”を始める準備にかかります。
住まいは森の入口にある立派な建物で、庭には犬たちの飼育小屋もあります。庭から続く草原には、深い森の萇山(チャンサン)洞窟へと続く入口があり、一家を遠巻きに見つめる巫女らしき女がいました。

娘のジュニは幼く無邪気な少女で、タブレッドのモノマネアプリに夢中ですが、かつてはもう1人、5年前にソウルで行方不明になった息子のジュンソがいました。
事件の際にはもちろん両親とも必死で探したのですが、今も行方知れずのままで、思い詰めたヒヨンは精神を病み、萇山(チャンサン)の町角でも息子に似た少年を見かけては追い掛け、ミノに「もう一度捜しましょ!」と泣きながら訴えるのです。
ミノはそんな彼女を案じてはいますが、「今はジュニの事だけ考えよう。ジュニにはお前しかいないんだぞ」と励まし、ジュンソの事は半ば諦めているようです。
肝心のスンジャはヒヨンには無反応で、引っ越した直後から森を見つめていましたが、ある朝、庭のソファに座っていた彼女にジュニが話しかけると、昔死んだ姉と思い朗らかに話し始めます。
けれどすぐに森を見て怯え「死んだ兄さんの声がする。でもあれは兄さんじゃない。『死人の声が聞こえる時は”あれ”が近くにいる』と母さんが言ってた。姉さん!早く帰ろう!」とジュニの手を取り、逃げ出したのです。

またある日、ヒヨンは、飼育小屋を覗いていた幼い子供たちに出会います。その姉ヒョジョンと弟ヒョミンはいなくなった愛犬トッティを探していました。ヒヨンは犬探しのビラを受け取り、優しく励まします。3人は知る由もありませんが、2人の犬は冒頭でカップルが撥ねた犬でした。
ほどなくしてヒョミンが「森の中からトッティの声が聞こえる」と言い出し、一緒に森に入って行きます。
森の奥にはカップルの車が残されていて、姉弟はその奥の立ち入り禁止の札がかかった柵の抜け穴をくぐり、萇山(チャンサン)洞窟へと辿り着きます。
洞窟の中からはトッティの鳴き声が聞こえていて、入口のブロックには人一人が通れるほどの穴が空いていました。
ヒョジョンは穴に上半身を乗り出しトッティを呼びますが、微かな鳴き声はするものの、中は暗くてよく見えません。その時突然ヒョジョンのスマホが鳴り気を取られた瞬間、彼女は中にいた誰かに引きずり込まれます。

ヒョジョンは間もなく出て来てパク夫妻に助けを求め、ミノと一緒に洞窟を調べますが、内部は誰かが暮らした痕跡はあれど、犬も人も見当たりません。
その間、ヒヨンは脇にあった小屋で、テープで巻かれ獣の毛のようなモノがまとわりついた鏡を見つけてテープを剥がし、それに映り込んだ幼い少女を見て周囲を探し、薄汚れた赤いワンピースの少女を見つけます。
間もなくミノもやってきて声を掛けますが、少女は何も言わず怯えるばかりでした。
その時洞窟から姉弟の助けを呼ぶ声がして、ミノが戻って行きますが、少女はヒヨンの服の裾を掴んで引き留めます。
しかし、姉弟の声は止まず、やむなく彼女は少女に、その場にいるよう言い聞かせて洞窟へと戻って行きます。
洞窟の奥の鉄の扉の向こうには薄汚れた女が閉じ込められていて、扉を開けたミノに向かって倒れ込み死亡します。

洞窟には警察がやってきて騒ぎになり、姉弟も母親に引き取られていきましたが、森にいた少女はいなくなってしまいます。
また捜査は、キム・ジニョン刑事が古びた親子写真を見つけただけで一向に進まず、パク警士に足止めされ何度も事情を聞かれたヒヨンはブチ切れ、「いつまで待てばいいんですか?!女の子は見つかったの?!探す気が無いなら私たちで探します!」と怒鳴ってその場を後にします。彼女は息子の一件がいまだ解決しない事に苛立ち、警察に不信感を抱いているのです。
親子写真に写っていたのは森にいた少女と父親と思しき男でした。

その夜、森にいた少女は、見つけた時と同じ服装でパク家にやってきて、ヒヨンは迷わず保護しますが、その靴には白い獣のような毛がまとわりついていました。
また、一家の家を遠巻きに見ていた巫女らしき女は、祈祷所の鈴が鳴るのを見て何かの気配を感じ取っていました。
一方、キム刑事は、洞窟にまつわる事件の資料を調べ始めますが、そのほとんどが「死んだ兄弟や家族の声が聞こえる」「その声で洞窟に呼ばれた」と言い出し、失踪するという共通点がありました。

ヒヨンは早速少女を風呂に入れますが、その体は傷ましい痣と傷で覆われ、服からは血が染み出していました。またジュニの服では大き過ぎ、やむなくジュンソの服を着せる事に。
さっぱりした少女はとても可愛らしく、ようやく声を発しますが、ヒヨンをママと呼び、娘と同じくジュニと名乗ります。
その後ヒヨンは、居間のソファでジュンソの映像を見ながら眠ってしまい、様子を見に来たミノも微笑みながら続きを見る事に。
すると2階の子供部屋からジュニの笑い声がしたため見に行きますが、それは森のジュニがモノマネアプリで遊んでいた声でした。
ミノは少々戸惑いますが、おやすみの挨拶をしただけで終わります。

【承】- 模倣霊のあらすじ2

模倣霊のシーン2 翌朝、ヒヨンは居間のソファで、ジュンソに呼ばれる夢を見て目覚め、夫妻は互いに「目がかすむ」と話していましたが、玄関にあの巫女が現れ声を掛けます。
巫女は盲目で、ヒヨンの目に手を当て「危険だ」と言い「洞窟が開いた…声がまた聞こえる…早くここを去れ!」と警告し、逃げるように帰っていきます。
その日、森のジュニは、家族の隙を見て箪笥や化粧箱を調べて鏡を開き、庭で両親と遊んでいた娘のジュニを見て、同じ言葉同じ声で笑っていました。
またミノは飼育小屋で、ジュンソの元気な笑い声と「お菓子をあげるとよろこぶね!もっとあげていい?」と言う声を聞き檻を見に行きますが、そこにいたのは森のジュニで、彼女に対して疑念を抱き始めます。

一方、警察署には冒頭のカップルの男ジョンスが、洞窟の近くに乗り捨てられていた車の所有者として呼ばれ、キム刑事に事情を聞かれていました。
彼は車の所有者であることは認めますが、やはり目がかすみ、(殺害され、後に洞窟の奥から出て来て死亡した女)ミンジの死体が発見されたと聞いた途端、彼女の「洞窟に来て」という声を聞いて耳を掻き、冷や汗を流します。
自宅に戻ったジョンスは、何かをノックする音に気づき衣装箪笥を開けますが、耳元で「あなた…助けて」というミンジの声を聞き、箪笥の鏡が向こう側からノックされている事に気づいて腰を抜かします。
ミンジの声は絶叫に変わり、ノックしていた手は出してと言わんばかりに、激しくもがいていました。
その頃パク家では、ヒヨンが娘のジュニを寝かし付けた後、森のジュニの様子を見に行きます。森のジュニはヒヨンの服を掴み「行かないで」と呟きます。
ヒヨンはその荒れた手を憐れんで出て行きますが、間もなく森のジュニは起き出してスンジャの部屋に行き「スンジャ…お兄さんだよ」と声を掛けます。

翌朝ミノは、ヒヨンが森のジュニの件を警察に届けてない事を知り「親が必死で探してるぞ、他人事とは思えない。早く警察に連れて行ってやれ」と言い、娘のジュニを学校に送りに出ますが、ヒヨンは気が進まないようです。
スンジャは「お兄さんと家に帰ろう…今まで辛かったよね…こっちにおいで…」という幻聴が止まらず、憑かれたように耳を掻いていました。
しかし2人が出掛けて間もなくキッチンが荒らされ、森のジュニは2階の箪笥の中に子犬と一緒に隠れていて、それをヒヨンが見つけて外に出した途端、包丁を持ったスンジャに襲われます。
スンジャは森のジュニを狙っていて、2人がもみ合う中、森のジュニは飼育小屋に逃げ込み、ヒヨンも追って駆け込み閉じこもります。
スンジャはそれでも包丁を持って追いかけてきて「あれは兄さんじゃない!間違いなの!」と叫んで扉を叩いていました。

一方、森のジュニはその隙に奥へと逃げ、鏡を割ってその破片をナイフのように持ち、奥の檻の犬たちの中で怯えていました。
ヒヨンは優しく声を掛けながらひざまずいて近づきますが、怯えたジュニは破片をヒヨンの喉元に当てじっと見つめています。ヒヨンはひるまず髪を撫でようとしますが、噛みつかれ大粒の涙を流します。
彼女はそれを振り払わず、反対の手で髪を撫で「家を出てから…つらかったでしょ?…可哀想に…ごめんね…お願い…ママを許して…」と泣き出し森のジュニを抱きしめます。
彼女は森のジュニが、行方知れずの息子ジュンソに思えて仕方が無かったのです。

その夜、ミノはスンジャの部屋の飲み残された薬や、テープで隙間なく目張りされている鏡を見て「お母さんがやったの?」と言いますが返事はありません。
彼はキッチンで片付けをしていたヒヨンに「薬を吐き出してたらしい。もう2人では母さんの面倒を見切れない。明日病院に連れて行く。キム院長にも連絡した」と話します。
しかしヒヨンは「私がもっと頑張るから大丈夫。頼みの綱はお義母さんなのよ」とこぼします。
ミノは「まだそう思ってるのか?」と言葉に詰まりますが、そこに森のジュニが降りてきて、ヒヨンをママと呼び、彼女も実の娘にするように「眠るまで一緒にいてあげる」と微笑み手を繋いで去って行きます。
去り際、森のジュニは「パパ、おやすみ」と声を掛けますが、ミノは愕然として見送るしかできませんでした。

ヒヨンは森のジュニを寝かせて出て行こうとしますが、入口にあった鏡がやはりテープで塞がれているのに気づきます。
しかし森のジュニに「ジュンソって誰?」と聞かれて座り直し、「ジュニのお兄ちゃんよ。でもどこにいるか分らない」と話します。森のジュニは「私のお兄ちゃん?」と聞き直し、ヒヨンも少し迷って「そうよ」と答えます。
ジュンソは、買い物に行った際、ヒヨンがジュンソをスンジャに預けて目を離した、ほんの少しの時間にいなくなったのです。
スンジャはすでに認知症を患ってはいましたが、泣きだすほど固くその手を握っていたはずが、知らぬ間に玩具にすり替えられていたのです。
「おばあちゃんは、知ってるけど話してくれない。おばあちゃんは頭が痛いの。だから思い出せない…」

その話を影で聞いていたミノは、スンジャの荷物を乱暴にまとめ始めますが、ヒヨンに阻まれ言い合いになります。ミノは、ヒヨンが不審な行動をする森のジュニに思い入れる事に、怖れを抱いていたのです。
方やヒヨンは、森のジュニの境遇にジュンソを重ねて憐れみ、罪滅ぼしと諦めたくないという執念に取り憑かれ、引き離そうとするミノを激しくなじり「ソウルに戻ってまたビラをまく!」と泣きながら、荷物を元に戻します。
その騒ぎで娘のジュニは怯えて泣き出し、ミノは絞り出すように「俺たちの息子は死んだんだ…諦めよう」と苦渋の言葉を漏らし、涙をこぼします。

深夜。スンジャの部屋の目張りした鏡の隙間から、亡くなった彼女の兄と姉の声が聞こえます。兄と姉はスンジャを憐れみ「一緒に行こう…家に帰ろう」と呟き続け、彼女はついに「姉さん、兄さん、会いたかった…」と泣き出し、森の中を進んでいきました。
翌朝、スンジャがいないことに気づいた夫妻は必死で探しますが、ミノがスンジャの鏡のわずかにテープが剥がれた隙間から泥水が垂れている事に気づき、テープを剥がします。鏡には内側から泥だらけの手で付けたような手形がついていました。
彼は庭で、森のジュニと2人きりになり「おばあちゃんはどこだ?」と聞きますが、そのまま行方知れずとなります。

その夜は激しい雨となり、ヒヨンの知らせを聞いたキム刑事たちが駆けつけます。
ヒヨンは彼に、「義母が行方知れずになり、夫は義母を探しに行って何かあったのでは?」「犬がいなくなり、探してた姉弟もいた」「この辺りは不気味だ」「以前捜してと頼んでいた女の子も家にやって来たので数日預かってたが、この辺りで迷子になったんだと思う」と話します。
キム刑事は森のジュニの捜索願いが出ていないかを部下に調べさせ、「とりあえず会わせてください」と頼みます。
しかし森のジュニはいなくなり、捜索願いも出ておらず、娘のジュニもわけがわからないようで、結局ヒヨンが「おかっぱで赤いワンピースを着てた」と話しただけで終わります。

また去り際、キム刑事は「あまり心配せずに我々に任せてください」「赴任したばかりでまだ詳しくはないが、この辺りでは失踪事件が多く、少女の失踪も何件か報告されています」と話し、スマホで洞窟で発見した父娘と思しき古い写真を見せます。
ヒヨンははっとして「この子です!」と言いますが「その写真は80年代頃の物だ」と言われます。
署に戻ったキム刑事はこれまでの証言を検証し、その写真の少女の目撃談は数多いが、少女の身元は不明である事を知ります。

【転】- 模倣霊のあらすじ3

模倣霊のシーン3 その後ヒヨンは、どしゃ降りの雨の中を必死で森のジュニを探しますが、件の巫女に肩を叩かれ、一緒に彼女の祈祷所に行きます。
巫女は、その地に伝わる”萇山虎(チャンサンボム)”の事を語り始めます。
「萇山虎(チャンサンボム)は、その地の民話に登場する声真似をして人を惑わす虎の姿の妖怪で、かつてはそれを崇める巫堂(ムーダン/祈祷師)が大勢いた。
ある時その地にやってきた巫堂(ムーダン)も萇山虎(チャンサンボム)を崇め始めたが、件の洞窟に棲みついていた萇山虎(チャンサンボム)に選ばれ、凡庸だった霊力が強まり、農家の犬を殺して生血をすするなどして怖れられるうち、(録音の音声のように)声真似ができるようになった。
その巫堂(ムーダン)には、強い霊力を持つ幼い娘がいて、彼にひどく虐待されながらも逃げた母親を待ち続けていた。
萇山虎(チャンサンボム)は徐々に巫堂(ムーダン)の魂を奪い、彼は祈祷と己の血を鏡に捧げたが、萇山虎(チャンサンボム)はより強い霊力を求めた。
やがて彼は、甕に娘を閉じ込めて洞窟の前に置き、大きな鏡に豚の血を塗り、萇山虎(チャンサンボム)に捧げる祈祷をし、受け入れられた。
以来、巫堂(ムーダン)父娘は萇山虎(チャンサンボム)の下僕となって姿を消し、村人が消え始めた。村人は萇山虎(チャンサンボム)の生贄にされたのだ」と。

また「霊力が強いのは娘の方だ、彼女が気を乱したところに巫堂(ムーダン)が現れる、ヒヨンに娘が見えるなら、巫堂(ムーダン)の姿も見え始める」
「絶対に彼らを信じてはならない、奴らは手段を選ばない、罪悪感や怒りや恋しさなどの弱みにつけ込むだろう」とも。
そして「目がかすむのは気が弱まっている証拠だ」と言い、一時的に魔物を除けられるという縄の輪に鈴を着けた呪具を渡します。
その瞬間、無風状態だった祈祷所の鈴や鐘が一斉に鳴りだし、巫女は「すぐに去れ!長くいるのは危険だ!」と言います。

ヒヨンは、どしゃ降りの雨の中を必死で家に向かいますが、家では、眠っていた娘のジュニが、ただならぬヒヨンの声を聞き、目を覚まします。
その声は風呂場から聞こえ、差し迫った様子でジュニを呼んでいましたが、出て来る様子がありません。異変を感じたジュニが恐る恐る覗くと、洗面所の鏡から見知らぬ血だらけの男=巫堂(ムーダン)が出てくるところでした。
彼女は悲鳴を上げて飼育小屋に逃げ込み立てこもりますが、巫堂(ムーダン)はミノの声真似をしながら追いかけてきて、扉のガラスを割って腕を突っ込み捕まえようとします。
娘のジュニは奥の檻に逃げ込みますが、そこに優しいヒヨンの声で話す森のジュニが現れます。
森のジュニは、以前ヒヨンがそうしたように膝をついて這い寄り、いたいけに微笑みながらガラス片を突きつけ「私を信じて。一緒に行こう」とヒヨンの声で囁きます。
彼女はガラス片を握った手で娘のジュニの髪を撫で、反対の手の平を差し出しますが、その瞬間、ヒヨンが家に戻った玄関の音が聞こえ、2人は同時に家の方を振り返ります。
戻ったヒヨンは、洗面所の有り様を見て事態を知り、必死に娘のジュニを探し、娘の携帯に電話をします。
その着信音は子供部屋の箪笥から聞こえ、中には2人のジュニが隠れていて、娘のジュニが「(森の)ジュニが助けてくれた」と呟きます。

ヒヨンは「消えた人々を助けるには洞窟に行かねばならぬが、そこは萇山虎(チャンサンボム)の縄張りで、”(救出できる)道”を知っているのはあの少女(森のジュニ)だけだ」と言う巫女の言葉を信じ、森のジュニに本当の名前とミノとスンジャの居場所を聞きます。
森のジュニは、本当の名前は明かしませんが、仕草で2人は洞窟にいるが巫堂(ムーダン/父親)が怖いと示し、「洞窟に行けば”道”に案内してくれる?」というヒヨンに「(洞窟の中では)ママが守ってくれるよね?」と涙ぐみます。

ヒヨンは家中の鏡を塞いで、子供部屋を呪具やお札で封じ、娘のジュニに「ジュニが大好きな童話『お日様とお月様』のような事が起こる。ママや誰かの声がしてもそれは虎が真似ているだけから絶対信じちゃダメ。朝になってもママが戻らなかったら、警察に電話して」と言い含めて閉じ込め、森のジュニと一緒に森に向かいます。
(*『お日様とお月様』=『おおかみと七匹のこやぎ』に似た韓国童話。虎の妖怪に母親を食われた幼い兄妹が、母親の声真似で騙して兄妹をも食おうと目論む虎を機転を利かせてやり過ごし、逆に騙して退治する話。やがて兄妹は太陽と月に化身し人々を見守る)

萇山(チャンサン)洞窟の扉の奥には長い下り階段があり、その先は天然の長い洞窟になっていました。森のジュニはヒヨンに「絶対に声を出さないで」と言い、彼女の前を歩いて行きますが、途中でヒヨンの目がかすみ、つまづいて声を発してしまいます。
その途端、辺りからは萇山虎(チャンサンボム)に捕われている人々の助けを求める声が響き渡ります。
彼女自身やミノやジュンソ、スンジャの声、幼い子供の声も複数あって、皆泣いたりわめいたり、「目が見えない」「洞窟で迷子になった」「助けてくれ!」と叫んでいました。
また中には「その子について来てこうなった」というのも複数あり、彼女は思わず森のジュニを振り返りますが、そのジュニは涙ぐみ、声なき声で違うと訴えていました。

それはやがてはっきりと娘のジュニの声で「変なおじさんについて来たらこうなった」と訴えた後悲鳴となり、ヒヨンは涙ぐんで娘の名を呼び、洞窟の奥を照らしますが、奥からはジュンソの笑い声がして、腐乱死体のような巫堂(ムーダン/森のジュニの父親)が走り出して来ます。
彼女は森のジュニの手を引いて必死で逃げ出し、洞窟の細い横穴に逃げ込みますが、穴につかえて手間取るうち、後ろから娘のジュニの「ママ!」という声がして思わず振り返りますが、その声は巫堂(ムーダン/父親)が発している声でした。
彼女は悲鳴を上げてなんとか通り抜けますが、巫堂(ムーダン/父親)はその穴を抜けられず、ニヤつきながら戻って行きました。

その穴の先は古い鏡がたくさんある部屋で、彼女はまずジュンソが失踪した際、ミノと怒鳴り合っていた自分の声に慄然とし、続けて助けようとするミノの声に動揺します。
部屋には彼女の家庭での揉め事の声が響き渡り、「ジュンソはもう死んだんだ…生きているはずがない」というミノの声、そして泣きながら息子に詫びる自分の声を聞いた彼女は、よろけて一番大きな鏡に寄り掛かり、耳を塞ぎます。
すると鏡の中から巫堂(ムーダン/父親)が現れて、彼女を背後から抱きしめ、優しい夫の声で「ヒヨン…大変だったよな…もう十分苦しんだよな?…ゆっくり休もう…こっちへおいで…」と囁きます。
彼女はその囁きに身をゆだね、その身が鏡に埋まり始めますが、そこに本当のミノが現れ、彼女を引き上げ鏡を壊し始めます。
彼はその大鏡を太い鉄パイプで叩き続けますが、大鏡は割れないものの、周囲の鏡にひびが入り始め、最後の一撃で鏡の中に巫堂(ムーダン/父親)が現れ、獣の咆哮を上げ、白い体毛のバケモノへと変わり、奥へと沈んでいきます。
周囲の鏡からは絶叫が響き、閉じ込められた人々が暴れていました。
ミノは「上に逃げ道がある、俺はそこから落ちた、上がって助けを呼ぶんだ」と言いますが、彼はすでに視力を失っていて逃げられません。
ヒヨンは怯える森のジュニとミノを救うため、その穴から逃げ出す決意をします。
一方、外では夜が明け、娘のジュニから知らせを受けたキム刑事が洞窟に向かい、金網を抜けていました。

【結】- 模倣霊のあらすじ4

模倣霊のシーン2 ミノが落ちた穴は、井戸ような急な深い穴で、岩の表面は湿気で滑り、なかなか頂上までたどり着けません。
ヒヨンは、それでも必死に穴を登っていましたが、ようやく頂上に手が届こうというその時、ポケットのスマホにキム刑事からの電話があります。
彼女はなんとか片手で掴まり必死に助けを求めますが、「もうすぐ着きます!」と言われた瞬間バランスを崩し、スマホを落としてしまいます。
そのはずみでついに彼女が落ちかけたその時、上から彼女の手を掴み、キム刑事の声で「奥さん!大丈夫ですか?!」と言われます。
上を見上げた彼女が見たモノは、崩れた顔でニヤつく巫堂(ムーダン/父親)でした。
彼女は悲鳴を上げて穴を滑り落ちてしまいますが、ミノに助け起こされ、再び細い横穴を通り鏡の部屋へと逃げ込みます。
しかし、追ってきた巫堂(ムーダン/父親)の足はひび割れて崩れ始めていて、顔には虎のような体毛が生え、獣の唸り声をあげながらも、やはり穴が抜けられずパパ!ママ!と子供の声で呼ぶのです。

夫妻は別な道から逃げようとしますが、森のジュニも震えて泣きながら「ママ!」と呼んでいて、ヒヨンは思わず振り返りますが、ミノは「あの子だろ?!信じちゃダメだ!早く逃げよう!」と叫んでいます。
森のジュニはヒヨンを小さな細い腕で抱きしめ「ママ…行かないで…」とすすり泣きますが、ヒヨンの視力はほとんど失われていて、その顔すらも分らなくなっていました。
その時ミノが見えない目でヒヨンの手を探り当て、手を引いて逃げ出します。
森のジュニは「ママ…私を守ってくれるんでしょ?!…そばにいる約束でしょ?!」と泣きながら立ちつくしていました。
溶けた巫堂(ムーダン/父親)は穴につかえたまま唸っていましたが、その顔がひび割れて崩れ、同時に大鏡が割れて落ちます。

夫妻は手を取り合って暗い洞窟の中を通り抜け、長い長い階段を昇り始めますが、その途中で穴の底からジュンソの声が聞こえ、ヒヨンだけが振り返ります。
「ママ…僕だよ…ジュンソだよ…どこにいるの?…僕はここだよ…」…それでも彼女は登り続けますが、その声が「…僕をまた置いて行くの?」と泣き出した瞬間、凍りついたように立ち止まります。
ミノは必死で「あれはジュンソじゃない!行くんじゃない!」と止めますが、彼女はミノの手を離れ「ごめんなさい…すぐ戻るわ」と言い階段を降り始めます。
完全に視力を失ったミノには、懸命に妻の名を呼ぶ以外、どうする事もできませんでした。

彼女は泣きながら洞窟を歩き「すぐ戻ると言ったでしょ?これからはママの言う事を聞くよ…だから置いてかないで」とジュンソの声で泣き続ける、ぼんやりとした幼い影に泣きながら近づき、何度も謝り「ずっと会いたかった…置いてったわけじゃない…ママはすぐに戻ったのよ…私のジュンソ!大事な息子!…会いたくてたまらなかった!」と言い、その子を抱きしめます。
その子は「ママ…」と彼女を呼び強く抱き返します。
一方、ようやく洞窟から脱出したミノは、駆けつけたキム刑事に救われます。
その子は、完全に視力を失ったヒヨンの手を引き、一緒に洞窟の奥へと歩いていきました。

森が雪化粧をし始めた頃、洞窟の入口は鉄の扉で封鎖されていました。
森の中には、子供たちが母親を呼ぶ声や笑い声、スンジャの「息子や…私を置いて行くの?」という呟きが、そしてヒヨンの細い子守唄が、染みるように響いていました。

みんなの感想

ライターの感想

韓国映画が得意とする、心を掻きむしるような哀しい親子の情愛物語です。
ともかく魔物がいたいけでこの上なく可愛らしい少女だというのが卑怯すぎる^^;この脆弱で幼く憐れな少女を見て、立ち止らない大人はいないと思います。いたいけな少女の姿のままで終わるラストシーンも物悲しく、そして怖ろしい印象を残します。
思えば80年代に少女だった人間が少女のままのはずがないし、結局最後の最後まで少女は”ジュニ”だと言い張り(※区別するために勝手ながら”娘のジュニ””森のジュニ”とさせて頂きました)ヒヨンも時折勘違いするほどで、「(獲物を欺く、洞窟へと誘う)霊力は父親以上」だという恐ろしさに慄然とさせられる。
ホ・ジョン監督の前作「かくれんぼ」の狂気も凄まじかったですが、本作でもイ・ジュニョク演じるところの巫堂(ムーダン/父親)は凄まじく恐ろしいです。
ヒヨン役「箪笥」のヨム・ジョンア、ミノ役「義兄弟」のパク・ヒョックォンもこの上なく優しい良い親でしたし、森のジュニ役シン・リナには「殺人者の記憶法」でも泣かされました。娘のジュニ役パン・ユソルを始め、子役がともかく素晴らしい。ぜひ映像でご覧頂きたい作品です。

映画の感想を投稿する

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

映画「模倣霊」の商品はこちら