「ヴァイブレータ」のネタバレあらすじと結末の感想

ヴァイブレータの紹介:2003年公開の日本映画。赤坂真理の同名小説を、「さよなら歌舞伎町」などの廣木隆一が実写化。本作で大胆なヌードを披露した主演の寺島しのぶは、2003年の主演女優賞、新人賞を総なめにした。

予告動画

ヴァイブレータの主な出演者

早川玲(寺島しのぶ)、岡部希寿(大森南朋)、【以下、役名なし】田口トモロヲ、戸田昌宏、高柳絵理子、牧瀬里穂、坂上みき、村上淳

ヴァイブレータのネタバレあらすじ

【起】- ヴァイブレータのあらすじ1

雪が降りしきる夜、31歳のルポライター早川玲は、コンビニへ買い物に来ていました。
彼女は頭の中で聞こえる声に悩まされており、いつか誰かに言われた言葉や、言えなかった自分の気持ちなどが、絶えず鳴り響いていたのです。そのせいで、玲は不眠や過食嘔吐を繰り返し、アルコールにも依存していました。
白ワインとジンを探す玲は、コンビニに入ってきた金髪の男と目が合います。彼が履いている長靴に惹かれた玲の頭の中では、「食べたい、あれ、食べたい」と声がするのでした。すると、男はすれ違いざまに玲のズボンを軽く触ります。それが合図であるかのように、玲は酒を置いて男のあとを追うのです。
外に出ると、男はトラックの運転席に座っていました。玲はふらふらとトラックに乗り込み、男は「ようこそ」と声をかけます。
玲は男に渡された焼酎をぎこちなく飲みながら、世間話をします。そこへ警官が現れて、住宅街でアイドリングをしていることを注意します。男の免許証を確認した警官は、公園の場所を教えて去って行きました。

男の名前は、岡部希寿(たかとし)といいました。フリーの長距離トラックの運転手で、中学もまともに出ず、学歴がないことから始めた仕事だと話します。
玲は「あなたに触りたい」と率直な気持ちを伝えます。希寿は玲をトラックの後ろに誘いますが、彼女は何故だか怯えた表情を見せます。「よく知らない人が暴力をふるわないことが信じられない」と告げると、希寿は玲を優しく抱きしめるのでした。
玲は希寿に抱かれながら、自分の名前は聞かないのかと尋ねます。希寿は「下の名前だけでいい」と言いますが、寂しくなった彼女はフルネームを名乗ります。
夜明けを迎えて、玲はトラックを降りますが、再び戻ってきます。玲は「道連れにして」と言います。こうして玲を乗せた希寿のトラックは、東京から新潟に向かって走り出すのでした。

【承】- ヴァイブレータのあらすじ2

新潟に向かう2人は、少しずつお互いのことを話していきます。
希寿には妻と娘がおり、長年付きまとうストーカーの女性に悩まされていました。トラックに乗せたこともある女性で、手首を切ったと電話がかかってきたこともあると話します。そして、玲がそうならないように先手を打ったと付け加えるのでした。
希寿は工務店で働いたあとヤクザになり、ホテトルのマネージャーを務めて、トラック運転手になりました。今乗っているのは2台目のトラックで、自分には逮捕歴があり、シンナーが大好きだと説明します。

玲はシンナーこそやらないものの、アルコールと食べ吐き(過食嘔吐)に依存していました。
食べ吐きは取材で知り合った女性から教わったものでした。眠るためにアルコールを摂取していた玲は、太ってしまいます。吐けば痩せられるからと始めた食べ吐きは習慣となり、やめられなくなったと語ります。
ふと玲の回想の中で、誰かと電話をする場面が浮かび上がってきます。玲は笑いながら「大丈夫」と言い続けて、水道の蛇口をひねります。そして、そのまま電話をしながら空き容器に放尿するのです。

希寿はトラック仲間と無線で電波遊びを始めます。トラック運転手はこれで孤独を紛らわせており、無線の中では強い電波が勝つのだと説明します。
玲は希寿と言葉を重ねていくうちに、悩みの種であった頭の中の声が聞こえなくなっていることに気付きます。

【転】- ヴァイブレータのあらすじ3

明け方、雪国に到着しました。一人トラックを降りた玲は、ろうそく祭りに出くわします。玲が河原で放尿していると、希寿が空き缶を投げつけてきます。
港に到着した2人は、納品の時間まで眠ることにします。身体を重ねようとしたところ、希寿は玲の身体が拒否していることを察します。そして玲に自慰をさせて、バックから挿入するのでした。
その後、重量検問注意の無線が入り、普段よりも多めに荷物を積んでいた希寿のトラックは助かります。希寿はクラブの幹部から誘いを受けていましたが、ヤクザ関係のため気が進まないらしく、「そろそろ(トラック運転手を)辞めようかな」と呟きます。

昨日に引き続き、希寿は電波遊びを始めます。希寿はスピーカーを玲に渡して、ボイスコンバーターを使用して自分のふりをするように言います。玲はほかのトラック運転手たちと交信を開始し、彼らの声が聞こえてくるのを最初は楽しんでいました。
しかし、さまざまな声が突然鳴り響き、玲は顔色を変えます。それは希寿には聞こえない、彼女の頭の中で発せられる声でした。玲は無線遊びをやめて、ラジオをつけます。しかし、それでも彼女の頭の中では「学校に行かないのはどうして?」や「精神科に行きたい」などの声が聞こえてきます。パニックに陥った玲は、泣きながら「吐く」と訴えます。
希寿がトラックをガソリンスタンドで急停車させると、玲は助手席から飛び出して吐こうとします。口に指を突っ込みますがどうしても吐けず、介抱しようとした希寿に向かって「気持ち悪い」と連呼します。
玲は希寿や自分の頭を何度も殴り、やっとの思いで嘔吐します。そして、その場に崩れ落ちるのでした。

【結】- ヴァイブレータのあらすじ4

ラブホテルで休むことにした2人は、一緒にお風呂に入ります。
希寿は落ち着きを取り戻した玲の身体を洗ってあげます。玲は「この人が優しいのは、感情じゃなくて本能だ」と感じ取り、湯船の中でわざと溺れようとします。希寿はそんな玲を引っ張り上げて抱きしめます。
感情を爆発させた玲は、「私のこと殴ってよ」と詰め寄りますが、希寿は「お前のことが好きだから殴らない」と返します。玲は子どものように、希寿の胸の中で泣きじゃくるのでした。そして、彼女の心は穏やかになっていきます。

2人は定食屋で食事をしますが、玲は食べようとしません。「食わないと吐けないだろ」と希寿が言うと、玲は静かに食べ物を口に運びます。
玲は「私のこと好き?」と尋ねます。希寿は好きだと答えてから、「お前は俺のこと好き?」と聞き返します。そして、ずっとトラックに乗っていてもいいと言いますが、玲は「ありがとう」と答えるだけでした。
玲は家で恋人が待っていると嘘をつきます。すると、希寿は自分に妻子がいること、ストーカー被害に遭っていることも全て嘘だと白状するのでした。
食事を終えると、希寿が玲に「トラック運転してみない?」と提案します。玲は渋りますが、言われるがまま運転席に座って、ハンドルを握ります。希寿に教えてもらいながら、玲の運転でトラックが走ります。彼女に笑顔が戻りますが、旅の終わりは間近に迫っていました。

2人は出会ったコンビニに戻ってきました。玲がトラックを降りると、希寿は名残惜しそうに見つめてから、トラックを走らせました。
玲は「彼を食べて、食べられた。それだけのことだった」と旅を振り返ります。「でも私は、少しだけいいものになった気がした」と決着させる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

「優しさは本能」というセリフが非常に印象的でした。玲と同年代の多くの女性は、きっと希寿の優しさに魅了されるのではないでしょうか。しかし、希寿もまた孤独だったからこそ、不安定な彼女を自然に受け入れられたのではないかと思いました(それでも十分優しい男性だと思いますが)。男女に限らず、孤独を癒すための出会いというのは難しく、実現できたとしても、その時間は本作でも描かれているように、永遠ではありません。玲も家に帰ったら、また過食嘔吐をしてしまうかもしれません。ですが、孤独に苦しむことに比べたら、出会って別れる寂しさというのは、すがすがしいものなのだと思わされました。

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