映画:霊的ボリシェヴィキ

「霊的ボリシェヴィキ」のネタバレあらすじと結末

ホラー映画

霊的ボリシェヴィキの紹介:とある廃工場で行われた心霊実験の恐怖を描いた2017年公開のホラー映画。旧ソ連の偉人の肖像の元、”人の死に立ち合った経験”がある7人の男女が各々の恐怖体験を語るうち、不可思議で怖ろしい現象が起こるが…。監督/脚本はJホラーの重鎮「恐怖」「狂気の海」の高橋洋。主演は「アジアの純真」「西北西」の韓英恵。

あらすじ動画

霊的ボリシェヴィキの主な出演者

橘由紀子(韓英恵)、安藤(巴山祐樹)、宮路澄江(長宗我部陽子)、浅野(高木公佑)、片岡(近藤笑菜)、長尾(南谷朝子)、三田(伊藤洋三郎)、由紀子の母(河野知美)、少女時代の由紀子(本間菜穂)

霊的ボリシェヴィキのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 霊的ボリシェヴィキのあらすじ1

霊的ボリシェヴィキのシーン1 明るい日が差す巨大な廃工場の作業場。車座に並べられたパイプ椅子に、5人の男女が座っています。
メガネの青年はその実験の主宰者浅野、オープンリール・レコーダーを操作する女性は助手の片岡。奥には霊媒師の宮路澄江がいますが、足が不自由で杖を使用しています。
語りの一番手、中年男性の三田がスタンドマイクに向って静かに語り始めます。
拘置所の刑務官だった彼は、ありふれた幽霊話をするつもりで参加したそうですが、全員が『人の死に立ち会った経験がある』と聞き、”本当に恐ろしかった”児童営利誘拐殺人犯の死刑を執行した体験を話し始めます。

その時、一組の若いカップルがやって来ます。若い男性は彼らと顔見知りの安藤で、女性を”特別に参加する事になった”婚約者の橘由紀子と紹介します。
彼女は母親の臨終に立ち会い、8歳の時にいわゆる”神隠し”になったそうですが、その時の記憶は無いと話します。
浅野は宮路を”実験を手伝ってもらう霊媒師”と紹介し、宮路は”場の空気を清浄に保つため”宗教的なモノや携帯などを出すよう命じます。
2人は携帯を渡しますが、宮路は由紀子の母親の写真入りのペンダントを見て「強い思いがこもっている」と指摘し没収しますが、婚約指輪はかまわないと言われます。

皆が席に着いたところで、三田が続きを話し始めます。
その日、彼は数人の刑務官と共に、独房の犯人を執行室まで引き出す任務で、犯人は真っ青な顔で独房の奥にうずくまっていたそうです。
彼は犯人の肩に手を置き説得したそうですが、犯人は「いやだー!」「俺を殺したら化けて出るぞ!」と叫んで、人とは思えぬ形相で便座のフタや警棒を奪って暴れ、皆大ケガを負ったそうです。
三田はケガした同僚を逃がして施錠するのが精いっぱいで、独房の中からは犯人の笑い声が聞こえたそうです。
その瞬間、三田はその笑い声を聞きますが、長尾が続きを促します。

彼は所長に報告し、警備隊が催涙弾のライフルを持って独房に駆けつけます。
犯人は、真っ暗な独房の奥で目をギラつかせ、喚いていたそうですが、事態を察して懇願しても、警備隊はかまわず催涙弾を撃ち込み、犯人を取り押さえて拘束衣を着せ、引きずって行ったのだとか。
犯人はその時、かすれた声で「助けて…助けて…」と呟き、廊下には失禁した尿の跡が続いていたそうです。
三田は「『犯人の抵抗に感じた異常な何か』が本当に恐ろしかった」「死を恐れるあまり、大の男数人掛かりでも抑えきれない力がどこからやって来るのか、その異常な力を目の当たりにした事で、何かに触れてしまったような恐ろしさを感じた」と話します。

場は異様な空気に満たされますが、安藤が「それで化けて出たんですか?」「僕が聞いて思ったのは、結局一番怖いのは人間じゃないかって事ですがね」と言い出したため、浅野は宮路に目配せし、彼女は安藤を杖で殴りつけます。
彼は額から出血し激怒しますが、彼女はその懐から転がり出た小さな数珠を拾ってゴミ箱に投げ入れ、燃やします。
浅野は「今のは禁句です。今のような発言は、実験の妨げにしかならない。実験が台無しにされるところだった」と言い、宮路は自分のミスだと歯噛みします。
安藤はそれでも「僕があなた方のそういう態度に批判的なのはご存知ですよね!即刻帰らしてもらいますよ!」と怒鳴って、由紀子にも帰ろうと促します。
しかし浅野は「実験を途中で降りる事は許されません。接触はもう始まっています」「我々は霊的前衛であって、あなた方は選ばれたゲストだ。君もその事を忘れてはなりません」と言い、由紀子も残ると言います。
浅野は「一度目の懲罰は与えましたよ。以後、発言には気をつけるように」と警告、安藤はふて腐れた様子で座り直します。

宮路は「霊気は散ったわ。せっかくの三田さんの話が…こういう時は歌いましょう」と言い、浅野も「歌の力が霊気を呼び寄せる」と賛同します。
その壁にはレーニンとスターリンの巨大な肖像が掲げられ、片岡がレコードを掛け、浅野が「ボリシェヴィキ党歌!」と号令をかけ、全員で合唱します。

次に片岡はマイクを長尾の前に置き、彼女はおずおずと”怖ろしかった夢の話”を始めます。少し前にひどい水害があったせいか、彼女はその水害で被災した廃屋を物見遊山で見て回る夢を見たのだとか。
その廃屋の中は薄暗く心細かったようですが、彼女は奥にいた女性を先客だと思い、声を掛けたそうです。その女性は、長尾を軽く受け流し、間もなく「ここ」と言って部屋の隅を指差したそうです。
女性は彼女に、その家の住人が家のどこで亡くなったかを指し示し、死亡時の状況や遺体の様子までをも詳細に語り、長尾はゾッとして出て行こうとしたそうですが、ふと「その女性もこの家で亡くなったのでは?」と思って振り返ったそうです。
すると女性も彼女をじっと見ていて、その顔がどんなに目を凝らしても靄が掛かったようにぼやけて分らず、足はなぜか裸足だったそうです。
「あんな怖い夢は初めてでした」…話し終えた長尾は、三田に「怖かった?」と聞かれ小さな笑いを漏らします。
すると宮路がいきなり大声で笑いだし、皆もつられて笑いますが、最後に男の下卑た笑い声が響いたのです。皆は一斉に押し黙り辺りを見回しますが、三田の表情は固いままでした。

その笑い声は録音されておらず、浅野は「皆さんの声の倍音が、もう一つの声を生み出す事もあります。仏教の声明のように」と言いますが、皆は納得しません。
浅野は持っていたトランプから1枚抜き、皆にも事前に配ってあったトランプから1枚抜いて意識を集中するよう命じます。すると由紀子のカードだけが浅野のカードと完全に一致し、何度やっても同じ結果となります。
浅野は「霊気が高まっている時には、確立に異常が生じます」と言い、その瞬間、部屋が突然暗くなります。
気づけば時刻は夜で、皆動揺しますが、浅野は「明日に備えて、今日はもう休んで下さい」といい、片岡が同じ建物内の宿泊場所とした個室へと案内します。

安藤と由紀子は同室で、彼は「今日の実験はいつもと違う。先生は君のためにこんな辺鄙な場所に僕たちを集めたみたいだ」と言い、抱きしめようとします。
彼女はその手をすり抜け「一人になりたい」と出て行きますが、廊下で件の囁き声を聞いて逃げ出し、作業場の隅にいたところ、長尾に声を掛けられます。
長尾は彼女のトランプ当てを褒め「浅野の実験の目的は、メンバーの中から宮路より強力な霊媒師を探して憑代にし『あの世を呼び出す事』であり、由紀子がその最有力候補だ」と言うのです。
長尾は「以前私も能力があったが消えてしまった。でも実験に参加した事で”あの感覚”が戻った気がする」と怪しい笑みを浮かべます。
由紀子はトランプ当ても何か仕掛けがあると言い、話半分で聞いていましたが、隅の暗闇に佇む裸足の足に気づいて、声を失います。

長尾はそれに全く気づかず、由紀子に神隠しの事を問い質します。
彼女はその不気味な足を気にしながらも「両親と森にハイキングに行った時、行方知れずとなり、捜索が行われたが見つからず、母親だけが諦めきれず森の中を探し続けた結果、ある日、森の中で当時のままの姿で発見された」と話します。
けれど彼女が「服はボロボロで、裸足だったそうです」と言い終えた途端、裸足の足は、少しづつ2人に近づき始めます。
2人の間には異様な緊張が走りますが、片岡が来て「消灯時間ですから休んでください。実験の事については話し合ったりしないように」と忠告され、解散となります。

【承】- 霊的ボリシェヴィキのあらすじ2

霊的ボリシェヴィキのシーン2 翌日、由紀子は安藤の隣に座らず、代わりに長尾が座る事に。
工場内には明るい陽が差し、浅野と宮路はレーニンとスターリンの肖像写真を背にして座り、片岡はその隣のレコーダーの前、窓側には長尾と安藤、奥には三田と由紀子が座っています。

一番手の宮路は「私の話はごく短いの。子供の時に山であるモノを見て。それは多分、見てはいけないモノだった」と語り始めます。
子供の頃、彼女が弟と一緒に山の斜面を登っていた時、ふと立ち止まり、目の前に何かがいる気配を感じたのに、2人とも顔を上げられなかったと。けれどサーッと冷たい風が吹いて顔を上げてしまい、隣の山の稜線を這っているモノを見てしまったそうです。
弟はひどく怯え、彼女は弟の手を引いて必死に山を駆け下りたそうですが、その晩2人は高熱を出し、翌朝には弟が死に、彼女は足が不自由になり霊能力を得たというのです。
由紀子に何を見たのか聞かれた彼女は「説明したくないし、できない。人間の言葉とは違う、見た瞬間後悔するの。弟も私も何も言わないでも分かった」と話します。
そこで浅野は悪戯っぽく「これまで様々な物を宮路さんに見せたのですが、一番近いと言われたのはこれでした」と言い、片岡に2枚の写真を出させます。
それはコナン・ドイルですら騙されたというフェイクの妖精写真でした。
三田は「妖精を見たんですか?!」と驚き、宮路は「姿は全く違うが感覚はとても近い」と話します。

由紀子はその1枚をじっと見つめていましたが、浅野に促され、「私はずっと耳元で、誰かに囁かれているような気がしていました」と話し始めます。
その内容は聞き取れず、その顔が映りそうで鏡が苦手だそうですが、きっかけは、ある日家に届いた1通の手紙だったそうです。
彼女はその手紙を見せてはもらえなかったそうですが、それを境に両親は言い争うようになり、父親が家を出て、手紙は母親が燃やしたのでは?と話します。
その日以来、彼女は母親と二人暮らしになったのですが、ただ一度、母親に怖ろしい顔で睨まれた事があったそうです。
それは彼女が庭で遊んでいる時、2階の母の部屋の窓辺に母親がいて、怖ろしい形相で彼女を睨みつけていたのだとか。
しかしその母親は、彼女と目が合っているのに見ておらず、絵のように動かず、怖くなって部屋に逃げ帰ったところ、玄関が開く音がして、母親が買い物から帰って来たのだとか。
「だから、全部私の気のせいかもしれないんです」…由紀子は笑みを漏らしますが、母親の死後、件の母の部屋で遺品整理をしていたところ、押し入れの中から囁き声がしたそうです。
中には古びた人形があり、由紀子は不気味に思うと同時に「ちょっと母に似てるな」と思ったそうです。
その瞬間、熱心に聞き入っていた長尾が「ヒッ」と声を上げます。

彼女はその人形を寺に納めに行ったそうですが、住職は「これはお母さんだけの事じゃないから」と言い、母方の親族一同を集めて供養する事に。
そのお焚き上げの最中、焼けた人形からは肉が焦げるような音がして、黒く酷い臭いがする煙が立ち上り、やがて人形がふいに立ち上がり、ととととと…と歩いたそうです。由紀子はその様子を指でやって見せ、皆が息を飲みます。
親族たちは悲鳴を上げ、人形はそのまま焼け崩れたそうです。
その直後、三田は足元に流れてくる小便を見て、下卑た笑い声を聞き、何事か叫んで立ち上がりますが、皆にはごまかして洗面所に駆け込みます。

「その晩、とても不思議な夢を見ました」…安藤は止めますが、由紀子の語りは続きます。それは宙に浮いた彼女が、焼かれていく自分を見下ろしている夢でした。
焼かれる自分からは、人形と同じく黒くいやな臭いがする煙が立ち上り、焼かれている自分が今にも動き出しそうで、怖ろしくて目をつぶろうとしても出来ず、やがて「炎で瞼が焼け落ちたからだ」と気づいたそうです。
「生きながら焼かれる人は皆、瞼が焼け落ちて、目がつぶれないまま死んでいったんだ」と。
その時、レコーダーから酷いノイズが響き、音は瞬く間に建物中に広がります。

しかし洗面所の様子は変わらず、顔を洗っていた三田はふと鏡を見て「押し入れで見たのは、本当に人形だったんですか?」と呟き、出て行こうとします。
すると灯りが消え、慌ててライターの火を点けますが、鏡に血の気の無い少女の顔が現れ「お母さん」と呟いたため、驚いてライターを落としてしまいます。
彼は怯えて隅に身を寄せますが、すぐに浅野と片岡がカンテラを持って現れ、停電だと言われます。
それは前日同様、いきなり夜に変わる現象で、皆は暗くなった作業場で動揺しています。

浅野はテープに妙な音が録れていたといい、片岡に再生させます。それは由紀子が夢の話をしている時、不気味な男の呻き声が被っているモノでした。
長尾は「あなたが呼びだしたのね!」と由紀子を責め、三田は「もうたくさんだ!すぐそこまで来てるんだよ!あんたらは分かんないのか!あいつらがなんて言ってるのか!」と喚きます。
宮路は三田を杖で殴って「今止めると全員取り殺されますよ!」と恫喝、浅野は静かに「一度呼び出したモノは帰らせなければなりません」と言います。
長尾はそれでも由紀子を指差し「呼び出したのはこの女でしょ?!どうして私たちまで!」と喚いていました。

【転】- 霊的ボリシェヴィキのあらすじ3

霊的ボリシェヴィキのシーン3 しかし浅野は冷静に「全員の話が終わるまで、実験は続きます」と言い、全員の視線が安藤に向けられます。
彼は「まだ話してないのは僕だけですね。とっとと終わらせましょう。怖かった話なら何でもいいですね?」と座り直します。
けれど宮路が「あなた、人を殺してますね」と言い、片岡が彼の前にマイクを置き、録音を始めます。

安藤は平然と「ええ。そういう事はありました。僕には怖いモノが無かったんです。先生のセミナーに参加したのも『怖い』という感覚を求めていたからかもしれません」と話し始めます。
当時の彼は、浅野の『あの世を呼び出す』という講義が退屈で「それほどまで言うなら実際に人を殺して、化けて出るか試してみればいい」と思い、当時付き合っていた女性を殺害したのだとか。
その女性は2股を掛けていたため、その関係を知る者は無く、安藤は彼女を人気の無い崖地に連れ出し、殺害理由を説明した後、突き落としたそうです。
そして三田に向って「確かに最期の瞬間は凄まじい抵抗でした。あんな必死な顔の人間は、オリンピックでもお目に掛かれない」と言い、「よく一人の人間が死ぬってことは、その人間が作り出した現実が丸ごと消えるという事だって言うけど、もともとその女は僕にとって現実かどうかも怪しかった…でも不思議なことに、僕自身の現実は、その日を境に変わった…女を崖から突き落とした自分と今いる自分が別な存在だと思うようになった」と話します。
その瞬間、由紀子の耳元で囁き声が聞こえます。

その感覚は罪悪感とは違うもので、彼は悪びれもせず「多分、人殺したちはみんなそんなふうに思って生きているんです」と話します。
やがて女性の死体が発見され、女性の恋人が逮捕されても彼は何とも思わず、女性の恋人は死体を見るなり「自分がやった」と白状し、現在も収監されているのだとか。
安藤は空虚な目をして「時々、牢屋の窓からぼんやり外を眺めるのは、僕なんじゃないかと想像したりすることもあります。ひょっとしたらそいつは僕とよく似た男だったかもしれない…結局女が化けて出る事は無かった」と話します。
浅野は「化けて出たとしても、あの世から来たとは証明できない。この世を彷徨って入る思念に過ぎないのかもしれない」と言い、安藤もそれに同意し「幼稚な思い付きだった」とこぼします。
しかしその事件を境に、彼のポケットには知らぬ間に数珠が入れられるようになったそうです。
それは昨日燃やされた数珠であり「知ってるぞ」と言うサインのようにも思えて捨てられず持ち歩いていたそうで、彼は初めて「怖くなった」と怯えます。

すると由紀子の耳元でさらに明確な囁き声がして、彼女は安藤に近づき、無言でそのズボンのポケットを指差します。そこには昨日と同じ数珠が入っていました。
安藤はすがるように彼女を見つめますが、由紀子はふらふらと作業場の奥に歩き去って行きます。
宮路は彼を睨みつけ「私たちをからかってるの?!」と言いますが、安藤は震えて首を振り、数珠を渡します。
浅野は安藤に話の礼を言って拍手をし「選ばれたのは君です」と言い、由紀子の話に出て来た手紙を見せ「彼女の母親は全てを解っていたよ。でも誰も信じなかった」と話します。安藤は愕然として由紀子を追います。

【結】- 霊的ボリシェヴィキのあらすじ4

霊的ボリシェヴィキのシーン2 その時、由紀子は作業場の奥に佇み「焼かれている自分が、今にも動き出しそうで…それが恐ろしくて…」と言う自分の言葉を思い出し、炎に焼かれる幻覚を見て腰を抜かし、靴を脱ぎ棄てます。
彼女は手紙を持ってやって来た安藤にすがりますが、その背後から裸足の女が近づいてきます。
それは彼女の亡くなった母親で、由紀子に擦り寄り、その耳元で何度も「お前は由紀子じゃない…本物の由紀子はすり替えられた」と囁きます。
由紀子は「じゃあ…私は…」と呟いたきり黙り込み、安藤は由紀子の顔を見て悲鳴を上げて後ずさり、その手から手紙が落ちます。手紙には狂った字で何度も何度も「すり替えられた」と書かれていました。
するとどこからか明るい光が差し、彼女は素足のまま下げた両手の先をぴんと伸ばして、スタスタと作業場に戻り、呆然と見つめる皆を通り越し、眩しい光が差している奥の窓を見上げます。
安藤は彼女を呼びますが、宮路は「無駄よ。彼女にはもう何も聞こえない。自分がやってきた世界を呼び寄せようとしているの」と話します。

安藤は「俺が選ばれたって…」と言いかけますが、三田に取り押さえられ、浅野がその首に太い首輪のようなモノを嵌めてひざまずかせます。
三田は「みんな待ってるんだ、一緒に行こう」と言い、長尾は自分の悪夢をブツブツと呟いています。
その間片岡は、巨大なボウルのような機械を準備し、長い透明なチューブの片方をボウルに入れ、先端が太い針状になったもう片方を浅野に渡します。

浅野はその針先を安藤の首輪に向け「スターリンの恐怖政治こそが、ボリシェヴィキの究極の形態だ」と言い、宮路はギラギラした眼で安藤を見上げ「死は恐れるに足りません!魂は永遠に不滅!」と言います。
安藤は「やだー!殺されてもやだー!」と暴れますが、首輪に針を差しこまれ、その血がチューブを通って巨大なボウルへと注がれ、絶命します。
宮路は「あの世を呼び出す?あの世なんかあるわけないでしょ!私たちはバケモノを呼び出すしかないの」と言い、窓を見上げます。
由紀子はその姿勢のまま、安藤の血液で満たされたボウルの前で凍った息をし、光さす窓へと向き直ります。
宮路はギラついた目で「ダー・スメルチ!(そうだ、死だ!)」と唱えて両手を掲げ、浅野はロシア語の呪文を唱え、片岡、三田、長尾も宮路に唱和します。
浅野が興奮した様子で「もうすぐだ!もうすぐやってくる!」と叫んで、祈りは最高潮に達しますが、由紀子の耳には「お前は由紀子じゃない!」と言う母親の声が聞こえ、「本物の由紀子、返してあげて」と呟きます。

すると由紀子の目の前に、毛布に包まれた何かが落下し、工場内に明るい日差しが戻ります。
由紀子は力尽きたようにくずおれ、毛布に入っていた死人のような顔色の少女を見て「ぎゃああ!」と叫んで後ずさり、浅野にしがみつきます。彼は由紀子を払いのけ毛布の中身を見ますが、それはヒト型の太い木の枝でした。
また宮路は窓に出現した眩しい光に向かって「待って!行かないで!」と叫びますが、光は遠ざかり、倒れそうになります。
浅野は宮路を抱きしめて見つめ「全て、無駄だった」と呟き、銃を持ってやってきた片岡に合図をし、背を向けてひざまずきます。

片岡はまず宮路の後頭部に狙いを定め、彼女が振り向いて「いやよ!」と言った瞬間発砲、続けて静かに目を閉じていた浅野を射殺します。
次に彼女は、呆然と座り込んでいた由紀子の胸を撃ち、怯えて立ちすくむ三田と長尾に銃を向けます。
三田は「俺たちもか」と聞きますが、片岡は「この建物は穢れました」と言い、下卑た男の笑い声が響くと同時に2人を射殺します。
彼女は肖像の前に歩み寄り、動かぬ安藤にとどめの1発を撃ち込み、自らのこめかみを撃ち抜きます。

明るい作業場には、物言わぬ遺体が7体あるだけでしたが、微かにロシア語の歌が聞こえます。
すると毛布の中身が少女になって起き上がり「お母さん…お母さん…」と言いながら、外へと歩き去って行きます。
由紀子の目は空虚でしたが、たった一度だけ、母を呼ぶ声が重なります。

みんなの感想

ライターの感想

ボリシェヴィキとは「レーニンが率いた革命党派」(公式/監督コメント)「ロシア社会民主労働党が分裂して形成された、ウラジーミル・レーニンが率いた左派の一派」(wikiより)を差す言葉だそうですが、申し訳ない事に全くの不勉強で、その方面に詳しい方ならより興味深い作品なのではと思います。
72分と短めの舞台劇のような設定ですが、オープンリール・レコーダーの微かなノイズ、突然の昼夜転換、各々が抱える恐怖体験に絡んだ幻影、それを怯えて目で追うベテラン役者陣の目線、耳元の囁き声や悪臭など、五感を刺激する恐怖の畳み掛けがたまらない。
安藤(巴山祐樹)は冷徹・無感情・無遠慮であって当然なのですが、長尾(南谷朝子)の大きい瞳と俗物的で図々しい物言いがやけに気に障り、党歌合唱や爆笑、杖の殴打、由紀子の人形化?にも笑っていいもんかどうかひどくおろおろさせられるのです。そんな半笑いの中、ヒロイン由紀子(韓英恵)の『生きながら焼かれていく自分』の話が怖ろしく耳に残り、指で「ととととと…」とするシーンもしばらく尾を引きそうです。
ただ現象そのものは地味なので、いわゆるホラー的想像力や理屈や補足が無いとかなりキビシイかも。奇妙で不可思議、ゾッとする余韻が楽しめる作品だと思います。

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