映画:108時間

「108時間」のネタバレあらすじと結末

108時間の紹介:2018年製作のアルゼンチン&スペイン&ウルグアイ合作映画。処女作「SHOT/ショット」が第63回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品されたグスタボ・エルナンデス監督によるホラー。108時間眠らずにいた女性の悲劇を描く舞台を控え、演出家は役者らを登場人物の心理に近づけるため、実際に眠らずに過ごさせる。「エンドレス・ウォー」のベレン・ルエダ、「タイガー」(未)のエヴァ・デ・ドミニシらが出演、108時間もの間眠らなかった先に待ち受ける恐怖を活写する…。

あらすじ動画

108時間の主な出演者

アルマ・ベーム(ベレン・ルエダ)、ビアンカ・ヒラルド(エヴァ・デ・ドミニシ)、セシリア(ナタリア・デ・モリーナ)、クラッソ(ヘルマン・パラシオス)、パラ・フォンソ(フアン・マヌエル・ギレラ)、サブリナ(マリア・アルフォンソ・ロッソ)

108時間のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①女性演出家・アルマは役者を断眠させることで能力を覚醒させようとしていた。若い女優・ビアンカとセシリアを主役候補にしたアルマは、断眠で演劇の主役・ドラ役をつかませようとする。 ②ビアンカは幻影を見るようになり、舞台は大成功。役になりきったフォンソが火を放ち、サラ、フォンソ、アルマは死亡。

【起】- 108時間のあらすじ1

108時間のシーン1 (原題『NO DORMIRÁS』=『眠らない』、劇中の「断眠」という意味)

部屋から廊下へ出てきた女性は、流れていた音楽を止めに、レコードプレイヤーのところへ行きました。
薄暗い廊下には、ところどころ血の跡があります。
女性が部屋を見ると、そこには髪の毛を必死で梳く老女・サブリナがいました。
舞台にはガラスが置かれており、それは芝居の一部と化しています。


〔1975年〕

この演劇『断眠』というのを、演出家のアルマ・ベームが観客に説明しました。
ガラスの向こう側にいる女優マーリーン・ベネットは、昨日5時間もデッサンをしていたそうです。

眠らずにその作業をさせているうちに、マーリーンは、役柄であるサブリナとマーリーンの人格の区別が、つかなくなったそうです。
もうすぐ、マーリーンが断眠を開始して、108時間が経過しようとしていました。

マーリーンの脳内では、老女・サブリナの姿が見えており、マーリーンはサブリナの真似をしていました。
マーリーンにはいわばサブリナが見える幻覚症状があらわれており、マーリーンはそのサブリナと同じことをしているのです…。


〝研究の結果、96時間の断眠後には
精神病エピソードや、幻覚症状が起きることが判明。
4日間、眠らずに過ごし、極度の恐怖を感じて、
精神や肉体が崩壊した症例の記録もある。
被験者たちは、眠りと狂気と死の『辺獄(リンボ)』を
彷徨(さまよ)っていたと述べている。
1980年代に、ある集団が、この実験を超える試みをした〟


〔1984年〕

ビアンカ・ヒラルドは、舞台で主役夢見る若い女優です。
ビアンカの父が「危険だ」と言いながら、舞台のそでにいるビアンカのところへやってきました。
父が持っているのは新聞記事で、娘の居場所が露見したと父は騒ぎます。
ビアンカは父をさとして楽屋のひとつに連れていくと、白いチョークで父の周囲に円を描きました。
「ここは安全」と、父親を落ち着かせます。

舞台に出たビアンカが再び楽屋に戻ると、もう父はいませんでした。
ビアンカは父を収容している精神病院へ電話をかけると、父を迎えに来てほしいと告げます。


ビアンカの豚を見た男性演出家・クラッソが、ビアンカをスカウトします。
有名な女性演出家・アルマが、ビアンカの演技に興味を持っているというのです。
ビアンカは心を動かされます。
アルマは今度、『アンティゴネ』というタイトルの、断眠をテーマにした芝居をする予定でした。

帰宅したビアンカは、家に父が戻っているのを確認します。
父の居場所を確認し、安心したビアンカは、夕食をとったあと、スカウトされたアルマの作品を見始めました。
すると父が部屋から出てくると、ハサミを持ってビアンカに迫ります。

このままだと「連中」に見つかる、と言った父は、ビアンカの髪の毛を切ろうとしました。
抵抗したビアンカは腕を怪我してしまい、父はそれを見て、我に返ります。
とりなしたビアンカは、医者に父親を託しました。
父を精神病院へ収容したあと、ビアンカは芝居に向かおうと決めます。


見た番組では、女優のマーリーンが演じていました。
助言を得たいビアンカは、マーリーンのところを訪問します。
ところがマーリーンは「断眠の劇は危険よ」とビアンカを止めました。
マーリーンが中座したときを狙い、ビアンカはマーリーン宅にある、「断眠」と書かれたノートを持ち帰ります。


クラッソに連れられてアルマの稽古場へ行くと、ビアンカと同じくらいの年齢の若い女性がいました。
その女性はセシリアと言い、アルマは、セシリアとビアンカのどちらかを主役にしようと、競わせるつもりです。
セシリアのほうが先に到着し、すでに脚本ももらっていることで、ビアンカは少しあせります。

【承】- 108時間のあらすじ2

108時間のシーン2 受け取ったのは『大熊座』という脚本でした。この劇の主役・ドラ役を競います。

ドラという女性は、母親になったものの産後鬱に陥って、わが子を愛せずに、ある日、夫を殺し、娘を溺死させようとした女性でした。
そんな説明を聞きながら、ビアンカたちは舞台の稽古場、サンタ・レヒナ精神病院の廃墟へ行きます。
精神病院が稽古場であり、舞台でもあるのです。


部屋を見て回ったビアンカは、少々あせっていました。
というのも、舞台の主役の座を、前の舞台のときに、ビアンカはセシリアに奪われていたからです。
今度は自分が主役を射止めたいと、ビアンカは考えています。

ビアンカとセシリアは、病院に自分たち以外の役者の声を聞きました。
クラッソの案内で声のところへ行くと、ほかの劇団員がいます。
アルマと一緒にいたのは、短髪の若い男性・フォンソ、細身の女性・サラでした。
ビアンカとセシリアも合流し、舞台の稽古をします。


アルマが役者たちに要求したのは「断眠」でした。
アルマはかつて『断眠』という名前の舞台を上演しましたが、そのときにも役者に断眠を要求していました。
そして今回もアルマは、役者たちに断眠を求めます。

断眠をすると、神経が徐々にとぎすまされてくるのです。
それはやがて、人間の隠れた部分を「覚醒」させる…そうアルマは思っており、だから断眠を勧めていました。
ビアンカもセシリアも、断眠を開始します。


最初の24時間は、別段、苦でもありません。
ストレッチをしたビアンカは、サラと打ち解けます。
アルマとクラッソの話を聞いたビアンカは、それも興味深く感じます。


人形作りをしていたビアンカは、ふと人形に貼りつける紙きれに気を留めました。
それを広げてつなぎあわせてみると、「演出プラン」とあります。
つまり…過去にも『大熊座』の舞台劇がなされていたことが、分かるのです。

そのプランを書いたのは、ドラ・ビーニャ…つまり『大熊座』の主人公である母親です。
ドラが実在する女性であると知り、ビアンカは驚きました。
もっというと、ドラはいま廃墟になっているサンタ・レヒナ精神病院の患者でもあります。

詰め寄るビアンカに、アルマは「偏見をなくすため(隠したのだ)」と言いました。
確かに、アルマのいうとおりです。もし実在する人物だと分かれば、ビアンカは必死になってドラという女性について調べて、演技の材料にしようとしたことでしょう。
そう説明されたビアンカは納得し、再び稽古に打ち込みます。


浴槽の水に潜り、出て…を繰り返していたビアンカは、あるとき、周囲の景色が一変したことに気づきました。
これこそが、断眠の影響です。
それは、まったく異なる世界へ、いきなりワープしたような感覚でした。
倒れている白衣の男性と、必死で手を洗う女の姿が見えます。

ビアンカが驚いて身を起こし浴槽を出ると、アルマは大喜びして褒めました。
ビアンカが断眠で幻影の体験をしたことを、アルマは気づいたのです。
アルマは褒美として、先にセシリアに渡していたスリッパを取り上げると、ビアンカに渡しました。
スリッパは、主演の座も暗に意味しています。

【転】- 108時間のあらすじ3

108時間のシーン3 アルマに褒められたことは光栄でしたが、ビアンカは不安でもありました。
部屋に戻ったビアンカは、自分の肩口に傷があるのを見つけます。
それは、幻影の女性に襲われたときについた傷でした。
どこまでが幻で、どこからが現実なのか分からず、ビアンカは不安になります。


ビアンカはマーリーンの部屋から持ってきたノートを見て、少しでも演技の参考にしようとしました。
部屋の壁紙が気になって剥がすと、壁の下にはぎっしりと赤い文字が書かれていました。
それは、『大熊座』の主役でもあるドラが書いた脚本で、結末まで記されています。
結末は、この病院が火事になるというものでした。
(ビアンカもセシリアも、結末までは受け取っていない)

驚いたビアンカはセシリアを呼び、部屋の壁の文字を見せます。
ドラが実在する女性なのだと説明したビアンカは、台所の食料保存庫に行きました。
そこの奥には、カルテがありました。

ビアンカはそのカルテに、劇の登場人物と重なるものを見つけます。
サラは「リナ・ユリオステ」という女性と似ています。ヘロインと覚せい剤の常用者で、薬物依存症でした。死因は、煙の吸入(火事)です。
フォンソと似ているのは「ウーゴ・フォサルバ」という、統合失調症の男性でした。彼は衝動的に暴力を振るう男で、熱傷により死亡しています。
「ドラ・ビーニャ」は、自殺傾向があるうつ病でした。ドラは夫を刺殺し、自宅を全焼させていました。
カルテを夢中で、ビアンカは読みます。

アルマがやってきたので、セシリアはビアンカを隠すために扉を閉めました(閉じ込めるつもりではない)。
アルマが残した手紙を見ると、マーリーンからで、「してはいけない」という文字が書かれています。


朝方に部屋を抜け出し、立ち入り禁止の場所を見ていたビアンカは、その先に、火事で焼けた部屋を見ました。
やはりドラは病院に火をつけたのだと思ったビアンカですが、アルマは「フィクションの劇だ」と言います。
しかし断眠で別の世界が見えるようになったビアンカは、真相を突き止めていました。


…1961年に23歳で赤ん坊を出産したドラ・ビーニャは、産後鬱で娘を愛せずにいました。
そのことで夫と口論になったドラは、1962年に夫を殺害します。
サンタ・レヒナ精神病院に入院措置を取られたドラは、1963年8月6日、病院の関係者を殺害すると病院に火をつけました。
同じ病院に赤ん坊がおり、その赤ん坊を殺すためでした。ドラは火事で焼死します…。


ビアンカはフォンソに「フィクションの劇だから」と言われ、寝ていないから現実と幻影の区別がつかなくなっているのだと言われました。
ドラの幻影をもう1度見たビアンカは、このままだとよくないと思い、芝居をやめて父のもとへ戻ろうと考えます。

クラッソに送ってもらい、ふもとのバス停までおりたビアンカは、病院へ入院している父に電話をかけました。
ところが父に、「今度主役を演じる舞台を楽しみにしている」と言われたビアンカは、帰ると言えなくなりました。


ビアンカのところへマーリーンが来ると、ビアンカに話しかけます。
ノートを呼んだビアンカは、サブリナのことについて聞きました。
マーリーンは「サブリナは私に憑依して、殺そうとした」と答えます。

【結】- 108時間のあらすじ4

108時間のシーン2 …芝居で断眠を演じたマーリーンは、断眠の影響でサブリナに身体を乗っ取られていました。
サブリナは自殺をしようとし、それはつまり、身体をのっとられたマーリーンの死も意味していました。
観客のひとりに救われたと、マーリーンは応えます…。

その話を聞いたビアンカは、カルテの主を思い出しました。
サラとリナ、フォンソとウーゴは、すでに憑依が進んでいるように感じられます。
断眠が進むと、ビアンカとドラの憑依が進むかもしれません。

マーリーンはビアンカに、108時間が過ぎる前に眠りなさい、そうすれば憑依はまぬかれると言います。
ビアンカにいつから眠っていないか聞いたマーリーンは、刻限の108時間まであと25分と知り、せかします。


マーリーンを連れて病院へ戻ったビアンカは、セシリアも促して寝ようと言いました。
ビアンカとセシリアは、台所の貯蔵庫のところへ行きます。
その頃、フォンソは館に油をまいていました。

ビアンカはセシリアと一緒に眠りに就こうとしますが、セシリアがドラに姿をかえて、襲い掛かってきます。
逃げたビアンカですが、館の窓はすべてふさがれており、脱出不可能でした。
セシリア、フォンソ、サラがやってくると、ビアンカを取り囲みます。

マーリーンを見たアルマが、歓迎します。
実はマーリーンもアルマの協力者でした。ビアンカにより信じ込ませるために、あえて仲間に引き入れていたのです。
断眠により最も能力を発揮したのは、皮肉にもビアンカでした。
ですからビアンカの意識を刺激させようと、アルマがマーリーンを呼んだのです。
(ビアンカが途中で立ち去りそうになっていたから、説得役として)


水を張った浴槽に、フォンソはビアンカの顔を繰り返しつけました。
ビアンカに幻覚を見せようとします。
現実世界だけでなく、事件が起きた1963年の病院も、ビアンカの目の前に見え始めました。
ビアンカは、灯油をまくドラを見ます。

ドラと対決したビアンカは、セシリアがドラの娘だったと知りました。
セシリアがずっとつけている腕輪が、赤ん坊につけられているのです。
ビアンカは無我夢中で、赤ん坊の周囲にチョークで円を描きました。
ドラが火を放ちますが、現実世界ではビアンカが火を放っています…。

ドラはビアンカが示した宝石を見て、赤ん坊を守るために浴槽に入りました。
ドラが赤ん坊を救ったことで、セシリアも母の愛を感じ、喜びます。


ところが…アルマは気づいていました。
舞台のクライマックスで、ビアンカは「ドラに憑依されていた」わけではなく「自分の意思で演技していた」のです。
(ビアンカは親指と人差し指の腹をこすりあわせる癖を持っていた。演劇の最中に、ビアンカはそのしぐさをしていた)

とはいうものの、この病院全体を舞台にしておこなわれた演劇は大成功をおさめ、病院のあちこちに隠れていた観客は、熱狂します。
アルマも満足そうにしていましたが、演劇の役にのめりこんだフォンソが火をつけ、病院は本当に火に包まれました。
アルマはフォンソに殴られ、炎に包まれます。

ビアンカは、サラに助けられました。サラはビアンカを病院から送り出すと、自分は炎の中に戻っていきます。
フォンソ、サラ、アルマは火事で亡くなりました…。


〔5カ月後〕

ビアンカは父といっしょに暮らしています。
ある日、クラッソから本が届きました。
それを見たビアンカは、はたしていま現在が本当に「現実」なのか、ふと不安になります。
稽古のときにフォンソから教わった、「炎の先に何かが見える」ということばを思い出し、ビアンカはライターに火をともすと、その向こう側を見ようとします…。

みんなの感想

ライターの感想

見終わったあと、不思議な気持ちにさせられる映画。ただのホラーではない。
非常に熱い演劇の話にも取れるし、オカルト的要素もあるし、ミステリーにも感じられるし。
面白い。興味深い。ただ、…冷静に考えると、設定は相当無茶だよね。
だいたい、役者に108時間の断眠を要求する演出家って、どうよ!? それ素直に実行する役者たちもどうかな。
幻想の世界は青の色調として示されるので、映画を見ている者は理解しやすい。
けっこう深読み、裏読みできそうな内容。複雑だけれど、面白かった。
  • 癒兎~ゆう~さんの感想

    これはホラーですか?
    108時間寝るなってこわっww
    ホラーでもない、ミステリーでもない、ちょっと厨二な…複雑な映画ですね。

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