映画:オリーブの林をぬけて

「オリーブの林をぬけて」のネタバレあらすじと結末

オリーブの林をぬけての紹介:1994年のイラン映画。『友だちのうちはどこ?』『そして人生はつづく』と続いた巨匠アッバス・キアロスタミ監督の“ジグザグ三部作”の最終篇。『そして人生はつづく』で新婚役を演じた青年が、実際はフラれていたと知ったキアロスタミが、彼らを主役に据えて珠玉の恋物語を作りあげた。一途で純粋な青年の想いを綴ったラブストーリー。

あらすじ動画

オリーブの林をぬけての主な出演者

ホセイン(ホセイン・レザイ)、映画監督(モハマッド=アリ・ケシャヴァーズ)、タヘレ(タヘレ・ラダニアン)、助監督(ザリフェ・シヴァ)、ファルハッド(ファルハッド・ケラドマン)、ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール

オリーブの林をぬけてのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- オリーブの林をぬけてのあらすじ1

テヘランから北に350キロほど離れたコケル村。1990年に大地震に見舞われた地域で、復興の途中にあります。とある映画監督はこの地を舞台に作品を制作するため、助監督のシヴァと共に地元の娘たちを集めて新婦役の主演女優のオーディションを行いました。娘たちは貴重な機会に胸を躍らせます。監督は大勢の娘の中から、タヘレという少女を選びました。

撮影日。シヴァがタヘレを迎えに行くと、映画出演に気合の入っていた彼女は、友人から借りた余所行きの服を用意していました。田舎の娘役につき普通の衣装を…とシヴァが指示しても、タヘレはこの服が着たいと言って譲れません。そこはタヘレも年ごろの娘。シヴァは彼女を説得するのに随分と手を焼きました。

なんとかタヘレも納得したところで、いざ『オリーブの林をぬけて』という映画の撮影が始まります。ところが新郎役の若いアジムが、台詞を話すことができません。女性慣れしていないアジムは、タヘレの前では緊張して言葉が出てこないのです。アジムが自ら降板を申し出たために監督は急遽、撮影の雑用係をしている青年ホセインを抜擢しました。もともとレンガ職人として働いていたホセインは、突然の大役を得て、映画に出演するのだからと工事現場の仕事を辞めました。意気込みが伝わって来ます。
ところが…。相手役がホセインに変わった途端に、今度はタヘレが台詞を言わないのです。ホセインとタヘレの間に軋轢があると知った監督は、ホセインから事情を聞きました。

【承】- オリーブの林をぬけてのあらすじ2

ホセインが以前に仕事をした現場で、隣の家に住んでいたのがタヘレでした。この地では珍しく、女性ながら熱心に勉強していたタヘレの姿を見かけたホセインは、彼女に好意を持ちました。しかしタヘレの母に嫌われたホセインは彼女の指図によって、担当していた現場に翌日以降来ることを禁じられてしまいます。そしてその夜、大地震が起きて、ホセインが担当した現場の一家やタヘレの両親が亡くなりました。地震から7日後、墓地にいたタヘレを見つけたホセインは、結婚を申し込むために彼女に近づきます。しかし11歳から働きに出ていたホセインは文盲で、持ち家もありません。そんな彼を認めないタヘレの祖母に追い払われました。

それから40日後。再び墓地でタヘレや祖母を見かけたホセインは、やけを起こしてつい「家を失ったあなた方は、僕と平等になった」と口走ってしまいました。それでもホセインは、結婚の申込みの返事が欲しいとタヘレに申し出ますが、彼女から帰ってきたのは、「傷つきました」と素気無い言葉でした。
その後。ホセインはタヘレに再会した際に、もう一度結婚の申し込みをしてみるものの、彼女は挨拶さえしてくれません。そのうえホセインは、タヘレの祖母に徹底的にはねつけられました。そしてその日。タヘレの祖母に追い払われたオリーブ畑にて、ホセインは奇遇にも撮影クルーと出会い、雑用係として手伝うことになったのです。

再び、現在。
撮影もうまくいかなかったホセインは、撮影キャンプに戻ると、これまで通りに雑用もこなしました。一方のタヘレはシヴァに、理由も告げず「出演したくない」と言い出します。そのためシヴァは、ホセインかタヘレのどちらかに代役を立てることを監督に提案しました。しかしホセインの心情を鑑みた監督は、現状のキャストで続行する意思を曲げませんでした。
精神的に疲れたのか、ホセインは一晩中寝言を言い続け、翌朝寝坊しました。雑用係のホセインも起きて来ないため、スタッフ陣がバタバタとするなか、監督は映画に出演するファルファッドと山岳地帯のキャンプ場で語り合いました。

【転】- オリーブの林をぬけてのあらすじ3

撮影現場へ向かう車の荷台に乗った監督は、浮かない表情のホセインを案じました。ホセイン曰く、タヘレは何度挨拶をしても一度も返事をしてくれないのです。
車は途中で、歩いていた地元住民を荷台に乗せました。監督はホセインの気持ちを試したかったのか、その中にいた娘を彼の相手役に勧めてみます。しかしホセインは、村の娘ではなく、教育のある女性を望んでいました。結婚して夫婦共に文盲ではいけないと言うのです。そんなホセインに監督は「君は字が読めなくて結婚を断られたのに…。」と窘めました。ホセインの表情はどんどんに曇っていきます。

この日の撮影が始まりますが、ホセインは何度もNGを出します。(この場面は『そして人生はつづく』で、ホセインとタヘレが演じた新婚夫婦のシーンの再現です)
1カットを撮り終え撮影が止まると、その合間でホセインは必死に自分の気持ちをタヘレに説きました。ホセインの役柄は威圧的な夫ですが、自分だったら絶対にそんな口調で話さないし、家事もさせないし、仕事は僕がするのだと。ホセインは「君を幸せにするために結婚したいんだ」と、愛を伝えますが、タヘレは彼の目を見ようともしません。
それでもホセインはあきらめません。「言葉で言うのが恥ずかしいなら、読んでいる本のページを捲れば、それが返事でいい。家が必要なら、今撮影に使っている家を借りる」とホセインは、懸命に想いを伝えました。するとタヘレが、本のページを捲ろうとしたのか手を動かします。ところがその瞬間に、撮影が再開してしまいました。ホセインは長台詞を無事に乗り切り、そのシーンのOKが出ました。撮影が中断すれば、ホセインはお茶出し係です。しかしタヘレは、彼が出したお茶さえ飲もうとはしませんでした。

【結】- オリーブの林をぬけてのあらすじ4

今度はタヘレがNGを…。ホセインを”さん付け”で呼ぶことが出来ないのです。何テイクをこなしてもタヘレが失敗するので、さすがに監督もきつく注意しました。するとホセインはタヘレを庇うように、「最近では、この地域では夫にさん付けをしないから、タヘレは間違っていません」と直訴します。それに監督も納得し、2人の出演場面の撮影はこれで終了となりました。

送迎の車に乗ったタヘレですが、何やらスタッフ陣が揉めています。出発の気配がないので、タヘレは歩いて帰り始めました。これを好機と見込んだ監督は「君は若い。歩いて帰りなさい」と、ホセインの背中を押しました。
撮影が終わればホセインは、タヘレに会える機会はもうありません。タヘレに追いついたホセインは、返事が欲しいと願い出ました。しかしタヘレは何も答えず、彼に背を向けたまま歩き続けます。ホセインは「君より美人な娘はいるけど、僕が結婚したいのは君なんだ。家なら頑張って働いて一緒に建てればいい」と腹の底を伝えました。しかしタヘレが返事をすることはなく、ふてくされたホセインは1人立ち止まってしまいます。2人の様子が気になった監督は、こっそりと後をつけて見守っていました。
それでもやはり、諦めきれないホセインは持っていた荷物を置き、丘を駆け下りタヘレの後を追いました。そしてオリーブの林もぬけて、ホセインがタヘレの後ろを歩き続けていると、彼女がようやく振り返ります。タヘレが何かを告げると、ホセインは来た道を引き返し、全速力で丘を駆け上がって行きました。

みんなの感想

ライターの感想

三部作のうち今作を最初に見た場合は、「?」なことが多いと思いますが、前二作を鑑賞した者にとっては、今作への一体感が凄いです。前作までの主要出演者がさりげなく登場するし、これまでに通ずるシーンも多く、妙に嬉しくなるのです。ライブで会場が一つになるという表現がありますが、それに近い感覚でした。
現代に生きる日本人からすればホセインの言葉は、歯が浮くようなチャラ男の台詞に聞こえます。しかし朴訥とした彼の雰囲気と牧歌的な風景から、本当に純粋な気持ちだと受け取れ、グッと来ました。どこまでがフィクションなのかも曖昧ですが、それもまたよし。そしてワンカットで撮った印象的なラスト。映画の演出は無限大であると、25年前の作品から学びました。2人の恋の行方はわかりませんが、ホセインが喜び勇んで丘を駆け上がったのだと信じています。

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