映画:ファントム・スレッド

「ファントム・スレッド」のネタバレあらすじと結末

ファントム・スレッドの紹介:2017年のアメリカ映画。1950年代のロンドンでオートクチュールの仕立屋として活躍する男と、彼が迎えたミューズとの予測不可能な究極の愛をサスペンス調に描く。監督・脚本はポール・トーマス・アンダーソン。第90回アカデミー賞衣装デザイン賞をはじめとする数々の映画賞に輝いた。主演のダニエル・デイ=ルイスは、今作での俳優引退を表明した。

あらすじ動画

ファントム・スレッドの主な出演者

レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)、アルマ(ヴィッキー・クリープス)、シリル(レスリー・マンヴィル)、ハーディ医師(ブライアン・グリーソン)、ジョアンナ(カミーラ・ラザフォード)、ハーディング(ジーナ・マッキー)、バルティモア(ナジ・ジーター)

ファントム・スレッドのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ファントム・スレッドのあらすじ1

1950年代、ロンドン。オートクチュールの仕立屋のレイノルズは、天才的なデザイン能力と徹底した製品の質のよさで、その名を馳せています。姉のシリルと共に立ち上げたウッドコック社は、イギリスの社交界で絶大な支持を得ていました。一方で母を早くに亡くしたレイノルズはシリルへの信頼感が異常なまでに強く、中年になっても全ての生活を共にしています。

ある夜のこと。レイノルズが家へ迎え入れているモデルのジョアンナの処遇をシリルと話し合いました。彼女が太ってきたこと、レイノルズの心が乱されることを理由に、家を出てもらうことにします。シリルはレイノルズに、気分転換のために別荘に行くことを勧めました。
シリルの勧め通りに別荘へ向かったレイノルズは、朝食のために訪れたカフェで、ちょっとドジなウェイトレスの若いアルマに出会います。一目でアルマを見初めたレイノルズ。それに対し、アルマも上品な雰囲気のレイノルズに惹かれ、夕食を共にすることになりました。

2人きりになったレイノルズは、アルマの口紅を落としてみたり、母親の瞳の色を聞いたりと彼女にはとっては不思議な言動だらけ。そのうえ、いつもそばにいるために母親の写真を服の芯地に入れていると誇らしげに語りました。レイノルズの人柄に少々戸惑ったアルマですが、彼に連れられ自宅を訪ねることに。
自宅には婚礼姿の母の写真がありました。レイノルズはウェディングドレスを作る人間は、結婚ができないという迷信を深く信じており、結婚後に母を亡くしたという経緯からも結婚への疑心を抱いています。レイノルズは、結婚によって自分を偽りたくないため独身主義なのだとアルマに語って聞かせました。
続いてアルマは誘われるがまま作業場へ向かうと、突然トワル(仮縫い布地)を試着させられます。「とてもいい」と褒められたアルマは嬉しくなりますが、何の説明もなくシリルが来たかと思うと、そのまま採寸が始まりました。怪訝な表情のアルマに、シリルは「彼は丸いお腹が好きで、理想の体型」と。「長い間君を待っていた気がする」とは、レイノルズ。つまりレイノルズは、創作意欲を掻き立て、仕立てたドレスにぴったりと似合うミューズを求めていて、それがまさにアルマだったのです。

【承】- ファントム・スレッドのあらすじ2

ドレスが完成すると、アルマはレイノルズの家で暮らし始めました。彼に愛情を感じるアルマでしたが、レイノルズから同じような感情を得ることはありませんでした。シリルなら自由に入れるのに、アルマがレイノルズの部屋に入ることも叶わないのです。食事も専属の家政婦が行うため、恋人らしい行動などアルマには何一つ出来ません。彼女がすることと言えば、ただひたすら彼の仕事の手助けをすることだけ。ドレスに意見することさえ許されないものの、多くのモデルの中で自分が特別だという事実は、アルマに大きな優越感を与えました。
ある朝アルマは、神経質で気難しいレイノルズに、動きが多いと叱られます。シリルもまたレイノルズ中心に生活しており、アルマの肩を持つことはありません。「部屋で食事をしたら?」とシリルに屈辱的に言われたアルマですが、それでもレイノルズのそばにいて、仕事に関われることに喜びを感じていたため、彼らの独特なやり方に従うことにしました。

一方でレイノルズは仕事に情熱を掛け過ぎるあまり、疲れ果ててしまうことがありました。そうなると彼は途端に大人しく、優しくなるのです。赤ん坊のように素直になるレイノルズをアルマはたまらなく愛しく感じました。しかし体調さえ戻れば、再び几帳面で偏屈なレイノルズに戻るのです。アルマの喜びは、ほんの数日間だけでした。

贔屓客の資産家バーバラが再婚するため、ウッドコッコク社がウェディングドレスを製作することに。結婚に嫌悪感を抱いているレイノルズでしたが招待を断り切れず、嫌々ながらバーバラの式に参列します。ところが酔って醜態を晒しドレスを台無しにするバーバラをレイノルズは許せず、アルマもまた彼と同じ感情を抱き「あなたの作品なのに、彼女には着る資格が無い」と涙を零しました。レイノルズとアルマはバーバラの控室に乗りこむと、寝ているバーバラからドレスをはぎ取り回収し「ウッドコック社の服はもう着ないでください」と言い放ちました。ここまで自分に同調した女性は初めてだったのか、会場を飛び出すとレイノルズはアルマにキスをしました。嬉しくてアルマが思わず「愛している」と口にしますが、レイノルズから返答はありません。それでも少しだけ、レイノルズとアルマの距離が縮まった瞬間でした。

【転】- ファントム・スレッドのあらすじ3

今度はベルギー王女のウェディングドレスを依頼されます。美しい王女にアルマは嫉妬を覚え、レイノルズにサプライズをすることを発案。シリルにやめた方がいいと反対されてもアルマは「私なりの方法で愛したい」と、計画を決行します。お針子たちが帰った後にシリルも外出させ、アルマはレイノルズと2人きりに。ところがレイノルズは、喜ぶどころかシリルの行方ばかり気にして落ち着きません。レイノルズが仕方なさそうにアルマが用意した夕食を口にする姿を見て、彼女は落胆しました。自分の存在意義を嘆くアルマに対しレイノルズは「この“奇襲”は何だ」と苛立ちます。シリルの目論見通り2人は口論に…。激高したレイノルズに「元にいた場所にさっさと帰れ」と言われたアルマですが、出て行くことはありませんでした。

翌日アルマは反撃に出ます。毒キノコの粉末をレイノルズの紅茶に混ぜたのです。この日は王女のドレスの最終確認の日でしたが、眩暈を起こしたレイノルズは、倒れてドレスを損傷させました。弱った彼が好きなアルマの狙い通りでした。発熱と嘔吐で弱ったレイノルズを、彼女は献身的に介抱したのです。
突然の病を不安視したシリルは、人嫌いのレイノルズに隠れて医師のハーディを呼びつけました。ところが診察を拒むレイノルズの意思を尊重したアルマは、ハーディを追い返します。うつつのレイノルズは、母の亡霊を見ながら、看病するアルマに母のぬくもりを重ねました。アルマは徹夜で修復作業するお針子さんの手伝いも。初めて縫製に携わったアルマは、レイノルズがウェディングドレスに、“呪われることなく”と記したタグを入れていたことを知りました。それほど結婚に嫌悪感を抱いているレイノルズですが、翌朝体調が回復するとアルマに結婚を申し込みます。予想以上の効果にアルマは唖然とするものの、もちろんプロポーズを受け入れるのでした。

【結】- ファントム・スレッドのあらすじ4

結婚によって心の余裕が出来たアルマは、レイノルズが嫌がる行動を敢えてとるので、彼はグッと堪えました。安定を得たアルマが輝きを増していきます。他の男性と話す彼女にレイノルズは嫉妬します。これまでは感じることのなかった心情でした。
大晦日の夜。アルマは先日会話した男性の勧めで、ダンスパーティに行きたいと申し出ます。レイノルズが許可しないため、アルマは独りでホールへ向かいました。仕事を続けていたものの、居ても経っても居られないレイノルズは、アルマの後を追いかけます。レイノルズは賑わう若者の群れからアルマを見つけ出すと、彼女を連れ戻しました。
結婚により自分のペースを乱され始めたレイノルズは、結婚が大きな過ちで、アルマは会社にはふさわしくないとシリルに訴えます。アルマがそれを陰で聞いていませんでしたが、以前のようには狼狽えませんでした。またすでにアルマを認めていたシリルも、レイノルズの意見に加担はしませんでした。

思い立ったアルマは、毒キノコ入りのオムレツをレイノルズに出します。レイノルズもまた理解しているのか、彼女の前で見せつけるように平らげました。「あなたには無力で倒れていて欲しい。助けるのは私だけ」とアルマが呟くと、レイノルズは「倒れる前にキスしてくれ」と答え、2人は愛を確かめ合うのでした。
レイノルズの要望で、万が一のためにハーディを呼びます。アルマはハーディに、レイノルズと結婚するまでの経緯を語ります。またレイノルズとの間に子供を設け、ドレスを自分が管理する夢想もハーディに聞かせました。レイノルズを偲ぶように語るアルマに、ハーディは戸惑いを隠せません。なぜならレイノルズは、流暢に話すアルマに膝枕されているのでした。「腹が減って来た」と呟くレイノルズの頭をアルマは嬉しそうに撫でました。

みんなの感想

ライターの感想

2人の感情は愛なのでしょうか。レイノルズは母性に依存、アルマは女の意地と手にした社会的地位へ依存し、それで2人は繋がっていたのではないかと感じてしまいました。常人には理解不能な関係です…。優美なBGMや次々と登場する絢爛なドレスによって全体に麗しい印象を与える半面、2人の大いに屈折した関係の対比が皮肉めいていて、この作品の際立った特徴だと思います。
主軸の展開が平滑に描かれている分、ラストは見事にどんでん返しが決まっていました。あたかもレイノルズが死んだかのようにアルマが語る冒頭、そう思わせておいてまさか膝枕をしていたとは…。その設定も強烈で、映像の美しさを忘れさせてしまう奇矯なラブストーリーでした。

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