「クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏」のネタバレあらすじと結末の感想

クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏の紹介:エリート銀行マンの夫とピアニストの妻。音楽家の妻を理解できない夫に嫉妬の情が湧きおこる…。
2006年のスイス・イタリアの合作で、東京国際映画祭に正式出品された。ベートーベンのソナタより着想を得て書かれた文豪トルストイの小説を現代に翻案し、サスペンスフルに展開していく。

予告動画

クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏の主な出演者

アンドレア(ジョルジョ・パソッティ)、アントニア(ヴァネッサ・インコントラーダ)、老人(アルノルド・フォア)、マリー (マリア・シュナイダー)

クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏のネタバレあらすじ

【起】- クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏のあらすじ1

飛行機に搭乗中の老人は、絶望的な言葉を母親に吐く男性客が気になっていました。到着した空港のトランジットで遅延している次の便を待っていた老人は、公衆の面前で絡み合う男女に蔑みの視線を送っている先程の男性・アンドレアに声を掛けます。老人が話の分かる人間だと察したアンドレアは、3年前に妻を殺したと激白し、その経緯を淡々と語り始めました。

アンドレアはスイスの資産家の家庭に生まれました。離婚した母は自分の総支配人と呼ぶべき存在で、彼を育てたのは家庭教師でした。成長したアンドレアは母が大株主である銀行に就職すると、午前4時に起きニューヨーク在住の社員とネット電話を繋いで、株価動向をチェックする生活が始まります。
ときめく女がいないと感じていたアンドレアは、ある時付き合いで鑑賞したコンサートに出演していたピアニスト・アントニアに一目惚れします。公演後にアンドレアは彼女を誘い、生まれ育ったルガノの街を案内しました。水深300mの湖に船を出したアンドレアは、アントニアにプロポーズすると彼女も受け入れ、2人は船上で結ばれました。
アントニアと知合って1週間後、アンドレアは母に結婚を報告します。母は一旦は猛反対するものの、息子への愛情もなく「勝手にすれば」と放任しました。

【承】- クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏のあらすじ2

アントニアの音楽仲間に自分を紹介してもらうため、アンドレアは彼女の地元であるローマを新婚旅行先に選びます。アントニアが所属する楽団のコンサートを鑑賞すると、新しく加入したダニエルの演奏にアントニアが陶酔していました。その姿を見たアンドレアはダニエルに嫉妬します。またアンドレアはアントニアの仲間の思考や感覚が理解できず、辛辣な言葉を彼女に投げかけたため喧嘩になります。それでもアンドレアは彼女を強引に抱くのでした。またアントニアの男性遍歴に触れたアンドレアは、女は独占できないものだと悟ります。

新居に越すと共にアンドレアはピアノを買ってくれ、アントニアはとても喜びました。しかしアントニアはすぐに長男を妊娠したため、本格的な音楽活動ができなくなり虚しさを覚えます。夫妻は2男1女を授かり、アンドレアの仕事も順調でしばらくは幸せな日々を過ごしました。
やがてアントニアは子供を溺愛するようになり、喘息の三男を囲ってばかりいました。アンドレアはそれが気に入らず、子供のことや互いの欠点を原因に、アントニアとの喧嘩が増えていきます。2人は不仲でしたが大家族に憧れるアンドレアは、自分の欲望を満たすためにも性生活は途切れず、アントニアは4人目の子供を妊娠します。但しアンドレアが妻の妊娠報告を受けたのは医師からでした。不運にもアントニアは不慮の事故で流産してしまいます。

【転】- クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏のあらすじ3

流産してからのアントニアは落込むどころか、人が変わったように音楽活動を再開させます。それは蜜に引き寄せられ、花開くようでした。旧友たちが舞い戻り家でも演奏会を開催し、子育ては家政婦・マリ―に頼りっきりになります。次第にアンドレアの母でさえアントニアを認めるようになり、アンドレアは嫉妬に苦しみました。アンドレアは妻の気を引くため贈り物をしますが、皮肉なことにアントニアはますます美しくなり、2人の心の距離はなお離れていきます。

アンドレアはアントニアの気持ちを取り戻したくて、散財し続けます。アントニアの誕生日には豪華なパーティを開き、彼女の音楽仲間の演奏会を企てました。メンバーにはダニエルもおり、彼に誘われたアントニアは久々に人前でピアノを弾きます。ダニエルとセッションしたアントニアは、日頃の生活では味わえない快楽を得ました。妻の様相を見たアンドレアは、ダニエルとのゾッとする程の親密さと、本物の肉体の結合を目撃したと感じるのでした。

翌日アンドレアはジュネーブでの会議のために、数日間家を空けることになります。会社は重要な投資に失敗していました。アントニアの素行が心配なアンドレアは家に電話すると、ダニエルが来訪していることを知ります。妻が浮気する悪夢で真夜中に目覚めたダニエルは、PCを立ち上げ株式のサイトを確認すると、アンドレアや客に告げずに会社が株を売り抜け着服していた事実を察知しました。アンドレアは深夜にも関わらずその場で辞表を提出し、予定よりも早くジュネーブを発ちました。全てを失ってもアンドレアの頭の中は、他の男に属したであろうアントニアや、身の毛もよだつバイオリンの音色が充満します。

【結】- クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏のあらすじ4

アンドレアは、妻が他の男といたら…といつも想像してきましたが、家に帰ればその度にアントニアは1人寝室にいて、きっと今夜もそうだろうと思い込みました。ところが帰宅したアンドレアの耳に、ピアノとバイオリンの音色、そしてアントニアとダニエルの笑い声が聞こえて来ます。嫉妬が頂点に達したアンドレアは、飾ってある古いナイフを持って2人の前に現れました。ただ演奏しているだけだとアントニアとダニエルは必死に誤解を解こうとしますが、不安な妄想に駆られたアンドレアには通じることもなく、彼は力を込めてアントニアを刺しました。アンドレアは銃で自殺を考えるも実行できず、マリーの通報で駆け付けた警察に連行されました。
母が雇った超一流の弁護団により、真実は闇に葬られます。アンドレアは法廷で「僕を死刑にしてくれ、僕は正気だ」と裁判官に訴えますが、“意思能力を欠く状態にある”として無罪となりました。

「僕など消えればいい」と呟いてアンドレアは語り終えます。全てを聞いた老人が「敬意を払うし、感謝する」と述べると、そんな価値など僕にはないとアンドレアは言い捨て老人と別れました。
遅れていた飛行機に搭乗した老人は、ペンを持ち何かを綴ろうとしますが、アンドレアが気になるのか落ち着きません。老人を乗せ飛び立った飛行機を背景に、アンドレアは手ぶらで何処かへ歩き始めました。

みんなの感想

ライターの感想

アンドレアもアントニアも互いに抱いていたのは、愛ではないと感じました。特にアンドレアは、妻への依存と支配欲・独占欲かと。アンドレアについては、育ち方ゆえの人格形成で気の毒ですが…。
日本版には“とてつもなく愛したがゆえに…”とのキャッチコピーがありましたが、やはり原題(QUALE AMORE)や、英題のサブタイトル(WHAT IS LOVE?)の方がしっくり来る気がします。
恥ずかしながら原作小説はあらすじしか知りませんが、一つの楽曲からこれほど濃厚な物語を想像したとは、文豪の感性の凄まじさを実感しました。

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