映画:ZOO(2005年)

「ZOO(2005年)」のネタバレあらすじと結末

ZOO(2005年)の紹介:ホラー・ミステリー小説の人気作家乙一の短編小説「ZOO」の映画化作品。2005年公開。双子の姉妹と母親の確執を描いた「カザリとヨーコ」、7つの部屋に拉致された女性たちの恐怖を描いた「SEVEN ROOMS」、両親の不仲を子供目線で描いた「SO-far そ・ふぁー」、アニメ作品「陽だまりの詩(シ)」、崩壊する男女を描いた表題作「ZOO」を各話異なる監督が担当している。

あらすじ動画

ZOO(2005年)の主な出演者

「カザリとヨーコ」小林涼子(2役)、松田美由紀、吉行和子、「SEVEN ROOMS」市川由衣、須賀健太、サエコ、「SO-far そ・ふぁー」神木隆之介、鈴木杏樹、杉本哲太、「陽だまりの詩(シ)」(声の出演)鈴木かすみ、龍坐、「ZOO」村上淳、浜崎茜など。

ZOO(2005年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ZOO(2005年)のあらすじ1

ZOO(2005年)のシーン1 ◆「カザリとヨーコ」
監督/金田龍、脚本/東多江子、出演/小林涼子(2役)、松田美由紀、吉行和子、木下ほうか、松本じゅんなど。

―ママが私を殺すとしたら、きっと、自殺に見せかけるのが上手いやり方だと思う―
高校生のカザリとヨーコは、高層団地で母親と暮らす双子の姉妹です。
しかし、母親は可憐で可愛い妹カザリだけを溺愛し、姉ヨーコは日常的に虐待していて、彼女は、犬のように部屋の隅の臭い座布団でカザリの残飯を食べて暮らしています。
2人は同じ高校に通いっていますが、カザリは友達も多く自由気ままに暮らしていますが、ヨーコはイジメられ、保健室に逃げ込んでも追い立てられ、身体中の痣を笑われます。
一家には父親がおらず、普段勤めに出ている母親は、夜ごとヨーコを殴っては酒を飲み、泣いていました。
ヨーコはそれでもカザリが好きで、母親も自分と同じくカザリに憧れてると感じていました。

そんなある日、ヨーコは迷い犬のアソと偶然出会い、飼い主のスズキミツコ宅に届けます。
ミツコは古い戸建に独り住まいの裕福な老女で、お礼に出したおはぎを貪り食うヨーコを「可愛い」と言い「プレゼントを用意しておくから」と夕飯に誘います。
翌日、ヨーコは母親に内緒でスズキ宅に行き、豪華な手巻き寿司をご馳走になります。
その際「双子ってどういう風に違うの?」と聞かれ、「顔はそっくりだけど、妹は暗くて弱いんです。そんな子お嫌いでしょ?」と話します(自分の事を打ち明けた)。
ミツコは彼女と向き合い「そう決めつけるのはいかがかしら?暗いのはわけがあるのよ。人ってね、変わろうと思えば変われるものなのよ」と微笑みます。
その後、ヨーコは可愛い浴衣を着せてもらい「星の王子さま」を読んで穏やかに過ごし、「髪を梳かしてあげましょうか?」と言われます。
ミツコは、鏡の前でうつむき「醜いし、ピエロみたい」と恥じ入るヨーコに「あなた、美人よ」と言い、「いつか一緒に旅をしない?仲の良い友達として。船に乗って外国に行きましょう。帰って来なくていい、好きな所で2人で暮らせばいいの」と話します。
またプレゼントとして自宅の合い鍵と「星の王子さま」を渡し「ここはもう2人の家よ。いつでも来てちょうだい」と微笑みます。
ヨーコはその鍵を本に挟んで「大事にするわ。ミツコさん」と微笑んでいました。

しかし、本は母親にすぐに見つかり万引きを疑われて暴行されます。
母親は「どんな気持ちであんたを生んだか聞かせてあげる!割れそうなお腹になって、双子だって言われて『カエルみたいで気持ち悪い』って言われて!それでも余分なあんたを生んでやったのに!」と怒鳴ってヨーコの首を絞め、彼女は泣きながら「ママ…ありがとう」と呟き、気が遠くなります。
結局母親は本を没収し、「ママの部屋に入ったら、今度こそ本当に殺してあげるからね」と言い捨てたのです。

そこでヨーコは、母親がいない昼間、母親の部屋に入って、パソコンや山積みのCDや花瓶を倒さないよう、注意深く本と鍵を取り戻したのですが、間もなくカザリが帰宅し、CDを取ろうとして床にぶちまけ、パソコンを水浸しにしてしまいます。
ベッドの陰に隠れて見ていたヨーコは、カザリと同時に「ママに叱られる!」と怯えますが、カザリは落ちていたヨーコの本を見つけて「ごめんね!」と笑って持ち去ったのです。全てをヨーコのせいにするために。
母親に殺されると直感したヨーコは、必死でスズキ宅に走りますが、表には”忌中”の札があり、葬儀屋が家の片づけをしていました。
遺体はまだ居間にありアソが寄り添っていましたが、近所の主婦に「夕べ回覧板を持ってきた時には冷たくなってた。脳卒中ですって」と言われます。
葬儀屋は、アソの引き取り手に困り、ヨーコを見つめます。

ヨーコはミツコの鍵を握りしめ、1人でひとしきり泣き、「人は変われる!ね?スズキさん」と決意し一計を案じます。
彼女は、帰宅途中のカザリを呼び止め「さっきママのパソコン、ダメにしたでしょ?ママ、もう知ってるわよ」と言ったのです。
カザリは平然と「ヨーコがやった事にして。怒られるのは慣れてるでしょ?」と言いますが、ヨーコはおずおずと「母親は既に知ってるからカザリが叱られる」と説明し、服を交換してヨーコがカザリになり「代わりに謝ってあげる」と提案したのです。
母親の暴虐を知るカザリは2つ返事で承諾し、2人は公衆トイレで服を替え、どちらが先に入るかをジャンケンで決め、カザリが負けて先に帰る事に。
ヨーコは、転落するカザリの姿を思い浮かべて鍵を握りしめ、間もなくヨーコの服を着たカザリがベランダから落下し死亡します。

「ママ、ごめんなさい。ヨーコはママの愛にこたえることができませんでした。私は私を殺すことにします。さよなら、ママ。大好きでした。 ヨーコ」
母親は2人が入れ替わった事に全く気づかないまま、カザリに化けたヨーコに遺書を書かせ、「ヨーコは、帰って来るなりいきなりベランダから飛び降りた。止める間もなかった」と話します。
ヨーコは明るく「ママが突き落としたんじゃないの?」と言いますが、母親は少し笑って「哀しいこと言わないで」と目を伏せます。
ヨーコは「ヨーコ(自分)はママが大好きだったのよ。私(カザリ)とママが似てるっていつも言ってたもの」と続けますが、冷たい顔で自分の名を呟く母親から目を逸らし、自分の本当の憐れさを知ります。

翌朝早くヨーコは荷物をまとめ、それまで暮らした臭い座布団を持って家を出ます。
「ニンジンの切れ端だって食ってやる!何をしたって生きてやる!アソがいて、私には鉄の胃袋がある!」
ヨーコはアソと一緒に気合を入れ、土手を走って行きました。

◆「SEVEN ROOMS」
監督/安達正軌、脚本/奥寺佐渡子、出演/市川由衣、須賀健太、サエコ、菜葉菜、パトリック・ハーラン、佐藤仁美、木南晴夏、仲村綾乃、東山麻美、高橋真唯、芥川舞子、吉高由里子など。

月曜日。姉と小学生の弟サトシは、暗く湿ったコンクリートの部屋で目覚めます。2人は突然殴られて拉致され、犯人が誰かも分りません。頑丈な鉄の扉の前には、紙皿に乗った食パン1枚と紙皿に入った水が置いてあり、奥には子供がようやく通れるほどの側溝がありましたが、ウジが這い回り、汚水が流れています。また窓は無く、姉のデジタル腕時計だけが頼りです。
2人は毒を警戒してパンを食べず、トイレは側溝で済ませますが、側溝はサトシがギリギリ潜れる幅があったため、姉に言われてサトシがいやいや潜る事に。
その結果、部屋は全部で7部屋、2人の部屋はその中央で、側溝の両端は鉄格子で行き止まりになっている事が判明します。

また部屋にはそれぞれ若い女性が1人づつ監禁されていて、左側には端にいるゴス系の女性の他2名、右隣は女子大生で昨日拉致されたと言い、空き部屋を一つ挟んで、右端には壊れた女性がいて「あいつが6時に来て、バラバラにされてみんな殺される!」と嗤っていました。
姉弟は流れてきた死体を見た事はありませんが、サトシは「右端の側溝に大量の長い髪の毛があった」と証言します。犯人は朝6時に被害者を殺し、夕方6時に側溝に死体を捨てると言うのです。
その日の夕方6時には何も流れて来ませんでしたが、サトシが空腹に耐えきれずパンを食べ、各部屋にも同じ物が配られていて、無毒である事が証明されます。

火曜日。脱出を画策し始めた姉は、サトシに各部屋の女性の持ち物を提供させますが、集まったのはコンドーム、ヘアゴム、会員カード、口紅、キーホルダーと役立つとは思えない物ばかりでした。
また空部屋には、昨日ジョギング中に拉致されたという新たな女性が入り、壊れた女性はいなくなっていました。
姉は口紅で各々の被害者が拉致されてからの日数を書き出しますが、夕方6時、側溝は血で染まり、拉致されて6日目だったゴス系の女性のネイルが流れてきて、姉は初めてサトシを抱きしめ泣き出します。

水曜日。姉はその表から、犯人が毎日休まず、1人拉致して1人殺す事に気づきます。
姉は側溝を巡回しているサトシに、その日殺される女性に「殺されるという事を教えたか」と聞き、「お姉ちゃんなら教えて欲しい?」と言われ言葉に詰まります。
その女性は真面目なそうなメガネ女子で、側溝から現れたサトシに「君はいいよね。こうして逃げ回ってれば生き長らえる」とこぼしていました。

木曜日の朝。左隣の部屋からくぐもった声で呼ばれ、サトシが訪ねていきます。その女性は自分の順番を悟っていて「もういらないからお姉さんと使って」とカーディガンとペンダントを渡します。
しかし女性はサトシの手を離さず「一緒に殺されよう?一人で死ぬのはイヤ!」としがみつきます。犯人が扉を開け、その電動ノコギリが見えたところで、サトシはなんとか逃げますが、犯人は勝ち目のないデカい男で、扉は閂で閉じられている事が判ります。

金曜日。その日は姉弟が殺される番でしたが、姉はヘアゴムとキーホルダーをパチンコにして電灯を割り、暗い部屋でサトシを庇って壁に立ち、犯人と対峙します。
犯人は電動ノコギリで襲い掛かりますが、そのサトシは皆から集めた服とコンドームで作った人形で、隠れていた本物のサトシは、犯人の隙を見て外に逃げだし、姉と犯人を残したまま扉に閂を掛けます。
それは自ら犠牲になることを覚悟した上で、姉が言い出した作戦でした。
2人の部屋からは、ノコギリの音がしていましたが、サトシは他の被害者を全員救出した後、2人の部屋の外で優しかった姉との日々を思い出して泣き、閂に手を掛けます。
姉はそんな時でも頼りになり、年の離れた弟のサトシが生まれた時は「なにこれ?」「自分に関係があるモノとは思えなかった」と笑っていたのです。
しかし被害者の一人に「警察を呼んで来よう」と言われ、彼女たちと共に去って行きます。

【承】- ZOO(2005年)のあらすじ2

ZOO(2005年)のシーン2 ◆「SO-far そ・ふぁー」
監督/小宮雅哲、脚本/山田耕大、出演/神木隆之介、鈴木杏樹、杉本哲太、志賀廣太郎、山川建夫。

幼い”ぼく”は、見晴らしのいい丘に建つ広い庭付一戸建てで、両親と幸せに暮らしています。両親は優しく頼りがいがあり、リビングの大きなソファに並んで座る時、”ぼく”は両親の真ん中で、この上ない幸せに満たされるのです。
しかしある晩、両親が車で出掛け、”ぼく”がソファでジグソーパズルをしていると、ラジオから「交通事故で2名が死亡した」というニュースが流れます。
その直後、ラジオにはノイズが入り、電話が3回鳴って切れ、”ぼく”は居間に茫洋と立っていた父親に気づきます。
父親は空虚な眼で「パズルを手伝ってやろうか」と言い、断ると「がんばれよ」と言います。すると母親がキッチンから出て来て「宿題はやったの?」と言われます。
しかし「お父さんにパズルがんばれって言われた」というと、母親は微笑んで「お父さんなんかいないじゃない。お母さんが見てあげるから、宿題やんなさい」と言われます。父親はその時もいましたが、黙って部屋を出て行きます。
”ぼく”はやむなく母親とソファに座り、宿題を始めますが、途中で父親が来て「外に食事に行こう」と誘われます。
”ぼく”はついて行こうとしますが母親は全く動かず、父親は何も言わず、居間の灯りを消してしまいます。
その日を境に、両親は、互いにその姿が見えなくなります。

ほどなくして、”ぼく”が母親と公園の道を歩いている時、”ぼく”は公園のベンチにいた父親を見つけ「お父さんだ」と呟きます。
すると母親は、悲しそうな顔で「つらいと思うけど、お父さんはもういないの。これからは2人暮らしになるけど、がんばろうね」と言います。
以来母親が用意する食事は2人分だけ、父親が買って来る弁当も2個だけで、それぞれ”ぼく”に食べるよう勧めるという妙な状況になって行きます。
またどちらかと2人きりになると、母親は「2人で出掛けたあの晩、お父さんが運転してた車が事故を起こして、お母さんだけが助かった」と言い、父親は「2人でおじさんの家に行ったあの晩、運転してた車で事故を起こして、父さんは無事だったが母さんは…」と言うのです。

しかしある日、父親はソファで新聞を読み、”ぼく”がパズルをしていた目の前で、母親がハサミが見つからず困っていました。”ぼく”は「お父さんに聞いてあげようか?」と言って伝言し、無事解決します。
”ぼく”は、母親には「お父さんが見えるんだ」と言い、父親には「お母さんはここにいるんだよ、だから2人だけじゃないんだよ」と笑っていました。
以来”ぼく”は2人の伝達役になりますが、ある晩両親が、”ぼく”を介したやり取りの中でケンカになり、母親は「つまんないな」と呟いて部屋に引き上げてしまいます。
”ぼく”はひどく動揺しますが、父親は彼に「『お前がいなくなって本当によかった』と伝えてくれ」と頼み、寝室でそれを聞いた母親は、泣きながらある言葉を伝えさせます。両親は激昂して罵り合いになり、パズルもバラバラに飛び散り、泣きながらも伝え続けた”ぼく”は、倒れてしまいます。

ふと気づくと、”ぼく”はソファで優しく母親に抱きしめられていました。
母親は優しく謝り、彼のジュースと紅茶を入れにキッチンに立ちますが、気づくと反対側には父親がいて「さっきはいくら呼んでも俺の顔見なかったくせに」と微笑んで”ぼく”の頭を撫で、「ママに明日の予定を聞いて来てくれ」と頼みます。しかし母親は、キッチンではなくソファにいて紅茶を飲み、”ぼく”のジュースも出してありました。
以来両親は、どちらか片方だけしか見えない状態になり、”ぼく”は「(これまで重なっていたはずの)両親の世界が離れ始めた」と感じます。

その夜、”ぼく”はソファで酒を飲んでいた父親にその状況を打ち明けますが、父親は苦いため息をつき「そんなわけないだろう」と言っただけでした。
その父親の背中を見ていた母親は、公園で一人泣いていた”ぼく”の所に行きます。
”ぼく”は泣きながら「『これからは2人暮らしになるけど、がんばろうね』って言った事を憶えてる? ぼくはお母さんの世界で生きる事にする」と言います。
母親は”ぼく”を優しく抱きしめますが、以来”ぼく”には父親の姿が全く見えなくなります。

ほどなくして”ぼく”は、母親と病院に行き、医者から「『お父さんは車の事故で亡くなった』と言う事だね?…ならば君の後ろに立っているのは誰かな?」と聞かれます。そこには父親が立っていましたが、”ぼく”には全く見えていませんでした。
両親は困り果て「この子には父親の姿が見えず声も聞こえない。父親が触っても感じないようで、無理に抱きしめると力が抜けて人形のようになる」と訴えます。
両親はあの晩、事故には遭っていなかったものの、ケンカをして、互いに相手が死んだ事にして暮らし始め、”ぼく”にもそう言い聞かせた結果、そうなったと言うのです。

”ぼく”がその事実を知っても父親の姿は見えないままで、居間には”ぼく”が描いた父親の絵が飾ってあります。”ぼく”は「少し寂しいけどこれで良かった」と思い、パズルを完成させ、庭にいる母親を見つめます。
そこには父親もいて”ぼく”に小さく手を振りますが、微笑んだのはそんな父親を見た母親だけで、”ぼく”はその母親の顔を見て微笑みます。父親は照れ笑いをしていました。
「だってぼくは、お父さんとお母さんに、また仲良くなってほしかったから」
「SO(significant other)」= ①重要な他者(親、仲間など)、②配偶者、恋人  「far」= 遠くへ[に]、離れて  ―「プログレッシブ英和中辞典(第3版)」(小学館)より」

【転】- ZOO(2005年)のあらすじ3

ZOO(2005年)のシーン3 ◆「陽だまりの詩(シ)」(アニメ作品)
監督・アニメーション/水﨑淳平、脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン/古屋兎丸、声の出演(モーションキャプチャ含む)/鈴木かすみ、龍坐。

アンドロイドの少女が研究室で目覚めます。そばにいた白衣にメガネの青年は、少女に「君を造った人間だよ」と挨拶して白いワンピースを着るよう渡して、長い通路や階段を通って扉を開け「誕生、おめでとう」と微笑みます。
外は晴れ渡った広々とした草原の丘で、草花が咲き、鳥や虫たちが飛んでいます。少女は動くたび微かな音を立て、無機質な言葉で状況を説明します。
眼下の森には木造の家があり、男はそれを指差して「あれが君の家だ。あの家で君は僕の世話をする事になる」と話します。
彼はまず少女にコーヒーを淹れさせますが、少女は作り方を知らず、彼の指示通りにして2杯のコーヒーを淹れ、その動作ごとにカメラの眼で記憶していました。
それを飲んだ少女は「私はこの味がキライです」と言い、男は「それでいい。そういう設定だった」と微笑んで砂糖を入れてやります。少女は「甘みが増え飲みやすくなりました。コーヒーは私の体内に正常に吸収されました」と言います。
彼が窓を開けると爽やかな風が吹き抜け、ウィンドチャイムが美しい音を奏でます。少女は壁にあったその男と見知らぬ女性の写真を見て「あなた以外の人はどこにいるのですか?」と聞きますが「どこにもいない」と言われます。

少女は離れた井戸に水を汲みに行く際、敷石の道を通らずに草花を踏みつけ、テラスに落ちていた鳩の死骸を衒いなく放り投げます。それを見た男は「君には死を学んでほしい」と言っていました。
またある日、庭のキャベツの収穫の際、少女は葉を食べていたウサギを目撃します。食事の際、男はその噛み痕がある葉を見せ「ウサギが出るんだよ」と話します。
少女はその噛み痕をしげしげと見て「私たちの食べ物を齧るなんて、いやな気持がします」と言いますが、男は小さく笑っただけでした。

少女は瞬く間に人間らしくなっていき、水汲みの際にも敷石を歩き、花に止まった蝶やテントウムシを見て微笑み、男とチェスを楽しめるようになります。
また、キャベツ畑に現れるウサギを捕まえようともしますが、いつも逃げられてしまいます。
少女は、男の世話をしながら、自由に、人間らしい暮らしに馴染んでいき、落ちる夕日に染まりながら体内で動く時計の音を聞き「47億3003万2881秒後、私は活動を停止する。生物はいつか必ず活動を停止する」と呟きます。
やがて陽は落ち、空は満天の星が輝いていました。

またある日、窓辺で男とチェスをしていた少女は、ウィンドチャイムの音に耳を澄まし「きれいな音です。風が作り出す偶然の音楽なのですね。私は好きです、この音」と話します。
そして曇り空の日、彼女は「3、2、1…私が生まれてちょうど1ヶ月が経ちました」と言いますが、男は「僕はあと1週間で死ぬ。僕が死んだら丘に埋葬して欲しい。君を作ったのはそのためなんだ」と打ち明けます。少女はにわかに動揺しながらも了解します。
彼女は暗い気持ちで庭に出ますが、ウサギを見つけて飛びつき、藪の中に走り込んだのを見て追いかけます。
しかし藪のトンネルの先は、切り立った崖になっており、ウサギはその下を流れる川の岩に落ちて動かなくなっていました。
少女は動揺して崖を降りウサギを抱き上げますが、まだ温かいのを知って壊れたと思い「あの人に直してもらおう」と呟き、ウサギを抱えて再び崖を昇り始めます。
しかしその時、大粒の雨が降り始めて岩が崩れ、落下してしまいます。

男は少女をテラスで待っていましたが、どしゃ降りの雨の中よろよろと現れたのは、首が皮一枚で繋がり、右足があらぬ方向に曲がった少女でした。
彼女はそれでも抱えていた血まみれのウサギを男に見せ「この子を直してください」とすがります。
男は「この子はもう死んでいる。君の手当てをしなくては。すぐ倉庫(研究室)に行こう」と言いますが、少女はウサギを抱きしめたまま震えて膝をつき、赤い涙を流しながら「私、以外とこの子が好きだったんです…」と泣き出します。
男は「それが、死だ」と言い、少女をじっと見つめていました。
修理の途中、少女はコードで繋がっただけの顔でウサギに謝り、男に「私はあなたを恨みます。なぜ私を作ったのですか?私はあなたを……死んでしまったあなたを埋めなければならないなんて、つらいです」と泣き出します。

雨は上がり、首に包帯を巻いた少女は、ウサギを木の根元に埋葬し「ここは木の上に鳥の巣があるから寂しくないよね」と話しかけます。男は「僕は明日午後に死ぬだろう」と言いますが、少女は何も答えませんでした。
翌日、少女はいつも通り洗濯を乾し、男とテラスの椅子に並んで座り、残り時間を聞きます。男は「1729秒」と言い、少女は「私も自分が停止する時間を知っています」と話し始めます。
落下した時、彼女はその星の本当の姿を見ていました。それは荒廃し滅び去った文明の遺物で、高いビルや街並みは全て深い樹々に覆われていたのです。
彼女は男に「人間はずっと遠い昔にいなくなったのではないのですか?どのくらいの間一人でいたのですか?」と問いかけます。

「僕は150年前に造られた。僕を作った彼女も、その150年前に誰かに造られ、その誰かも誰かに造られ…人間がいなくなってから、ずっとそれを繰り返して来た。でも僕は、僕の意志で君を造ったんだ。僕はこの世界に生まれた事を、とても幸せだと思うから」
少女は彼を抱きしめ「ありがとう」と涙を流し、彼のタイマーが刻んだ最期の音を聞きます。男の眼は最期に美しい草原での生物の営みを見て活動を停止します。
男の亡骸は、森にあるたくさんの十字架のそばに埋葬されます。
少女は、別なウサギと暮らし始め、壁の写真は、少女と男の写真になっていました。

【結】- ZOO(2005年)のあらすじ4

ZOO(2005年)のシーン2 ◆「ZOO」
監督/安藤尋、脚本/及川章太郎、出演/村上淳、浜崎茜

暗い倉庫のような部屋で黒電話が3回鳴り、憔悴した男が飛び起きます。
男は冷蔵庫のミネラルウォーターで一息つき、サイドテーブルに置いてあった裏返しのインスタント写真に気づきます。それは腐乱してほぼ骸骨と化した人間の死体写真でした。
彼は、コンクリート壁に貼ってある美しい女の写真の記憶を手繰ります。

104日前。
写真の女はその黒電話からどこかに電話をしていましたが、何も言わず、戯れにインスタントカメラで彼女の写真を撮った男に「キライなの」と言い、彼をベッドに押し倒し両手を押えてキスをします。
女は彼の唇を噛み、男は「痛いよ」と呻きますが、彼女はその血を舐めて彼のシャツに血のキスマークをつけ「私たちのしるし」と呟き、愛し合っていました。
「1日1枚づつ、昨日と今日ではほとんど同じに見えるが、死体は確実に変化を続けている。まるで生きているように…」
男はそれまで届いたたくさんの写真を束にして持ち、パラパラとめくります。

92日前。
ドライブの途中で動物園の看板を見た女が、「戻って」と言い出します。男は二つ返事で従いますが、それは閉園した動物園で入口はトタン塀で封鎖されていました。
男は「残念でした」と言いますが、女はそれでも車を降り、外目には分かりにくかった塀の隙間を通り中に入って行き、男もやむなく付き合うことに。
獣舎は錆びつき檻の扉も開いたままで、女はあてどなく歩きながら「ねぇ、こう思わない? ある日突然動物たちが人間に反乱を起こして、みんなでここを脱走したの」と話します。
男は鼻で笑って「動物がどうやって檻の鍵を開けるんだよ?」と言いますが、無表情に「あなたは自分の檻の鍵、開けられるの?」と言い返されます。

またシマウマの檻の前に差し掛かった時、女は「子供の頃、ずっとシマウマ眺めてたの、思い出しちゃった…白黒模様をじっと見てたら吸い込まれるみたいに目が離せなくなっちゃって…気がついたら周りには誰もいなくて、迷子になっちゃって…独りでぐるぐる歩き回っても出口は見つからなくて、迷路に迷い込んだ気分で」と語ります。
男はその後ろを歩きながら、インスタントカメラで彼女を撮りますが、シャッターを押した瞬間彼女が振り向き、「ああ、ごめん」と謝ります。
女は彼を睨みつけ「もう撮らないで。キライって言ったでしょ?」と言い、その写真を握り潰して落とし、先に歩いて行きます。
男は、くしゃくしゃの写真を拾って広げますが、彼女の背後には空の檻が写っていただけでした。

やがて女は「私たち、もう終わりにしましょう」と言いますが、男はダダをこねるように言い訳し、「聞こえなかった?もう終わりなのよ、私たち」と言われます。
男は彼女を乱暴に振り向かせ「分ってるだろ?俺、お前がいないと生きていけないんだよ」とすがりますが、女は冷たい眼で「じゃあ、死ねば?」と言い「まだ解らないの?男はあなた一人じゃないのよ」と言い捨てます。
逆上した男は女の首を絞め、殺害します。
我に返った男は、慌てて女を抱き起しますが、ふと視線を感じたその先には一頭のシマウマがいて、じっとその様子を見ていました。
彼は女の死体を獣舎裏の排水溝の脇まで運びますが、その首には彼の手の痣が出来ており、言い逃れようもありません。
全てを終えた頃、あたりは暗くなっており、人影も無く、シマウマもそれきり姿を現しませんでした。
その死体写真は、女の死体を写したものでした。

以来男は度々その場所に通い、悶々とした日々を過ごしていましたが、ある夜、生前の姿でベッドに現れた女に「動物園が見つからないんだよ」と言います。
女は妖しく微笑み、その鋭く尖った犬歯で噛みつこうとした瞬間、男は再び電話のベルで目覚めます。
男のシャツには彼女の”血のしるし”がついており、彼の唇も切れていました。
その時、ドアの外で音がして見に行くと、件の腐乱死体の写真があったのです。
部屋では再び電話が鳴り、取ると彼女の声で「まだ解らないの?男はあなた一人じゃないのよ」と言って切れ、同時に彼女の”しるし”も唇のケガも消えていきます。

彼はシマウマの檻の前で撮ったくしゃくしゃの写真を見て、がくりと膝をつき、嗚咽します。
その写真には、生前の彼女と、物言わぬまま彼をじっと見つめるシマウマが写っていました。
「あれから、彼ではない誰かが撮った彼女の写真が、毎日1枚ずつ届くようになった…」

みんなの感想

ライターの感想

公開当時、天才子役と謳われていた神木隆之介(撮影当時11歳)、須賀健太の凄さを改めて思い知らされる、手が込んだ競作集です。原作の乙一作品はそもそも個性的で独特のゾッとする空気感があるので、ホラーが苦手な方には少々注意が必要かもしれません。
「SEVEN ROOMS」では、何度も汚水(汚物はとろろ昆布&入浴剤だったとか)に潜る須賀健太も凄いですが、後に大成する女優さんたち(全部で10人)も若く、ある意味貴重な映像かも。
唯一のアニメ作品「陽だまりの詩(シ)」はモーションキャプチャ作品だそうで、少女役鈴木かすみの無垢で可憐な仕草が大きな魅力となっています。ちなみに「SO-far そ・ふぁー」のパズルは、ソファに座る家族の絵(多分少年が描いた設定のオリジナル)で物語の象徴なんですが、最後まで全体が映らず残念。「ZOO」の腐乱死体の特殊メイクを担当したのは江川悦子、神田文裕、高橋勇也で本作中唯一”閲覧注意”のリアリティを醸しています。
  • 匿名さんの感想

    すみません、写真の画像って違いません?海外ドラマのやつになってますよ?

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